クリスマスが近づくと、どこからともなく聞こえてくる「あわてんぼうのサンタクロース」。
子どものころから当たり前のように聞いてきた歌だからこそ、いざ「この歌ってどこで生まれたの」と聞かれると、意外と答えに迷ってしまうものです。
外国の定番曲のようにも感じますし、日本の童謡のようにも感じます。
しかも、調べてみると1967年、1968年、1971年と年号まで分かれていて、ますます混乱しやすくなっています。
そこでこの記事では、日本生まれの歌なのかという結論から、作詞作曲を手がけた人物、初出資料として確認できる本、そして年代が分かれて見える理由まで、公開資料をもとにわかりやすく整理しました。
読み終えるころには、この歌の由来を人に説明しやすくなり、毎年なんとなく聞いていた一曲が少し特別に感じられるはずです。
「あわてんぼうのサンタクロース」の発祥国について
「あわてんぼうのサンタクロース」は日本生まれの歌なのか
結論からいうと、この歌は日本で作られた子どもの歌として理解するのが自然です。
理由ははっきりしていて、NHK出版の関連楽譜では作詞が吉岡治、作曲が小林亜星と示されており、曲集「こどものうた楽譜集 第2集」に収められた作品として扱われています。
さらに、キングレコードのクリスマス作品一覧を見ると、「赤鼻のトナカイ」や「サンタが町にやってくる」などは海外の作家名で並んでいるのに対し、この歌だけは日本人の作家名で記されています。
そのため、海外曲の訳詞版ではなく、日本語の歌として最初から作られた楽曲と考えてよいでしょう。
検索すると「外国のクリスマスソングなのでは」と感じている人も多いのですが、確認できる公開資料の範囲では、日本の作者による国内発の歌として整理するのがいちばん正確です。
海外のクリスマスソングではないといわれる理由
この歌が海外曲だと思われやすいのは、題材がサンタクロースだからです。
クリスマスの定番には、もともと欧米で生まれた歌が多く、公式のコンピレーションでも「ジングル・ベル」「きよしこのよる」「サンタが町にやってくる」など、海外作家による曲がずらりと並びます。
その並びの中にこの歌も入っているため、雰囲気だけで同じ系統の輸入曲だと受け取られやすいのです。
けれども、公開されている楽譜情報では、作詞と作曲の両方が日本人名で明記され、しかもNHK出版提供の楽譜として扱われています。
原題の英語名や訳詞者名が前面に出る海外曲とは、資料の見え方そのものが違います。
つまり、見た目はクリスマスの洋風イメージをまとっていても、作品の出自は日本の子どもの歌だと考えるのが妥当です。
発祥をひとことで説明するならどうなるか
ひとことで言うなら、この歌は「日本の作詞家と作曲家が手がけ、NHK系の子どもの歌として広まったクリスマスソング」です。
とくに重要なのは、発祥を「国」で答えるだけでは少し足りないことです。
この歌の成り立ちを正確に伝えるには、日本で作られたことに加えて、NHK出版の楽譜集に早い時期から収録されていたこと、そして「おかあさんといっしょ」と結びついて記録されていることまで押さえる必要があります。
だから、「日本の歌です」で終えるより、「日本で作られ、NHKの子どもの歌として親しまれた作品です」と言い切るほうが、読んだ人の疑問をきれいに解消できます。
検索意図にしっかり応えるには、この一文を土台にして、作者と年代の話を続けていくのがわかりやすい流れです。
まず最初に知っておきたい要点
まず押さえておきたいのは、作詞が吉岡治、作曲が小林亜星という点です。
次に大切なのは、NHK出版の商品ページで「こどものうた楽譜集 第2集」の発売日が1967年9月1日と案内されていることです。
この情報があるため、少なくとも1967年9月の時点では、作品として世に出る段階に達していたと判断できます。
一方で、手元資料の確認記録では1968年7月20日第1刷発行とする情報もあり、さらに辞典では1971年発表とされるため、年代だけを見ると少し混乱しやすい歌でもあります。
この記事では、そのズレをそのままにせず、どこまで断定できるかを資料ごとに整理していきます。
誰が作りいつごろ広まったのか
作詞の吉岡治はどんな人物か
吉岡治は、日本の歌謡曲史を語るうえで欠かせない作詞家としてテイチクの公式ページでも紹介されています。
同ページの追悼盤収録曲を見ると、「天城越え」「大阪しぐれ」「さざんかの宿」「真夜中のギター」など、今も広く知られる作品が並んでいます。
つまり、この歌を書いた人は、子どもの歌だけを専門にしていたのではなく、大人向けの歌謡曲でも強い印象を残した書き手でした。
その一方で、資料上はこの歌の作詞者として一貫して名前が示されており、歌謡曲の大作家が子ども向けの季節歌にも力を注いでいたことがわかります。
軽やかで覚えやすいことば運びの裏に、言葉のリズムを知り尽くした作詞家の技術があると考えると、この歌が長く歌い継がれてきた理由も見えやすくなります。
