取引先へ上司と一緒に行く場合は、「同行」と「随行」のどちらが正しいのでしょうか。
海外赴任に家族を連れて行く場合は、「帯同」と「同伴」のどちらを使えばよいのか迷う人もいるでしょう。
これらの言葉は、すべて誰かと一緒に行動する場面で使われるため、意味の違いが分かりにくいものです。
しかし、中心となる人物、一緒に行く人の役割、文章の主語を確認すれば、適切な言葉を選べます。
この記事では、「随行」「同行」「帯同」「同伴」の意味と違いを、比較表や具体的な例文を使って分かりやすく解説します。
上司や部下との営業訪問、家族を伴う海外赴任、保護者と参加するイベントなど、場面別の使い分けも紹介します。
メールや報告書に書く言葉で迷っている人は、ぜひ参考にしてください。
随行・同行・帯同・同伴の違いがひと目でわかる早見表
四つの言葉の違いを一言で整理
「随行」「同行」「帯同」「同伴」は、いずれも誰かと一緒に移動するときに使われる言葉です。
ただし、誰が中心なのか、一緒に行く人にどのような役割があるのかによって、適した言葉が変わります。
簡単に整理すると、「随行」は中心人物にお供として付き従うことです。
「同行」は、相手との立場をあまり限定せず、一緒に行くことを広く表します。
「帯同」は、必要な人を連れて行くという意味が中心です。
「同伴」は、家族や保護者など、連れとなる人と一緒に行くことを表します。
小学館の『デジタル大辞泉』では、「随行」は供として付き従うこと、「同行」は一緒に連れ立って行くこと、「帯同」は一緒に連れて行くこと、「同伴」は一緒に連れ立って行くことと説明されています。
四つの言葉を区別するときは、単に「一緒に行くかどうか」だけでなく、中心人物と同行者の関係を見ることが大切です。
意味・立場・使う場面を比較表で確認
四つの言葉の違いを、意味や立場、使われやすい場面で比較すると次のようになります。
| 言葉 | 基本的な意味 | 中心となる人物 | 使われやすい場面 | 代表的な表現 |
|---|---|---|---|---|
| 随行 | 供として付き従う | 大臣、社長、要人など | 外遊、視察、公式訪問 | 大臣に随行する |
| 同行 | 誰かと一緒に行く | 特に限定されない | 営業、出張、旅行、訪問 | 上司に同行する |
| 帯同 | 必要な人を連れて行く | 連れて行く側 | 海外赴任、遠征、専門家の派遣 | 家族を帯同する |
| 同伴 | 連れとなる人と一緒に行く | 場面によって変わる | 行事、施設利用、外出 | 保護者同伴で参加する |
最も広く使えるのは「同行」です。
上下関係を強く示す必要がなく、仕事でも日常生活でも使えます。
一方、「随行」にはお供として付き従うという意味が含まれるため、中心人物と支える側の役割が比較的はっきりしています。
「帯同」は、海外赴任に家族を連れて行く場合や、遠征に医師やトレーナーを連れて行く場合によく使われます。
「同伴」は「保護者同伴」「家族同伴」のように、参加条件や利用条件を示す表現でもよく使われます。
迷ったときに使える簡単な選び方
どの言葉を選べばよいか迷ったときは、次の三つを確認すると判断しやすくなります。
最初に確認したいのは、「誰がその移動の中心なのか」です。
大臣や社長など、明確な中心人物を支えるために付き従うのであれば、「随行」が候補になります。
次に、「誰かを連れて行くという意味を出したいか」を考えます。
家族や専門スタッフなどを必要に応じて連れて行くのであれば、「帯同」が適しています。
中心人物や役割を特に強調せず、単に一緒に訪問した事実を伝えたいのであれば、「同行」を使うのが自然です。
参加条件として家族や保護者が一緒にいることを伝える場合は、「同伴」が使いやすいでしょう。
それでも迷う場合は、「同行」に置き換えて意味が通じるかを確認してください。
「同行」は意味の範囲が広いため、過度に堅い印象を与えずに済みます。
最も間違えやすい「随行・同行・帯同」の関係
特に混同しやすいのが、「随行」「同行」「帯同」の三つです。
「随行」と「同行」は、どちらも誰かについて行く人の側から表現できます。
たとえば、社員が社長の出張について行く場合は、「社員が社長に随行する」とも「社員が社長に同行する」とも表現できます。
ただし、「随行」は社長を支える役割やお供としての立場が強く表れます。
「同行」は、一緒に移動するという事実を中心に伝える表現です。
実際に『デジタル大辞泉』は「同行」の用例として「社長に同行する」を挙げているため、目上の人について行く場合に「同行」を使うこと自体は誤りではありません。
「帯同」は視点が異なります。
「課長が技術者を帯同する」といえば、課長が技術者を連れて行くという意味になります。
同じ出来事でも、「技術者が課長に同行する」と表現すれば、技術者側から見た文章になります。
つまり、出来事が同じでも、誰を主語にするかによって適した言葉が変わります。
基本的には「誰が中心か」で判断する
四つの言葉は、中心人物を考えると整理しやすくなります。
