退職が近づいてくると、「菓子折りは用意したけれど、添えるメッセージが全然書けない」と悩む人はとても多いです。上司・同僚・パート仲間など相手もさまざまで、「失礼のない言い回しってどれ？」「短くても大丈夫？」と不安になりますよね。
この記事では、退職時に渡す菓子折りのメッセージ例文を知りたいポイントをまとめて、基本マナーから相手別・シーン別の文例、すぐ使えるテンプレまで一気に紹介します。
ビジネスマナーとして押さえておきたい注意点も、最新の情報を確認しながら整理しました。
このまま使えるフレーズだけでなく、「自分の言葉にアレンジしやすい型」もたくさん載せているので、カードや付箋を前にペンが止まってしまっている人でも、きっとピンとくる一文が見つかるはずです。
最後まで読めば、「これで安心して菓子折りを渡せる」と思える状態になっていることを目指して構成しています。
上品で失礼にならないための基本ルールとNG表現
退職の菓子折りに添えるメッセージは、とにかく「シンプルな感謝」と「前向きな言葉」が基本です。
ビジネスマナーの観点でも、退職のあいさつではお礼と今後の発展を願う言葉が中心とされています。
まず意識したいポイントは次の通りです。
- 感謝の言葉を必ず入れる
- 退職理由を書きすぎない
- 相手の今後を気づかう一文を足す
- 敬語を崩しすぎない
以下の点には注意して下さい。
- 仕事の不満や愚痴を書かない
- 会社や上司を批判するような文言を書かない
- 内輪でしか分からないブラックジョーク
退職理由が人間関係や会社への不満だったとしても、メッセージには出さないのがマナーです。
読む人は上司だけではなく、部署全体や別部署の人の可能性もあります。「長い間お世話になりました」「ご指導いただきありがとうございました」といった、誰が読んでも違和感のない表現が安全です。
また、ネガティブすぎる言葉も避けましょう。「心身ともにボロボロで限界でした」などは事情を知っている親しい同僚にはLINEで伝えるとして、菓子折りのカードには書かない方が無難です。
代わりに「新しい環境で一歩ずつ進んでいきます」「ここでの経験を糧に頑張ります」と、前向きな表現にすると印象がよくなります。
文章の長さは、名刺サイズのカードなら二～三行が目安です。長文になりすぎると読みづらくなってしまうので、「あいさつ一文＋感謝一文＋今後を祈る一文」の三つを基本形にすると、自然で上品なメッセージになりますよ。
まず覚えたい定番フレーズ＆よく使う言い回し
退職の菓子折りに添えるメッセージは、全部を自分で考えようとすると大変です。まずはどの職場でも使いやすい「定番フレーズ」を押さえておくと、アレンジするのがぐっと楽になります。
実際のマナー解説でも、感謝と今後の活躍を祈る一文がよく使われています。
使い回しやすい定番表現の一例です。
- 「これまで大変お世話になり、ありがとうございました。」
- 「皆さまのご健康とご活躍をお祈りしております。」
- 「在職中は温かいご支援ご指導を賜り、心より感謝申し上げます。」
- 「ささやかではございますが、感謝の気持ちを込めてお贈りいたします。」
- 「短い間でしたが、貴重な経験をさせていただきました。」
ここに自分の状況を一言足すと、ぐっとオリジナル感が出ます。例えば転職する場合なら「新しい環境でも、ここで学んだことを生かして努力してまいります。」とセットにするイメージです。
逆に迷ったときは、次のような「型」に当てはめてみてください。
これまで〇年間、大変お世話になりました。
皆さまのおかげで、充実した日々を過ごすことができました。
ささやかですが、感謝の気持ちを込めてお贈りいたします。
この型をベースに、「〇年間」「充実した日々」「今後のご活躍を」などの部分を入れ替えるだけでも、何パターンも作れます。
最初は完璧を目指しすぎず、「丁寧で無難」を目標にすると、書くハードルが下がりますよ。
カード・のし紙・付箋メモ…どれに書くのが正解？
