「朝起きる」は自然なのに、「朝起こる」とは言いません。
でも、「事故が起きる」と「事故が起こる」は、どちらも聞いたことがあるはずです。
このように、「起きる」と「起こる」は似ているのに、使える場面が少し違うため、多くの人が迷いやすい言葉です。
この記事では、辞書の意味をもとにしながら、日常会話、作文、ビジネス文書で迷わないように、例文つきでわかりやすく整理します。
読み終わるころには、「地震が起きる」と「地震が起こる」のどちらを選べばよいか、自分で判断できるようになります。
「起きる」と「起こる」の違いは?まずは結論からスッキリ整理
いちばん簡単な違いは「人の動き」か「物事の発生」か
「起きる」と「起こる」で迷ったら、まずは主語を見ると判断しやすくなります。
人や動物が眠りから覚める、横になった体を上げる、座った状態から立つような場面では、基本的に「起きる」を使います。
たとえば「朝六時に起きる」「転んだ子どもがすぐ起きる」は、とても自然な言い方です。
一方で、事件、事故、地震、問題、トラブルのように、物事が新しく生じる場面では「起こる」が中心になります。
たとえば「事件が起こる」「地震が起こる」「不安が起こる」は、辞書の説明にも合う自然な使い方です。
ただし、ここで大事なのは「物事の発生」では「起きる」も使える場合が多いという点です。
辞書では「起きる」にも「何事かが発生する」という意味があり、「事故が起きる」「混乱が起きる」のような例が示されています。
つまり、ざっくり言えば「人が動くなら起きる」「物事が発生するなら起こる」「発生の意味では起きるも使えることがある」と覚えると、かなり迷いにくくなります。
| 場面 | 自然な言い方 | 理由 |
|---|---|---|
| 眠りから覚める | 朝起きる | 人の目覚めを表すため |
| 横の姿勢から体を上げる | 転んでも起きる | 体の動きを表すため |
| 事件や事故が発生する | 事件が起こる、事件が起きる | 物事の発生を表すため |
| 感情や疑問が生じる | 疑問が起こる | 心の中に新しく生じるため |
「起きる」は目覚める・立ち上がる意味が基本
「起きる」の中心にある意味は、人や動物の体の動きです。
辞書では「横になっていたものがからだを起こす」「眠りから覚める」「寝ないでいる」「何事かが発生する」という意味が示されています。
このうち、日常生活でいちばんよく使うのは「朝起きる」のような目覚めの意味です。
「昨日は遅くまで起きていた」のように、眠らずにいる状態にも使います。
また、「転んだあとに起きる」のように、横になったり倒れたりした状態から体を上げる意味でも使います。
このように見ると、「起きる」はもともと人の体や状態に近い言葉だと考えるとわかりやすいです。
その意味が広がって、「事故が起きる」「問題が起きる」のように、出来事の発生にも使われるようになっています。
そのため、「起きる」は日常会話でとても使いやすい言葉です。
「大変なことが起きた」「急にトラブルが起きた」と言えば、かたい印象になりすぎず、自然に伝わります。
ただし、「朝起こる」と言うと、目覚める意味にはなりません。
「朝起きる」と「朝起こる」は別物なので、ここはしっかり分けて覚えましょう。
「起こる」は新しい出来事が生じる意味が基本
「起こる」の中心にある意味は、今までなかった物事や状態が新しく生じることです。
辞書では「今までなかったものが新たに生じる」「自然が働きや動きを示す」「平常と異なる状態や好ましくない事態が生じる」「感情や欲望が生じる」と説明されています。
つまり、「起こる」は人が目を覚ます言葉ではなく、何かが発生する場面で使う言葉です。
「地震が起こる」「火事が起こる」「事件が起こる」「疑いが起こる」のように、自然現象、社会の出来事、心の動きまで幅広く使えます。
特に、ニュースや説明文では「起こる」のほうが落ち着いた印象になります。
たとえば「この地域では大雨による洪水が起こることがあります」と書くと、説明としてきちんとした雰囲気になります。
