6月4日は、数字の語呂合わせから虫にちなんだ日として知られています。
でも、虫の日の背景をたどると、手塚治虫さん、養老孟司さん、鎌倉の建長寺にある虫塚、そして福島県田村市常葉町のカブトムシを生かした町おこしまで、意外に深い話が見えてきます。
この記事では、6月4日がなぜ虫に関する日になったのかを、中学生でもわかるように整理して紹介します。
虫の日はいつ?6月4日になった理由
虫の日は毎年6月4日
虫の日は、毎年6月4日です。
6月4日という日付は、数字の「6」を「む」、「4」を「し」と読めることから、虫にちなんだ日として広まりました。
日本には語呂合わせから生まれた記念日が多くありますが、虫の日もそのひとつです。
ただし、虫の日は「6と4でむし」と覚えるだけの日ではありません。
小さな生きものに目を向け、自然とのつながりを考えるきっかけになる日です。
虫は苦手な人も多い存在ですが、花粉を運んだり、土や森の中でほかの生きものと関わったりしながら、私たちの暮らしにもつながっています。
農林水産省は、ミツバチやマルハナバチなどがイチゴ、トマト、メロンなどの園芸作物の花粉交配に使われ、生産の省力化に欠かせないものになっていると説明しています。
6と4で「むし」と読む語呂合わせ
6月4日が虫の日とされる一番わかりやすい理由は、「6」と「4」の読み方です。
「6」は「む」、「4」は「し」と読めるため、並べると「むし」になります。
語呂合わせとしてはとてもシンプルですが、覚えやすいことは記念日にとって大切です。
学校や保育園、家庭でも「今日は虫の日だよ」と伝えやすく、虫の観察や図鑑調べにつなげやすいからです。
一方で、虫の日の意味は語呂合わせだけで終わりません。
解剖学者の養老孟司さんが2018年に日本記念日協会へ申請し、同年に認定・登録された記念日としても説明されています。
日本記念日協会では、記念日の名称、日付、由来などを申請し、審査を通ると正式な記念日として認定される制度を設けています。
虫の日に込められた「虫を大切にする」考え方
虫の日には、虫をただ観察するだけでなく、小さな命をどう見るかという考え方も込められています。
人間の生活では、虫はときに「困るもの」として扱われます。
家に入ってきたり、作物を食べたり、刺したりする虫もいるため、苦手意識を持つのは自然なことです。
でも、すべての虫をひとまとめにして嫌ってしまうと、自然の中で虫が果たしている役割に気づきにくくなります。
森林総合研究所は、多くの農作物や野生植物が果実をつくるために、ミツバチなどの昆虫を含む送粉者を必要としていると説明しています。
虫の日は、「虫が好きな人だけの日」ではありません。
苦手な人にとっても、虫を少し別の角度から見直すきっかけになる日です。
まず知っておきたい虫の日の基本情報
虫の日を理解するうえで大切なのは、同じ6月4日に関係する話がいくつかあることです。
ひとつは、手塚治虫さんらが関わった日本昆虫倶楽部による虫の日です。
フマキラーの取材記事では、1988年に手塚治虫さんの呼びかけで設立された日本昆虫倶楽部が、昆虫が住める街づくりを目指して虫の日を制定したと紹介されています。
もうひとつは、養老孟司さんが申請し、日本記念日協会に認定・登録された虫の日です。
さらに、福島県田村市常葉町では、カブトムシを軸にした町おこしの中で、6月4日を「ムシの日」と定めています。
つまり、6月4日の虫に関する記念日は、語呂合わせ、昆虫を大切にする活動、地域の町おこしが重なって広がってきたものです。
虫の日の由来は?誰が作った記念日なのか
手塚治虫さんらが関わった日本昆虫クラブ
虫の日を語るとき、まず名前が出てくる人物のひとりが手塚治虫さんです。
手塚治虫さんは日本を代表する漫画家ですが、名前にも「虫」という字が入っているように、虫との関わりが深い人物として知られています。
虫の日については、手塚治虫さんらの呼びかけで1988年に設立された日本昆虫倶楽部が、「昆虫が住める街づくり」を目指して制定したと紹介されています。
ここで大事なのは、虫の日が単なる趣味の記念日ではなく、街や自然環境を考える日として提案されていた点です。
虫が住める街とは、草木や土、水辺などが残り、人間以外の生きものも暮らせる場所です。
人にとって便利な街でも、虫がまったく見られないなら、自然とのつながりが弱くなっているサインかもしれません。
虫の日には、そんな身近な環境を見つめ直す意味もあります。
1988年に始まった「虫が住める街づくり」
1988年という時期に注目すると、虫の日がなぜ「街づくり」と結びついたのかが見えやすくなります。
都市化が進むと、草むら、空き地、小川、雑木林のような場所は少しずつ減っていきます。
そうした場所は、人間にとってはただの空き地や手入れが必要な場所に見えることがあります。
しかし、虫にとっては食べものを探し、卵を産み、身を隠す大切なすみかです。
虫が住める街を考えることは、自然を人間の外側に置くのではなく、人の暮らしの近くに小さな自然を残すことにつながります。