作曲の小林亜星はどんな人物か
小林亜星については、アストロミュージックの公式プロフィールがとてもわかりやすいです。
そこでは、CMソング、ドラマ音楽、アニメ音楽、歌謡曲まで幅広く手がけた作曲家として紹介されており、「ピンポンパン体操」の大ヒットや、日本レコード大賞受賞歴にも触れられています。
つまり、耳に残るメロディーを作ることに非常に強い作曲家だったわけです。
この歌も、音の動きそのものはむずかしくないのに、一度聞くと忘れにくい作りになっています。
子どもが口ずさみやすく、大人もすぐ思い出せる旋律になっているのは、小林亜星の得意分野ときれいに重なっています。
初出としてよく挙がる『NHKこどものうた楽譜集 第2集』とは
この歌の初出資料としてまず確認したいのが、NHK出版の「こどものうた楽譜集 第2集」です。
NHK出版の商品ページには、この本が1967年9月1日発売で、「おかあさんといっしょをはじめ、NHK教育テレビからうまれた人気ソングのオリジナル楽譜を収載した楽譜集」と説明されています。
そして、NHK出版提供の個別楽譜ページでは、この歌がその曲集からの楽譜であることが明記されています。
この二つの情報を合わせると、この歌はかなり早い時点からNHK系の子どもの歌の文脈で整理されていたことがわかります。
発祥を知りたいときに、単に「いつの歌か」を探すだけでなく、「どの資料にどう載っているか」を見るべきなのはこのためです。
子どもの歌として定番になった背景
この歌が特別なのは、一度きりの季節曲で終わらず、長いあいだ使われ続けてきたことです。
NHK出版は2021年にも「子どものための人気のうた ベスト50」にこの歌を収録しており、半世紀以上を経ても現役の定番として扱っています。
また、キングレコードの近年のクリスマスアルバムでも収録曲として採用され、作詞・作曲のクレジットも明示されています。
古い作品が今も歌われるのは、懐かしさだけでなく、子ども向けの場面で実際に使いやすいからです。
覚えやすい長さ、場面がはっきり浮かぶ内容、そして季節感の強さがそろっているからこそ、園や学校、家庭で繰り返し選ばれてきたのでしょう。
1967年・1968年・1971年で情報が分かれるのはなぜか
1967年説はどんな資料や説明をもとにしているのか
1967年という年を支える一番強い資料は、NHK出版の商品ページです。
そこには「こどものうた楽譜集 第2集」の発売日が1967年9月1日と明記されています。
さらに、NHK出版提供の個別楽譜ページでも、この歌は「NHKこどものうた楽譜集 第2集(1967年発売)」の曲として示されています。
このため、少なくとも公開されているNHK系の書誌情報を基準にするなら、1967年にすでに作品が世に出ていたとみるのが自然です。
検索で年号がぶれたときは、まず公式の商品ページに戻るという見方が有効です。
1968年説はどんな資料から確認できるのか
一方で、1968年という年も完全に無視できません。
資料を実際に確認した記録では、「NHKこどものうた楽譜集 第2集」の手元本の奥付に「1968年7月20日第1刷発行」とあることが示されています。
しかも同じ記録では、前書きにあたる「刊行にあたって」が昭和42年9月表記になっているため、編集や準備は1967年の段階で進んでいたこともうかがえます。
つまり、1967年は発売予定や書誌上の扱い、1968年は手元本の初刷表記というように、見ている場所が違うために年号の差が出ている可能性があります。
ここは「どちらかが必ず誤り」と決めつけるより、書誌情報と現物の刷表示が食い違って見えるケースとして理解したほうが、実態に近い整理になります。
1971年説が出てくる理由
さらにややこしいのが、辞典類で1971年発表とされている点です。
コトバンクのデジタル大辞泉では、この歌を「昭和46年、1971年発表」としています。
ただし、同じ曲についてNHK出版側には1967年発売の曲集情報があるため、1971年を最初の公開年とみなすのは整合しません。
このため、1971年は初出年ではなく、別の掲載年、放送上の扱い、あるいは後年広く参照された年を指している可能性がありますが、公開資料だけではそこまでは断定できません。
年代情報が一つだけあっても、それをそのまま信じるのではなく、初出資料と突き合わせることが大切です。
記事ではどこまでを断定し、どこからを注記すべきか
この記事でいちばん安全なのは、「少なくとも1967年9月1日までには成立し、NHK出版の曲集に載っていた」と書くことです。
1968年については、現物確認記録に基づく初刷表記として紹介するのが適切です。
1971年については、辞典にその表記があることは事実ですが、初出年としてはNHK出版の資料と食い違うため、そのまま断定しないほうが読者に誠実です。
つまり、「1967年以前から存在していた可能性が高い」ではなく、「1967年9月発売資料で確認できる」が事実ベースの書き方です。
