MENU

「膨大」と「莫大」の違いは?意味・使い分け・例文を3分でわかりやすく解説

「膨大」と「莫大」の違いは?意味・使い分け・例文を3分でわかりやすく解説

「膨大な費用」と「莫大な費用」は、どちらが正しいのでしょうか。

二つとも非常に大きいことを表すため、文章を書いている途中で迷った経験がある人も多いでしょう。

結論からいうと、「膨大」は情報や作業などの量や内容に使いやすく、「莫大」は財産や費用などの金額や価値に使いやすい言葉です。

ただし、費用、予算、損失のように、どちらも使えるケースがあります。

この記事では、「膨大」と「莫大」の意味やニュアンスを比較し、具体的な例文とともに使い分け方を解説します。

「甚大」「多大」「絶大」との違いも整理するので、文章に合った言葉を迷わず選べるようになります。

目次

「膨大」と「莫大」の違いを最初に理解しよう

一言でいうと「膨大」は量や内容、「莫大」は金額や価値に使いやすい

「膨大」は、物事の量、規模、内容などが非常に大きい様子を表す言葉です。

「膨大なデータ」「膨大な資料」「膨大な作業量」のように、数え切れないほど多かったり、全体を扱うのが難しいほど大きかったりするものに使われます。

一方の「莫大」は、程度や数量がこの上なく大きい様子を表す言葉です。

特に「莫大な財産」「莫大な費用」「莫大な利益」のように、金額や価値として大きさを捉えやすいものに使われる傾向があります。

精選版日本国語大辞典では、「莫大」を「程度・量がひじょうに大きいさま。この上ないさま」と説明しています。

また、デジタル大辞泉の用法解説では、「額」「量」「財産」など、数量として捉えられるものに使うことが多いとされています。

ただし、「膨大は量だけ」「莫大はお金だけ」という厳密な決まりがあるわけではありません。

「膨大な費用」と「莫大な費用」は、どちらも自然な日本語です。

違うのは、言葉が伝える印象です。

「膨大な費用」は、費用の項目や総量が積み上がって大きくなった印象を与えます。

「莫大な費用」は、支払う金額の大きさを強く印象づけます。

最初は、次のように覚えると使い分けやすくなります。

資料、情報、データ、作業などの多さを伝えたいときは「膨大」が自然です。

財産、利益、費用、損失などの金額的な大きさを強調したいときは「莫大」が自然です。

「膨大」と「莫大」の違いが分かる比較表

二つの言葉の違いを、対象とニュアンスに分けて整理すると次のようになります。

比較する点膨大莫大
読み方ぼうだいばくだい
基本的な意味形、内容、数量などが非常に大きい程度や数量がこの上なく大きい
得意な対象情報、資料、データ、作業、時間、人員財産、費用、利益、借金、損失
中心となる印象量や内容がふくれ上がっている金額や程度が並外れて大きい
自然な例膨大な資料を整理する莫大な財産を築く
両方使える例膨大な費用がかかる莫大な費用がかかる
人数との相性人員などには使える人数には通常使わない

