退職前って、やることが山ほどあって頭がいっぱいになりますよね。
引き継ぎ、書類の手続き、次の職場の準備……その中で地味に悩ましいのが「菓子折り、渡すべきか問題」です。
「渡さないとマナー違反かな」「お金もかかるし正直きつい」「そもそも本当に必要なの?」と、検索してこのページにたどり着いた人も多いはず。
結論から言うと、退職時の菓子折りは義務ではありません。
渡さなかったからといって、社会人失格ということもありません。ただ、「渡さない」と決めたからこそ押さえておきたいポイントや、状況別の考え方があるのも事実です。
この記事では、「退職 菓子折り 渡さない」と検索する人が気になっているであろう疑問に、ひとつひとつ答えていきます。
「何も持たずに行っても大丈夫?」「人間関係が最悪な職場から去るときは?」といったリアルな悩みから、「やっぱり少しは渡したいかも」と迷ったときの落としどころまで、まとめて整理しました。
読み終わるころには、「自分はこうしよう」とスッキリ決められるはずです。
退職で菓子折りを渡さないのはマナー違反?先に結論をハッキリさせよう
そもそも退職時の菓子折りって「義務」じゃないって本当?
まず一番気になるところから結論です。退職するときの菓子折りは、法律でも社内規則でも義務ではありません。求人・キャリアサイトやビジネスマナー記事を見ても、「退職時の菓子折りは必須ではない」「あくまで感謝を形にするための慣習」という説明が中心です。
つまり、「渡さなかったらマナー違反で怒られる」といったものではなく、あくまで好意ベースの文化と考えるのが現実的です。特に、在籍期間が短かったり、そもそも職場に菓子折り文化がなかったりする場合、「何も持たずに挨拶だけ」で終える人も少なくありません。
大事なのは「菓子折りがあるかどうか」よりも、お世話になった人へ感謝を伝えようとしているかです。
予算が厳しい、心身ともに余裕がない、退職までにバタバタしているなど、事情があるなら、無理をしてまで用意する必要はありません。「ありがとう」の一言や、簡単なメールでも十分に気持ちは伝わります。
「渡すのが当たり前」と言われるようになった背景
ではなぜ、「退職=菓子折り」というイメージが強くなっているのでしょうか。
背景には、日本の職場文化にある「お世話になりましたを形で表す」習慣があります。
送別会で花束を贈ったり、異動のときにプチギフトを配ったりするのと同じ感覚で、退職時には菓子折りを配る人が増えてきました。
また、長く働いた職場ほど人間関係が濃くなり、「最後くらいはきちんと挨拶したい」「区切りをつけたい」と考える人が多くなります。
その結果、「今までの人も渡してきたから、自分も……」と、半分慣例のように受け継がれている面もあります。
実際には、産業や会社の規模によって差があり、IT企業やスタートアップでは「全くそんな文化がない」という声もあります。
つまり、「みんながやっているからマナー」ではなく、たまたま自分の周りではそういう人が多かっただけという可能性も十分あります。自分の職場の雰囲気を見ながら、必要かどうかを落ち着いて判断して大丈夫です。
正社員・契約社員・アルバイトで考え方は変わる?
