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ブルーベリーの木の寿命は何年?20年説と50年説を整理して長持ちさせる方法まで解説

ブルーベリーの木の寿命は何年?20年説と50年説を整理して長持ちさせる方法まで解説

ブルーベリーを植えたら、できるだけ長く、毎年ちゃんと甘い実を採りたいですよね。

でも調べてみると「寿命は20年」「50年以上もつ」など数字がバラバラで、逆に不安になる人も多いはず。

この記事では、寿命の数字が割れる理由を整理しつつ、大学の園芸資料などで確認できる管理の基本をもとに、家庭でもできる延命のコツをまとめました。

読み終わるころには、あなたのブルーベリーが「あと何年いけそうか」と「来年から何をすればいいか」が、具体的に見えるようになります。

目次

寿命の数字がバラバラな理由を先に整理しよう

寿命の目安早見表(木全体/収穫できる年数/主軸枝)

まず最初に「寿命」という言葉の中身をそろえると、モヤモヤが一気に消えます。

ブルーベリーは、条件が良ければ何十年も生きる一方で、「収穫で満足できる年数」や「太い枝の世代交代」には目安があります。

家庭菜園の疑問は、だいたいここで解けます。

どの寿命?ざっくりの目安どういう意味?
木全体(枯れるまで)50年以上もあり得る手入れ・土・病害虫の状況で長期化する
収穫で満足しやすい期間(更新まで)20〜30年が語られやすい収量や樹勢が落ち、改植や大更新を考えやすい
主軸枝(太い枝)の“働ける期間”5〜8年程度古くなると実が小さくなりやすく、更新が必要

ポイントは2つです。

①「株は生きているけど、実は以前ほど採れない」という状態が起きる。
②その原因の中心に「主軸枝の老化」がある。

だから、寿命の話なのに剪定が結論になりやすいんですね。

よく言われる「20年前後」は何の目安?

「ブルーベリーの寿命は20年くらい」と聞くことがありますが、これは多くの場合“木が枯れる年数”ではなく、栽培として採算や手間に見合いやすい期間(経済寿命)に近い話です。

園地だと、収量が安定するまで数年かかり、その後しばらくは稼げます。でも樹齢が進むと、勢いの強い新しい枝が出にくくなり、樹勢の維持が難しくなって収量が落ちる、と整理されています。

実際、暖地の栽培資料では「植付後3年目から収穫開始、成木は7年目、25〜30年で更新が一般的」といった目安が示されています。これは「そのくらいで一度、作り直す発想が現実的」という意味合いです。

家庭で1本育てる場合は“採算”より“楽しさ”が軸になります。なので同じ20年でも、「20年で終わり」と決めつけず、更新剪定や土の立て直しで延長できる、と考える方が納得しやすいです。

「30〜35年」説が出てくるケース(生産力が落ちるライン)

30年以上という話が出てくるのは、だいたい次の条件がそろったときです。

  • 土が合っている(酸性が保てている)
  • 水はけがよい
  • 病気で根を傷めにくい
  • 主軸枝を順番に更新している

この条件だと“株そのもの”は元気なまま長期維持しやすく、結果として「30年選手」になりやすいです。

逆に、主軸枝を放置して太い枝だらけになると、日当たりが悪くなって実の粒が小さくなりがちです。「木はあるのに、なんか採れない」状態は、このパターンが多いです。主軸枝は5〜6年以上使い続けなくてよい樹にするため、毎年強い新梢を出す必要がある、という考え方が整理されています。

つまり30年以上を目指すなら、根性論より“世代交代の仕組み作り”です。枝を若返らせると、年数より「調子の良い期間」を伸ばしやすくなります。

「50〜100年」説は“枯れない”の話?(定義のズレを回収)

「50年以上実がなる」といった表現は、海外の園芸資料でも見られます。管理・土・病害虫・剪定の条件次第で、植え付けが50年以上生産できる可能性がある、という書き方です。

一方で、日本語の情報には「寿命は50〜100年」といった記述もあります。ただしここは、“枯死するまで”を指している可能性が高いです。木は生きていても、収量や管理のしやすさは別問題だからです。

ここでのコツは、あなたの目的を先に決めること。

  • 収穫を楽しみたい:収量が落ちたら更新剪定や土の立て直しを重視
  • シンボルツリー:多少採れなくても樹形と健康優先

この目標が違うだけで、「寿命」の体感は大きく変わります。

鉢植えと地植えで寿命がズレる理由(根域・水・植え替え)