林野庁は、さまざまなタイプの森林が生物の生育や生息環境をつくると説明しています。
虫の日の考え方も、身近な場所に生きものが暮らせる余地を残すことと相性がよいものです。
養老孟司さんが記念日として広めた背景
虫の日を現在の記念日として知るうえで、もうひとり大切なのが養老孟司さんです。
養老孟司さんは解剖学者として知られ、昆虫採集を長く続けてきた人物でもあります。
フマキラーの取材記事では、養老孟司さんが2018年に日本記念日協会へ申請し、同年に虫の日が認定・登録されたと紹介されています。
養老孟司さんの虫の日には、虫を供養するという考え方が深く関わっています。
昆虫採集や標本づくりは、虫を知るための大切な活動である一方、虫の命をいただく行為でもあります。
だからこそ、虫を単なる研究対象や遊び相手としてだけでなく、命ある存在として見つめ直す必要があります。
虫の日が面白いのは、「虫を好きになろう」と押しつける日ではなく、「虫と人間の関係を一度考えてみよう」と問いかけてくるところです。
2018年に日本記念日協会へ登録された流れ
日本記念日協会は、企業、団体、個人などが記念日の名称、日付、由来などを申請し、審査を経て認定する登録制度を設けています。
虫の日も、この制度の中で2018年に認定・登録された記念日として説明されています。
ここで少し整理しておきたいのは、虫の日には「以前から提唱されていた流れ」と「記念日として登録された流れ」があることです。
手塚治虫さんらの日本昆虫倶楽部による活動は1988年にさかのぼります。
一方で、養老孟司さんによる日本記念日協会への申請と登録は2018年です。
つまり、虫の日は一人の人物だけが突然作った日というより、虫を大切に思う人たちの活動が重なって今の形になった日と考えると理解しやすいです。
虫の日と「虫塚」の関係
鎌倉・建長寺にある虫塚とは
虫の日を深く知るうえで欠かせない場所が、神奈川県鎌倉市の建長寺にある虫塚です。
虫塚は、虫を供養するためのモニュメントです。
隈研吾建築都市設計事務所の公式サイトでは、虫塚を「虫を供養するための透明なモニュメント」と説明し、解剖学者で虫収集家としても知られる養老孟司さんの発案によるものとしています。
設計は建築家の隈研吾さんです。
虫塚は、ただのお墓というより、虫という小さな命に対して人間がどのように向き合うかを考えさせる場所です。
虫を観察すること、採集すること、標本にすることは、自然を知るための入口になります。
同時に、その行為の向こうに命があることを忘れないための場所が虫塚なのです。
虫にも供養が必要という養老孟司さんの思い
養老孟司さんの虫の日には、虫にも供養が必要だという考え方があります。
これは、虫を人間とまったく同じように扱うという意味ではありません。
人間の学びや暮らしの中で、多くの虫の命に関わってきたことを忘れないという姿勢です。
隈研吾建築都市設計事務所は、虫塚が虫を供養するためのモニュメントであり、養老孟司さんの発案によるものだと説明しています。
虫は小さいため、命の重さを感じにくいことがあります。
蚊やハエのように、人間にとって不快に感じられる虫もいます。
それでも、虫は自然の中でそれぞれの役割を持って生きています。
虫の日は、虫をむやみに怖がったり嫌ったりするだけでなく、小さな命にも目を向ける日として考えることができます。
毎年6月4日に行われる虫供養
鎌倉の建長寺では、虫の日に合わせて虫供養が行われてきました。
フマキラーの取材記事では、養老孟司さんが建長寺に虫塚を建立し、毎年6月4日に虫の供養を行っていると紹介されています。
また、玄侑宗久さんの公式サイトに掲載された2023年の催し案内では、養老孟司さんの言葉として、鎌倉の建長寺に虫塚を建立し、2015年の建立以来、虫と自然について考える場を開いてきたことが紹介されています。
6月4日に虫を供養するという行為は、虫の日の意味をとても象徴しています。
虫を好きな人が集まるだけでなく、虫を通して自然や命を考える時間になるからです。
虫の日の背景を知ると、6月4日が単なる語呂合わせの日ではないことがよくわかります。
虫の日が命や自然を考える日でもある理由
虫の日は、知れば知るほど「虫の豆知識の日」だけではないことがわかります。
虫は人間よりずっと小さく、生活の中では見過ごされがちです。
しかし、花粉を運ぶ虫がいなければ実りに影響が出る作物があります。
また、自然界では、食べること、食べられること、分解されることを通して、多くの生きものがつながっています。
虫の日は、そのつながりを身近なところから考える日です。
庭のアリ、道ばたのチョウ、公園のダンゴムシを見るだけでも、自然は遠い山や森だけにあるものではないと気づけます。
虫がいる場所には、草や土や水があり、そこにほかの生きものも関わっています。
虫の日は、小さな虫を入口に、大きな自然のつながりを考える日でもあります。
「虫の日」と「ムシの日」は何が違う?
