入院や手術を終えて、いよいよ職場に復帰。ホッとする一方で、「菓子折りって持っていくべき？」「予算はいくらぐらい？」「何を選べば失敗しない？」とモヤモヤしていませんか。
この記事では、退院後の職場への菓子折りについて基本のマナーから、のしや表書き、予算の目安、職場の人数や雰囲気に合わせたお菓子の選び方、さらに実際に使える挨拶フレーズまで、これ1本で一通りイメージできる内容にしました。
これから退院後の職場復帰を迎えるあなたが、安心して「お世話になりました」と言えるよう、やさしく分かりやすく解説していきます。
退院後に職場へ渡す菓子折りの基本マナー
なぜ退院後に職場へ菓子折りを持っていくの？意味とタイミング
退院後に職場へ菓子折りを持っていくのは、「お見舞いありがとう」「休んでいるあいだご迷惑をかけました」という、感謝とお詫びをまとめて伝えるための日本的な習慣です。
必ずやらないといけない決まりはありませんが、多くの会社では「一応やっておくと安心」という位置づけになっています。
タイミングは、復職して最初の出社日か、その週の早いタイミングが目安です。
仕事の状況がバタバタしている場合は、午前中の少し落ち着いた時間や、昼休み前後など、全員が顔をそろえやすい時間にサッと一言そえて渡すとスマートです。
長期入院だった場合などは、「まずは復帰報告として挨拶と菓子折り」がいちばん自然な流れになります。
また、「お見舞いをもらったかどうか」で考え方が変わります。
個人的にお見舞いをもらった人へは、快気祝いとして個別にお返しをするのが基本です。
そのうえで、部署全体・職場全体へは「休職中お世話になりました」という意味で、そこまで高価でない菓子折りを用意する人が多いです。
退院からあまりに時間があきすぎると、かえって気まずくなることもあります。
退院後1か月以内には挨拶と感謝を伝えておくと、気持ちの区切りもつきやすくなります。「もう今さらかな」と感じて迷ったら、「遅くなりましたが…」と一言そえて渡せば問題ありません。
「快気祝い」「御礼」「復職の挨拶」の違いをサクッと整理
少しややこしいのが、「快気祝い」「快気内祝い」「御見舞御礼」などの言葉と、職場への「復職の挨拶」の関係です。ここを理解しておくと、のしの表書きや言い方で迷いにくくなります。
まず「快気祝い」は、病気やケガがほぼ完治した時に、お見舞いのお返しとして贈る品物のことです。表書きは「快気祝」とするのが一般的で、水引は紅白の結び切りを使います。
一方、「快気内祝い」は、退院はしたけれど通院や療養が続いていて、完全には治っていない時に使う表現です。表書きは「快気内祝」、「御見舞御礼」は、療養が長引きそうで、とりあえずお礼だけ先に伝えたい時に使われます。
職場全体に配る菓子折りは、厳密な「お見舞いのお返し」というより、「お世話になりました」「ご迷惑をおかけしました」という意味合いが強いことが多いです。
そのため、表書きを付けないでシンプルに配るケースもありますし、付ける場合は「御礼」「復職のご挨拶」「快気のご挨拶」など、少し柔らかい言葉を使う人もいます。
まとめると、「個別のお見舞いへのお返し」は快気祝いや御見舞御礼、「部署全体へのお礼」は復職の挨拶と考えておくと整理しやすいです。
いくらくらいが普通？職場の人数別・関係性別の予算目安
「いくらくらいの菓子折りにするか」は、正直いちばん悩みどころです。
高すぎると相手に気を遣わせますし、安すぎても申し訳ない気持ちになります。目安としては、「1人あたり100～300円くらい」におさまる範囲が無難とされています。
人数別にざっくりまとめると、次のようなイメージです。
| 渡す相手 | 人数の目安 | 全体の予算感 |
|---|---|---|
| 少人数チーム | 3～5人 | 1,000～2,000円台 |
| 一つの部署 | 10～20人 | 3,000～5,000円台 |
| 事業所全体など | 30人以上 | 5,000～8,000円台 |