雇用形態によって、菓子折りの考え方は少し変わります。ただし、どの場合も共通して言えるのは「義務ではない」ということです。
ざっくり整理すると、こんなイメージです。
| 雇用形態 | 在籍期間の目安 | 菓子折りの考え方 |
|---|---|---|
| 正社員 | 1年以上 | 渡す人が比較的多いが、あくまで任意 |
| 契約社員 | 半年〜 | 部署の雰囲気次第で、渡す人・渡さない人が分かれる |
| パート・アルバイト | 数ヶ月〜 | 在籍期間が短い場合は「挨拶だけ」の人も多い |
| 派遣 | 数ヶ月〜 | 派遣元と派遣先のどちらに重きを置くかは人それぞれ |
たとえば、正社員で5年、10年と働いていると、自分が新人の頃に先輩の退職で菓子折りをもらった経験があり、「じゃあ自分も」という流れになりやすいです。
一方で、数ヶ月だけのアルバイトやパートの場合、「そもそも誰もやっていない」「シフトが合う人だけに挨拶する」といったパターンもよくあります。
どの雇用形態であっても、「菓子折りを渡さないから失礼」ということはありません。お世話になったと感じるかどうか、自分の気持ちとお財布事情を優先して決めてOKです。
会社ごとのローカルルールをさりげなく確認するコツ
実際に悩ましいのは、「自分の会社ではどうか」が分かりにくいことですよね。そんなときは、次のような方法でローカルルールをさりげなく探るのがおすすめです。
- 最近退職した人の様子を思い出す
「そういえば○○さんのときどうだったっけ?」と振り返ると、意外とヒントが見つかります。菓子折りがあったかどうかだけでなく、全体に配っていたのか、部署だけだったのかも参考になります。 - 信頼できる同僚や先輩に軽く聞く
「みんな退職のときって何か渡してる?」と雑談レベルで聞くと、雰囲気を教えてもらいやすいです。あまり深刻に相談しなくても、「だいたいこんな感じだよ」と教えてくれる人は多いです。 - 総務や人事にさりげなく確認する
「退職のあいさつって、みんなどうしてますか?」と聞くと、社内の平均的なスタイルを教えてくれます。就業規則に書いてあるケースはほぼありませんが、「社内あるある」のような情報は総務が一番よく知っていたりします。
こうして雰囲気をつかんだ上で、「今回はあえて渡さない」「部署だけ渡す」「上司だけ別で渡す」といった形で、自分なりの落としどころを決めれば十分です。
渡さないと決めたときに最低限守りたいマナー
「今回は菓子折りは渡さない」と決めたなら、意識しておきたいのは挨拶そのものの質を少しだけ上げることです。マナーとして最低限押さえたいのは次のポイントです。
- 最終出社日に、できる範囲で直接「お世話になりました」と伝える
- 部署やチームには、一言でもよいので口頭かメールでまとめて挨拶する
- お世話になった人には個別にメッセージを送るか、短い言葉でもいいので声をかける
- 忙しい時間帯を避けて、空気を読んだタイミングで伝える
菓子折りがないぶん、言葉での「ありがとう」を少し丁寧にするイメージです。逆に言えば、菓子折りだけ渡して挨拶もほとんどしないほうが、よほど印象は良くありません。予算や余裕がないなら、「笑顔で感じよく挨拶」これだけで十分合格ラインです。
菓子折りを渡さないと決めた人のスマートな振る舞い方
お菓子より大事な「感謝の伝え方」を押さえよう
退職時に本当に大事なのは、「何を配ったか」ではなく、どんな気持ちをどう伝えたかです。ビジネスマナーの解説でも、「退職時のお菓子は慣習であり、感謝を伝える手段の一つにすぎない」という説明がよくされています。
菓子折りを渡さないと決めた場合、その分だけ「言葉」と「態度」で感謝を表現すると、周りの印象はぐっと良くなります。例えば次のようなことを意識してみてください。
- 普段より少しだけ丁寧な言葉で「ありがとうございました」を伝える
- 迷惑をかけた相手には「いろいろフォローしていただいて助かりました」と一言添える
- 忙しそうな相手には、短く要点だけ伝えて時間を取りすぎない
- 最後に笑顔で「またどこかでご一緒できたらうれしいです」と締める
人の記憶に残るのは、「お菓子の銘柄」ではなく、そのときの雰囲気と表情です。照れくさいかもしれませんが、「本当に助かったな」と思うエピソードを一つだけ伝えてみると、それだけで相手の心にポジティブな印象が残りやすくなります。
一斉メール・チャット・口頭で使える挨拶文例集
菓子折りを渡さないときほど、「挨拶の文章」が安心材料になります。ここでは、すぐにコピペしてアレンジできるようなシンプルな文例をいくつか紹介します。
社内全体・部署宛てメールの例
お疲れさまです。
○月○日をもって退職することになりました、○○です。
在籍中は至らない点も多く、ご迷惑をおかけすることもありましたが、
皆さまのおかげで多くのことを学ばせていただきました。
短い間でしたが、本当にありがとうございました。
皆さまの今後のご活躍を心よりお祈りしております。
お世話になった上司・先輩への個別メールの例
在籍中はたくさんご指導いただき、本当にありがとうございました。
特に○○の案件では、私のミスにも丁寧に対応してくださり、とても救われました。
教えていただいたことを、今後の仕事でも活かしていきたいと思います。
口頭での一言挨拶の例
今まで本当にありがとうございました。○○さんのおかげで、仕事に慣れることができました。
またどこかでお会いできたらうれしいです。
完璧な文章を目指す必要はありません。大事なのは、自分の言葉で伝えようとしていることです。多少つっかえても、用意したメモを見ながらでも、まったく問題ありません。
最終出社日の動き方タイムライン(誰にいつ挨拶する?)
