「高杉晋作って名前は聞いたことあるけど、何をした人なの？」
そんな疑問を持つ人も多いのではないでしょうか。
教科書には少ししか載っていないけれど、実は彼、日本を大きく動かしたスゴい人物なんです。
今回は、高杉晋作がどんな人だったのか、何をしたのかを“簡単に”わかりやすく解説します。
中学生にもスッと理解できるように、エピソードや名言も交えてご紹介！
この記事を読めば、きっと高杉晋作のことを誰かに話したくなりますよ。
高杉晋作って誰？簡単にわかるプロフィール
長州藩の生まれ、エリート武士としての出発
高杉晋作（たかすぎしんさく）は、1839年に現在の山口県萩市で生まれました。彼は長州藩（今の山口県を中心とした藩）の武士の家に生まれ、幼いころから頭が良く、武士としての教育をしっかり受けました。家柄もよく、エリートとして期待されていた存在です。
彼の本名は「春風」と書いて「はるかぜ」とも読みますが、晋作という名前で知られています。藩校「明倫館」で学び、剣術や学問にすぐれた才能を見せました。特に国の未来について深く考えるようになったのは、父親の影響や当時の社会の動きがあったからです。
日本はちょうど開国を迫られ、西洋の列強が力を持つ時代。武士としての誇りを持ちながらも、国の行く末に疑問を持つようになったのがこの時期です。つまり、若いころから「ただの武士」ではなく、「何かを変えたい」と思っていた人物なのです。
吉田松陰との出会いがすべてを変えた
高杉晋作の人生を大きく変えたのは、松下村塾（しょうかそんじゅく）を開いた吉田松陰（よしだしょういん）との出会いです。松陰は、当時としては非常に先進的な考えを持った教育者で、ただ学問を教えるだけでなく、「行動すること」の大切さを説いていました。
松陰の考えに強く感化された晋作は、それまでのエリート意識を捨て、自らの手で日本を変える志士（しし）へと変わっていきます。松下村塾には久坂玄瑞（くさかげんずい）や伊藤博文（いとうひろぶみ）など、後に歴史を動かす人たちが集まりました。
吉田松陰は「黒船」に乗り込もうとして処罰されるなど、行動で示すタイプでした。その精神は晋作にも受け継がれます。「ただの学問」ではなく、「現実を変えるために何をすべきか？」を深く考えるようになったのです。
松下村塾での学びと仲間たち
松下村塾での学びは、晋作にとって人生の財産となりました。ここで出会った仲間たちは、のちの維新を支える大きな力となります。塾の中では身分や出身を問わず、誰もが平等に意見を出し合い、議論を重ねていました。
このような自由な雰囲気の中で、晋作は「身分にとらわれずに人を活かす」発想を持つようになります。それが後に「奇兵隊」という武士以外でも参加できる軍隊を作るというアイデアにつながります。
また、仲間たちとは深い友情と信頼関係を築き、「一緒に時代を変えていく」という強い意志が育ちました。この絆は、後の困難な戦いでも大きな力となります。
江戸・上海で得た世界観と問題意識
晋作は長州藩の命で江戸に出て学び、さらに上海にも視察として訪れます。この上海視察は、彼にとって大きな転機でした。そこで彼は中国が西洋列強に支配される姿を目の当たりにし、「日本もこのままでは同じ運命をたどる」と危機感を強く持ちます。
「日本を守るには、今のままの体制ではダメだ」「新しい考え方と行動が必要だ」と痛感した晋作は、帰国後すぐに行動を起こし始めます。この経験が、彼を「革命家」へと押し上げたのです。
若くして亡くなるも後世に残した影響
高杉晋作は、わずか29歳という若さでこの世を去ります。病気により志半ばで命を落としましたが、彼の残した影響は非常に大きなものでした。特に、奇兵隊を通じた「身分を超えた協力」や、「行動をもって政治を動かす」という考え方は、明治維新へとつながる重要な要素でした。
彼が若くして亡くならなければ、明治政府の中心人物として活躍していたかもしれません。それほどのカリスマ性と実行力を持った人でした。
高杉晋作がした大きなこと①「奇兵隊の結成」
奇兵隊ってどんな部隊？
奇兵隊（きへいたい）は、高杉晋作が1863年に結成した特別な軍隊です。この部隊の最大の特徴は、武士だけでなく、農民や町人など身分に関係なく人材を集めたことです。当時の常識では考えられない破天荒な発想でした。
通常の軍隊は武士だけが参加するものでしたが、晋作は「志があれば誰でも戦える」と考え、町人や百姓などの庶民にも武器を持たせ、訓練を施しました。その結果、身分にとらわれない実力主義の軍隊が誕生したのです。
この考え方は、のちの「国民皆兵」にもつながる革新的なもの。まさに近代日本のはじまりともいえる一歩でした。
武士以外の人々で軍隊を作った意味