「膨大」は、現在では「厖大」とほぼ同じ意味で使われています。

デジタル大辞泉は「厖大」を、形や内容が非常に大きいこと、または数量が極めて多いことと説明しています。

このため、「膨大」は目に見える数だけでなく、内容の広さや処理しなければならない範囲の大きさも表せます。

たとえば、一つひとつは小さな情報でも、何百万件も集まれば「膨大なデータ」になります。

資料の冊数が多いだけでなく、内容が複雑で読み切れない場合にも「膨大な資料」と表現できます。

「莫大」は、単純な個数よりも、その結果として生じる価値や負担の大きさを強く感じさせる言葉です。

「莫大な利益を得た」と聞けば、細かな取引件数よりも、最終的に得た金額の大きさが意識されます。

「莫大な損失を出した」と聞けば、損失の内訳よりも、経営に影響するほど深刻な規模だったことが伝わります。

迷ったときに使える簡単な判断方法

どちらを使うべきか迷ったら、後ろに続く言葉を「積み重なった量」として見ているのか、「金額や価値の大きさ」として見ているのかを考えましょう。

積み重なった量や範囲に注目するなら、「膨大」が向いています。

「調査によって膨大な資料が集まった」という文章では、大量の資料が集積している様子が伝わります。

「新しい制度の導入には膨大な作業が必要だ」という文章では、数多くの手続きや準備をしなければならないことが分かります。

金額や影響の大きさに注目するなら、「莫大」が向いています。

「施設の建設には莫大な費用がかかる」という文章では、負担しなければならない金額の大きさが強調されます。

「その発明は会社に莫大な利益をもたらした」という文章では、得られた利益が普通の規模ではないことを表せます。

迷ったときには、次の質問を自分にしてみてください。

「多すぎて扱い切れない」と言いたいのであれば、「膨大」が第一候補です。

「大きすぎて驚くほどだ」と言いたいのであれば、「莫大」が第一候補です。

ただし、この判断方法は絶対的な文法規則ではありません。

文章全体で何を強調したいかによって、同じ名詞でも選ぶ言葉が変わります。

「膨大な予算案を確認する」なら、予算の項目や内容の多さに目が向きます。

「莫大な予算を投入する」なら、投入される金額の大きさに目が向きます。

名詞だけを見て機械的に決めるのではなく、読み手にどのような印象を与えたいかまで考えることが大切です。

「膨大」と「莫大」の意味とニュアンス

「膨大」の意味は内容や数量が非常に大きいこと

「膨大」は「ぼうだい」と読みます。

現在の一般的な使い方では、形、内容、数量などが非常に大きいことを表します。

「膨大な情報」「膨大な資料」「膨大な人員」のように、数や量が多い対象に使えます。

また、「膨大な計画」「膨大な研究」のように、内容や規模が大きい対象にも使えます。

デジタル大辞泉では、「膨大」の形容動詞としての意味を「厖大」と同じものとしています。

「厖大」は、形や内容が非常に大きいこと、または数量が極めて多いことを表す言葉です。

ここで注意したいのは、「膨」の字から受ける印象だけで意味を決めないことです。

「膨大」という表記を見ると、風船のように物がふくらむ様子を想像するかもしれません。

実際に「膨大」には、大きくふくれ上がるという名詞や動詞的な用法もあります。

しかし、「膨大な資料」のような現代の一般的な用法では、物理的にふくらんでいる必要はありません。

数や内容が非常に大きければ使えます。

「膨大」は、個々の要素が重なり、全体として大きなまとまりになった印象を与えやすい言葉です。

そのため、データ、情報、記録、書類、文章、作業などとの相性がよいのです。

「膨大なデータを分析する」という表現では、一つのデータが巨大なのではなく、処理対象となるデータ全体が多いことを意味します。

「膨大な時間を費やす」という表現では、時間の長さだけでなく、積み重なった時間の多さを感じさせます。

「莫大」の意味はこれ以上ないほど程度や数量が大きいこと

「莫大」は「ばくだい」と読みます。

程度や数量が極めて大きく、この上ないほどであることを表します。

精選版日本国語大辞典には、「これより大なるは莫し」という成り立ちが示されています。

「莫し」は「ない」という意味なので、文字どおりに捉えると「これより大きなものはない」という強い表現です。

この成り立ちからも分かるように、「莫大」には単なる「多い」より強い響きがあります。

「費用が多い」より「莫大な費用がかかる」のほうが、通常の範囲を大きく超える負担を感じさせます。

「大きな財産を残した」より「莫大な財産を残した」のほうが、一般的な感覚では想像しにくいほど高額だったという印象になります。