退職の菓子折りにメッセージを添える方法はいくつかあります。一般的なのは「小さなメッセージカード」に書いて、箱の上やリボンに添える形です。カードなら二～三行の文章が書けるので、感謝と今後の一言まで入れやすいのがメリットです。
人数が多い職場や、共有スペースにお菓子を置いておく場合は、「皆さまへ」と書いたカードを箱の近くに立てておく方法もよく使われています。
その他の選択肢は次のようなイメージです。
| 書く場所 | 特徴 | 向いているケース |
|---|---|---|
| メッセージカード | 二～五行程度書ける | 一人ひとりに配る、部署宛て |
| 付箋メモ | 一言メッセージ向き | 個包装のお菓子に貼るとき |
| のし紙 | 表書きは「御礼」など | きちんとした会社や目上の多い職場 |
| 箱に直接シール | カジュアルで親しみやすい | 少人数、フランクな職場 |
フォーマル寄りの会社なら、「御礼」と書いたのし紙を掛けて、別途メッセージカードを添えると丁寧です。
一方、ベンチャー企業やアルバイト中心の職場なら、個包装のお菓子に小さなシールメモを貼るスタイルでも十分喜ばれます。
大事なのは、「誰に向けたお礼なのか」が分かるようにしておくことです。「〇〇部の皆さまへ」「〇〇店の皆さまへ」と書くだけでも、ぐっと伝わりやすくなりますよ。
手書きと印刷ならどっちが良い？それぞれのメリット・デメリット
最近は、パソコンで打った文章を小さなカードに印刷して添える人も増えています。手書きと印刷のどちらが良いかは絶対の正解はありませんが、それぞれにメリットとデメリットがあります。
手書きのメリット
- 温かみがあり、気持ちが伝わりやすい
- 相手の名前を一人ずつ書き分けられる
- 短い一言でも「わざわざ書いてくれた」と感じてもらえる
手書きのデメリット
- 人数が多いと書くのが大変
- 字に自信がないとプレッシャーを感じやすい
印刷のメリット
- 誤字脱字のチェックがしやすい
- 大人数向けの一括メッセージに向いている
- レイアウトを整えやすい
印刷のデメリット
- よそよそしいと感じる人もいる
- 個別の一言を入れにくい
もし時間と気力に余裕があれば、「全体宛ての文章は印刷」「上司や特にお世話になった人には手書きで一言プラス」という組み合わせがバランス良くおすすめです。
実際のマナー解説でも、感謝の気持ちを一言添えるだけでも十分とされています。
字に自信がない場合でも、丁寧に書こうとする気持ちが伝われば問題ありません。読みやすさを優先して、ゆっくり書くことを意識してみてください。
メッセージを書くタイミングと菓子折りを渡すときの一言
退職の菓子折りとメッセージは、「退職日当日～前日」に用意する人が多いです。あまり早すぎても実感がわかず、遅すぎるとバタバタしてしまうので、退職の一週間前までに文面を決めてカードを準備しておくと安心です。
菓子折りを渡すタイミングとしてよく紹介されているのは、次のような場面です。
- 朝礼や終礼など、人が集まるタイミング
- 最終日の業務終了後に部署全体へ
- 個別にあいさつ回りをしながら手渡し
- 共有スペースに置き、メールや口頭で一言知らせる
直接手渡しするときに添える短い一言の例としては、
- 「在職中は大変お世話になりました。ささやかですが皆さまでどうぞ。」
- 「いつもご指導いただきありがとうございました。感謝の気持ちです。」
- 「短い間でしたが、色々教えていただきありがとうございました。」
といった形が無難です。
メッセージカード自体は、前日までにしっかり書いておき、当日は「渡す順番」と「どの箱をどの部署に持っていくか」をメモしておくとパニックになりません。
立場の高い人から順に渡すのが基本なので、その順番も意識しておきましょう。
相手別メッセージ例文集（上司・先輩・同僚・後輩）
上司・目上の方に渡す菓子折りメッセージ例文
上司や目上の方へのメッセージでは、砕けすぎず、丁寧で落ち着いた表現を使うことが大切です。ビジネス向けの退職メッセージ文例でも、「ご指導」「ご厚情」「お礼申し上げます」といった言葉がよく使われています。
使いやすい例文をいくつか紹介します。