鉢植えが地植えより難しく感じやすいのは、理由がはっきりしています。鉢は根が使える範囲が限られ、夏は土が熱くなりやすく、乾くのも速い。つまり、根がストレスを受けやすいんです。ストレスが続くと、樹勢が落ちて「寿命が短くなったように見える」ことがあります。

鉢植えで大事なのが、植え替え(または土の入れ替え)の頻度です。目安として「1〜2年に1回」とする説明もあれば、「2〜3年に1回が一般的」とする説明もあります。これは鉢の大きさや用土の傷み方、根の回り方で差が出るからです。

なので鉢植えは、年数を固定するより「根が回って水がしみ込みにくい」「新芽が弱い」などのサインで判断すると失敗しにくいです。地植えはその点、根が広がれて水分変動もゆるやかなので、長期戦に向きやすいです。

ブルーベリーが早く弱る“ありがち原因”チェックリスト

土のpHが合っていない(酸性不足)問題

ブルーベリーで一番の落とし穴は、肥料より先に「土の酸性」が合っていないことです。

農水省系の資料では、好適な土壌pH(H2O)が4.2〜4.8、一般に4.0〜5.2の範囲でよく育つ、という整理があります。つまり、普通の畑土や庭土(中性寄り)だと、そのままではズレやすい。

pHが高め(酸性不足)だと、鉄などが吸いにくくなって葉が黄色っぽくなったり、全体の元気が落ちたりします。対策としては、ピートモスなどで酸性寄りにしつつ、水はけも確保するのが基本です。園地向け資料でも「ブルーベリーは代表的な好酸性作物」とされています。

ここで大事なのは“最初だけ頑張る”ではなく、定期的にズレを戻す発想です。雨や水やり、資材でpHは動きます。だから、長寿命を狙うなら「pHを維持する仕組み」がそのまま延命策になります。

水やりの失敗:乾燥・過湿で根が傷む

ブルーベリーは浅い根が多く、土の表面が乾きすぎるとダメージを受けやすい一方で、水がたまり続ける環境も苦手です。暖地向けの栽培資料では「浅根性」とされ、適した地下水位の目安まで触れられています。根が浅いぶん、水分の変化をモロに受けるイメージです。

海外の園芸資料でも、ブルーベリーは重い土や過湿に弱く、条件によっては根の病気(根腐れ)リスクがあることが述べられています。乾燥と過湿の両方が敵、というのが厄介ポイントです。

対策はシンプルで、鉢なら「水はけの良い用土+マルチングで乾き過ぎを防ぐ」、地植えなら「排水の悪い場所は盛り土や改良で逃がす」。水やりは回数より“土の状態を見て調整”が効きます。根を守れた年数が、そのまま寿命に直結します。

実を付けすぎ(若木の“頑張りすぎ”)で消耗する

「早く食べたい!」は全員思います。でも若木に実を付けすぎると、木が体力を実作りに全振りしてしまい、翌年以降に枝や根が伸びにくくなることがあります。栽培現場の解説でも、定植後の数年は結実させずに木を大きくした方が、後々の収量が増えやすい、という整理がされています。

中学生向けに言うなら、部活の新人が大会に出続けて筋トレできない状態に似ています。走れるけど、体は強くならない。結果、故障しやすい。ブルーベリーも同じで、幼木期は「枝と根を増やす時期」です。

具体策は、1〜2年目は花芽を減らす(または外す)こと。全部ゼロが難しければ、半分だけでもOK。最初に我慢した分、3年目以降の“伸びしろ”が増え、長い目で見て寿命が伸びやすくなります。

剪定不足で混み合い、日当たりと風通しが落ちる

剪定をサボると、木はすぐに「中がモジャモジャ」になります。すると日が入りにくく、風も抜けにくい。結果、実が小さくなったり、熟し方がそろいにくくなったりします。特に重要なのが主軸枝で、古い主軸枝は果実の粒が小さくなる傾向があるため、根元から切って更新する、という考え方が示されています。

また、落葉樹の剪定は休眠期中心が基本、という整理もあります。時期を外すと木に余計な負担がかかるので、延命の面でも「切る季節」は地味に効きます。

剪定は怖く見えますが、やることは単純化できます。

①細い弱い枝を減らす
②内側に向かう枝を減らす
③古い主軸枝を少しずつ交代させる。

この3つができれば、寿命の伸び方が変わります。

病害虫・暑さ寒さのストレスが積み重なる

寿命を縮めるのは、一発の事故より「小さなストレスの積み重ね」です。たとえば過湿が続くと根が弱り、根の病気リスクが上がります。海外の園芸資料でも、過湿土壌への弱さや根の病気への注意が述べられています。