菓子折りがない場合、最終日は「言葉での挨拶」がメインイベントになります。時間切れで言えなかった、という事態を防ぐために、大まかなタイムラインをイメージしておきましょう。
- 午前中:通常業務と最終チェック
引き継ぎ資料の最終確認や、パソコンのデータ整理などを先に済ませます。この段階では、まだじっくり挨拶する時間が取れないことも多いです。 - お昼前後:同じ部署・チームへの挨拶
少し落ち着いたタイミングで、同じ島・同じチームに「今日で最後なので、お世話になりました」と一言伝えておくと安心です。みんなが集まっているときに、軽くまとめて話すのもありです。 - 午後:お世話になった他部署・関係者へ
会議の合間や移動のタイミングを見て、「今少しお時間よろしいですか」と声をかけます。長くても1〜2分で済むよう、感謝の言葉を簡潔にまとめておくとスムーズです。 - 定時前後:上司・直属の先輩へしっかり挨拶
一番大事な相手なので、できれば少し時間を取って話したいところです。業務の区切りを見計らって、「最後にご挨拶させてください」と声をかけましょう。 - 退社前:フロア全体への一言(できれば)
小さな会社やワンフロアの職場なら、「本日で退職となりました。お世話になりました」と一言伝えてから退社するのも良い締めくくりになります。
菓子折りがない分、誰にどのタイミングで会いに行くかを意識しておくと、「あの人に挨拶できなかった」といった後悔をかなり減らせます。
上司・同僚・後輩・取引先…関係性別の気遣いポイント
相手との関係性によって、少しだけ言い方を変えると、より気持ちが伝わりやすくなります。
- 上司
「ご迷惑も多くおかけしましたが、たくさんのことを学ばせていただきました」と、指導への感謝を前面に出すと伝わりやすいです。今後のキャリアにどう活かしたいかを一言添えるのもおすすめです。 - 同僚
「一緒に仕事ができて心強かったです」「ランチに付き合ってくれてうれしかったです」など、日常のエピソードを交えると、ぐっと人間味が出ます。 - 後輩
上から目線にならないよう、「こちらこそ、フォローしてくれて助かりました」と感謝を伝えると、今後も良い印象が残りやすくなります。 - 取引先
社外の相手には、「これまで大変お世話になりました。今後とも弊社をよろしくお願いいたします」と、会社に迷惑がかからないような言い回しを意識しましょう。
関係性に合わせて一言だけ変えるだけでも、相手にとっては十分特別な挨拶になります。
「菓子折りなくてごめんなさい」と言わなくていい理由
菓子折りを渡さないとき、つい言いたくなるのが「何も用意できず申し訳ありません」という一言です。でも実は、わざわざ口に出す必要はありません。
理由はシンプルで、そもそも菓子折りは義務ではなく、「持ってきて当たり前」と考えていない人も多いからです。そこで自分から「用意できずすみません」と言ってしまうと、かえって空気が重くなってしまうこともあります。
それよりも、次のような言葉に置き換えたほうが、スマートで前向きです。
- 「短い間でしたが、本当にお世話になりました」
- 「たくさん助けていただいて、ありがとうございました」
- 「教えていただいたことを、次の職場でも活かしていきます」
相手から「何も持ってこなくていいのに」「そんな気を使わなくて大丈夫だよ」と言われた経験がある人も多いはずです。感謝の言葉そのものが、いちばん大きな贈り物だと思って大丈夫です。
ケース別チェック|「渡さない」でOKなパターン・注意が必要なパターン
在籍期間が短い/人間関係が薄いときはどう考える?