お見舞いを個別にもらっていない人にも配る「全体向けの菓子折り」は、あくまで「ちょっとした感謝」のイメージでOKです。
逆に、お見舞いをくれた上司や親しい同僚には、もらった金額の3分の1～半額程度を目安に快気祝いを選ぶのが一般的です。
また、長期入院で収入が減っている場合などは、無理をする必要はありません。
コンビニスイーツをまとめ買いする人もいれば、地元の小さな菓子店で予算内の詰め合わせを作ってもらう人もいます。
大事なのは金額より「ありがとう」という気持ちなので、背伸びせず、自分の状況に合った金額設定で大丈夫です。
のし紙・表書き・渡し方の基本ルール
退院や快気祝いに関するのし紙のマナーは、最低限のポイントだけ押さえておけば難しくありません。
退院や快気祝いの水引は、紅白の結び切りを使うのが基本です。これは「同じことが繰り返されないように」という願いが込められているためで、入院や病気のお礼にはぴったりだとされています。
表書きは、完治しているなら「快気祝」、まだ通院中なら「快気内祝」、療養が長引きそうでとりあえずお礼を伝えたい場合は「御見舞御礼」が一般的です。
職場全体に向けて、形式ばりすぎたくない場合は、あえてのしを付けず、「お休み中はご迷惑をおかけしました。よろしければ皆さんでどうぞ」とシンプルに渡すのもよくある形です。
渡し方としては、まず上司に一言ことわりを入れてから、皆がいる前で一言あいさつをして預けるパターンが多いです。
「皆さんで分けていただけますか」とお願いして、上司や総務に配ってもらう形でも問題ありません。
直接配る場合も、席を回りながら簡単にお礼の言葉を添えると、気持ちが伝わりやすくなります。
また、のしを付ける場合は「内のし」にして包装紙の内側にかけるのが一般的です。これはお見舞い返しなど、控えめに感謝を伝えたい時のスタイルです。
NGになりやすいお菓子・避けたほうがいいポイント
退院後の菓子折り選びで注意したいのは、「意味が重たくなりすぎないこと」と「職場で扱いやすいこと」です。
まず、縁起の面で避けられがちなのが、「割れる」「切る」を連想させるものや、真っ赤な色合いが強いものです。
最近はそこまで気にしない人も多いですが、年配の方が多い職場では、おせんべいでも小袋に割れた状態で入っているものは控える人もいます。
また、匂いが強すぎるものも注意が必要です。
にんにくやスパイスがきいたおつまみ系のお菓子、強いフレーバーのポップコーンなどは、オフィスでは好みが分かれやすくなります。冷蔵が必要なケーキや生菓子も、職場の冷蔵庫事情によっては負担になることがあります。
サイズが大きすぎるホールケーキのようなものは、その場で切り分ける手間が発生し、ナイフやお皿、フォークなどが必要になります。
忙しい職場ではかえって困らせてしまうので、個包装でそのまま食べられるものが安心です。
最後に、あまりにも高価すぎるブランドスイーツにも注意が必要です。「ここまでしてもらうのは悪いな」と感じる人もいるので、「ちょっといいもの」くらいのラインにしておくと、みんなが気持ちよく受け取れます。
退院後に選びたい菓子折りのタイプと選び方のコツ
個包装はほぼ必須！オフィスで配りやすい形とは
職場向けの菓子折りは、「個包装」がほぼ鉄板です。理由はシンプルで、配りやすく、好きなタイミングで食べられて、衛生面でも安心だからです。
職場復帰の挨拶用のお菓子のポイントとしても、「個包装で食べやすい」「常温で保存しやすい」ことがよく挙げられています。
個包装になっていれば、在宅勤務やシフト勤務で不在の人にも、「机の上に1つずつ置いておく」といった渡し方ができます。小分けの袋に何個かまとめて入れて、別フロアのメンバーへ届けてもらうことも簡単です。
形としては、クッキー、フィナンシェ、マドレーヌ、バームクーヘンの小分け、個包装のおせんべい・おかきなどが定番です。どれも手を汚さずに食べられて、机の上でも扱いやすいものばかりです。
一口サイズのお菓子も人気ですが、あまりに小さすぎると「ちょっと物足りない」と感じる人もいます。目安としては、1人あたり2～3個くらいになるように入数を選ぶと、ちょうどいい満足感になります。