寒さについては、品種グループで得意不得意があります。サザンハイブッシュは耐寒性が弱く、寒冷地では凍害が多発する可能性がある、という注意点がまとまっています。自分の地域に合わないタイプを選ぶと、それだけで毎年ダメージ貯金が増えます。

害虫は、カイガラムシなどの吸汁害虫が典型例として挙げられます。放置すると枝が弱って更新もうまくいかなくなるので、早めの発見が大事です。難しく考えず「葉の裏と枝を週1でざっと見る」だけでも、寿命を守る力になります。

寿命を伸ばす土づくり・植え付け・鉢の基本

まずは土:酸性(ピートモス等)+水はけの両立

ブルーベリーを長生きさせたいなら、最優先は土です。なぜならブルーベリーは「酸性の土が必要」な作物で、推奨される土のpHは4.5〜5.5とされています。

普通の庭土は中性に近いことが多いので、そのままだと栄養をうまく吸えず、葉が黄色くなる鉄欠乏のような症状が出やすくなります。特にpHが高め(例:6.0以上)だと起きやすい、と整理されています。

ここで大事なのは「酸性にする」だけでは足りないこと。酸性に寄せても、水が溜まって根が呼吸できないと弱ります。だから、ピートモスなどの有機物で酸性と保水を作りつつ、排水も確保するのが基本です。土が重い場所なら、植え穴の改良や盛り土で“水が逃げる道”を作るイメージが失敗しにくいです。

家庭での現実的なコツは、最初から完璧を狙わないこと。pHは少しずつ動くので、植え付け前に土壌診断をして、必要なら硫黄資材などで下げる、という段取りが推奨されています(調整は植え付けの前、余裕を見て進めるのが安心です)。

マルチングで根を守る(乾燥・高温・雑草対策)

ブルーベリーは根が浅く、土の表面の環境に左右されやすいタイプです。だから寿命を伸ばすなら、根の上に「守り」を置くのが効きます。

その代表がマルチング。年中の有機マルチが特に大切で、ウッドチップ、松の樹皮、古いおがくず、松葉などが例として挙げられています。ポイントは、マルチの下の土を先に湿らせてから敷くこと。乾いた土にいきなり敷くと、水が入りにくい状態になりやすいからです。

マルチのメリットは3つあります。

①乾きすぎを防ぐ
②夏の地温の上昇をやわらげる
③雑草を抑える。

これが全部、根のストレスを減らしてくれます。根のストレスが減ると、新しいシュート(若い枝)が出やすくなり、結果的に更新剪定もうまく回りやすい。寿命の話なのにマルチが出てくるのは、この連鎖があるからです。

注意点は、幹にマルチをべったり当てないこと。湿りが続くと幹元が傷むきっかけになります。幹の周りは少し空けてドーナツ状に敷くと、トラブルが減ります。

鉢植えは「鉢サイズ」と「植え替えサイクル」が寿命を決める

鉢植えで寿命が縮んだように感じる最大の理由は、根のスペースが足りなくなることです。根が回り切ると、水やりしても土にしみ込みにくくなったり、夏に乾きが急に早くなったりします。

そこで重要になるのが植え替え。家庭向けの解説では、鉢植えの植え替えはだいたい2〜3年に1回が目安として案内されることが多いです(生育具合や鉢の大きさで前後します)。

植え替えの狙いは、鉢を巨大化させることだけではありません。根詰まりをほどいて通気を良くし、土の劣化をリセットすること。大きくしたくない場合は「鉢サイズはそのまま、古い土だけ入れ替える」でも立て直しになります。

状態よくあるサイン取りうる手
根詰まり気味水がしみない、乾きが極端、芽が小さい休眠期の植え替え、根を軽く整理
土が疲れているコケっぽい、臭い、育ちが鈍い土を更新、マルチを見直す
鉢が暑すぎる夏に急に葉が弱る半日陰に移動、鉢カバー、マルチ

植え替え時期は、落葉期から早春が適期として案内されます。寒い時期の作業がつらいなら、最低でも真夏の植え替えは避ける、という守り方をすると事故が減ります。

肥料は“効かせすぎない”が正解(タイミング重視)