在籍期間が短いと、「まだあまりなじんでいないし、用意したほうがいいのかな?」と迷いますよね。実際には、数ヶ月〜1年未満の在籍なら、挨拶だけで済ませる人もかなり多いと言われています。
目安としては、次のように考えると楽です。
| 在籍期間の目安 | 菓子折りの目安 |
|---|---|
| 1ヶ月未満 | ほぼ不要、挨拶だけで十分 |
| 数ヶ月〜1年未満 | どちらでもOK、気持ち次第 |
| 1年以上 | 渡す人が増えるが、あくまで任意 |
人間関係がそこまで深くない場合、「何を渡せばいいか分からない」「かえって気を使わせそう」という不安も出てきます。その場合は、無理に形を整えようとするより、「短い間でしたが、お世話になりました」と笑顔で伝えるだけで問題ありません。
特に大企業や人の入れ替わりが激しい職場では、「気づいたらいなくなっていた」くらいの距離感も珍しくありません。そんな環境で、短期間だけ在籍した人が菓子折りを用意していなくても、ほとんどの人は気にしないのが実情です。
パワハラ・人間関係がつらかった職場からの退職の場合
正直なところ、「二度と関わりたくない」と思うような職場もあります。パワハラがあったり、心身を壊してしまったりした場合、「感謝どころか恨みしかないのに、なんで菓子折りなんて」と感じるのは当然です。
この場合も、菓子折りを渡す義務は一切ありません。むしろ無理に用意してしまうと、自分を責める気持ちが強くなったり、「そこまで気を使わなくてもよかったのに」とモヤモヤが残ることもあります。
どうしても最低限の礼儀だけは守りたいと感じるなら、次のような割り切りもありです。
- 特にお世話になった、少人数の人にだけ個別に挨拶する
- 全体にはメールだけ送り、直接顔を合わせる機会を減らす
- 直属の上司にも、必要最低限の業務的な挨拶だけにとどめる
大事なのは、自分を守ることです。心や体を壊してまで「いい人」でいようとする必要はありません。退職は、環境をリセットして自分を守るための選択でもありますから、「菓子折りを渡さなかった自分」を責める必要は全くありません。
お金に余裕がない・子育て中など経済的に厳しい場合
退職前後は、何かとお金が出ていく時期です。引っ越しや転職活動、資格取得、子育ての費用……。そこに「菓子折り1〜3万円」は、正直きついという人も多いはずです。
ビジネスマナーの解説でも、菓子折りはあくまで「気持ちの表現手段」であり、無理をしてまで用意する必要はないとされています。生活に影響が出るレベルなら、最初から「今回は渡さない」と割り切って大丈夫です。
もしどうしても何かしたい場合は、次のような工夫もあります。
- かなり小さめの金額で、部署だけに配る(1,000〜2,000円程度)
- 個包装のキャンディなど、本当にささやかなものにする
- 菓子ではなく、心を込めた手紙やメッセージに全振りする
「お金をかけたかどうか」よりも、「無理をしていないかどうか」のほうがずっと大事です。家計が厳しい時期にまで背伸びをする必要はありません。
アルバイト・パート・派遣・リモートワークでの考え方
アルバイト・パート・派遣・リモートワーカーなど、正社員以外の働き方では、退職時の慣習もかなりバラバラです。パート退職に特化した解説でも、「お菓子は個人の気持ちによるものであり、必須ではない」とはっきり書かれています。
ざっくりとした考え方としては、次のようなイメージです。
- アルバイト・パート
シフト制で顔を合わせるメンバーも限られるため、在籍期間が短い場合は挨拶だけで十分。長く働いた場合でも、配る人と配らない人が半々くらいの印象です。 - 派遣社員
派遣元と派遣先の両方に気をつかう必要がありますが、どちらにも必ず何かを配る必要はありません。お世話になった派遣先の上司にだけ挨拶する、という形でも十分です。 - リモートワーク中心