「莫大」は金銭にしか使えないわけではありません。

辞書上の意味には「程度」と「量」の両方が含まれています。

文化庁の国語分科会の議事録にも、「莫大なエネルギー」という使用例があります。

それでも日常的には、金額、資産、利益、費用、損失などと組み合わせることが多い言葉です。

これは、「莫大」が大きさの限界を強調するため、数字や価値で規模を想像できる対象と結びつきやすいからです。

「莫大な資料」と表現しても意味を推測できないわけではありません。

しかし、資料の数や内容の多さを伝えるなら、「膨大な資料」のほうが一般的で自然です。

「莫大なデータ」も文法上ただちに誤りとは言い切れませんが、通常は「膨大なデータ」が選ばれます。

同じ意味に見える二つの言葉に違いが生まれる理由

二つの言葉に違いが生まれる理由は、基本的な意味だけでなく、長く使われてきた組み合わせにあります。

日本語には、意味が近くても一緒に使いやすい言葉が異なる類語が数多くあります。

「膨大」と「莫大」も、辞書的な意味は重なっていますが、自然に結びつく名詞が少し違います。

「膨大」は、もともと「厖大」と表記されていた言葉の書き換えとしても定着しました。

文化庁が公開している「同音の漢字による書きかえ」には、「厖大」から「膨大」への書き換えが示されています。

「厖」には、形や量が大きいという意味があります。

そのため、現在の「膨大」も、単に何かがふくらんだという意味に限らず、形、内容、規模、数量が大きい場合に広く使われます。

一方の「莫大」は、「これより大きいものはない」という意味を背景に持ちます。

そのため、単に数が多いことより、常識的な範囲を超えた大きさを評価する働きが強くなります。

たとえば、同じ費用について話す場合でも、意味の焦点は少し異なります。

「調査には膨大な費用がかかった」と書けば、調査の範囲や工程が広く、さまざまな費用が積み重なった印象になります。

「調査には莫大な費用がかかった」と書けば、最終的な金額が驚くほど大きかったという印象になります。

両方とも正しいため、正解を一つに決める問題ではありません。

書き手がどの部分を強く見せたいかによって、適切な語を選ぶ問題です。

「膨大」と「莫大」の正しい使い方と例文

「膨大なデータ・情報・時間・作業」を使った例文

「膨大」は、数や内容が多く、扱うのに手間がかかる対象とよく結びつきます。

特にデータ、情報、資料、記録などは、個々の要素が集まって全体量が大きくなるため、「膨大」と相性のよい言葉です。

例文を確認してみましょう。

「研究チームは、全国から集めた膨大なデータを分析した。」

この文章では、分析対象となるデータの件数や情報量が非常に多いことを表しています。

「図書館には、地域の歴史に関する膨大な資料が保存されている。」

この文章では、資料の冊数だけでなく、資料全体の内容や規模が大きいことも伝えられます。

「インターネット上には膨大な情報があるため、信頼できる内容を見極める必要がある。」

この文章では、簡単には確認し切れないほど情報量が多い様子を表しています。

「古い記録をデジタル化するために、膨大な時間を費やした。」

この文章では、長い時間が少しずつ積み重なった印象を与えます。

「商品の発送準備には、膨大な作業が必要だった。」

この文章では、確認、梱包、伝票作成など、多くの作業が発生したことをまとめて表せます。

「膨大な時間」という表現は、単に時間が長いだけでなく、費やされた時間の総量を意識させます。

「膨大な作業」という表現は、一つの作業が難しいというより、作業の数や工程が多いことを伝える場合に向いています。

内容をより具体的にしたい場合は、「膨大」だけに頼らず、何が多いのかを補足しましょう。

「膨大な作業があった」より、「数千件の書類を確認する膨大な作業があった」と書いたほうが、読み手は状況を想像しやすくなります。

「莫大な財産・費用・利益・借金」を使った例文

「莫大」は、金額や資産価値など、数量として大きさを捉えやすい対象に使うと自然です。

「莫大な財産」「莫大な費用」は、辞書でも代表的な用例として扱われています。

具体的な例文を見てみましょう。

「彼は事業に成功し、莫大な財産を築いた。」

この文章では、財産が一般的な規模をはるかに超えていることを強調しています。

「老朽化した施設をすべて建て替えるには、莫大な費用がかかる。」

この文章では、建て替えに必要な金額が非常に大きく、簡単には負担できないことが伝わります。

「新商品が世界中で売れ、会社は莫大な利益を得た。」

この文章では、販売個数よりも、会社が得た利益額の大きさに焦点が当たっています。

「無計画な投資を続けた結果、莫大な借金を抱えることになった。」