日持ち・保存しやすさで選ぶと喜ばれる理由
退院後の職場復帰のタイミングでは、全員がすぐにお菓子を食べられるとは限りません。
出張や有給で何日か不在の人もいますし、ダイエット中で「家に持ち帰って家族と食べたい」という人もいます。そのため、日持ちと保存しやすさは、とても大切なポイントです。
常温で保存できて、賞味期限が1～2週間以上ある焼き菓子や、個包装のおせんべいなどが安心です。職場向けのお菓子選びのポイントとしても、「常温保存できる」「賞味期限が長め」がよく挙げられています。
逆に、要冷蔵のケーキや生クリームたっぷりのスイーツは、冷蔵庫のスペースを取るうえに、すぐ配らないといけないプレッシャーもかかります。冷凍保存が必要なものも、職場によっては保管が難しい場合があります。
包装も、あまりにかさばる箱だと保管場所に困ります。会社のロッカーや棚に一時的に置いておいても邪魔にならない、すっきりした箱だとありがたいです。
特にオフィスのデスク周りは狭いことが多いので、薄型の箱や、2段重ねになっているけれどコンパクトなタイプが人気です。
洋菓子？和菓子？年代・男女比で変える選び方のコツ
洋菓子と和菓子、どちらを選ぶか迷ったら、職場の年齢層と男女比を思い出してみると決めやすくなります。若い世代が多い職場なら、フィナンシェやクッキー、バームクーヘンなどの洋焼き菓子がやはり人気です。
一方、年配の方が多い部署や、男性が多い職場では、おせんべいやおかき、羊羹や最中などの和菓子も根強く好まれます。
迷ったときは、「洋菓子多め、少しだけ和テイストも混ざっている詰め合わせ」や、「甘いものとしょっぱいものが両方入っているセット」を選ぶと、好みが分かれにくくなります。
甘いものが得意でない人には、おせんべいやナッツ系のスナックがありがたいことも多いです。
また、忙しい現場や営業職が多い職場では、「片手で食べられる」「ボロボロこぼれにくい」ことも意外と重要です。ポロポロこぼれやすいパイ生地のお菓子などは、場所によっては控えたほうが安心な場合もあります。
最終的には、自分が「ここなら喜ばれそうだな」と思えるかどうかが大事です。よくコンビニで同僚が何を買っているか、オフィスで出る差し入れがどんなものかを思い出すと、選ぶヒントになります。
アレルギー・健康面へのさりげない配慮のポイント
最近は、食物アレルギーや健康上の理由で食べられないものがある人も珍しくありません。
卵・乳・小麦アレルギー、ナッツアレルギーなどは特に気を付けたいポイントです。また、糖尿病やダイエット中など、甘いものを控えている人もいます。
全員の事情を完璧に把握するのは難しいですが、なるべく多くの人が安心して食べられるように「原材料表示が分かりやすい個包装」「ナッツだらけではない」「あまりに砂糖たっぷりのお菓子ばかりにしない」といった配慮があると良いです。
最近は、小麦不使用の焼き菓子や、低糖質スイーツ、ノンフライのおせんべいなど、健康志向のお菓子も増えています。そういったものを一部に混ぜておくと、「気遣ってくれているんだな」と伝わりやすくなります。
とはいえ、「アレルギーの人はごめんなさい」と過度に気にしすぎる必要もありません。配るときに、「原材料は袋の裏に書いてあるので、気になる方は見てくださいね」と一言添えるだけでも、受け取る側は安心感が違います。
パッケージやサイズ感で「かえって気を遣わせない」選び方
退院後の菓子折りは、「豪華さ」よりも「さりげなさ」のほうが大切です。あまりに大きな箱や、高級感たっぷりのギフトだと、「お返しをしないといけないのかな」と相手に気を遣わせてしまうことがあります。
パッケージは、シンプルで清潔感のあるデザインがおすすめです。白や淡い色合いの箱、控えめなリボン、落ち着いた和紙風の包装などは、年齢や性別を問わず受け入れられやすいです。
快気祝いの品物は、石鹸や洗剤のような「消えてなくなるもの（消えもの）」がよく選ばれるように、お菓子も「食べたら残らないもの」を選ぶのが基本です。
