「東京スタジアム」と「味の素スタジアム」。同じ場所なのに呼び方が違うのはなぜか。実はこれはネーミングライツという仕組みが理由で、文脈によって名称が切り替わるだけです。
本記事では、2つの名前の関係、国際大会での表記、アクセスや観戦のコツまで、初めての人でも迷わないように丁寧にまとめました。検索で混乱しやすいポイントをスッキリ整理して、次の観戦やイベント参加に役立ててください。
東京スタジアムと味の素スタジアムは同じ? 正式名称と関係を解説
結論:同じ施設!公式名と愛称の関係
まず最初に結論です。調布市にある多目的スタジアムは、正式名称が「東京スタジアム」で、スポンサー契約にもとづく呼び名が「味の素スタジアム」です。普段は企業名入りの「味の素スタジアム」が広く使われますが、施設の登記上の名称は「東京スタジアム」。運営会社は株式会社東京スタジアムで、JリーグのFC東京と東京ヴェルディの本拠地としても知られています。
呼び方が二通りあるのは、ネーミングライツ(命名権)という仕組みがあるためで、2003年から継続して契約が結ばれてきました。つまり場所も座席も同じで、呼び名だけが文脈によって切り替わる、と覚えておけば迷いません。
いつ「東京スタジアム」と表記されるのか(大会時など)
国際大会やスポンサー露出に制限がある大会では、企業名を含まない呼称が求められるため、この会場は「Tokyo Stadium(東京スタジアム)」と表記されます。東京2020大会ではこの非商業化ポリシーにより「Tokyo Stadium」名で使われ、ラグビーワールドカップ2019でも会場名は「Tokyo Stadium」でした。
ニュース記事や公式の英語サイト、観戦ガイドでも同様の扱いになっており、海外ファン向け案内では最初から「Tokyo Stadium」と書かれることもあります。国際イベントのときに名称が変わるのは、このポリシーが理由です。
混同しやすい場面(チケット・地図・報道)
チケット販売ページやイベント告知、報道では、主催者のガイドラインに従って名称が選ばれます。Jリーグの試合は「味の素スタジアム」と書かれることが多い一方、国際大会のプレスリリースや英語記事だと「Tokyo Stadium」が一般的です。
地図アプリでは日本語設定で「味の素スタジアム」、英語設定で「Tokyo Stadium」が出るケースがあり、初めて行く人ほど迷いやすいポイントです。呼称は違っても場所は同じなので、住所や最寄り駅で確認するのが確実です。住所は調布市西町、最寄りは京王線の飛田給駅と西武多摩川線の多磨駅です。
施設の所在地と基本データの基礎知識
会場は東京都調布市西町にあり、最大収容は約4万9970人。上下2層スタンドの大規模スタジアムで、天然芝のピッチに加えて多様なイベント対応が可能です。公式サイトの英語版では「最大48,013席」と表記されることもありますが、設計や席種カウントの違いで表記ゆれが生じるため、一般的には約5万人規模と理解すれば十分です。
なお、Jリーグ2クラブの本拠地を同時に抱える珍しいスタジアムとしても紹介されています。数字にこだわる方は、開催イベントごとの販売席数(解放エリア)にも注目すると実態に近づきます。
旧・東京スタジアム(南千住)は別物
かつて「東京スタジアム」という名の野球場が東京都荒川区(南千住)に存在しましたが、調布のスタジアムとは時代も場所も用途も異なる別施設です。ネット検索で両者が混在して見えることがありますが、現在の話題で「東京スタジアム」といえば、まず調布の多目的スタジアムを指すと考えて問題ありません。
野球場としての旧称は歴史的補足であり、現地へ行くときに関係するのは調布側の情報です。現在の話題の中心は、ネーミングライツにより「味の素スタジアム」と呼ばれている調布の施設、と押さえておきましょう。
なぜ名前が2つあるの? 味の素スタジアムの命名権の仕組み
ネーミングライツとは何か
ネーミングライツは、施設の正式名称とは別に、スポンサー企業の名前を施設名として掲示・使用できる権利のことです。スタジアム運営側は広告価値を対価に運営資金や改善投資の原資を得られ、企業側は大規模露出を通じて認知の向上や地域貢献の訴求ができます。