一方で、会話では「洪水が起きることがある」と言っても通じます。
ただし、「早く起こる人」と言うと、普通は意味が通りません。
人が眠りから覚める場合は「早く起きる人」と言う必要があります。
「起こる」は、あくまで物事や状態が新しく生じる言葉として使うのが基本です。
現代では「事故が起きる」「事故が起こる」はどちらも使える
多くの人が迷いやすいのが、「事故が起きる」と「事故が起こる」のような言い方です。
結論から言うと、現代の日本語ではどちらも自然に使われます。
辞書でも「起きる」の意味に「何事かが発生する」があり、「事故が起きてからでは遅い」という例が示されています。
また、「起こる」の意味にも「事件が起こる」「戦争が起こる」など、好ましくない事態が生じる例が示されています。
そのため、「事故が起きた」も「事故が起こった」も、意味としては大きく変わりません。
違いが出るとすれば、文章の雰囲気です。
「事故が起きた」は会話や読みやすい文章になじみやすく、「事故が起こった」は少し説明的で、報告文やニュース文に合いやすい印象があります。
もちろん、どちらか一方だけが正しいわけではありません。
読者にやわらかく伝えたいなら「起きる」、少しきちんと説明したいなら「起こる」と考えると選びやすくなります。
大切なのは、ひとつの記事や資料の中で表記がバラバラになりすぎないことです。
「事故が起きる」と書いた直後に、同じ意味で「事故が起こる」と何度も入れ替えると、読者が少し引っかかることがあります。
「起きる」の意味と自然な使い方
朝起きる・目が覚めるという基本の使い方
「起きる」と聞いて、まず思い浮かぶのは「朝起きる」という使い方です。
この場合の「起きる」は、眠っていた状態から目が覚めることを表します。
「毎朝七時に起きる」「目覚まし時計で起きる」「休日は昼まで起きられない」のように使います。
この意味では「起こる」は使いません。
「毎朝七時に起こる」と言うと、何かの現象が七時に発生するように聞こえてしまいます。
たとえば「毎朝七時にベルが起こる」と書いても不自然で、「ベルが鳴る」「ベルで起きる」と言うほうが自然です。
「起きる」は、自分の動作にも、ほかの人の状態にも使えます。
「弟はもう起きた」「先生は朝早く起きているらしい」のように、主語が人ならかなり使いやすい言葉です。
ただし、誰かを眠りから覚めさせる場合は「起こす」を使います。
「母が子どもを起きる」ではなく、「母が子どもを起こす」が正しい言い方です。
「自分が起きる」「相手を起こす」と分けると、間違えにくくなります。
日常会話では、この基本を押さえるだけでかなり自然な日本語になります。
転んだ人が起きるなど体の動きを表す使い方
「起きる」は、眠りだけでなく、体を起こす動きにも使います。
たとえば「転んだ人が起きる」「ベッドから起きる」「倒れていた選手がゆっくり起きる」のような言い方です。
辞書でも「横になっていたものがからだを起こす」「立ち上がる」という意味が示されています。
この使い方では、主語が人や動物であることが多いです。
犬が寝そべっていた状態から立ち上がるなら、「犬が起きた」と言えます。
赤ちゃんが布団の上で体を起こしたときも、「赤ちゃんが起きた」と言えます。
ただし、物が立ち上がる場合は少し注意が必要です。
たとえば、倒れていた看板を誰かが直したなら、「看板を起こした」と言うほうが自然です。
看板が自分の力で立ち上がるわけではないので、「看板が起きた」はふつうの説明文ではあまり使いません。
このように、「起きる」は自分で体を上げるような動きに向いています。
「起こす」は、誰かや何かを立たせるときに使う言葉です。
「選手が起きる」と「選手を起こす」では、主語と動作の向きが違います。
この違いを意識すると、「起きる」と「起こす」まで一緒に整理できます。
夜中まで起きているという状態を表す使い方
「起きる」には、眠らずにいるという意味もあります。