サイズ感もポイントで、持ち運びしやすい重さ・大きさにしておくと、自分も職場も楽になります。
電車通勤で長時間移動する場合は、あまりに大きな箱をいくつも持つのは大変です。1箱に人数分がしっかり入っていれば十分なので、「見た目のインパクトより実用性」を優先して選ぶと安心です。
退院後の職場向け｜予算別・人数別おすすめ菓子折りアイデア
3,000円前後で選ぶ：中規模オフィス向け定番ギフト
10～20人くらいの部署向けなら、3,000円前後の菓子折りがとても使いやすいゾーンです。職場向けのお菓子の金額相場としても、3,000～5,000円程度がよく使われています。
この価格帯だと、有名店の焼き菓子アソートや、個包装のクッキー詰め合わせ、バームクーヘンの小分けセット、おせんべいの詰め合わせなど、選択肢がかなり広がります。1人あたり2～3個配れる内容量も確保しやすいので、「量も質もそこそこ」というバランスの良いラインです。
具体的には、次のようなイメージです。
- 個包装フィナンシェ・マドレーヌ詰め合わせ（15～20個入り）
- 一口サイズのバームクーヘンアソート（10～16個入り）
- 和洋ミックスのクッキー&おせんべいセット（20個前後）
もし部署内に甘いもの好きが多いようなら、洋菓子多めのアソートを。年齢層が広い場合や男性が多い職場なら、おせんべいなどしょっぱい系も少し入っている詰め合わせにすると、手に取りやすくなります。
5,000円前後で選ぶ：部署全体・お世話になった上司向け
部署全体が30人近くいたり、日頃からかなりお世話になっている上司や役員も含めて配りたい場合は、5,000円前後の菓子折りが選びやすくなります。
退職や挨拶用のお菓子でも、10～20人程度で3,000～5,000円という相場が紹介されることが多く、人数が増えるほど5,000円ラインの詰め合わせがちょうど良いボリュームになります。
この価格帯だと、次のようなものが候補に挙がります。
- 有名ブランドの焼き菓子大箱（24～30個入り）
- 高級感のある和菓子詰め合わせ（羊羹・最中・焼き菓子など）
- 大容量のおせんべい・おかきセット（30枚以上入り）
お世話になった上司へ、別に個別の快気祝いを渡す場合は、全体向けの菓子折りは4,000円程度におさえて、上司用の品物を1,000～2,000円前後で用意する、という分け方もよくあります。
全体向けは「皆さんでどうぞ」、上司には少しあらたまった品＋一言メッセージ、という形にすると、メリハリがつきます。
1,000～2,000円台：少人数チームや直属メンバー向けのお菓子
小さなチームや、特に迷惑をかけたメンバーだけに配りたい場合は、1,000～2,000円台の菓子折りでも十分です。3～5人くらいの少人数なら、この価格帯でも1人あたり2～3個のお菓子を配ることができます。
たとえば、次のようなイメージです。
- コンビニやスーパーで買えるプチギフトセットを2箱用意して分ける
- 地元の人気菓子店の焼き菓子を5～8個入りで詰めてもらう
- 職場近くのお店で、日持ちする焼き菓子を人数分だけ購入する
あくまで「ちょっとした気持ち」として渡すので、気楽に受け取ってもらえる値段感がちょうどいいです。パッケージも、あまり仰々しくない紙袋や小箱のほうが、日常の差し入れに近い雰囲気で渡せます。
特に、同じチームメンバーが自分の分まで仕事をカバーしてくれていた場合は、「いつも本当に助かってます」という気持ちを言葉でしっかり添えることのほうが、金額よりずっと大事です。
3-4 大人数の職場向け「ばらまき系」お菓子の選び方
フロア全体や、店舗スタッフなど大人数に配る場合は、「ばらまきやすさ」が最優先になります。1人あたりの単価は抑えつつ、数を確保するイメージです。予算5,000円前後で、30～50個入りの個包装お菓子を用意できれば理想的です。
具体的には、次のようなタイプが向いています。
- 一口サイズのクッキーやワッフルの大容量パック