寿命を縮める肥料の失敗で多いのが「とにかくたくさん」です。ブルーベリーは窒素の形にも好みがあり、硫酸アンモニウムのようなアンモニア態窒素が向く一方、硝酸態が多い肥料は避けるよう注意されています。酸性好きの植物向け肥料が合いやすい、とも整理されています。

さらに重要なのがタイミング。植え付け直後は根が落ち着いていないので、1年目は施肥しない方針が示されています。2年目以降も、開花期に少量、数週間後にもう一度、というように分けて与える考え方が紹介されています。まとめてドカンと入れるより、少量を分けた方が根を傷めにくいからです。

ざっくり言うと、肥料は「元気を足す道具」ではなく「不足を埋める道具」。葉色が濃すぎる、枝ばかり伸びて実がつかない、というときは効かせすぎのサインのことがあります。長寿命を狙うなら、肥料で押すより、土と水と剪定で整える方が安定します。

置き場所:日照・風・夏の西日対策で差が出る

ブルーベリーは日光が大好きで、よく実を付けるには夏に最低8時間程度の直射日光が目安として示されています。ただし近年の暑さを考えると、午後に少し影になる場所が助けになる場合がある、とも触れられています。つまり「日当たり最優先」だけでなく、地域の暑さとセットで考えるのがコツです。

鉢植えの場合、夏の西日で鉢が熱くなり、浅い根がダメージを受けやすいです。ここは気合いではなく工夫。

①西日が強い時間だけ移動
②鉢の外側をカバーする
③マルチを厚めにする。

この3つで、夏の弱り方が変わります。地植えでも、照り返しが強い場所(白い壁の前など)は想像以上に熱くなるので注意です。

風通しも寿命に直結します。蒸れやすい場所は病気が出やすく、枝が混むとさらに悪循環。だから置き場所と剪定はセットです。「日当たり」と「風が抜ける」を同時に取れる場所が、長く収穫する近道になります。

いちばん効く延命策:更新剪定(主軸枝の入れ替え)

「主軸枝の寿命」がカギになる理由

ブルーベリーが長生きできるかどうかは、「株そのもの」よりも、毎年どれだけ若い枝にバトンを渡せるかで決まります。

ブルーベリーは複数の枝(cane)が立ち上がる低木で、古い枝はだんだん実がつきにくくなります。大学の園芸資料では、果実は2〜8年生の枝に付き、5年生が最も生産的、古い枝は生産性が落ちるので株元から切って更新する、という考え方が示されています。

この「古い枝を抜いて新しい枝を出させる」考え方が、更新剪定です。目的は2つ。

①新しい勢いのある枝を増やして樹勢を保つ
②株の中に光と風を入れて、実の質と病気リスクを整える。

寿命の話が「剪定の話」に着地するのは、収穫できる年数を伸ばすには、枝の年齢構成を整えるのが最短ルートだからです。

難しく言うと「年齢ピラミッド」を作る感じですが、やることは簡単です。古い枝を全部残さない。毎年少しずつ入れ替える。これだけで、長期的に安定しやすくなります。

何年目から更新剪定を意識する?目安の考え方

更新剪定を「いつから」始めるかは、樹のタイプと育ち方で前後しますが、目安としては分かりやすい線があります。たとえば南部ハイブッシュの資料では、株が4〜5年ほどになったら、毎年の更新剪定が必要になる、と整理されています。

家庭向けに言い換えると、植え付けて数年は「枝を増やす時期」。その次の段階で「古い枝を減らしながら、若い枝を増やす時期」に入ります。ここで更新を始めないと、枝がどんどん高齢化し、実が上の方にしかならなくなったり、粒が小さくなったりしていきます。

もうひとつの目安は「新しい強いシュートが毎年出ているか」。健康な株は毎年3〜5本ほどの新しい枝を伸ばす、という目安が示されています。出なくなってきたら、更新剪定が遅れているか、根が弱っているサインです。

古い枝を切る基準(太さ・実の付き方・芽の勢い)

「どの枝を切ればいいか」が一番悩みます。基準は3つだけ覚えると整理できます。

1つ目は太さと見た目。資料では、株元で直径1インチ(約2.5cm)以上になった古い枝は、樹皮がはがれるようになり、実がつかなくなる傾向がある、とされています。こういう枝は更新対象です。