そもそも出社しない職場では、オンラインミーティングの最後に一言挨拶し、チャットやメールでメッセージを送るスタイルが主流です。物理的な菓子折りがないことを気にする人はほとんどいません。
いずれの場合も、「周りがどうしているか」に合わせて決めればOKです。リモート中心の職場で一人だけ大量の菓子折りを用意しても、かえって浮いてしまうこともあります。
逆に「用意しておくと安心」なパターンとは
ここまで「渡さなくても大丈夫」という話をしてきましたが、状況によっては「簡単なものでいいから、用意しておくと気持ちが楽」というケースもあります。
- 在籍期間が長く、何人も菓子折りを配って退職していったのを見ている
- 少人数のチームで、普段から差し入れ文化がある
- 取引先やクライアントと密に関わっていたポジションで、最後に何か形を残したい
- 自分自身が、「何も用意しないと後からモヤモヤしそう」と感じている
この場合も、「立派なものを用意しなきゃ」と思い込む必要はありません。相場としては、「1人あたり100〜300円程度」「全体で1,000〜3,000円程度」が多いと言われています。
あくまで、自分の心の安心材料としての菓子折りと考えましょう。「用意してもいいし、やめてもいい。そのうえで、今回は用意しておく」を選べれば、それがベストな判断です。
「やっぱりちょっとは渡したいかも」と迷ったときのミニマムな選択肢
1,000〜3,000円でできる、無理しないお菓子選びのコツ
「渡さなくてもいいのは分かったけど、やっぱり少しは渡したいかも」と感じる人もいるはずです。そんなときは、1,000〜3,000円程度の無理のない範囲で考えるのがおすすめです。
お菓子を選ぶときのポイントは次の通りです。
- 個包装で配りやすいもの(クッキー、フィナンシェ、焼き菓子など)
- 好みが分かれにくい定番系(チョコレートよりも焼き菓子寄り)
- 常温で日持ちするもの(賞味期限1〜2週間以上あると安心)
- 職場で手も服も汚れにくいもの(粉が落ちにくく、一口サイズだとなお良い)
人数が多い職場であれば、スーパーやコンビニのお菓子をいくつか組み合わせて、「みんなでどうぞ」と置いておくスタイルでもまったく問題ありません。「高級店のギフトでなければ失礼」ということはありません。
大切なのは、自分の生活に負担をかけない範囲で選ぶことです。背伸びをすると、「お金をかけたのに反応が薄かった」といった変なモヤモヤが増えてしまいます。
少人数オフィスと大人数オフィスで選ぶポイントの違い
同じ菓子折りでも、職場の規模によって向き・不向きがあります。
- 少人数オフィス(〜10人程度)
1人あたりの単価を少し上げても、全体の金額はそこまで高くなりません。個数が少ないぶん、「一人ひとりに手渡し」がしやすい環境です。小箱入りや、ちょっと良い焼き菓子などが選びやすいです。 - 中規模オフィス(10〜30人程度)
個包装のお菓子が20〜30個入った缶や箱が使いやすくなります。「みなさんでどうぞ」と共用スペースに置くスタイルが定番です。 - 大人数オフィス(30〜100人以上)
全員分を完全にカバーしようとすると、予算が一気に膨らみます。こうした職場では、部署単位に絞るか、「足りなかったらごめんなさい」と思いつつ多めに入った大袋系のお菓子を選ぶのも一案です。
規模に合わせて、「一人ひとりに手渡し」か「共用スペースにまとめて」かを決めると、お菓子の選び方も自然と決まってきます。
アレルギー・宗教・健康志向へのさりげない配慮
最近は、アレルギーや宗教上の理由、健康志向などから、特定の食べ物を控えている人も増えています。菓子折りを選ぶときに完璧に配慮するのは難しいですが、次のようなポイントを意識すると、トラブルを減らせます。
- ナッツや卵、小麦など、アレルゲン表示がしっかり書いてある商品を選ぶ
- 個包装の裏面に原材料表示があるタイプだと安心
- アルコール入りのお菓子(洋酒が強いものなど)は避ける
- あまりにも甘すぎるものや油っぽいものは控えめにする