この文章では、返済が大きな負担になるほど借金額が増えたことを表せます。

「情報の流出によって、企業は莫大な損失を被った。」

この文章では、金銭的な損失や事業への影響が通常の範囲を超えていることを強調できます。

「莫大」は強い表現なので、少し金額が高い程度の場面では大げさに聞こえることがあります。

予定より数千円高くなった買い物を「莫大な費用」と表現すると、冗談でない限り不自然です。

客観的な数字を伝える文章では、具体的な金額も示すと説得力が高まります。

「莫大な費用がかかった」だけでは、どの程度なのかが読み手によって変わります。

「総額百億円を超える莫大な費用がかかった」と書けば、事実と評価の両方を伝えられます。

費用・予算・損失など両方を使える場合のニュアンス

費用、予算、損失などは、「膨大」と「莫大」のどちらとも組み合わせられます。

このような言葉では、正しいか間違いかではなく、文章で何を強調するかが選択の基準になります。

「膨大な費用」は、さまざまな費用が積み重なり、全体として大きくなった印象を与えます。

「莫大な費用」は、最終的な金額が桁外れに大きいことを強調します。

「システムの開発には膨大な費用がかかった」と書けば、人件費、設備費、調査費など、多くの支出が発生した様子を想像しやすくなります。

「システムの開発には莫大な費用がかかった」と書けば、開発費の総額が非常に高かったことが強く伝わります。

予算でも同じ考え方ができます。

「膨大な予算案を精査する」という文章では、予算の項目や資料が多く、確認作業が大変だという印象があります。

「莫大な予算を投入する」という文章では、投入する金額の規模が強調されます。

損失の場合も、両方使用できます。

「膨大な損失」は、損失が積み重なったことや、損失の範囲が広いことを感じさせます。

「莫大な損失」は、失われた金額や価値の大きさを前面に出します。

デジタル大辞泉の用法解説でも、「莫大」と「多大」は損害などについて相通じて使えるとされています。

類語同士は、対象が重なる場合でも、焦点や響きが異なります。

文章を推敲するときは、単語だけを交換するのではなく、その前後も読み直しましょう。

金額の大きさを強調した文章に「膨大」を使っていても誤りではありません。

ただし、「想像を超える金額だった」という驚きを出したいなら、「莫大」に替えたほうが意図が明確になります。

間違いやすい表現と似た言葉との使い分け

人数・時間・労力に「莫大」を使うと不自然になる?

人数に「莫大」を使うのは、一般的には不自然です。

「莫大な人が集まった」「莫大な死者が出た」という表現は避けたほうがよいでしょう。

デジタル大辞泉の用法解説でも、「莫大な死者が出た」のような人数を表す使い方はしないとされています。

人数を表したい場合は、「大勢の人が集まった」「非常に多くの参加者が集まった」「多数の死者が出た」などが自然です。

「膨大」は、人そのものより「人員」と組み合わせることがあります。

デジタル大辞泉には、「厖大な人員を投入する」という用例があります。

「膨大な人員を動員した」という文章なら、計画や作業に投入された人員の規模が非常に大きいことを表せます。

ただし、日常会話で「膨大な人数」と言うと、やや硬く大げさに聞こえる場合があります。

単純に人が多いことを伝えるなら、「大人数」「大勢」「多数」を選んだほうが分かりやすいでしょう。

時間については、「膨大な時間」が自然です。

多くの工程に長い時間を費やした場合や、作業時間の総量を強調する場合によく使われます。

「莫大な時間」も意味が通じない表現ではありません。

ただし、一般的には「膨大な時間」「長い時間」「多くの時間」のほうが自然に聞こえます。

労力についても、「膨大な労力」は広く使える表現です。

「莫大な労力」は非常に大きな負担を強調できますが、金額を表す場合ほど典型的な組み合わせではありません。

抽象的な努力や負担には、「多大な労力」も自然です。

言葉を選ぶ際は、「使えるか」だけでなく、読み手が引っかからずに理解できるかを考えましょう。

「甚大」「多大」「絶大」との違いを比較

「膨大」や「莫大」と似た言葉には、「甚大」「多大」「絶大」があります。

どれも大きさを表しますが、自然に使える対象が異なります。

言葉主な意味使いやすい対象使用例
膨大内容や数量が非常に大きい資料、情報、データ、作業膨大な資料を整理する
莫大程度や数量がこの上なく大きい財産、費用、利益、損失莫大な利益を得る
甚大程度がはなはだしく大きい被害、損害、影響甚大な被害が出る
多大非常に多い、程度が大きい努力、貢献、恩恵、迷惑多大な貢献をする
絶大この上なく大きい人気、支持、信頼、権力絶大な支持を得る