「夜中まで起きている」「試験前で朝まで起きていた」「子どもがまだ起きている」のように使います。
この場合の「起きる」は、目が覚める瞬間というより、起きた状態が続いていることを表します。
辞書でも「寝ないでいる」「目をさましている」という意味が示されています。
ここでも「起こる」は使えません。
「夜中まで起こっている」と言うと、「怒っている」の誤字のようにも見えますし、「何かが発生し続けている」という不自然な意味にも見えます。
人の状態を表したいなら「起きている」が自然です。
また、「起きている」は心や意識がはっきりしている感じもあります。
「眠そうだけど、まだ起きている」と言えば、体は疲れていても眠っていない状態が伝わります。
この意味を使うときは、時間を表す言葉と一緒になることが多いです。
「夜遅くまで」「朝まで」「まだ」「ずっと」などがあると、状態が続いていることがわかりやすくなります。
「起きる」は一瞬の動作だけでなく、その後の状態にも使える便利な言葉です。
事故が起きる・問題が起きるという発生の使い方
「起きる」は、人の動きだけでなく、出来事の発生にも使えます。
「事故が起きる」「問題が起きる」「トラブルが起きる」「混乱が起きる」のような言い方です。
辞書では「何事かが発生する」という意味があり、「事故が起きてからでは遅い」「混乱が起きる」という例が示されています。
この使い方があるため、「起きる」と「起こる」で迷う人が多くなります。
発生の意味だけを見ると、「事故が起きる」と「事故が起こる」はどちらも使えます。
ただし、印象には少し違いがあります。
「事故が起きる」は会話や日常的な文章に合いやすく、読み手にすっと届きます。
「事故が起こる」は説明文や報告文に合いやすく、少しかたい雰囲気になります。
ブログ記事やコラムでは、「問題が起きたときは、まず原因を確認しましょう」のように書くと読みやすくなります。
一方、報告書では「システム障害が起こった原因を調査した」のように書くと落ち着いた印象になります。
どちらを選ぶかは、正誤だけでなく、読者にどう伝えたいかで決めるとよいでしょう。
「起こる」の意味と自然な使い方
地震が起こる・火事が起こるという発生の使い方
「起こる」は、自然現象や災害が発生する場面でよく使われます。
「地震が起こる」「洪水が起こる」「火事が起こる」「津波が起こる」のような言い方です。
辞書では「自然が働きや動きを示す」という意味の例として、「地震が起こる」「洪水が起こる」が示されています。
このような表現は、ニュース、資料、注意喚起の文章と相性がよいです。
たとえば「地震が起こったときは、まず身の安全を守る」と書けば、落ち着いた説明になります。
もちろん、会話では「地震が起きた」と言うことも多く、意味は十分に伝わります。
ただし、防災資料や学校の説明文では「地震が起こる」と書くと、やや公的で整理された印象になります。
「火事が起きる」と「火事が起こる」も、どちらも通じます。
「火事が起きたらすぐ逃げる」は日常的で、「火事が起こった場合は避難してください」は案内文らしい表現です。
このように、「起こる」は読み手にきちんと説明したいときに選びやすい言葉です。
発生する出来事が大きいほど、「起こる」は自然に感じられやすくなります。
トラブルが起こる・事件が起こるという使い方
「起こる」は、平常とは違う出来事や好ましくない事態にも使われます。
「トラブルが起こる」「事件が起こる」「戦争が起こる」「問題が起こる」のような言い方です。
辞書では、平常と異なる状態や好ましくない事態が生じる意味として、「事件が起こる」「戦争が起こる」が例に挙げられています。
ビジネスや学校生活でも、この使い方はよく出てきます。
「連絡ミスが起こる」「機械の故障が起こる」「クラス内でトラブルが起こる」のように、問題の発生を客観的に言いたいときに便利です。
「起きる」と比べると、「起こる」は少し原因や状況を説明する雰囲気があります。
たとえば「なぜこの問題が起こったのか」と言うと、原因を調べる流れが自然に感じられます。