- 小袋入りのおせんべい詰め合わせ
- キャンディや小さな焼き菓子のアソート
大人数向けの場合、「1人につき1個ずつ」「早い者勝ちで1～2個」など、どう配るかも決めておくと混乱しません。
総務やリーダーにお願いして、「休憩スペースに置いておくので、よかったらどうぞ」とアナウンスしてもらう方法もあります。
味のバリエーションが多いセットを選ぶと、好きな味を選んでもらえるので、ちょっとした楽しさも生まれます。アソートセットなら、甘い系としょっぱい系の両方が入っているものを選ぶと、好みが分かれにくくなります。
ネット通販で買える「職場復帰・快気祝い向け」人気商品例
最近は、ネット通販で「職場復帰」「快気祝い」「職場向けお菓子」などのキーワードで検索すると、職場用に使いやすいお菓子がたくさん見つかります。
大手オンラインショップなどでも「職場復帰 お菓子」というカテゴリで、個包装・常温・大容量のギフトが多数販売されています。
ネットで探す時のポイントは次のとおりです。
- 商品名に「個包装」「常温」「日持ち」といったキーワードが入っているか
- 内容量（何個入りか）と賞味期限が明記されているか
- 職場向けのレビューが多いかどうか
ワッフルやクッキーの小袋、ミニバームクーヘンのアソート、ひとくちおせんべいセットなど、「職場で配りやすい」とレビューされている商品を選ぶと外れが少なくなります。
また、ネット通販なら、のし対応をしてくれるショップも多く、「快気祝」や「御礼」といった表書きも選べることがあります。自宅に届いた状態でそのまま職場へ持っていけるので、体力的にまだ本調子でない時にも助かります。
シーン別：こんなときどうする？退院後の菓子折りQ&A
短期入院・日帰り手術のときも菓子折りは必要？
一泊だけの短期入院や、日帰り手術などの場合、「わざわざ菓子折りを持って行くべきなのか」と迷う人は多いです。
結論としては、絶対に必要というわけではありませんが、職場の雰囲気や、自分がどれくらい迷惑をかけたと感じているかで決めてOKです。
たとえば、1～2日だけ休んだ程度であれば、口頭で「先日はお休みをいただきありがとうございました」と挨拶するだけでも十分です。
逆に、短期入院でも、プロジェクトの山場と重なって同僚がかなりフォローしてくれた場合などは、コンビニスイーツや1,000円台の小さな菓子を「いつもありがとうございます」の気持ちで差し入れする人もいます。
目安として、「1週間以上休んだら菓子折りを検討」「数日以内なら挨拶だけでもOK」と考えると、判断しやすくなります。
大事なのは、形式よりも「相手への気持ち」です。お菓子を持っていくかどうかより、丁寧な挨拶ができているかどうかのほうが、印象に残ります。
病名を知られたくない・詳しく話したくない場合の対応
入院理由がデリケートな内容だったり、病名をあまり詳しく知られたくない場合もあります。そんな時でも、退院後の菓子折りや挨拶は、病名を伏せたまま行ってかまいません。
挨拶の内容は、「このたびはお休みをいただきありがとうございました。おかげさまで仕事に復帰できるようになりました。ご迷惑をおかけしましたが、今後ともよろしくお願いします」といった、病名に触れない言い方で十分です。
具体的な病気について聞かれたくない場合は、「ちょっと長引いてしまって…でも今は落ち着いています」と軽く流す方法もあります。
菓子折りの表書きものしも、あえて付けない、または「御礼」や「ごあいさつ」といったソフトな言葉にしておけば、病状に関する想像をあまり呼びません。
無理に笑いに変えようとしたり、自分の病気をネタにする必要はありません。話したくないことは話さなくて大丈夫です。お礼の気持ちだけ、落ち着いて伝えられればそれで十分です。
在宅勤務メイン・出社がバラバラな職場での渡し方
最近は、リモートワーク中心で、全員が同じ日に出社しない職場も増えています。その場合、「全員が集まるタイミングがない」「出社メンバーが日によって違う」といった問題が出てきます。