「甚大」は「じんだい」と読み、物事の程度がはなはだしく大きいことを表します。

特に、被害、損害、悪影響など、好ましくない事柄に使うことが多い言葉です。

「台風によって甚大な被害が発生した」という使い方が代表的です。

「甚大な利益」「甚大な人気」とは通常言いません。

「多大」は「ただい」と読み、非常に多いことや、程度が大きいことを表します。

金額にも使えますが、「多大な努力」「多大な貢献」「多大な恩恵」「多大な迷惑」のように、数字だけでは表しにくい抽象的な事柄にもよく使われます。

「皆さまに多大なご迷惑をおかけしました」は、謝罪文でよく使われる表現です。

「絶大」は「ぜつだい」と読み、この上もなく大きいことを表します。

人気、支持、信頼、権力、効果など、力や影響力の強さを表すときに向いています。

「その選手は地元で絶大な人気を誇る」という文章では、人気の人数ではなく、支持の強さを表しています。

不自然な文章を自然に直す言い換え例

意味が通じても、言葉の組み合わせによっては不自然に聞こえることがあります。

読み手がすぐ理解できる表現に直すことが大切です。

「会場には莫大な人が集まった。」

この文章では、「莫大」が人そのものに直接かかっているため不自然です。

「会場には大勢の人が集まった。」

または、「会場には非常に多くの来場者が集まった。」と直すと自然です。

「災害によって絶大な被害が出た。」

「絶大」は人気や支持などの強さに使いやすく、被害とは相性がよくありません。

「災害によって甚大な被害が出た。」と直すのが自然です。

「この商品は莫大な人気を集めている。」

人気は金額や数量として捉えるより、支持の強さとして表すほうが自然です。

「この商品は絶大な人気を集めている。」と直せます。

ただし、「人気を集める」より「絶大な人気を誇る」のほうが、語の組み合わせとして滑らかです。

「開発には絶大な費用がかかった。」

費用の大きさを表したいのであれば、「開発には莫大な費用がかかった。」が自然です。

「調査のために莫大な資料を集めた。」

意味は推測できますが、資料の量を表すなら、「調査のために膨大な資料を集めた。」のほうが自然です。

「皆さまから膨大な支援をいただいた。」

支援の件数や物資の量を強調するのであれば使える場合もあります。

しかし、支援の程度やありがたさを伝えたいなら、「皆さまから多大な支援をいただいた。」のほうが意図に合います。

類語を使い分けるときは、後ろの名詞を見て決めるだけでは不十分です。

数、金額、被害、影響力、感謝など、文章で評価しているものが何かを考えると、自然な言葉を選びやすくなります。

「膨大」と「莫大」に関するよくある疑問

「膨大な費用」と「莫大な費用」はどう違う?

