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免罪と冤罪の違いを理解しよう!意味・使い分け・事例をやさしく解説

免罪と冤罪の違いを理解しよう!意味・使い分け・事例をやさしく解説

日々のニュースで耳にする「免罪」と「冤罪」。字面が似ているせいで混同されがちですが、実は意味は正反対。

この記事では、辞書や公式解説、実際の事件事例をもとに「正しい違い」と「迷わない使い分け」をやさしく整理しました。

読み終わるころには、見出しの言葉選びにモヤっとしなくなるはず。

まずは要点から押さえていきましょう。

目次

免罪と冤罪の基本的な意味

「免罪」とは罪を免れること

「免罪」は、文字どおり“罪を免(まぬが)れる”ことを指します。国語辞典では「罪をゆるすこと。罪人に刑を科するのを免除すること」と説明され、もともと「有罪(または罪を問われる状態)」にある人に対して、国家や権限を持つ側が刑罰を軽くしたり、執行を免除したりするイメージが中心です。

日本の制度面では、行政が刑罰の効力を変更・消滅させる恩赦(赦免)が近い概念で、大赦・特赦・減刑・刑の執行免除・復権などに分かれます。

日常会話ではやや硬い語ですが、「免罪符」という派生語が比喩で広く使われるため、耳にする機会は少なくありません。

まずは「免罪=許す・免除する」という軸を押さえておきましょう。

「冤罪」とは無実なのに罪を着せられること

「冤罪」は“ぬれぎぬ”の意味で、無実の人が罪を負わされることを広く指します。

厳密には「犯していない罪で有罪判決を受ける」狭義の使い方もありますが、一般には「無実なのに疑われ逮捕・起訴され、有罪扱いされること」まで含めて用いられます。

発生要因としては、目撃証言の誤り、科学鑑定のミス、虚偽自白、捜査機関や司法の手続上の誤りなど、複数のヒューマンエラーが重なることが多いとされます。

ここが「罪を許す・免除する」という免罪と、方向性が真逆であるポイントです。

「冤罪=無実なのに負わされた罪」、「免罪=本来の罪や刑罰が免除されること」と理解すると混同しにくくなります。

似ているようで全く違う二つの言葉

二語は字面が似ていて音も近いので混同されがちですが、意味は正反対です。

シンプルにまとめると次のとおりです。

項目免罪冤罪
方向罪・刑罰を免除する無実なのに負わされる
主体行政(恩赦)など上からの判断が中心捜査・裁判での誤りが中心
近い制度恩赦・赦免(大赦/特赦/減刑/執行免除/復権)再審・無罪判決での救済
日常の比喩免罪符(口実・お墨付き)ぬれぎぬ(無実の罪)