「在職中はひとかたならぬご指導を賜り、心より感謝申し上げます。ここで学んだことを忘れず、今後も精進してまいります。」
「〇年間、大変お世話になりました。未熟な私を温かく見守ってくださりありがとうございました。ささやかですが感謝の気持ちとしてお受け取りいただけますと幸いです。」
「日頃よりご指導ご鞭撻を賜り、誠にありがとうございました。教えていただいたことを今後の糧として頑張ってまいります。皆さまのご健康とご活躍をお祈り申し上げます。」
ポイントは、
- 相手の立場を立てる表現を入れる
- 自分が成長できたことへのお礼を入れる
- 今後も頑張る意思を一文添える
この三つです。
普段は比較的フランクに話す上司であっても、カードやのし紙に書く文章は少しだけかしこまった表現にしておくと安心です。
あまり畏まりすぎると距離を感じさせてしまうので、「いつも気にかけていただきありがとうございました」のような、素直な一文を足してバランスを取るとちょうどよくなります。
先輩・お世話になった人に向けた感謝メッセージ例文
直属の上司ほどではないけれど、仕事を教えてくれた先輩や、他部署で仲よくしてくれた人には、固すぎないけれど丁寧な文章が向いています。同じ「感謝」でも、少し言葉をやわらかくすると距離感がちょうど良くなります。
例として、次のような書き方があります。
「入社当初からたくさんフォローしてくださり、本当にありがとうございました。〇〇さんのおかげで仕事に慣れることができました。」
「忙しい中、いつも丁寧に教えてくださりありがとうございました。〇〇さんのような先輩を目標に、これからも頑張ります。」
「一緒にプロジェクトを進めた日々は、私にとって大きな財産です。今まで本当にお世話になりました。」
「助けていただいた場面」「印象に残っている出来事」を一文だけ入れると、既製の文例っぽさが薄れます。
例えば「初めてのプレゼン前に遅くまで練習に付き合ってくださったこと、今でも忘れません。」といった具体的な一文です。
ただしカードのスペースには限りがあるので、思い出話を長く書きすぎないのも大切です。
長くなりそうなときは、メッセージカードではコンパクトにまとめておき、別途メールやチャットで「改めてお礼を言いたくて」と少し長めのメッセージを送ると、より気持ちが伝わります。
同僚・同期に贈るカジュアル＆フランクなメッセージ例文
同僚や同期へのメッセージは、少しくだけた表現を使っても問題ありません。マナー解説でも、親しい同僚にはフレンドリーなメッセージでもよいとされています。
ただし菓子折りのカードは他の人の目にも触れる可能性があるので、スラングや強い表現は避け、「敬語ベース＋すこしくだけた言い回し」くらいを意識すると安心です。
例文としては次のような感じです。
「いつも支えてくれてありがとう。一緒に働けて本当に心強かったです。また落ち着いたらご飯に行きましょう。」
「忙しい時期を一緒に乗り越えられたのは、〇〇さんたちがいてくれたおかげです。これからもみんなの活躍を応援しています。」
「笑いながら働ける職場でいられたのは、同期のみんなのおかげです。これからも変わらず仲良くしてください。」
同僚あてのメッセージで気をつけたいのは、仕事の愚痴や人間関係に触れすぎないことです。「ここだけの話」と書きたくなっても、カードは回し読みされる可能性があります。
ちょっとした冗談を書く場合も、「分かる人だけがニヤッとする程度」におさえておくと安心です。
どうしても伝えたい本音は、後日個別のメッセージアプリなどで伝えると良いですね。
部下・後輩を励ます前向きメッセージ例文
自分より年下の後輩や部下への退職メッセージでは、感謝と同じくらい「励まし」や「期待」の言葉を入れると喜ばれます。
使いやすい例文は次の通りです。
「いつも前向きに仕事に取り組んでくれてありがとう。〇〇さんの成長する姿を見るのがうれしかったです。これからの活躍を楽しみにしています。」
「仕事を任せられる存在になってくれて、とても心強かったです。自信を持って、これからもどんどんチャレンジしてください。」