2つ目は実の付き方。実がつく位置が上の方に偏り、下の方の枝がスカスカなら「高齢化」が進んでいる可能性が高いです。3つ目は芽の勢い。新梢が細く、先端に少ししか伸びないなら、古い枝が場所を取りすぎていたり、株が疲れていたりします。

迷ったら、「元気な新しい枝が取れているか」を優先して判断します。若い枝を残して、古い枝を少しずつ抜く。これを守ると、切り過ぎ事故も減ります。

若返り剪定のやり方:切る順番と残す本数

更新剪定は、一気に全部入れ替えるより、毎年少しずつが安定します。大学の資料では、春に強い新しい枝を選び、株元から出る古い枝をいくつか取り除き、最終的に12〜18本くらいの枝が年齢バラバラで残る状態が理想、と示されています。

また、南部ハイブッシュ向けの資料では、毎年おおむね最も古い枝の4分の1程度を株元で外す、という考え方が紹介されています。これなら毎年の収量を極端に落としにくく、枝の若返りも進みます。

家庭での超実用ルールはこれです。

  • 冬の落葉期に「古い太枝を1〜2本」抜く
  • 同時に、弱い枝・交差する枝・地面に近い枝も整理する

苗木販売店の解説でも、冬に古い主軸枝を毎年1〜2本切り戻し、数年で更新していく考え方が案内されています。

切る順番は「古い太い枝」から。残すのは「まっすぐで勢いのある枝」「株元から出た若い枝」。これだけで形が整います。

やりがち失敗:切りすぎ・切らなさすぎの落とし穴

失敗はだいたい二択です。切らなさすぎると、古い枝が残って株の中が暗くなり、新しい枝が細くなります。資料でも、古い枝を外さないと、新しい枝がひょろひょろになり、上の方に少ししか実がならない方向に行く、と説明されています。

逆に切りすぎると、翌年以降の収量がガクッと落ちます。強い若返り剪定は可能ですが、数年は生産性が下がる、という注意が示されています。南部ハイブッシュ向けの資料でも、強剪定は次の1〜2年の収量を大きく減らす可能性がある、と整理されています。

もうひとつの落とし穴が「時期」。一般的に剪定は休眠期に行うのが基本で、暖地では冬の休眠期に更新剪定を行う、とされています。暑い時期の強い切り戻しは株に負担が出やすいので、家庭では“冬に更新、夏は軽く整える程度”が安全です。

まとめると、毎年少しずつの更新が最強です。1年で完璧を狙わず、3年くらいの計画で枝の世代交代を回す。これが「寿命を伸ばす剪定」の一番現実的な形です。

樹齢別:収穫はいつから?いつまで?長く楽しむ計画

1〜2年目:花と実を我慢すると寿命が伸びる

植え付け直後のブルーベリーは、まだ「根を広げて体を作る時期」です。この段階で実を付けると、エネルギーが実づくりに回ってしまい、枝や根の成長が鈍りやすくなります。

だから延命の一手目は意外と地味で、「最初の花を取る」ことです。ペンシルベニア州立大学(Penn State Extension)は、最初の2年間は花を取り、3年目も半分程度に抑えるという考え方を示しています。さらに、同大学の剪定記事でも1年目は果実の芽(花芽)を外して栄養成長を優先させる説明があります。

「全部取るなんてムリ」と感じるなら、まずは“少なくする”でも効果は出ます。

目安は、1年目はゼロ、2年目もほぼゼロ、3年目は半分くらい。そうすると株が大きくなり、4年目以降の収量が安定しやすく、結果として「収穫で満足できる期間」を伸ばしやすくなります。オレゴン州立大学(Oregon State University Extension)も、植え付け時に花芽を取って株の形を整える方針を示しています。

やり方は簡単です。花芽を指でこすって落とす、または花が咲いたら摘み取る。最初の数年を丁寧にすると、後で「木が疲れにくい」状態が作れます。寿命というより、長期運用の基礎工事です。

3〜4年目:収穫スタート期の管理で差がつく

3〜4年目は「やっと採れる!」が始まる時期です。ただし、ここで欲張りすぎると、また木が消耗します。3年目はまだ“増やす年”、4年目から“育てながら採る年”に切り替えるイメージが失敗しにくいです。

この時期に効くのは、剪定の考え方を早めに身につけること。Penn State Extension の剪定記事では、毎年良い新梢(新しい太い枝)を2〜3本選んで残すことを勧め、成長に合わせて枝数を整える流れを示しています。