高杉が奇兵隊を作った背景には、「旧来の身分制度ではもう時代についていけない」という問題意識がありました。彼は庶民の中にも優秀な人材がたくさんいることを知っており、それを活かさない手はないと考えたのです。
また、外からの脅威（特に外国勢力）に対抗するには、武士だけの力では足りないとも感じていました。だからこそ、「一人ひとりの意志と能力」を重視する奇兵隊を作ることで、日本全体を守る新しい力を育てたのです。
この発想は現代の民主主義や人権の考え方にもつながります。
異例の行動が支持された理由
当初、奇兵隊のような身分を無視した軍隊は多くの反発を受けました。特に武士たちからは「秩序が乱れる」「武士の面目が潰れる」といった声も上がりました。
しかし、奇兵隊が実際の戦いで結果を出し、民衆の支持を集めていく中で、次第にその存在は認められるようになっていきます。特に高杉の人柄やカリスマ性が、隊員たちの心をつかんでいたことも大きかったと言われています。
「身分よりも実力を重視する」という考えが、徐々に人々の中で広まっていったのです。
高杉晋作がした大きなこと②「幕府に逆らって長州藩を動かす」
禁門の変と長州征討の背景
幕末の動乱の中で、「長州藩」は一時、幕府と激しく対立することになります。そのきっかけとなったのが「禁門の変（きんもんのへん）」という戦いです。1864年、長州藩の一部勢力が京都の御所（天皇のいる場所）を攻めたことで、幕府は激怒。長州藩を罰する「長州征討（せいとう）」が始まりました。
このとき、藩内では「幕府に従うべきか、それとも戦うべきか」という意見が分かれ、藩自体が揺れ動いていました。従う派は保守的な武士たち、戦う派は高杉晋作のような改革派の志士たちです。まさに藩の運命が分かれる重要な時期だったのです。
「藩の中でクーデター」を成功させた方法
この混乱の中、高杉晋作は自らの命をかけて「クーデター」を起こします。なんと、藩の中で権力を持っていた保守派を実力で追い出し、自分たち改革派が藩の実権を握ったのです。これを「功山寺挙兵（こうざんじきょへい）」といいます。
たった80人ほどの兵で挙兵を決意し、多勢に無勢にもかかわらず、見事に成功させました。このときの高杉の決断力とリーダーシップは、後に「奇跡」とも評されます。まさに命がけの政治改革で、これにより長州藩は幕府と真っ向から戦う方針へと大きく転換しました。
下関戦争と講和のやりとり
さらに注目すべきは、下関戦争での行動です。長州藩が外国船を砲撃したことで、イギリスやフランスなど列強が報復攻撃してきました。このときも高杉は前面に立ち、講和交渉を担当します。
なんと、若干20代の若者が西洋列強の使節と交渉し、賠償金を抑え、かつ日本側の立場を守ったのです。これは非常に異例のことで、交渉術や語学力、そして胆力が求められる仕事でした。
この経験が、明治時代の外交や国際感覚にもつながっていきます。
勝海舟や西郷隆盛との関係
高杉晋作は、当時の日本を動かした他の志士たちとも深く関わっています。例えば幕臣の勝海舟とは、思想的に通じ合う部分があり、お互いを尊敬していました。また、西郷隆盛とは直接的なやりとりは少なかったものの、同じ時代に「倒幕」の流れを作る立役者として動いていました。
彼らのようなリーダーたちの中でも、晋作の行動力とスピード感は群を抜いていたと言われます。まさに「走りながら考える」タイプで、周囲を巻き込みながら時代を切り拓いていきました。
高杉がいなければ明治維新はなかった？
歴史の「もしも」はわかりませんが、高杉晋作がいなければ、長州藩が倒幕に加わるタイミングは大きく遅れていた可能性があります。それほど彼の行動は重要で、長州藩が維新の中心になるきっかけを作った人物といえるでしょう。
つまり、「高杉晋作＝維新の火付け役」とも言える存在なのです。今の日本があるのは、彼のような「行動の人」がいたからかもしれません。
高杉晋作の名言と性格から読み解く魅力
名言「おもしろきこともなき世を…」
高杉晋作の代表的な名言に、「おもしろきこともなき世をおもしろく」という言葉があります。これは「今の世の中がつまらなくても、自分の力で面白くしていくんだ」という強い意志を表したものです。
この言葉は、現代でも多くの人に響きます。学校や職場で「つまらない」「変えられない」と感じている人に、「自分が変えていけばいい」というヒントを与えてくれる言葉です。まさに高杉の生き様を象徴する一言です。
破天荒だけど愛される理由
高杉晋作は、とにかく自由人でした。規律にとらわれず、自分のやりたいことを貫き通すスタイルで、時に敵を作ることもありました。しかし、その反面、人間的な魅力があふれていて、仲間たちから非常に愛される存在でした。
とにかく「裏表がない」。まっすぐで嘘をつかず、言いたいことを言う性格。それが人を惹きつけたのです。リーダーに必要な「誠実さ」と「本気度」を兼ね備えていたと言えるでしょう。