制度や辞書の定義に照らしても、「免罪=赦す/軽くする」「冤罪=誤って罪にする」という立て分けは一貫しています。

用語の核をつかんだうえで、ニュースや会話の文脈に当てはめれば、使い分けの迷いはかなり解消されます。

免罪と冤罪の使い分け方

ニュースや法律用語での使い方

報道で「冤罪」は、無実とされる事件が再審で無罪になったケースや、捜査・鑑定の誤りが疑われるケースで多用されます。

他方「免罪」は、単独で法律用語として使われることは少なく、実務では「恩赦」「赦免」「減刑」「執行免除」といった具体的な制度名が使われます。

つまり、ニュースで“免罪”と言うときは、多くが比喩的(例:○○の不祥事を“免罪符”にする)です。

制度に触れるときは「恩赦」「赦免」と正確に呼ぶのが無難です。

記事や見出しに引っ張られて誤用しないよう、制度と一般語の境界を意識しておきましょう。

日常会話や比喩的な表現での使い分け

日常では「免罪符」という言い回しが「都合のいい口実」「責任逃れのお墨付き」の意味で広く流通しています。

語源は中世カトリックの贖宥状で、信徒が献金などをすると罰の軽減を受けられるとされた証書のこと。

そこから転じて、現代日本語では「これさえあれば責めを免れる材料」の比喩に使われます。

対して「冤罪」は比喩にしにくく、基本は“ぬれぎぬ”という現実の不利益を伴う文脈で使います。

カジュアルに「冤罪ガチャ」「冤罪みたい」と誇張すると、無実の被害者を軽んじる印象も生むので避けたいところです。

誤解されやすい場面と注意点

よくある混同が「誤認逮捕=冤罪」という短絡です。

誤認逮捕は捜査段階のミスで逮捕に至った状態を指し、法的に有罪が確定していない局面でも起こります。

冤罪はより広く、無実なのに処罰される事態全般を指しますが、確定判決で有罪にされた狭義の用法もあります。

つまり、誤認逮捕は冤罪に発展しうるが、必ずしもイコールではない、という整理が重要です。

また「免罪=無罪」と誤解されることもありますが、免罪は“許す/免除する”側の行為に重心があり、裁判の結論としての「無罪」とは別物です。

実際の事例で理解を深める

有名な冤罪事件から学ぶ問題点

日本では、DNA型再鑑定などで誤りが明らかになった著名事件が、司法の検証を促してきました。

たとえば足利事件では、幼女殺害事件で有罪判決が確定した後、DNA再鑑定で犯人性に強い疑義が生じ、長期の身柄拘束を経て無罪が言い渡されました。

目撃証言の不確かさや自白の信頼性、当時の科学鑑定の限界が、どれほど大きく人生を壊しうるかを可視化した象徴例です。

こうした事件は、取り調べの可視化、証拠開示の拡充、科学鑑定の標準化など、再発防止の議論を加速させました。

冤罪は個人の悲劇にとどまらず、社会全体の司法への信頼を揺るがします。

「免罪」として語られる歴史的な赦免の例

「免罪」を歴史的に語るとき、実体は多くの場合恩赦(赦免)です。

恩赦は、裁判によらず行政権が刑罰権の効力を変更・消滅させる制度で、国の節目(憲法施行や即位・改元など)に実施されてきました。

大赦は一定の犯罪の刑を一括して消滅させ、特赦は個別に刑の言い渡しや執行を免じ、減刑・執行免除・復権は刑の重さや法的効果を調整します。

新聞や解説記事で“免罪”という言い方がされることがありますが、制度名としては恩赦(赦免)が正式。

法制度を語る場面では正しい用語を選ぶことが、誤解を避ける最短ルートです。

ドラマや小説で描かれる免罪と冤罪

フィクションでは、冤罪はサスペンスの強力な起点として描かれます。

被疑者が“真犯人探し”に奔走する筋立ては、観客に「制度は完璧ではない」という気づきを与えます。

他方、免罪(恩赦や赦免)は物語の決着装置として扱われがちで、「王の大赦」や「助命嘆願による減刑」などが象徴的です。

また、現代劇では「免罪符」が比喩として乱用され、「謝ればOK」「寄附すればOK」といった皮肉の文脈で出てきます。

ただし史実上の免罪符は中世カトリックの贖宥状で、現代の“口実”という意味は派生です。

現実と物語の距離を意識して読み解くと、言葉の本来の輪郭が見えてきます。

誤用されやすいポイント

「免罪=無罪」と混同されるケース

ニュースのテロップやSNSで「○○が免罪に」といった表現を見かけることがありますが、裁判で有罪・無罪を判断するのは司法であり、免罪(恩赦・赦免)は行政が行う別次元の作用です。

無罪判決は「そもそも犯罪の証明がなかった」という結論で、過去の刑罰を“許す”わけではありません。

免罪(恩赦)は有罪が前提でも、刑の重さや効力を変えることで、結果的に処罰を受けない(もしくは軽くなる)状態を作ることがあります。

この違いを押さえないと、「責任逃れ」「政治的判断」といった感情論が先行し、制度の正確な理解から離れてしまいます。

「冤罪=疑われただけ」と誤用されるケース

SNSでは「職質受けた、冤罪だ!」のように、単に疑われた段階を冤罪と呼ぶ誤用が散見されます。

国語辞典や解説では、「罪がないのに疑われ、または罰せられること」という幅のある定義が示される一方、法実務では「有罪判決が確定した誤判」を中心に論じられる場面もあります。

重要なのは、“用法が一つに固定されていない”ことを理解したうえで、状況に応じて具体的に言い換えることです。

たとえば逮捕の段階の誤りは「誤認逮捕」、起訴・裁判での誤りは「誤判」「不当起訴」と表現すると、伝わり方がクリアになります。

正しい言葉の使い方を覚えるコツ

実務・制度の話では恩赦(赦免)、人権・司法の話では冤罪と、まず語の主戦場を切り分けておくのがコツです。

次に、事実の段階(逮捕・起訴・判決・確定・再審)を意識して、「どの局面の話か」を言い添えると誤解が減ります。

比喩に頼りたくなるときこそ、由来を思い出しましょう。

免罪符は中世の贖宥状が語源で、現代日本語では「責任逃れの口実」というニュアンスが強い――この背景を知っていれば、乱用や過度な煽り見出しに流されにくくなります。

ニュースを読むときは、誰が・何を・どの権限で行っているかをチェックする習慣をつけると、言葉の使い分けはぐっと安定します。

免罪と冤罪の違いまとめ

もう一度整理する二つの言葉の違い

最後にエッセンスを再掲します。

免罪は「罪や刑罰を免除する」行為(制度としては恩赦・赦免)。
冤罪は「無実なのに罪を負わされる」状態。

方向も主体も、救済の手段も違います。

用語の核を押さえ、制度名(恩赦・赦免・減刑・執行免除・復権)を正しく使えば、ニュースや議論を誤読しにくくなります。

感情の強いテーマだからこそ、言葉の精度が信頼につながることを忘れないでおきたいですね。

正しい知識が社会に役立つ理由

冤罪は、個人の自由・名誉・人生を破壊するだけでなく、司法への信頼を痛打します。

足利事件や袴田事件のように、再審で無罪が確定すれば一定の救済は得られますが、失われた時間は戻りません。

一方で、免罪(恩赦)は社会政策的な意味合いも持ち、節目での社会統合や、更生を促す狙いで運用されることがあります。

どちらのテーマも、手続の適正と説明責任が肝心。

正確な言葉遣いは、健全な議論と制度改善の第一歩です。

学んだことを周囲に広めていく重要性

今回のポイントを家族や同僚に共有すると、ニュースの読み取りが驚くほどスムーズになります。

特に「誤認逮捕は冤罪とイコールじゃない」「免罪と無罪は違う」「免罪符は比喩」という三点を押さえておくと、日常の会話でも誤解をほどけます。

SNSで見かけた表現に違和感があれば、出典を添えて優しく指摘してみましょう。

小さなリテラシーの積み重ねが、結果として冤罪の予防、制度の改善、そして“言葉の乱れ”の抑制にも効いてきます。

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