早い段階から「若い枝を育てる」方向に舵を切ると、年数が経っても枝が若いまま回りやすくなります。

もうひとつ大事なのは、「光」と「風」です。枝が増えてくると、株の内側が暗くなりがちです。弱い枝、地面に近い枝、交差してこすれる枝は、早めに整理しておくと、病気や実の品質のトラブルを減らせます。剪定は怖い作業に見えますが、目的はいつも同じで、株の中へ日光を入れることです。

5〜10年目:収穫の黄金期を長く保つコツ

5〜10年目あたりは、ブルーベリーが一番気持ちよく採れる時期になりやすいゾーンです。

ここで意識したいのが「枝の年齢構成」。コネチカット大学(UConn Extension)は、枝(cane)が古くなるほど実の量とサイズが落ちるため、毎年更新して、枝の年齢をおおむね6〜7年の範囲に保つことを重要だとしています。

黄金期を長持ちさせる、いちばん現実的なルールはこれです。

  • 毎年、いちばん古い太枝を地際から2〜3本抜く
  • その年に出た新梢は、良いものを2〜3本残して他は整理する

この考え方は UConn Extension の「古い枝を地際から抜く」「毎年更新する」という方針と一致します。 Penn State Extension も「毎年、良い新しい枝を2〜3本選ぶ」流れを示しています。

ここまでできると、「ブルーベリーの木 寿命」が体感で伸びます。なぜなら、株が高齢化しても“働く枝”は若いまま回せるから。寿命は年数の話に見えて、実は「更新のうまさ」の話です。

10年以降:衰えサインと立て直し(更新剪定・土の見直し)

10年を超えたあたりから起きやすいのが、「木は元気そうなのに、実が小さい」「実が上の方ばかり」「新しい太い枝が出にくい」といった衰えサインです。ここで必要なのは、強引に肥料で押すより、更新と環境の立て直しです。

立て直しの基本は、更新剪定を少し強めること。ウィスコンシン大学の資料(PDF)では、古くなった株の若返り(rejuvenation)として、古い枝を抜きつつ、翌年以降も古い木部を最大20%程度ずつ減らし、新しい枝が出るまで続ける考え方が示されています。「いきなり全部切る」ではなく、数年かけて戻すのが安全、という発想です。

同時に、土と根の状態も点検します。pHがズレていると回復が遅れますし、鉢なら根詰まりで衰えていることもあります。衰え期ほど、原因はひとつではなく、複数が重なりがちです。だからこそ「剪定で枝を若返らせる」「土と根のストレスを減らす」をセットでやると、戻りやすいです。オレゴン州立大学も、良いパフォーマンスには土壌pHや施肥、剪定といった管理が重要だとしています。

改植(植え替え)の判断:残す/更新する/入れ替えるの基準

最後は、いちばん悩む「もう植え替えた方がいいの?」問題です。判断は気持ちではなく、状態で決めるのが後悔しにくいです。目安を表にまとめます。

状態サインまず試す手入れ替えを考えるライン
枝の高齢化太枝だらけ、新梢が細い古い太枝を毎年2〜3本抜く 3年やっても新梢がほぼ出ない
根の限界(鉢)水が染みない、乾きが極端植え替え・土替え植え替え後も樹勢が戻らない
土の不適合葉が黄化しやすい、育ちが鈍いpHの確認と酸性管理pHを整えても毎年不調が続く

「入れ替え」は最終手段にして、まずは更新と環境改善を試すのが王道です。ブルーベリーは条件が合えば長生きで、オレゴン州立大学は適切に管理すれば50年以上実を付けることがあるとしています。

つまり、諦める前に“戻せる余地”が残っているケースも多い、ということです。

ブルーベリーの木の寿まとめ

「ブルーベリーの木 寿命」が20年とも50年とも言われるのは、寿命の定義が違うからです。枯れるまでの年数と、収穫で満足できる年数はズレます。そしてそのズレを埋めてくれるのが、枝の世代交代です。

最初の2年は花を取って体づくりに集中させる。3〜4年目で収穫を始めつつ、若い枝を育てる。5〜10年目の黄金期は、毎年古い太枝を抜いて新梢を選び、枝の年齢を若く保つ。10年を超えて衰えたら、数年計画で若返り剪定と環境改善を行う。

この流れを回せれば、「年数の寿命」より「収穫の寿命」を伸ばせます。

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