「成年式って、成人式と同じ? 18歳成人になったのに、どうして“二十歳のつどい”なの?」――そんな疑問に一気に答えます。
この記事は、法律と地域行事、そして皇族の伝統儀式を同じ土俵でやさしく整理。
検索でよくある「簡単に」「なぜやる」「何をする」「由来」「皇族・悠仁さま」というキーワードを軸に、差がひと目で分かる比較表も用意しました。
今日のあなたのモヤモヤが、読み終わる頃にはスッキリ晴れるはずです。
まずは「成年式」を簡単に理解
成年式とは?何をする?(要点だけ)
「成年式」は、“おとなになった節目を祝う・確かめる”ための儀礼や式の総称です。
学校や地域が主催する催しから、家族内のお祝い、皇室のような伝統的な儀式まで幅広く含みます。
内容は挨拶、来賓のことば、決意表明、表彰・記念品授与、同級生との再会、記念撮影などが定番。
最近は動画配信やオンライン参加を用意する自治体もあります。
法的な「成年」は2022年から18歳ですが、地域の式は“人生の節目を皆で祝う場”として続いており、名称や対象年齢は地域の判断で決められています(例:「二十歳のつどい」)。
成人式との違い(対象年齢・主催・ねらい)
日常会話でよく聞く「成人式」は、自治体(市区町村)が主催する地域行事を指すのが一般的です。
法改正後も多くの自治体は対象を“20歳になる人”に据え、名称を「二十歳のつどい」などに変更して継続しています。
法律上の成年年齢(18歳)は国が定め、地域行事の対象年齢や名前は自治体が決める――ここがポイントです。
例えば、さいたま市や倉敷市は「二十歳の集い」として20歳対象で開催しています。
ねらいは「おとなになった自覚と門出を、地域で励ます」こと。
式の位置づけは祝日「成人の日」の趣旨とも重なります。
なぜやるの?(社会的・家族的な意味)
理由はシンプル。
①本人が自覚を持つ転機を作る
②家族や地域が祝福し背中を押す
③同世代のつながりを確認する
この三つです。
戦後に定められた祝日「成人の日」は「おとなになったことを自覚し、みずから生き抜こうとする青年を祝い励ます」日。
地域の式はこの理念を、顔の見えるコミュニティで実践する場といえます。
家庭では晴れ着や記念写真、手紙の交換など形は自由。
結果として、進学・就職など次の選択に前向きになれるきっかけが生まれます。
由来と歴史
元服など通過儀礼のルーツ
日本の「おとな入り」は古くは元服(げんぷく)にさかのぼります。
男子は髪型や装束を改め冠を授けられる「加冠(かかん)」を行い、女子は裳着(もぎ)や髪上げで大人としての装いに移りました。
時代や身分で形は違っても「社会に迎え入れる」「役割を担う」意味は共通でした。
「冠婚葬祭」の“冠”も元服を指す言葉に由来します。
こうした通過儀礼は近代化で姿を変えつつ、現代の地域行事や家庭のお祝いに精神が受け継がれています。
戦後の「成人の日」と地域行事の広がり
戦後、日本は祝日制度を整え、「成人の日」が制定されました。
趣旨は「おとなになった自覚と、みずから生き抜く青年を祝福・激励する」こと。
2000年以降はハッピーマンデー制度で“1月第2月曜”に移動しました。
これと歩調を合わせ、各地で地域の若者を祝う式が恒例化。
学校やPTA、商工会などが実行委員に参加し、地域ぐるみで門出を支える文化が根づきました。
祝日の理念が地域の式に流れ込み、「おとなとしての自覚を社会で共有する」場が広がったのです。
18歳成人(2022年)と行事名の変化
2022年4月、民法改正で成年年齢は18歳に。
18・19歳はこの日付で法律上の「成年」となりました。
ただし飲酒・喫煙・公営競技の年齢は20歳のまま据え置きです。
行事はどうなったかというと、多くの自治体は混乱を避けるため、従来どおり“20歳を祝う式”を継続し、名称を「二十歳のつどい/集い」等へ。
対象年齢を18歳へ切り替える自治体は少数派です。
つまり「成年(法)」と「成年式(地域行事)」は一致させる義務はなく、地域の判断で運用されているのが実情です。
実際の進み方と準備
当日の流れ(プログラムの例)
典型的な流れはこんな感じです。
受付 → 開式 → 主催者挨拶 → 来賓祝辞 → 新成人(新成年)代表スピーチ → 記念行事(映像・校歌斉唱など) → 閉式 → 全体・学区域ごとの記念撮影。
自治体によっては障がい配慮席、授乳室、託児、手話通訳や同時配信も整備。
住民票が他市にある人向けの参加案内や、やむを得ず当日参加できない人への後日対応を設ける地域もあります。
名称は「成人式」から「二十歳のつどい」へ変更しても、式の骨格は大きく変わらないのが一般的です。
服装とマナー(振袖・スーツの考え方)
装いは「晴れの場 × 自分らしさ」のバランスがカギ。