どうしても心配な場合は、菓子折りではなく個包装のドリップコーヒーやティーバッグなど、飲み物系のギフトにするという手もあります。これなら、甘いものが苦手な人でも受け取りやすくなります。
もちろん、すべての人に100%フィットするものを選ぶのは不可能なので、「できる範囲で配慮する」くらいの気持ちで大丈夫です。
菓子折りの代わりになるプチギフト&デジタルギフト案
「お菓子じゃなくてもいいけど、何か形は残したい」という場合は、次のような代替案もあります。
- スタバなどのドリンクチケット
- 電子マネーやポイントのギフトコード
- ハンドクリームやリップクリームなどの小物(特に女性が多い職場)
- 付箋やペンなど、仕事で使える文具
最近は、LINEやメールで送れるデジタルギフトも増えています。出社が少ない職場やリモートワーク中心の環境では、こうしたオンラインのギフトのほうが受け取りやすい場合もあります。
とはいえ、ここでも大事なのは「無理をしないこと」です。デジタルギフトは便利ですが、人数が多いとすぐに金額が膨らみます。あくまで少人数へのお礼や特別にお世話になった人向けとして考えると、ちょうどいいバランスになります。
渡しそびれたときに後日どうする?スマートな割り切り方
「用意したのに一部の人に渡しそびれた」「結局なにも用意できなかった」ということもありますよね。そんなときの対処法は、大きく2つです。
- どうしても気になる相手には、後日メッセージだけ送る
「退職の際にちゃんとご挨拶できず失礼しました」「直接お礼をお伝えしたかったのですが、お時間が合わず申し訳ありません」と、シンプルに謝りつつ感謝を伝えれば十分です。 - 割り切って、次に会う機会があればそのときに挨拶する
取引先や前職の同僚など、今後もどこかで顔を合わせる可能性がある相手なら、そのときに一言「前回はご挨拶できず、すみませんでした」と言えばOKです。
大事なのは、「完璧にできなかった自分」を責めすぎないことです。退職前後は誰でも慌ただしいので、多少の抜け漏れがあるのは自然なこと。後からできる範囲でフォローしつつ、「あとはもう大丈夫」と気持ちを切り替えていきましょう。
退職時に菓子折りを渡さない人の「よくあるモヤモヤ」Q&A
何も持たずに最終日に行ったら変に思われる?
結論から言うと、何も持たずに行っても大抵は問題ありません。退職時のお菓子はあくまで慣習であり、多くのマナー解説でも「必須ではない」とされています。
もちろん、周りにいつも菓子折りを配って辞めていく人が多い職場だと、少しだけ「あ、今回はないんだな」と感じる人はいるかもしれません。ただそれも、数日もすれば忘れられてしまう程度の印象です。
それよりも、最終日にどんな表情で、どんな言葉をかけたかのほうが、相手の記憶には強く残ります。「何も持っていないけど、ちゃんと挨拶だけはしよう」と決めておけば、それだけで十分です。
自分は渡さないのに、同時に辞める人が菓子折りを持ってきたら?
同じ日に退職する人がいて、その人が立派な菓子折りを持ってきたら……正直、焦りますよね。でも、この場合も気にしすぎなくて大丈夫です。
人にはそれぞれ事情があります。経済状況も違えば、その会社で過ごした年数や感じている恩の深さも違います。
相手が「渡したい」と思って用意しただけであって、「そうしない人がマナー違反」という意味ではありません。
もし気になるなら、次のように割り切ってみましょう。
- 「あの人はあの人、自分は自分」と線を引く
- その分、自分は挨拶やメールで気持ちをしっかり伝える
- 後から「やっぱり菓子折りはいらなかったな」と思うかもしれないと考える
周りも、「Aさんは用意したけど、Bさんはなかった」といちいち細かく比べているわけではありません。それよりも、「2人ともいなくなっちゃうんだな」といった寂しさのほうが大きいはずです。
上司だけ/部署だけに渡さないのは失礼になる?