福島県田村市常葉町のムシの日
6月4日には、「虫の日」だけでなく「ムシの日」という表記もあります。
この「ムシの日」で特に知られているのが、福島県田村市常葉町の取り組みです。
田村市公式サイトによると、旧田村郡常葉町、現在の田村市常葉町は、カブトムシを用いた町おこしに取り組み、6月4日を「ムシの日」に制定しました。
常葉町は、葉タバコの栽培が盛んな地域でした。
葉タバコの苗を育てるために使われる良質な腐葉土が、カブトムシにとってよい産卵場所になっていたことから、カブトムシが多く生息する地域だったと田村市は説明しています。
つまり、田村市常葉町のムシの日は、地域の自然や産業の歴史と結びついた記念日です。
カブトムシ自然王国としての町おこし
田村市常葉町のムシの日は、カブトムシ自然王国という町おこしと深く結びついています。
田村市公式サイトでは、「カブトムシが元気に育つ阿武隈の自然と環境を守り、豊かな資源を活用すること」を目的として、カブトムシ自然王国を建国したと説明しています。
この表現からわかるのは、カブトムシを単なる観光資源として見ているだけではないことです。
カブトムシが育つには、腐葉土や雑木林、湿り気のある土など、自然環境が必要です。
つまり、カブトムシを大切にすることは、そのすみかになる自然を守ることにもつながります。
町おこしというと、イベントや観光施設を思い浮かべる人が多いかもしれません。
しかし、田村市常葉町の取り組みは、地域に昔からあった自然の特徴を見直し、それを地域の魅力として育ててきた例です。
ムシムシランドとカブトムシの関係
田村市常葉町の虫に関する取り組みを知るうえで、ムシムシランドも欠かせません。
ムシムシランド公式サイトによると、田村市、旧常葉町では、葉タバコの肥料となる腐葉土に多くのカブトムシの幼虫が育っていることを発見したのをきっかけに、カブトムシを軸とした町おこしが始まりました。
同サイトでは、1988年にカブトムシ自然王国を建国し、6月4日を「ムシの日」に制定した沿革も示されています。
さらに、1989年には自然の中でカブトムシの生態を観察できるカブトムシドームがオープンしたと説明されています。
虫が好きな子どもにとって、カブトムシは特別な存在です。
ムシムシランドは、その人気を地域の自然体験につなげる場所として作られてきました。
2つの記念日に共通する自然へのまなざし
虫の日とムシの日は、表記や関わっている人、地域の背景が少し違います。
虫の日は、手塚治虫さんらによる日本昆虫倶楽部の活動や、養老孟司さんの虫塚、記念日登録の流れと結びついています。
ムシの日は、福島県田村市常葉町のカブトムシを生かした町おこしと結びついています。
ただし、どちらにも共通しているのは、虫を通して自然を見直すという考え方です。
整理すると、次のようになります。
| 名称 | 主な関係 | 意味 |
|---|---|---|
| 虫の日 | 手塚治虫さんらの日本昆虫倶楽部、養老孟司さん、虫塚 | 虫や命、自然との関わりを考える日 |
| ムシの日 | 福島県田村市常葉町、カブトムシ自然王国、ムシムシランド | カブトムシを通じて地域の自然を生かす日 |
どちらも、虫をただ「珍しいもの」や「苦手なもの」として見るのではなく、自然や地域を考える入口にしている点が共通しています。
虫の日にできること・楽しみ方
親子で虫を観察してみる
虫の日に一番取り入れやすい楽しみ方は、身近な虫を観察することです。
特別な道具がなくても、公園、庭、学校の花だん、道ばたの草むらなどで虫を見つけることができます。
アリがどこへ歩いていくのか、チョウがどの花に止まるのか、ダンゴムシがどんな場所に隠れているのかを見てみるだけでも十分です。
大切なのは、すぐに捕まえることより、まずよく見ることです。
虫の動き、色、足の数、羽の形、隠れ方などに注目すると、小さな発見が増えます。
環境省は、親子で参加する自然観察会を通じて、森、里、川、海のつながりや生物多様性、私たちの生活について考える取り組みを紹介しています。