「こちらこそたくさん学ばせてもらいました。困ったときはチームで支え合える〇〇さんなら、これからも大丈夫だと思っています。」
上から目線になりすぎないように、「一緒に学んだ」「こちらも助けられた」といった表現を混ぜると、素直に受け取りやすくなります。
また、プレッシャーを与えすぎない言葉選びも大切です。「会社を背負って立つ存在になってください」よりも、「無理をしすぎず、〇〇さんらしく頑張ってください」の方が、相手の心に寄り添った表現になります。
短いカードであっても、「これからも応援しています」「体調に気をつけて」といった一文を添えることで、退職後も続く温かい関係をイメージしてもらえます。
取引先や他部署など社外・社内全体向けのビジネス例文
取引先や他部署など、顔見知りだけれど距離感がある相手には、よりビジネスライクな文章が適しています。社外向けの退職メッセージでは、会社の看板を背負っている意識を忘れないことが大切です。
例としては、次のような書き方が使いやすいです。
「在職中は格別のご高配を賜り、誠にありがとうございました。心より御礼申し上げます。」
「私事で恐縮ですが、〇月〇日をもちまして退職することとなりました。在職中は多大なるお力添えをいただき、厚く御礼申し上げます。」
「今後とも変わらぬご愛顧を賜りますよう、お願い申し上げます。」
菓子折りと一緒に渡すカードには、上記のような簡潔な文章を添え、退職の詳細や後任の連絡先などは別途メールで案内するのが一般的です。
社内の別部署宛てに共有スペースでお菓子を配る場合は、
「〇年間お世話になりました。日頃の感謝の気持ちを込めて、お菓子を置かせていただきました。ご自由にお召し上がりください。」
のような一文を書いたカードをそばに置いておくと、誰からの差し入れなのかが分かりやすくなります。
あくまでビジネスとしての礼儀を大切にしつつ、少しだけ温かさを感じる言葉を添えることがポイントです。
働き方・シーン別メッセージ例文
正社員・長年勤めた職場を退職するときのメッセージ例文
長年同じ職場で働いてきた正社員の退職は、自分にとっても周りにとっても大きな節目です。その分、メッセージには「感謝」と「これまでの時間の重み」を少し込めたいところです。
定年退職向けの文例でも、長年の貢献への感謝と今後の健康を願う言葉がよく使われています。
例えば次のような書き方があります。
「入社以来〇年間、皆さまと共に働けたことを誇りに思っています。多くのことを学ばせていただき、心より感謝申し上げます。」
「至らない点も多い中、温かく支えていただきありがとうございました。ここでの経験を大切に、次のステージでも精進してまいります。」
「長い間お世話になり、本当にありがとうございました。皆さまのご健康と、今後ますますのご発展をお祈りいたします。」
長く在籍していた分、色々な思いが溢れてきますが、菓子折りのカードには「気持ちをぎゅっと凝縮した三～四行」を目指すと読みやすくなります。
どうしても書きたいことが多い場合は、代表的な一文だけカードに書き、あとは退職メールや送別会のスピーチで思いを伝えるとバランスが取りやすいです。
感傷的になりすぎず、前向きな言葉で締めくくると、読み手の印象もやわらかくなります。
パート・アルバイト退職のときに使えるメッセージ例文
パートやアルバイトとして働いていた場合は、勤務時間や立場の違いから、正社員よりもカジュアルな関係性であることが多いです。
その分、メッセージも少しやわらかめの表現を使いやすいのが特徴です。パート退職向けの例文でも、感謝を伝えつつ、気さくな言い回しが紹介されています。
例としては、
「短い間でしたが、大変お世話になりました。皆さんと一緒に働けてとても楽しかったです。」
「シフトの調整や急なお願いにも柔軟に対応してくださり、ありがとうございました。」
「教えていただいたことを、これからの生活にも生かしていきたいと思います。」
といった文が使いやすいです。
同じ店舗やフロアで一緒に働いていた人が多い場合は、