女性は振袖やスーツ、ワンピース、袴(地域の慣習による)。
男性はスーツが多数派で、羽織袴も見られます。
写真映えを意識しがちですが、座って長時間過ごせるか、移動しやすいか、天候への配慮が大切。
振袖なら裾・帯周りを踏まない歩き方、スーツなら靴・ネクタイの清潔感がポイント。
会場では写真やSNSの扱いに注意し、他の参加者や家族、来賓が写る場合は許可や配慮を。
飲酒の年齢制限(20歳)は式後の会食でも守るのが基本です。
参加方法・費用・サポート
多くの自治体は「対象年の人」に招待状を発送し、居住市以外での参加や、やむを得ない事情での未出席者の取り扱いも案内します。
費用は参加無料が主流ですが、写真・衣装・交通費は各自負担。
経済的支援や貸衣装の割引、ボランティア撮影など地域の助け合いもあります。
名称は変わっても、対象は“20歳”と明確にする自治体が多数。
住民票が他市でも申請で参加できる例や、実行委員会方式で若者主体に運営する例も一般的です。
参加前に市の告知ページを確認し、必要書類や受付時間をチェックしましょう。
皇族の成年行事
皇室における「成年」の位置づけ
皇室の「成年」は、法令上の“18歳で成年”という一般ルールを踏まえつつ、伝統にのっとった儀式で社会的に公にされます。
男性皇族は古来の「加冠」を含む一連の式で成年を示し、宮中参拝や天皇陛下へのあいさつを経て、公務の幅が本格化します。
秋篠宮家の長男・悠仁さまは2024年に18歳でご成年となり、学業優先のため成年式は翌年に実施する形が案内されました。
これは約40年ぶりの男性皇族の成年式となり、国内外の注目を集めています。
主な行事の概要(宮中参拝・ごあいさつ・会見など)
宮内庁が公表する成年式関連の儀式には、冠を付け替える「加冠の儀」、宮中三殿(賢所・皇霊殿・神殿)への参拝「賢所皇霊殿神殿に謁するの儀」、天皇・皇后両陛下へのご挨拶「朝見の儀」、そして勲章の授与(大勲位菊花大綬章の親授)が含まれます。
これらは皇室の伝統を現代に伝える大切な節目で、服装も装束や燕尾服など格式に応じます。
式の順序は
“おとなとしての自覚 → 祖先・神々への奉告 → 国家元首への拝謁 → 社会への披露”
という流れで理解すると分かりやすいでしょう。
過去の例:愛子さま等のケース
愛子さま(天皇皇后両陛下のご長女)は2021年12月に20歳のご成年を迎え、皇居で祝賀行事が行われました。
三権の長らから祝意が述べられ、ティアラとローブ・デコルテのご装いが報じられました。
成年行事を通じて、公務の本格スタートが内外に示される点は男女で共通です。
映像報道は式次第や雰囲気を知る良い資料になります。
比較早見表
一般の行事と皇室の成年行事の比較表
比較軸 | 地域の式(成人式/二十歳のつどい等) | 皇室の成年行事 |
---|---|---|
対象 | その自治体の対象者(多くは20歳) | 皇族本人 |
年齢 | 多くは20歳を祝う(法的成年は18歳) | 近年は18歳でご成年、成年式は日程により実施 |
主催 | 市区町村など自治体 | 宮内庁・皇室 |
主な内容 | 式典・代表挨拶・記念撮影・交流 | 加冠の儀、宮中三殿参拝、朝見の儀、勲章親授 |
法的効果 | なし(お祝い・自覚の場) | 社会的披露だが法的身分は別に確定 |
名称 | 成人式/二十歳のつどい 等 | 成年式(成年行事) |
※ 年齢や名称は地域差あり。皇室の式次第は宮内庁発表に準拠。
「18歳?20歳?」年齢の整理(法律と行事の関係)
いちばん混乱しやすいのが「18」と「20」の線引き。
法律上は“18歳で成年”。契約や親権からの独立などは18歳で可能です。
一方、飲酒・喫煙・公営競技は20歳のまま。
地域の式は“20歳を祝う”運用が主流で、祝日「成人の日」は従来どおり1月第2月曜です。
つまり、法律・生活・地域行事の三つのレイヤーがあり、重なるところと変わらないところがある、と覚えると整理しやすいです。
迷ったら自治体の案内と国の公式情報を確認しましょう。
成年式と成人式の違いまとめ
・「成年式」は“おとな入り”を社会で言語化する大切なハレの日。
・法律は18歳で成年。ただし飲酒・喫煙は20歳のまま。
・地域の式は20歳を祝う運用が主流で、名称は「二十歳のつどい」などに変化。
・皇族の成年行事は、加冠・宮中参拝・朝見・勲章親授など独自の次第で、伝統と公的役割を示す節目。
この違いを押さえれば、「なぜやる/何をする/由来」「皇族(悠仁さま)」まで一気に理解できます。
【参考サイト】
・ご大喪・ご即位・ご結婚などの行事 – 宮内庁
・18歳から“大人”に!成年年齢引下げで変わること、変わらないこと。 | 政府広報オンライン