契約は一定期間ごとに更新され、対象となるのはメインスタジアム名だけでなく、ゲート名や広場名などへ広がる場合もあります。この仕組みがあるから、普段は企業名入りの「味の素スタジアム」という呼び方が定着しているのです。
2003年に国内公共施設で初導入
この会場は、日本の公共施設として初めてネーミングライツを導入した事例として紹介されています。2003年に味の素株式会社が命名権を取得し、和文表記「味の素スタジアム」、英文表記「AJINOMOTO STADIUM」を使用開始。以降、スタジアムの案内やイベント名、駅構内のサインなどで広く使われるようになりました。
初導入の背景には、運営会社(株式会社東京スタジアム)が目指す地域と共生するスタジアムづくりと、味の素の企業理念の親和性があったことも公式に説明されています。
契約期間と更新の歴史、2024年更新のポイント
命名権は一定期間ごとに更新され、これまで複数回延長されてきました。直近では2024年1月に、2024年3月1日から2029年2月末までの5年間、契約金額10億5千万円(税別)で更新することが公式発表されています。
これにより累計契約期間は26年となり、国内の大型公共施設として最長クラスの長期契約とされています。長期で継続されている点は、施設と企業双方にメリットが大きいことの表れで、地域イベントやスタグルの充実といった活動にも結びついています。
スポンサー名を使わないルールとの関係
一方で、国際大会や一部の公式戦では企業名の露出に制限があるため、ネーミングライツ名ではなく「東京スタジアム」が使われます。東京2020やラグビーワールドカップの期間中、海外メディアが「Tokyo Stadium」と表記したのはこのためです。
ネーミングライツは日常運用で強力に機能しますが、国際的な競技運営ルールが優先される場面では、正式名称に戻ると理解しておけば混乱しません。
他会場の例と比較で理解を深める
日本では他にも、日産スタジアム(横浜国際総合競技場)など、正式名称とスポンサー名の2体系が共存する会場が多数あります。逆に、国立競技場のように国家的施設は大会期間中に「Olympic Stadium」として扱われるなど、スポンサー名と無関係に非商業名へ切り替わるケースもあります。
つまり「スポンサー名が常に優先」ではなく、「大会の規約」が上位にある、と覚えておくと筋が通ります。調布のケースは、その代表的な実例だと言えるでしょう。
大会・イベントで呼称が変わる理由
オリンピック時は「Tokyo Stadium」表記となった理由
オリンピックでは、商標保護やスポンサー秩序の観点から競技会場名に企業名を含めない原則があります。東京2020の公式資料や報道でも、調布の会場は「Tokyo Stadium」として扱われました。
観客の立場から見れば、同じ建物なのに名前が違って戸惑いますが、これは大会側の世界共通ルールに合わせた表示です。日本語メディアでも五輪期間中はこの表記が中心だったため、チケットや観戦ガイドの記載と普段の呼び名に差が生まれた、というわけです。
ラグビーワールドカップ2019での扱い
ラグビーワールドカップ2019でも同様で、この会場は「Tokyo Stadium」として開幕式と複数試合を開催しました。新国立の建設計画見直しに伴い、開幕試合や主要カードの一部がこの会場に割り当てられ、世界中のファンが「Tokyo Stadium」の名で記憶しています。
英語圏の観戦ガイドや旅行サイトも同じ表記で案内しており、国際大会は非商業名が基本という原則がより強く浸透した例になりました。
サッカー代表戦・Jリーグでの運用
日本代表戦は大会規定や主催者方針により表記が揺れることがありますが、Jリーグのホームゲームではスポンサー露出に問題がないため、多くの場合「味の素スタジアム」と掲出されます。
FC東京の公式情報や観戦ガイド、会場内のサイン、場内アナウンスなどもこの呼称で統一され、来場者コミュニケーションの分かりやすさを担保しています。逆に国際Aマッチや主催者が国際団体のイベントでは、非商業名に切り替わる可能性がある、と認識しておくと迷いません。
コンサート・民間イベントの告知慣習
音楽イベントや企業主催のショーケースでは、チケットサイトやフライヤーに「味の素スタジアム」と記されるのが一般的です。これは日常運用での会場ブランディングを尊重するためで、来場経路の案内や駅のサインとも整合が取りやすいからです。