「〇〇店の皆さまへ いつも温かく声をかけてくださり、ありがとうございました。ささやかですが感謝の気持ちを込めて、お菓子を用意しました。」
のように、「店舗名＋皆さまへ」と書くと分かりやすくなります。
学生アルバイトなら、「テスト期間に配慮してくださって助かりました」「初めての社会経験として貴重な時間になりました」のように、自分の立場だからこそ言える感謝を一文添えると、より心が伝わるメッセージになります。
寿退社・出産・育休などおめでたい退職のメッセージ例文
結婚や出産、育休に伴う退職の場合は、周りから見てもおめでたい門出です。その雰囲気に合うように、自分のメッセージも少し明るく前向きにまとめると良いでしょう。
一方で、自分の状況を詳しく書きすぎる必要はありません。結婚相手の内容や家庭の事情など、プライベートに踏み込みすぎる情報は避け、「新しい生活」くらいのぼんやりした書き方にしておくと安心です。
例文は次のようなイメージです。
「私事で恐縮ですが、このたび結婚に伴い退職することになりました。在職中は温かく見守っていただき、本当にありがとうございました。」
「出産と育児に専念するため、〇月で退職いたします。皆さまのおかげで、安心して新しい生活を迎えられそうです。」
寿退社の場合でも、「寿」「おめでたい」といった言葉を自分で何度も強調しすぎると、読み手によっては少し気になることがあります。
「このたび結婚することとなり」「新しい生活を始めることになり」くらいの穏やかな言い回しの方が、読み手にとっても自然に受け止めやすくなります。
体調不良・家庭の事情などデリケートな理由の書き方と例文
体調不良や家族の介護など、デリケートな理由で退職する場合は、「詳しく書かない」ことが基本です。
マナーの観点でも、退職の理由を詳しく説明する必要はなく、「一身上の都合」「家庭の事情」程度の記載にとどめるのが一般的とされています。
メッセージカードには、次のような書き方が無難です。
「一身上の都合により退職することとなりました。在職中は温かくご支援いただき、誠にありがとうございました。」
「私事で恐縮ですが、家庭の事情により退職いたします。皆さまには多大なご迷惑をおかけしてしまうことをお詫び申し上げますとともに、これまでのご厚情に心より感謝申し上げます。」
もし体調面が理由である場合も、
「体調面を考慮し、新しい環境で療養に専念することにいたしました。」
程度の表現にとどめ、「病名」や「詳細な状況」は書かない方が安心です。読む側も、あまり重たい情報をカードで知るとどう反応してよいか迷ってしまいます。
その代わり、「皆さまの支えがあったからこそここまで頑張ることができました」「温かい言葉にいつも励まされました」といった感謝の言葉を多めに入れると、前向きな印象で読み終えてもらえます。
転職・キャリアアップで退職するときの前向きメッセージ例文
転職やキャリアアップのための退職は、ネガティブな理由ではないものの、「今の会社に不満があって辞める」と受け取られないような書き方が大切です。
ポイントは、
- 今の職場への感謝をしっかり書く
- 新しい挑戦に前向きであることをさらりと触れる
- 「ここでの経験を生かす」という一文を入れる
この三つです。
例文としては、
「このたび新たな環境で挑戦することを決意し、退職することになりました。ここでの経験がなければ踏み出せなかった一歩だと感じています。」
「在職中は多くのことを学ばせていただき、心より感謝しております。新しい職場でも、皆さまから学んだ姿勢を忘れずに励んでまいります。」
「突然のご報告となり申し訳ございませんが、今後とも変わらぬご活躍をお祈り申し上げます。」
といった形が使いやすいです。
「もっと成長できる場所を求めて」などの表現は、人によっては「今の職場では成長できないと感じている」と受け取られてしまうこともあります。
菓子折りのメッセージでは、「ここでの経験があったからこそ」「背中を押していただいたおかげで」という方向の言い回しを選ぶと、角が立ちません。
文の長さ別・すぐ使えるテンプレート集
付箋にも書ける「一言」で伝わる短いメッセージ例文