「限られた人にだけ渡す」パターンは、少し気をつかう必要があります。
たとえば、部署には渡したのに上司だけ何もない、逆に上司だけ高いものを渡して同僚には何もない、などの場合、見る人によっては違和感を持たれる可能性があります。
ただし、次のようなケースなら、そこまで気にしなくても大丈夫です。
- 特別お世話になった上司にだけ、個人的なギフトを渡す
- 少人数のチームメンバーにだけ、プチギフトを配る
- 日頃から特定のメンバーとだけ密に仕事をしていた
この場合は、「いつもお世話になったので、個人的にお礼をしたくて」と一言そえると、周りも納得しやすくなります。
どうしても心配な場合は、「渡すなら全員」「渡さないなら全員」のほうがシンプルですが、状況に応じて柔軟に考えて大丈夫です。
SNSだけでつながっている人へのお礼は必要?
最近は、退職後にもSNSでつながっている同僚や先輩が増えています。こうした人たちにまで、わざわざお礼のメッセージを送るべきか迷うこともありますよね。
結論としては、「送りたいと思う人にだけ送れば十分」です。
- 直接仕事でお世話になった人
- 入社直後に気にかけてくれた人
- ランチや休憩でよく話していた人
こうした相手には、「今までありがとうございました」「また遊びましょう」など、一言だけでもメッセージを送ると喜ばれます。
一方で、ほとんど話したことがない人や、単にフォローしているだけの相手にまで無理に送る必要はありません。
SNSの距離感は人によって違うので、自分が負担に感じない範囲で、「送ったら自分も嬉しいな」と思える相手にだけメッセージを送ればOKです。
退職後に「やっぱり渡せばよかった」と後悔したときの整理の仕方
退職してから、「やっぱり菓子折りを渡しておけばよかったかな」とモヤモヤしてしまうこともあります。でも、その気持ちは誰にでも起こりうる自然なものです。
そんなときは、次の3ステップで気持ちを整理してみてください。
- あのときの自分の事情を思い出す
お金の余裕がなかった、心身ともにギリギリだった、引き継ぎでバタバタしていた……。そのときの自分なりにベストを尽くしていたはずです。 - 「それでも感謝は伝えていたか」を振り返る
口頭やメールで一言でも「ありがとうございました」と伝えていれば、それだけで十分です。菓子折りがあっても挨拶がなければ、かえって印象は良くありません。 - 今後に活かす、と決めて手放す
「次に転職するときは、こうしよう」とイメージしておけば、その経験は無駄になりません。過去は変えられないので、未来の自分の行動を少し良くするための経験だと考えてみましょう。
もし本当に心残りが強い相手がいるなら、後日メッセージで「退職の際は慌ただしく、きちんとお礼をお伝えできず申し訳ありませんでした」と一言送るのも一つの方法です。それだけで、かなり気持ちは軽くなります。
まとめ「退職で菓子折りを渡さない」はマナー違反ではない
ここまでの内容を、あらためてコンパクトに整理しておきます。
- 退職時の菓子折りは、法律や就業規則で決まった義務ではない
- マナー解説でも、「必須ではなく、感謝を形にする一つの手段」とされている
- 渡さないと決めたときは、挨拶の言葉と態度を少し丁寧にするだけで十分
- 在籍期間が短い、パワハラがあった、経済的に厳しいなどの事情がある場合、無理に用意する必要はない
- それでも不安なら、1,000〜3,000円程度のささやかな菓子折りや、少人数へのプチギフトという選択肢もある
- 渡しそびれた、用意しなかったと後悔しても、後日メッセージでフォローすれば挽回できる
一番大事なのは、自分の心や生活を犠牲にしてまで「いい人」であろうとしないことです。そのうえで、「今回は挨拶だけにする」「部署だけにお菓子を置いておく」「上司にだけ個別にお礼をする」など、自分なりのバランスで決めればOKです。
「退職 菓子折り 渡さない」という選択は、決してマナー違反ではありません。感謝の気持ちさえきちんと伝えれば、十分に大人の対応と言えます。