「膨大な費用」と「莫大な費用」は、どちらも正しい表現です。

「膨大な費用」は、費用の総量がふくれ上がるほど多いことを表します。

工事費、材料費、人件費、維持費など、多くの費用が積み重なった様子を伝えたいときに向いています。

「全国の設備を更新するには膨大な費用が必要になる。」という文章では、対象となる設備や作業の多さも感じられます。

「莫大な費用」は、必要となる金額が並外れて大きいことを強調します。

「新しい空港の建設には莫大な費用が必要になる。」という文章では、事業の総額が非常に高いことに注意が向きます。

デジタル大辞泉には「膨大な費用」という用例があり、「莫大」の用法では額や財産など数量として捉えられるものとの結びつきが示されています。

選び方を簡単にまとめると、項目や範囲が広がった結果として費用が増えたことを示すなら「膨大」が向いています。

金額の桁外れな大きさを強く訴えるなら「莫大」が向いています。

ただし、実際の文章では二つの意味が重なることも少なくありません。

大規模な事業は支出項目が多く、同時に総額も高くなるからです。

その場合は、前後の文章との相性で選んで問題ありません。

同じ段落で「量が多い」という表現を何度も使っているなら、「莫大な費用」に替えると文章に変化をつけられます。

反対に、資料、工程、作業量などの多さを説明している段落なら、「膨大な費用」のほうが流れに合うことがあります。

「莫大な量」という表現は間違いなのか

「莫大な量」は間違いではありません。

「莫大」には、程度や数量が極めて大きいという意味があります。

辞書の用法解説でも、「量」は「莫大」と結びつきやすい対象として挙げられています。

「倉庫には莫大な量の在庫が残っていた。」

「海底には莫大な量の資源が眠っている。」

このような文章は意味が通り、量が普通ではないほど大きいことを強く表せます。

ただし、「莫大な量」は「大きい」という意味が少し重なって見えることがあります。

文章を簡潔にしたい場合は、「大量の在庫」「非常に多くの資源」「膨大な量のデータ」などへの言い換えも検討できます。

「膨大な量」も、「膨大」と「量」の意味が重なるように見えますが、広く使われている表現です。

ここでは、「量」が何の大きさを測るのかを示し、「膨大」や「莫大」がその程度を強めています。

そのため、意味の重なりだけを理由に誤りとはいえません。

使い分けるなら、蓄積された多さや処理の難しさを伝える場合は「膨大な量」が向いています。

金銭的価値や資源量など、規模の桁外れな大きさを強調する場合は「莫大な量」が向いています。

ただし、「莫大な量の人が訪れた」は避けましょう。

人を数として表す場合でも、「莫大な人」「莫大な死者」のような組み合わせは一般的ではありません。

「非常に多くの人が訪れた」「過去最多の来場者を記録した」など、具体的で自然な表現に直すのがおすすめです。

もう迷わないための覚え方と使い分けチェック

最後に、二つの言葉を迷わず選ぶための覚え方を紹介します。

「膨大」は「ふくらんだ全体量」と覚えましょう。

資料、データ、情報、作業、時間などが積み上がり、簡単には扱えないほど大きくなった場面で使います。

「莫大」は「これより大きなものはない」と覚えましょう。

財産、費用、利益、借金、損失などが、驚くほど大きい場面で使います。

文章を書いたら、次の項目を確認してください。

確認すること選びやすい言葉
情報や資料の多さを表している膨大
作業や時間の総量を表している膨大
財産や費用の金額を強調している莫大
利益や損失の規模を強調している莫大
被害の深刻さを表している甚大
努力や貢献の程度を表している多大
人気や支持の強さを表している絶大
人そのものの多さを表している大勢、多数、非常に多くの人

この表に当てはめても迷う場合は、文章の焦点を確認しましょう。

「量が積み重なって多い」のか、「結果として生じた価値や負担が大きい」のかを考えます。

前者なら「膨大」、後者なら「莫大」が自然になりやすいでしょう。

なお、この使い分けは境界線が完全に固定されたものではありません。

費用、予算、損失など、どちらも使える名詞があります。

そのような場合は、誤用を恐れすぎる必要はありません。

読み手にどのような印象を届けたいかを基準に選べば、伝わりやすい文章になります。

「膨大」と「莫大」の違いまとめ

「膨大」と「莫大」は、どちらも程度や数量が非常に大きいことを表す言葉です。

大きな違いは、自然に使いやすい対象と、言葉が強調する部分にあります。

「膨大」は、資料、情報、データ、作業、時間など、積み重なった量や内容の大きさを表すときに向いています。

「莫大」は、財産、費用、利益、借金、損失など、金額や価値の桁外れな大きさを表すときに向いています。

ただし、「膨大な費用」と「莫大な費用」のように、両方が正しい組み合わせもあります。

その場合、「膨大」は費用の積み重なりや全体量を感じさせ、「莫大」は最終的な金額の大きさを強く感じさせます。

人数には「莫大」を使わず、「大勢」「多数」「非常に多くの人」などに言い換えるのが自然です。

似た言葉の「甚大」は被害や損害、「多大」は努力や貢献、「絶大」は人気や支持などに使いやすいと覚えておきましょう。

迷ったときは、「多すぎて扱い切れないなら膨大」「大きすぎて驚くなら莫大」と考えると選びやすくなります。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次