「なぜこの問題が起きたのか」でも問題ありませんが、少し会話に近い印象になります。
報告書や説明資料では、「発生する」に近い言葉として「起こる」を使うと文章が整います。
一方で、読者にやさしく伝えたいブログや会話文では「起きる」のほうが読みやすい場面もあります。
つまり、トラブルや事件では両方使えますが、文章のトーンに合わせて選ぶのがコツです。
疑問が起こる・不安が起こるという心の変化
「起こる」は、目に見える出来事だけでなく、心の中に何かが生じる場面にも使います。
「疑問が起こる」「不安が起こる」「怒りが起こる」「興味が起こる」のような言い方です。
辞書でも「ある感情・欲望が生じる」という意味が示され、「疑いが起こる」「仏ごころが起こる」などの例があります。
この使い方は、「心の中に新しい気持ちが生まれる」と考えるとわかりやすいです。
たとえば、説明を聞いて納得できない点が出てきたときは、「疑問が起こる」と言えます。
将来のことを考えて心配になったときは、「不安が起こる」と言えます。
ただし、日常会話では「疑問がわく」「不安になる」のほうがやわらかく聞こえることもあります。
「疑問が起こる」は少しかたい表現なので、作文、解説文、論理的な文章に合います。
「彼の説明を聞いて疑問が起こった」と書くと、少し改まった印象になります。
「彼の説明を聞いて疑問がわいた」と書くと、自然な会話に近くなります。
どちらも間違いではありませんが、読者に合わせて選ぶと文章がぐっと読みやすくなります。
心の変化をきちんと説明したいときは、「起こる」が役立ちます。
戦争が起こる・騒動が起こるなど大きな出来事の使い方
大きな社会的出来事には、「起こる」がよく合います。
「戦争が起こる」「革命が起こる」「騒動が起こる」「ブームが起こる」のような言い方です。
「起こる」は新しい物事や状態が生じる意味を持つため、社会の中で大きな動きが始まる場面にも使いやすい言葉です。
ただし、「興る」という漢字を使う場合もあります。
文化庁の常用漢字表の音訓索引では、「起きる」「起こる」「起こす」とともに、「興る」「興す」も関連する語として示されています。
「興る」は、産業や国などが盛んになる意味で使われることがあります。
たとえば「国が興る」「産業が興る」のような表現です。
ふつうの記事や日常文では、「興る」はあまり使わず、「起こる」や「始まる」と書いたほうが読みやすいことも多いです。
「騒動が起こる」は自然ですが、「騒動が興る」と書くと意味がずれて見えます。
「ブームが起こる」は、ある流行が社会の中で発生した感じを表します。
一方、「ブームが起きる」も現代の文章ではよく見かける自然な言い方です。
大きな出来事では、読み手に改まった印象を与えたいなら「起こる」を選ぶとよいでしょう。
よく迷う言葉で比べる実例集
「事故が起きる」と「事故が起こる」はどう違う?
「事故が起きる」と「事故が起こる」は、どちらも自然な日本語です。
意味の中心はどちらも「事故が発生する」です。
辞書でも、「起きる」には発生の意味があり、「起こる」には今までなかったものが新たに生じる意味があります。
では、何が違うのでしょうか。
違いは、意味そのものよりも文章の雰囲気にあります。
「事故が起きる」は、会話や読みやすい文章に向いています。
「事故が起こる」は、説明文、報告文、注意書きなどに向いています。
たとえば、ブログで「事故が起きてからでは遅い」と書くと、読者に強く伝わります。
会社の資料で「事故が起こった原因を調査する」と書くと、落ち着いた印象になります。
もちろん、どちらを使っても間違いではありません。
ただし、ひとつの文章の中では、同じ意味ならできるだけそろえたほうが読みやすくなります。
「事故が起きた原因を調べた結果、事故が起こった時間は午後三時でした」のように混ぜると、読者が少し引っかかるかもしれません。
この場合は、「事故が起きた」でそろえるか、「事故が起こった」でそろえると自然です。
「地震が起きる」と「地震が起こる」はどちらが自然?