年号がぶれるテーマほど、強い言い切りよりも、確認できた資料の種類まで書くほうが信頼されます。
歌の魅力と読者があわせて知りたいこと
歌詞の内容はどんな話なのか
この歌は、クリスマスより少し早くやってきたサンタクロースが、家をのぞき、失敗し、踊り、また帰っていくまでを描く楽しい物語です。
一般的なクリスマスソングが「聖なる夜」や「雪景色」を歌うのに対して、この歌は動きのある出来事そのものを歌っています。
しかも内容は説教くさくなく、失敗するサンタの姿をユーモラスに見せるつくりです。
子どもは、立派で完璧な主人公より、ちょっとドジで親しみやすい登場人物にひかれやすいものです。
この歌が長く親しまれてきたのは、サンタを遠い存在にせず、目の前で騒いでいる愉快なおじいさんとして描いた点にもありそうです。
なぜ長く愛されるクリスマスの定番になったのか
長く歌われる歌には、覚えやすい形があります。
この歌には、鐘の音、落ちる音、踊るリズム、タンバリンの響きのような擬音が並び、子どもが声に出したくなる仕掛けが最初から埋め込まれています。
J-Lyricの解説でも、番ごとに異なる擬音があり、幼児にも覚えやすい歌だと説明されています。
さらに、NHK出版が2021年のベスト曲集にも収録していることから、教材や家庭向けの歌として今なお需要があることがうかがえます。
季節が来るたびに歌う理由がはっきりしていて、しかも楽しいから、毎年自然に思い出されるのです。
「外国の歌っぽい」と思われやすい理由
この歌が外国っぽく感じられるのは、まず題名にサンタクロースが入っているからです。
加えて、クリスマスの曲集には海外の名曲が多く、公式の収録一覧でも周囲の曲に外国人作家の名前が並ぶため、感覚的に同じ出どころだと思いやすくなります。
けれども、作詞と作曲のクレジットを見れば、この歌は日本人の作者による作品です。
つまり、雰囲気は洋風でも、中身は日本語のリズムで作られた日本の歌なのです。
このギャップがあるからこそ、「実は日本生まれだったのか」と知ったときに印象に残りやすいのだと思います。
子どもに説明するときのやさしい伝え方
子どもに伝えるなら、「外国の歌を日本語にしたもの」ではなく、「日本で作られたサンタさんの歌だよ」と言えば十分です。
そのうえで、「このサンタさんは少しあわてんぼうで、早く来てしまって、失敗して、でも楽しそうに帰っていくんだよ」と説明すると、内容もすぐ伝わります。
年号まで細かく話す必要はありませんが、大人向けには「少なくとも1967年のNHK出版の曲集で確認できる」と添えると、ぐっと正確になります。
子どもにとって大切なのは、正解を暗記することより、「この歌にはちゃんと作った人がいて、日本で大事に歌われてきたんだ」と感じられることです。
そんなふうに伝えると、ただの季節の歌ではなく、受け継がれてきた歌として聞こえ方が変わってきます。
「あわてんぼうのサンタクロース」発祥国についてまとめ
この歌の発祥を調べるとき、いちばん大事なのは「海外の曲か、日本の曲か」を最初にはっきりさせることです。
公開資料から確認できる範囲では、作詞は吉岡治、作曲は小林亜星で、日本で作られた子どものクリスマスソングとして整理するのが適切です。
年代については、NHK出版の書誌情報では1967年9月1日発売の曲集に収められ、現物確認記録では1968年7月20日第1刷発行の本があり、辞典では1971年発表という表記も見られます。
だからこそ、もっとも信頼しやすい書き方は、「少なくとも1967年9月発売のNHK出版資料で確認できる日本の歌」とすることです。
この整理ができれば、ただ「いつの歌か」を知るだけでなく、なぜ今でも親しまれているのかまで、すっきり理解できるはずです。
- NHK こどものうた楽譜集 第2集 | NHK出版
- 〖楽譜〗あわてんぼうのサンタクロース / (ピアノ・伴奏譜(弾き語り)/初中級)提供:NHK出版 | 楽譜@ELISE
- Happy Kids X’mas! クリスマス・ソング ベスト-パーティのためのBGMつき- | KING RECORDS STORE
- オムニバス「追悼盤 吉岡治作品集」:TECE-39928 | TEICHIKU RECORDS
- ASEI KOBAYASHI | アストロミュージック出版株式会社
- なっとく童謡・唱歌 新しいテレビ童謡;あわてんぼうのサンタクロース,いっぽんでもニンジン,パンの唄,北風小僧の寒太郎,さんぽ,幸せなら手をたたこう,だれかが口笛ふいた,ひげなしゴゲジャバル
- あわてんぼうのサンタクロース(アワテンボウノサンタクロース)とは? 意味や使い方 | コトバンク
- あわてんぼうのサンタクロース/クリスマスソング 歌詞 | J-Lyric.net
- 永久保存版 子どものための人気のうた ベスト50 〈ピアノ伴奏譜つき〉 | NHK出版