例外は、ごく一部の国際的枠組みに沿うイベントです。来場者は、イベントページの名称と公式サイトのアクセス案内が一致しているかを見比べると、表記ゆれに振り回されず安心できます。
SNS・ファンコミュニティでの呼び分け
XやInstagramでは、地元サポーターが「味スタ」「Ajista」と略す一方、海外ファンや国際大会の文脈では「Tokyo Stadium」のハッシュタグが使われがちです。SNSは発信者の言語やフォロワー層に合わせて呼称が選ばれるため、両方が併存します。
情報収集の際は、両方のキーワードで検索するのがおすすめです。なお、名称が違っても道順や集合場所は同じなので、最寄り駅やゲート番号を基準に確認するのが実務的に賢いやり方です。
味の素スタジアム(東京スタジアム)の基本データと特徴
収容人数・構造・屋根
スタンドは上下2層で、おおむね約5万人を収容します。上層約2万0600席、下層約2万9370席という構成が知られており、上層の全体と下層の一部を覆う屋根により、雨天時でも観戦しやすく設計されています。
公式や観戦ガイドで「48,013席」などと書かれることもありますが、これはカウント方法の違いによる表記ゆれで、イベントごとに解放エリアが変わることが理由です。数字の差は気にしすぎず、約5万人規模の大スタジアムと覚えておけば実務上困りません。
アクセス(京王線・西武多摩川線)と混雑回避のコツ
最寄りは京王線の飛田給駅で徒歩約5分。西武多摩川線の多磨駅からは徒歩約20分です。イベントによっては臨時列車や臨時バスが運行されることがあり、大規模公演やビッグマッチの前後は駅が非常に混み合います。
帰りの混雑を避けたい人は、キックオフ直前の入場を避ける、終演前に少し早めに動く、会場外で時間をずらしてから駅へ向かうなどの工夫が有効です。会場公式でも、Jリーグや大型コンサート開催時は駐車場が使えない旨が案内されています。公共交通を基本に計画しましょう。
ホームチームと利用実績
このスタジアムはFC東京と東京ヴェルディのホーム。2クラブの本拠地が同一というユニークさが英語ページでも紹介されています。サッカーに限らずラグビーの国際試合や国内大会、各種スポーツイベント、時には防災拠点や地域イベントの会場にもなります。
スポーツ以外では有名アーティストの大規模コンサートも開催され、グルメや物販、ファン同士の交流の場としても機能しています。こうした多面的な活用が、地域からの支持と高い稼働率につながっています。
周辺施設と当日の動線ポイント
スタジアム南側は甲州街道に面しており、歩行者デッキでメインゲートと駅方面が結ばれています。北側は調布飛行場方面で、イベントによっては入退場の導線が細かく設定されることがあります。
ゲート番号とブロック記号を事前に確認しておくと、入場後の迷いが減ります。周辺にはスポーツ施設や広場が点在し、ファンフェスや物販のエリアが分散配置される場合もあります。公式サイトの座席案内と場内マップを事前に見て、トイレ位置や売店の混雑回避ルートを把握しておくと快適です。
初めて行く人の注意点(駐車場・雨対策 ほか)
初めての来場で一番の落とし穴は「車で行けるだろう」という思い込みです。ビッグイベント開催時は駐車場が使えないため、鉄道やバスが前提です。雨天時は屋根のない席もあるので、カッパを用意し、足元が滑りにくい靴が安心。
チケットのQRコードは事前に表示できるようにしておく、モバイルバッテリーを持つ、トイレの混雑ピーク(ハーフタイムや終演直後)を避ける、といった基本の準備が実力を発揮します。困ったときは会場公式の「よくある質問」も頼りになります。
まとめ
調布のスタジアムは、正式名称が「東京スタジアム」、普段の呼び名が「味の素スタジアム」。ネーミングライツにより日常はスポンサー名で運用され、国際大会などスポンサー名を使えない場面では「Tokyo Stadium」に切り替わります。
行き先としては同じ場所なので、住所や最寄り駅で確認すれば迷いません。契約は2003年から続く長期事例で、2024年には2029年までの更新が公表されました。これらを押さえておけば、チケットやニュースで表記が違っても落ち着いて判断できます。
【参考サイト】
・Wikipedia
・味の素スタジアム公式サイト