そんなときは、まず直属の上司か総務に相談して、「出社しているメンバーにだけでもお配りしたい」と伝えてみましょう。オフィスに来るメンバーの共同スペースに菓子箱を置き、「〇〇さんからの快気のお礼です。ご自由にお取りください」とメモを貼ってもらう方法もあります。
在宅勤務がほとんどで、顔を合わせる機会がほぼない場合は、菓子折りにこだわらず、チャットやメールで丁寧なメッセージを送るだけでも十分です。外部からのお見舞いをもらっていないのであれば、必ずしも物でお返しをしなくても失礼には当たりません。
無理に全員に渡そうとして自分が疲れてしまうより、「できる範囲で感謝を伝える」ことを大切にしましょう。
上司や一部の人にだけ渡したいときのスマートなやり方
お見舞いをしてくれたのが上司やごく一部の同僚だけだった場合、「その人たちにだけ快気祝いを渡すと、周りからどう見られるかな」と心配になることがあります。
基本的には、お見舞いをくれた人にだけお返しをするのがマナーです。快気祝いの相場やマナーでも、「お見舞い金額の3分の1～半額程度を目安に、個別にお返しする」とされています。
そのうえで、「皆さんにはお見舞いをいただいていないので、部署全体向けの菓子折りは特に用意しない」という選択をしても問題ありません。
どうしても気になる場合は、全体向けにごく小さめのお菓子を一箱だけ差し入れして、「これは復職の挨拶で、快気祝いはお見舞いをいただいた方に個別に…」と割り切って考える方法もあります。
上司にだけ渡すときは、人目の少ないタイミングで、「入院中は本当にお世話になりました。こちらは個人的な快気祝いです。お気遣いありがとうございました」と、あくまで個人宛であることを伝えると、周りもあまり気にしません。
菓子折り以外でもOK？差をつけすぎない感謝の伝え方
退院後の感謝の伝え方は、必ずしも菓子折りだけではありません。体力的・経済的に余裕がない場合は、無理に用意する必要はありませんし、感謝のメールや手書きの一言カードだけでも十分気持ちは伝わります。
たとえば、プロジェクトのメンバーにだけ、「あの時フォローしてくれてありがとう。おかげで安心して療養できました」と短いメッセージを送るだけでも、受け取った側はとてもうれしいものです。
また、「今度落ち着いたらランチおごらせてください」と声をかけたり、休みの日にゆっくりお礼をする形もあります。大切なのは、形ではなく、感謝の気持ちを相手に届けることです。
菓子折り＋一言メッセージができれば理想的ですが、どちらか片方だけでも、丁寧さは十分伝わります。自分の状況と相談しながら、無理のない方法を選びましょう。
一言で印象が変わる！渡すときの言葉・メッセージ文例集
基本の挨拶フレーズ：短くシンプルに感謝を伝える例
まずは、誰に対しても使いやすい、基本のフレーズからです。ポイントは、「お休みをいただいたことへのお礼」と「今後もよろしくお願いします」の2点を入れることです。
口頭で渡すときの例は、こんな感じです。
「このたびはお休みをいただき、ありがとうございました。おかげさまで仕事に復帰できました。ささやかですが、皆さんでどうぞ。」
「ご迷惑をおかけしましたが、今後ともよろしくお願いいたします。」
あまり長々と話す必要はありません。表情と声のトーンが柔らかければ、短い言葉でも気持ちは十分伝わります。
全員の前で言うのが緊張する場合は、上司に預ける時だけしっかり挨拶し、「皆さんには〇〇さんからお配りいただければうれしいです」とお願いしても良いです。
上司・先輩向けの、少しかしこまった言い方の例
上司や先輩に対しては、少しだけかしこまった言葉遣いにすると、丁寧な印象になります。ただし、堅すぎる敬語はかえって不自然になることもあるので、普段の話し方に少しだけ敬語を足すイメージで考えるとちょうど良いです。
例文は次のような感じです。
「このたびは長期でお休みをいただき、ご迷惑をおかけしました。また、色々とお気遣いくださり本当にありがとうございました。」