女性にもモテた？遊び人な一面
高杉は真面目な政治家というだけでなく、実は「遊び人」としての一面もありました。芸者遊びが好きで、よく料亭に出入りしていたと言われています。それでも周囲から嫌われなかったのは、常に「本気で生きている姿勢」があったからです。
特に芸妓の「うの」という女性とは深い関係があり、晋作の最期までそばにいたとも伝えられています。人間臭さのある志士だったからこそ、多くの人の心をつかんだのでしょう。
仲間を惹きつけるリーダーシップ
高杉晋作の最大の魅力は「人を動かす力」です。奇兵隊でも、功山寺挙兵でも、彼の声かけ一つで人が集まり、命をかける者が現れました。
それは、彼がいつも「自分が一番リスクを背負う」姿勢を見せていたからです。安全な場所から命令を出すのではなく、自ら最前線に立つ。それが信頼を生み、強いチームを作る要因になりました。
「行動の人」としての美学
晋作の人生はとにかく短いものでしたが、そのすべてが「行動」に詰まっていました。「考えている暇があったら、動け」とでも言わんばかりに、常に前へ進んでいました。
この「即行動」のスタイルは、現代のビジネスパーソンや学生にとっても学ぶ点が多いでしょう。今の時代にも通じる「行動の美学」を体現した人物、それが高杉晋作です。
高杉晋作が今の日本に与えている影響
維新志士の中でも異彩を放つ存在
幕末には坂本龍馬、西郷隆盛、大久保利通など数多くの「維新志士」がいますが、その中でも高杉晋作は異彩を放っています。その理由は、彼が「理屈よりも先に行動する」タイプであり、しかもその行動が現実を動かした点にあります。
他の志士たちが政策や思想を語る中で、高杉は実際に軍を動かし、藩を動かし、時には国をも揺るがす力を持っていました。年齢も20代でこれだけのことを成し遂げたという点で、まさにカリスマ的存在だったのです。
その存在感は、現代においても多くの人々の心を打ち、「改革者」「行動の象徴」として語り継がれています。
山口県や萩市での顕彰と観光資源
高杉晋作の故郷である山口県萩市では、現在も彼の足跡をたどることができます。彼が学んだ「松下村塾」や、奇兵隊の拠点であった地、墓所などが観光名所として整備されています。
地元では彼を「郷土の英雄」として大切にしており、観光PRにも力を入れています。観光案内所や資料館では、彼の生涯や業績を詳しく知ることができ、修学旅行や歴史ファンに人気のスポットとなっています。
また、奇兵隊をテーマにしたまつりやイベントもあり、今も地域の人々にとって大切な存在であることがうかがえます。
学校教育やドラマで取り上げられる理由
高杉晋作は、教科書にも登場する有名な歴史人物の一人です。中学校や高校の日本史の授業では、幕末の重要人物として必ずと言っていいほど名前が出てきます。
また、NHKの大河ドラマや歴史番組でも頻繁に取り上げられ、そのたびに「行動力のある若者」として再評価されます。特に最近の若い世代にも、「理想を持って動く」姿勢が共感を呼び、SNSなどで話題になることもあります。
「つまらない現実を変えるために、自分が一歩踏み出す」という彼の生き方が、多くの人に勇気を与えているのです。
組織や社会改革のヒントになる思想
高杉晋作の思想や行動は、現代のビジネスや社会活動にも大きなヒントを与えています。例えば「身分にとらわれずに能力を活かす」という考え方は、現代のダイバーシティ（多様性）推進の基本と同じです。
また、「とにかく動く」「リーダーは自ら行動する」といったリーダーシップ論も、今の経営者やプロジェクトリーダーに求められる資質です。高杉の人生は、「どうすれば組織を動かし、人の心をつかみ、変革を起こせるか」の実例として非常に学びが多いのです。
高杉晋作から学ぶ「時代を変える力」
最終的に、高杉晋作が私たちに教えてくれるのは、「誰かがやってくれるのを待つのではなく、自分がやる」ということです。29歳で亡くなった彼の人生は、短くも濃く、時代を変える起爆剤となりました。
今の社会にも、多くの課題があります。しかし「こんな時代だからこそ、自分が動く」という姿勢こそが、変革の第一歩なのかもしれません。高杉晋作のような若者がいたからこそ、日本は新しい時代へと進むことができたのです。
高杉晋作とは何をした人？まとめ
高杉晋作は「何をした人？」という疑問に対して、簡単に言えば「時代を行動で動かした人」です。武士の身分にとらわれず、奇兵隊を結成し、藩を動かし、維新の原動力となりました。
彼の言葉や行動、そして仲間との関わりからは、今の私たちにも通じる「リーダーシップ」「多様性の活かし方」「行動する勇気」など多くの学びがあります。教科書では一行で紹介されるかもしれませんが、彼の人生は決して一言では語れないほどの深さと熱さに満ちています。