「地震が起きる」と「地震が起こる」も、どちらも使える表現です。
ただし、防災資料やニュース調の文章では「地震が起こる」のほうが少し改まった印象になります。
辞書でも「起こる」の自然現象の例として「地震が起こる」が示されています。
一方で、「起きる」にも発生の意味があるため、「地震が起きる」と言っても不自然ではありません。
たとえば、子ども向けに説明するなら「地震が起きたら、机の下に入りましょう」のほうがやさしく聞こえます。
公的な案内文なら「地震が起こった場合は、身の安全を確保してください」のほうが落ち着いて見えます。
つまり、読者が誰かで選ぶとよい表現です。
中学生向けや一般向けのブログでは、「地震が起きる」でも十分に自然です。
防災マニュアルや会社の安全資料では、「地震が起こる」を選ぶと文章が引き締まります。
ただし、「地震が起きる」と「地震が起こる」を無理に使い分けようとしすぎる必要はありません。
どちらかを選び、記事内でそろえるほうが読みやすいです。
読み手にやさしく伝えるなら「起きる」、少しかたい文にするなら「起こる」と覚えておきましょう。
「問題が起きる」と「問題が起こる」の使い分け
「問題が起きる」と「問題が起こる」は、日常でも仕事でもよく使う表現です。
どちらも意味はほぼ同じで、「問題が発生する」ということを表します。
「起きる」には発生の意味があり、「起こる」には新しい物事や状態が生じる意味があるため、どちらも成り立ちます。
違いをつけるなら、やはり文章の雰囲気です。
「問題が起きる」は、会話ややわらかい説明に向いています。
「問題が起こる」は、原因や対策を説明する文に向いています。
たとえば、「スマホを長時間使うと、目の疲れが起きることがあります」と書くと読みやすいです。
一方で、「設定ミスによって通信の問題が起こる場合があります」と書くと、説明文らしくなります。
また、「問題が起こる」は、少し客観的に状況を見ている感じがあります。
「問題が起きた」は、話し手がその場で困っている感じが出やすいです。
ブログ記事では、読者の悩みに寄り添うなら「問題が起きる」を使うと自然です。
専門的な説明やマニュアルでは「問題が起こる」を使うと、文章が落ち着きます。
どちらも正しいからこそ、読者に与えたい印象で選びましょう。
「奇跡が起きる」と「奇跡が起こる」のニュアンス
「奇跡が起きる」と「奇跡が起こる」は、どちらも使える表現です。
ただ、読者が受け取る感じには少し違いがあります。
「奇跡が起きる」は、目の前で思いがけない良いことが起きたような、感情に近い表現です。
ドラマ、スポーツ、体験談、広告コピーなどでは「奇跡が起きた」のほうが自然に響くことが多いです。
一方で、「奇跡が起こる」は、出来事として少し落ち着いて説明している印象になります。
「奇跡が起こった理由を考える」と書くと、感動よりも分析に近い文章になります。
辞書上は、「起きる」にも発生の意味があり、「起こる」にも新しく生じる意味があるため、どちらも意味としては成立します。
ただし、「奇跡」は感情を動かす言葉なので、「起きる」と組み合わせると読み手の心に届きやすくなります。
たとえば「最後の一分で奇跡が起きた」は、とても自然です。
「最後の一分で奇跡が起こった」も間違いではありませんが、少し説明っぽく感じる人もいます。
文章に勢いを出したいなら「奇跡が起きる」を選ぶとよいでしょう。
落ち着いた説明にしたいなら「奇跡が起こる」でも問題ありません。
もう迷わないための判断ルール
「目を覚ます」に言い換えられるなら「起きる」
迷ったときに一番わかりやすい確認方法は、「目を覚ます」に言い換えられるかどうかです。
言い換えられるなら、基本的に「起きる」を使います。
「朝六時に起きる」は、「朝六時に目を覚ます」と言い換えられます。
「子どもが起きた」も、「子どもが目を覚ました」と言い換えられます。
この場合は「起こる」ではありません。
「朝六時に起こる」と言うと、目覚めではなく、何かの出来事が発生するように聞こえます。
辞書でも「起きる」には「眠りから覚める」「目を覚まして床を離れる」という意味が示されています。
また、「寝ないでいる」という意味でも「起きる」を使います。
「夜中まで起きている」は自然ですが、「夜中まで起こっている」は不自然です。
このルールはとても使いやすいので、まず最初に覚えておくと便利です。
人や動物が眠りから覚める話なら「起きる」です。
誰かを目覚めさせる話なら「起こす」です。
出来事が発生する話なら、「起きる」と「起こる」の両方を候補にします。
「発生する」に言い換えられるなら両方を候補にする