「復職にあたり、改めてお礼をお伝えしたく、小さいものですが用意いたしました。今後ともご指導のほど、よろしくお願いいたします。」
お見舞いをいただいた場合は、「先日はお見舞いまでいただき、ありがとうございました」と一言添えると、自然に感謝の気持ちを伝えられます。
同僚・後輩向けの、フランクだけど失礼にならない言い方
同年代の同僚や、後輩に渡すときは、少しくだけた言い方でも問題ありません。ただし、あまり冗談に寄せすぎると、病気の話題なだけに戸惑わせてしまうこともあるので、「軽すぎず、重すぎず」を意識すると安心です。
たとえば、次のような一言が使えます。
「休んでる間フォローしてくれて、本当にありがとう。大したものじゃないけど、よかったら食べて。」
「色々と迷惑かけちゃってごめんね。また一緒に頑張らせてください。」
気心が知れた相手であれば、「入院中、チャットで声かけてくれてうれしかったよ」など、具体的なお礼を添えると、より伝わりやすくなります。
メール・チャットでお礼を添えるときの文例
最近は、対面で全員に会えないことも多いので、メールやチャットで挨拶をするケースも増えています。菓子折りを渡した日や、その翌日に、簡単なメッセージを送ると丁寧です。
社内メールの例文は、次のような形です。
件名：復職のご挨拶
本文：
お疲れ様です。〇〇です。
このたびは、私の入院・療養に際し、長期間お休みをいただきありがとうございました。
本日より復職いたしましたので、ご挨拶申し上げます。
皆さまにはご迷惑・ご心配をおかけしましたが、今後はこれまで以上に業務に励んでまいります。
ささやかではありますが、お礼の品を用意しましたので、休憩スペースに置かせていただきました。
引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
チャットの場合は、もう少し短く、「お休みをいただきありがとうございました。本日から復帰しました。ささやかですがお礼のお菓子を置いていますので、よろしければお取りください。」程度でも十分です。
使わないほうがいい言葉（忌み言葉・重ね言葉）の注意点
最後に、できれば避けたい言い回しも確認しておきましょう。
退院や快気祝いに関する場面では、「繰り返し」や「再び」を連想させる言葉は、あまり縁起が良くないとされています。結婚やお葬式と同じように、「重ね重ね」「またまた」「いろいろと重ねて」などの表現は避けたほうが無難です。
また、「また倒れないように気をつけます」など、自分でネガティブな方向に話を広げてしまう表現も、相手が返答に困ることがあります。
「ご迷惑をおかけしてすみませんでした」「今後ともよろしくお願いします」といった、前向きでシンプルな言葉を選ぶほうが、聞いている側も安心します。
病気やけがというデリケートな話題だからこそ、言葉は少し抑えめで、明るさと感謝を中心に構成すると、全体としてとても良い印象になります。
まとめ
退院後の職場向けの菓子折りは、「金額」や「ブランド」よりも、「配りやすさ」と「さりげない気遣い」が何より大切です。
個包装で日持ちがして、職場の人数や雰囲気に合った量と内容を選べば、基本的に大きな失敗はありません。
のしや表書きは、完治しているかどうか、個別のお見舞いへのお返しなのか、職場全体への挨拶なのかによって変わりますが、迷ったらシンプルに「御礼」や表書きなしで渡しても問題ありません。紅白結び切りの水引を使う、消えものを選ぶといった基本だけ押さえておけば十分です。
また、すべてを「完璧に」やろうとしなくて大丈夫です。予算に余裕がない時は、無理に高価なものを用意する必要はありませんし、在宅勤務が多い職場なら、お菓子よりも丁寧なメッセージのほうが喜ばれることもあります。
いちばん大切なのは、「休んでいるあいだ、本当にありがとう」「これからもよろしくお願いします」という気持ちを、自分なりの形で届けることです。
この記事を参考に、「退院後 職場 菓子折り おすすめ」の答えを、自分の状況にぴったり合う形で見つけてもらえたらうれしいです。