虫の日も、親子で自然とのつながりを感じるよいきっかけになります。
図鑑や絵本で虫の名前を調べる
虫を見つけたら、図鑑や絵本で名前を調べてみるのもおすすめです。
名前がわかると、ただの「小さい虫」だったものが、急に身近な存在に変わります。
たとえば、同じチョウに見えても種類が違うことがあります。
カブトムシやクワガタのような人気の虫も、オスとメスで形が違います。
アリ、ハチ、カメムシ、バッタ、トンボなども、それぞれ体の作りや暮らし方が違います。
教育出版の昆虫図鑑では、チョウ、セミ、バッタ、トンボ、カブトムシ、アリなど、体の形が似ている仲間や、成虫が見られる季節から昆虫を探せるようになっています。
調べるときは、正解を急がなくても大丈夫です。
「この虫は何に似ているかな」と親子で話すだけでも、観察力が育ちます。
保育園や学校で使える活動アイデア
虫の日は、保育園、幼稚園、小学校の活動にも取り入れやすい日です。
たとえば、園庭や校庭で虫を探す時間を作るだけでも、子どもたちは多くの発見をします。
虫を見つけた場所を紙に描いて、簡単な「虫マップ」を作るのも楽しい活動です。
花の近くにいた虫、石の下にいた虫、木の幹にいた虫など、場所ごとに分けると、虫がそれぞれ好きな環境で暮らしていることに気づけます。
捕まえた虫を長く閉じ込めるのではなく、観察したら元の場所に戻す約束をすると、命を大切にする学びにもなります。
ミツバチなどの昆虫は農作物の花粉交配にも関わっているため、虫の観察は食べものの学習にもつなげられます。
虫の日をきっかけに、理科、生活科、食育、環境学習を無理なくつなげることができます。
虫の日をきっかけに自然への興味を広げる
虫の日のよいところは、身近な小さな虫から話を広げられることです。
カブトムシを見れば、腐葉土や雑木林に興味が広がります。
チョウを見れば、花や幼虫が食べる葉に興味が広がります。
ミツバチを見れば、受粉や果物、野菜づくりに興味が広がります。
環境省の広報誌では、ミツバチなどの昆虫や鳥が花粉を運ぶ働きが、イチゴ、りんご、メロン、玉ねぎ、キャベツなど多くの農作物に関わっていると説明されています。
虫を観察することは、虫だけで終わりません。
植物、土、水、食べもの、地域の自然へと話がつながっていきます。
虫の日は、子どもにとっても大人にとっても、身近な自然をもう一度見るための小さな入口になります。
「虫の日」まとめ
虫の日は、毎年6月4日です。
日付の理由は、「6」と「4」を「むし」と読める語呂合わせです。
しかし、その背景には、手塚治虫さんらが関わった日本昆虫倶楽部の活動、養老孟司さんによる日本記念日協会への申請、鎌倉の建長寺にある虫塚、福島県田村市常葉町のカブトムシ自然王国とムシの日など、いくつもの物語があります。
虫の日は、虫が好きな人だけの記念日ではありません。
虫が苦手な人にとっても、虫が自然や食べもの、地域の暮らしとどう関わっているのかを知るきっかけになります。
6月4日には、外で虫を探したり、図鑑を開いたり、カブトムシが育つ森や腐葉土のことを考えたりしてみてください。
小さな虫を見つめると、私たちの暮らしが思っている以上に自然とつながっていることに気づけます。
- 『バカの壁』の養老孟司先生が始めた、6月4日の「虫の日」ってなんだろう – For your LIFE
- 一般社団法人 日本記念日協会
- 虫塚 | 隈研吾建築都市設計事務所
- 虫塚法要「虫能く天たり」 養老孟司、玄侑宗久さんと語る – 玄侑宗久公式サイト
- 昆虫課について – 田村市ホームページ
- ムシムシランド | 日本で唯一の虫の楽園
- 花粉交配用昆虫について:農林水産省
- 花粉を運ぶ動物を守るための政策を提言 – 森林総合研究所
- 森林と生物多様性:林野庁
- 森の生き物つながり:森と生物多様性:森学ベーシック|私の森.jp
- 「つなげよう、支えよう森里川海」子どもの自然体験促進事業:環境省
- こん虫ずかん – 教育出版
- 小さな命の営みも、私たちの日常につながっている | ecojin:環境省