個包装のお菓子に小さなシールや付箋を貼る場合は、本当に一言しか書けません。その分、要素を欲張らず「感謝＋一言」のシンプルな形にまとめるのがおすすめです。
パート退職向けの解説でも、短くても感謝が伝わる一言メッセージが紹介されています。
すぐ使える一言の例としては、
- 「お世話になりました。感謝の気持ちです。」
- 「今までありがとうございました。」
- 「短い間でしたが、ありがとうございました。」
- 「大変お世話になりました。またお会いできますように。」
- 「皆さまのご健康とご活躍をお祈りしています。」
などがあります。
付箋サイズだと、名前を書くスペースも含めて二行くらいが限界です。どうしてももう少し気持ちを足したい場合は、「お世話になりました。感謝の気持ちを込めて。」のように、文を詰めて書くとおさまりやすくなります。
一言メッセージは、字の丁寧さがとても目立ちます。内容で差をつけようと頑張りすぎるよりも、「ゆっくり、読みやすく書く」ことを意識すると、相手に与える印象がぐっと良くなりますよ。
名刺サイズのカードにちょうど良いメッセージ例文
名刺サイズのカードは、退職の菓子折りに添えるメッセージとしてよく使われるサイズです。三～五行ほど書けるので、「あいさつ＋感謝＋今後の一文」まで入れることができます。
テンプレートとして使いやすい形を一つ紹介します。
皆さまには在職中、大変お世話になりました。
未熟な私を支えていただき、心より感謝申し上げます。
ここでの経験を生かし、新たな環境でも励んでまいります。
ささやかですが、感謝の気持ちとしてお受け取りください。
この型から、二行目を「温かく接してくださり」に変えたり、「新たな環境」を「次の職場」に変えたりすると、自分の状況に合った文章になります。
名刺サイズのカードで気をつけたいのは、余白を残すことです。びっしりと文字で埋めてしまうと読みづらくなり、かえって印象が重くなります。文章が少し短いかなと思うくらいでも、読み手にとってはちょうどよい長さであることが多いです。
しっかり気持ちを伝えたい人向けの長めメッセージ例文
特にお世話になった上司や先輩、一緒に大きな仕事を乗り越えたメンバーなどには、少し長めのメッセージを書きたいこともあります。その場合は、一般的な文例で紹介されている構成を参考にすると書きやすくなります。
構成の例は次の通りです。
- 退職の報告
- 感謝の言葉
- 印象に残っているエピソードを一つ
- 今後への抱負
- 相手の健康や活躍を祈る言葉
これに沿って書いた例を挙げると、
このたび一身上の都合により退職することとなりました。
入社当初から、仕事の基礎だけでなく社会人としての姿勢まで教えていただき、心より感謝しております。
特に、初めてのプロジェクトでうまくいかなかったときに、遅くまで残って一緒に改善点を考えてくださったことは忘れません。
ここで学んだことを胸に、新しい環境でも一歩ずつ成長していきたいと思います。
末筆ながら、皆さまのご健康とますますのご活躍をお祈り申し上げます。
といった形になります。
長く書くときは、読み手の負担を考えて、一文を短く区切ること、改行を多めに入れることを意識しましょう。
職場全体宛てに使える汎用メッセージテンプレート
「部署全体」「店舗全体」「会社全体」など、大勢に向けて書くメッセージは、誰が読んでも違和感のない表現にまとめることが重要です。
そのまま使える汎用的なテンプレートをいくつか用意しました。
テンプレート1（オーソドックス）
在職中は大変お世話になりました。
皆さまのおかげで、充実した日々を過ごすことができました。
心ばかりではございますが、感謝の気持ちとしてお納めください。
テンプレート2（少しくだけた職場向け）
〇年間、本当にお世話になりました。
皆さまと一緒に働けてとても楽しかったです。
ささやかですが、日頃の感謝の気持ちを込めてお菓子を用意しました。どうぞお召し上がりください。
テンプレート3（転職・キャリアアップの場合）
このたび新たな環境に挑戦するため、退職することになりました。