次に使える判断方法は、「発生する」に言い換えられるかどうかです。
「事故が発生する」「問題が発生する」「地震が発生する」と言い換えられるなら、「起きる」と「起こる」の両方が候補になります。
辞書でも「起きる」は「何事かが発生する」という意味を持ち、「起こる」は「今までなかったものが新たに生じる」という意味を持ちます。
そのため、「事故が起きる」と「事故が起こる」はどちらも自然です。
「問題が起きる」と「問題が起こる」も、どちらも使えます。
このときは、正しいか間違いかだけでなく、文章の雰囲気を考えます。
会話に近く、やわらかく伝えたいなら「起きる」が向いています。
説明文や報告文として落ち着かせたいなら「起こる」が向いています。
ただし、すべての「発生する」に両方が同じように合うわけではありません。
「疑問が起きる」より「疑問が起こる」や「疑問がわく」のほうが自然に感じられることがあります。
「ブームが起きる」も使えますが、少しかたい説明では「ブームが起こる」のほうが合うことがあります。
言い換えで候補をしぼり、最後は自然さで決めるのがいちばん実用的です。
かたい文章では「起こる」、会話では「起きる」が自然なことが多い
「起きる」と「起こる」は、どちらも使える場面があるからこそ、文章の雰囲気で選ぶことが大切です。
一般的には、会話や読みやすい文章では「起きる」が自然に感じられることが多いです。
「急にトラブルが起きた」「昨日、大変なことが起きた」のように言うと、日常の言葉としてすっと入ってきます。
一方で、説明文、報告書、ニュース調の文章では「起こる」が合いやすいです。
「通信障害が起こった原因を調査する」「災害が起こった場合に備える」のように書くと、客観的で落ち着いた印象になります。
文化庁の「送り仮名の付け方」では、「起こる〔起きる〕」という形で語の関係が示されています。
また、文化庁の常用漢字表の音訓索引では、「起」の訓として「おきる」「おこる」「おこす」が示され、用例として「起きる」「起こる」「起こす」が並んでいます。
つまり、どちらかを極端に避ける必要はありません。
大切なのは、読み手が自然に読めることです。
中学生にもわかる文章なら、「起きる」をうまく使うとやさしくなります。
少し改まった資料なら、「起こる」を使うと文章が整いやすくなります。
文章内では「起きる」「起こる」をできるだけそろえる
最後に大事なのは、同じ文章の中で表現をできるだけそろえることです。
「事故が起きる」と「事故が起こる」はどちらも使えますが、同じ意味で何度も入れ替えると、読者が少し迷います。
たとえば、「事故が起きた原因を調べ、同じ事故が起こらないように対策した」と書くと、意味は通じますが、やや表現が揺れています。
この場合は、「事故が起きた原因を調べ、同じ事故が起きないように対策した」とそろえると読みやすくなります。
または、「事故が起こった原因を調べ、同じ事故が起こらないように対策した」としても自然です。
文章の目的によって、どちらかを選べばよいのです。
ブログ記事なら、読者に近い言葉として「起きる」を中心にするのもよいでしょう。
報告書なら、客観的な言葉として「起こる」を中心にするのもよいでしょう。
ただし、「朝起きる」のように目覚めを表す場合は、「起こる」にそろえてはいけません。
「発生」の意味でそろえることと、「目覚め」の意味を守ることは別です。
言葉をそろえる目的は、文章を機械的にすることではなく、読者が迷わず読めるようにすることです。
「起きる」と「起こる」の違いまとめ
「起きる」と「起こる」の使い分けは、まず主語と意味を見るとわかりやすくなります。
人が目を覚ます、体を起こす、眠らずにいるという意味なら「起きる」を使います。
事件、事故、地震、問題、感情などが新しく生じる意味なら「起こる」が基本になります。
ただし、現代の日本語では「事故が起きる」「問題が起きる」「地震が起きる」のように、「起きる」も発生の意味で広く使われます。
辞書でも「起きる」には発生の意味があり、「起こる」には新しく生じる意味や自然現象、好ましくない事態、感情の発生などの意味が示されています。
そのため、発生を表す場面では、どちらか一方だけが正しいと考えすぎる必要はありません。
迷ったときは、「目を覚ます」に言い換えられるなら「起きる」、「発生する」に言い換えられるなら両方を候補にする、と考えるのがおすすめです。
そのうえで、会話や読みやすい文章では「起きる」、かたい説明文や報告文では「起こる」を選ぶと自然です。
最後に、同じ文章の中では表現をできるだけそろえましょう。
正しさだけでなく、読者が引っかからずに読めることが、よい文章の大切な条件です。