ここでの経験があったからこそ、次の一歩を踏み出す決心ができました。
これまで本当にありがとうございました。皆さまのご健勝とご活躍をお祈りいたします。
少しずつ言葉を入れ替えるだけで、多くのパターンを作れます。職場の雰囲気に合わせて、かしこまり度合いを調整してみてください。
個包装のお菓子1つずつに貼れるメッセージ例文
最近は、クッキーやキャンディーなど個包装のお菓子一つひとつに、シールタイプのメッセージを貼る人も増えています。スペースはかなり限られるので、「一言＋名前」のシンプルな形がおすすめです。
使いやすい例文をいくつか紹介します。
- 「ありがとうの気持ちを込めて 〇〇」
- 「お世話になりました 〇〇」
- 「感謝をこめて 〇〇」
- 「今までありがとうございました 〇〇」
- 「またどこかで 〇〇」
職場全体宛てのカードと組み合わせる場合は、カードの方でしっかりした文章を書き、個包装のお菓子には「ありがとう」だけを書いておくとバランスが取れます。
シールや付箋は色や柄も目に入るので、メッセージ自体は控えめでも気持ちは十分伝わります。かわいいイラスト入りのシールにするか、シンプルな無地にするかは、職場の雰囲気や年齢層に合わせて選ぶとよいですね。
失敗しない菓子折り選びとメッセージの工夫アイデア
人数別・部署別に考える菓子折りの選び方と添え書き例文
菓子折りはメッセージとセットで考えると選びやすくなります。マナー解説では、退職時のお礼として渡すお菓子は、個包装で分けやすく、常温で日持ちするものが勧められています。
人数やシーン別にまとめると、次のようなイメージです。
| 職場の規模 | おすすめのお菓子 | メッセージのポイント |
|---|---|---|
| 数十人規模の部署 | 個包装の焼き菓子・小袋のおせんべい | 「皆さまで」など全体宛ての表現 |
| 少人数のチーム | 箱入りの詰め合わせ、少し良いブランド菓子 | 「〇〇チームの皆さまへ」と宛名を書く |
| 店舗・フロア全体 | まとめて置ける大箱の詰め合わせ | 共有スペースに置き、カードで案内 |
添え書きの例としては、
「日頃の感謝の気持ちを込めて、お菓子を用意しました。お好きなものをお取りください。」
「お忙しい中とは思いますが、休憩時間のおともにしていただければうれしいです。」
といった一文が使いやすいです。
高価すぎるものを選ぶと、かえって気をつかわせてしまうこともあります。
一般的には、部署全体への菓子折りなら数千円程度が目安とされることが多いので、その範囲で無理なく選び、メッセージで気持ちを補うとよいでしょう。
20代・30代・40代以上など年代別の言葉選びのポイント
同じ職場でも、年代によって響きやすい言葉は少しずつ違います。とはいえ、あまり神経質になる必要はなく、基本は「丁寧な敬語＋素直な感謝」であればどの世代にも通用します。
20代や同世代向けには、
- 「一緒に働けて楽しかったです」
- 「またご飯に行きましょう」
といった、少しくだけた表現を混ぜやすいです。一方、40代以上の上司や先輩には、
- 「ご指導いただきありがとうございました」
- 「学ばせていただいたことを今後も大切にしていきます」
のような、相手を立てる言い回しを意識すると、より丁寧な印象になります。
ただし、年齢で分けすぎると不自然になることもあります。同じ40代でもフランクに接してくれる人もいれば、とてもかしこまったスタイルを好む人もいます。
実際は「その人との距離感」を優先しつつ、失礼にならないラインを守るのが一番です。
迷ったときは、上の世代には少しだけ丁寧寄り、下の世代には少しだけやわらかい表現、を意識すると大きく外すことはありません。
堅めの職場・フランクな職場での書き分け方と例文
金融機関や公的機関など、いわゆる「堅めの職場」では、メッセージもきちんとした言葉遣いが好まれます。
一方、ベンチャー企業やクリエイティブ系の会社では、少しくだけた表現の方が雰囲気に合うことも多いです。
堅めの職場向けの例文は、
「在職中は多大なご指導ご支援を賜り、誠にありがとうございました。」
「皆さまのご健康と、ますますのご発展を心よりお祈り申し上げます。」
といった、いわゆるビジネス文書に近い表現が基本になります。
フランクな職場向けには、
「いつも温かく声をかけてくださり、ありがとうございました。」
「大変なこともありましたが、皆さんとだったから頑張れました。」
のように、少し友達に話すような表現を混ぜると自然です。
ただし、どんな職場でも「会社全体宛て」のメッセージは少しだけかしこまる方が安全です。フランクにするなら、「同期だけ」「同じチームだけ」といった、範囲が限られた相手向けに留めておくと安心です。
本音と建前をうまく混ぜた「ちょうどいい距離感」のアレンジ例
退職メッセージを書くとき、「本音では不満もあったけれど、全部きれいごとでまとめるのも違う気がする」とモヤモヤする人も少なくありません。ただ、菓子折りに添えるメッセージはあくまで公的な場で読まれるものなので、本音をすべて書く必要はありません。
そのうえで、「ちょっとだけ自分らしさ」を出すアレンジの仕方を考えてみましょう。
例えば、「忙しくて本当にきつかった」という本音があるなら、
「忙しい日々でしたが、多くのことを学ばせていただきました。」
と書き換えることができます。「人間関係に悩んだ」なら、
「さまざまな経験を通して、自分自身と向き合う機会をいただきました。」
といった表現で、少しだけにおわせつつ、前向きな言葉でまとめることもできます。
大事なのは、読み手がどう感じるかです。メッセージを受け取った人が、少しでも温かい気持ちになってくれたら、それが一番の「本音」だと考えて書いてみると、ちょうどよい距離感の文章になりやすくなります。
メール・社内チャット・SNSと組み合わせたメッセージ活用術
最近は、菓子折りに添えるカードだけでなく、社内メールやチャットツール、SNSなどと組み合わせて退職のあいさつをするケースも増えています。マナー解説でも、菓子折りと合わせて退職メールを送る方法が紹介されています。
おすすめの組み合わせ方は次の通りです。
- カードは短く、「お世話になりました」の要約だけ
- 詳しいお礼やエピソードは、部署宛てメールで丁寧に
- 特にお世話になった人には、個別チャットで少し長めのメッセージ
この三段構えにすると、それぞれの媒体の良さを生かせます。カードは保管する人もいるため、あまりプライベートな内容を書かない一方、チャットやSNSではもう少しくだけた本音も書きやすいでしょう。
また、共有スペースに置いた菓子折りについて、「本日、休憩スペースにお菓子を置かせていただきました。お時間のあるときにお立ち寄りください。」とメールやチャットで知らせておくと、取りに行きやすくなります。
媒体ごとに「誰が読むか」「どこまで残るか」を意識しながら、使い分けてみてください。
まとめ
退職時の菓子折りとメッセージは、「絶対にこうしなければいけない」という厳格な決まりはありません。ただ、一般的なマナーとしては、
- 菓子折りは個包装で日持ちするものを選ぶ
- 渡すタイミングは最終日付近で、感謝の一言を添える
- メッセージはシンプルな感謝と前向きな言葉を中心にする
といったポイントが押さえられていれば十分とされています。
この記事では、退職時に菓子折りのメッセージ例文」を知りたいであろう、
- 基本マナーとNG表現
- 相手別・シーン別の文例
- 文の長さ別テンプレート
- 菓子折り選びとメッセージの工夫
までを一通りまとめました。
文例はあくまで「たたき台」です。気に入ったフレーズをベースに、自分の言葉やエピソードを一文足すだけで、ぐっとオリジナルらしくなります。
大切なのは、完璧な文章を目指すことよりも、「お世話になりました」「ありがとうございました」という気持ちを言葉にしてみることです。カード一枚、付箋一枚でも、そこに込められた思いはきちんと相手に届きます。
退職という節目が、あなたにとっても、送り出してくれる職場の人にとっても、温かい記憶として残るよう、ぜひメッセージ作りの参考にしてみてください。