「社長に随行する」という文章では、中心となるのは社長です。
随行する社員は、社長の移動や仕事を支える立場になります。
「同僚と同行する」という文章では、どちらか一方だけを中心にする必要はありません。
二人が同じ目的地へ行く事実を、対等に近い形で表せます。
「通訳を帯同する」という文章では、主語となる人物や団体が通訳を連れて行きます。
「子どもに保護者が同伴する」という文章では、子どもの安全や参加条件などを理由として、保護者が一緒に行動します。
ただし、実際の言葉の使い方は、上下関係だけで機械的に決められるものではありません。
目的、役割、文章の主語を合わせて考えることが、自然な使い分けにつながります。
随行・同行・帯同・同伴、それぞれの意味と特徴
「随行」は地位の高い人や主となる人物に付き従うこと
「随行」は「ずいこう」と読みます。
基本的な意味は、供として付き従って行くことです。
そのため、大臣、首相、社長、会長、外交使節など、訪問や移動の中心となる人物について行く場面で使われます。
外務省が公開している外交資料でも、首相の外国訪問について「田中総理には、大平外務大臣、二階堂内閣官房長官のほか、49名が随行する」という表現が使われています。
このような場面では、随行する人は単に同じ飛行機や車に乗るだけではありません。
日程管理、連絡、警護、通訳、記録、健康管理など、中心人物の行動を支える役割を担うことがあります。
「随行員」という言葉もあり、大臣や大使などに付き従い、仕事を助ける人を指します。
日常的な買い物や友人との旅行に「随行」を使うと、必要以上に堅く、大げさに聞こえることがあります。
公式性や役割がある場面に向いている言葉だと覚えておきましょう。
「同行」は立場を問わず一緒に行くこと
「同行」は、一般的には「どうこう」と読みます。
基本的な意味は、誰かと一緒に連れ立って行くことです。
友人、同僚、家族、上司、取引先など、相手との関係を問わず幅広く使えます。
「営業担当者に同行する」「友人と旅行に同行する」「家族が病院へ同行する」など、仕事でも日常生活でも自然に使える言葉です。
人事院の職員紹介でも、「大使の地方出張に同行する」という表現が使われています。
この例からも、相手が目上の人物だからといって、必ず「随行」にしなければならないわけではないと分かります。
役職や上下関係より、一緒に行動する事実を簡潔に伝えたい場合は「同行」が便利です。
なお、「同行」には「どうぎょう」という読み方もあります。
「どうぎょう」は、仏道を共に修める人や、連れ立って神仏を参詣する人などを指す読み方です。
ビジネスで一緒に訪問する意味なら、通常は「どうこう」と読みます。
「帯同」は必要な人を一緒に連れて行くこと
「帯同」は「たいどう」と読みます。
辞書上の基本的な意味は、一緒に連れて行くことです。
「医師を帯同する」「通訳を帯同する」「家族を帯同して赴任する」のように、主となる人や団体が必要な人を伴って移動する場面で使われます。
日本学術振興会の家族帯同届にも、「家族を帯同したい」「帯同する家族」という表現が使われています。
国税庁の案内でも、国外から来た人の生活状況を説明する際に「家族を帯同」という言い方が使われています。
「帯同」には、仕事や活動を続けるために必要な人を一緒に連れて行くというニュアンスがあります。
そのため、旅行の連れを気軽に表すよりも、海外赴任、スポーツ遠征、撮影、医療支援などで使われる傾向があります。
ただし、現在のスポーツ分野では「選手がチームに帯同する」のように、連れて行く側ではない人物を主語にする用法も見られます。
日本サッカー協会も「チームに帯同予定」という表現を使用しています。
したがって、「帯同は必ず人を目的語に取る」と考えるのではなく、チームや遠征に加わって行動する意味でも使われると理解するのが実用的です。
「同伴」は連れとなる人と一緒に行くこと
「同伴」は「どうはん」と読みます。
基本的な意味は、連れとなる人と一緒に行くことです。
辞書には、特に男女が連れ立つ場合にも使うと記されていますが、男女の組み合わせだけに限定される言葉ではありません。
「保護者同伴」「家族同伴」「同伴者一名まで」といった形で、公共施設、イベント、旅行、飲食店などでも広く使われます。
こども家庭庁のイベント案内でも、参加条件として「原則として保護者同伴」「同伴される保護者」という表現が使われています。
文化庁の事業案内にも、子どもと一緒に鑑賞する人を「同伴する保護者等」とする記載があります。
このように、「同伴」は連れとの関係や参加の形に焦点を当てた言葉です。
「家族を帯同して海外赴任する」は生活の拠点を移す場面に合いますが、「家族同伴で式典に参加する」は一つの行事に一緒に参加する場面に適しています。
四つの言葉に共通する点と決定的な違い
四つの言葉に共通するのは、複数の人が同じ場所へ移動したり、同じ行動に参加したりすることです。
決定的な違いは、一緒に行く人の役割をどのように捉えるかにあります。
「随行」では、中心人物と、その人物に付き従って支える人という関係が見えます。
「同行」では、一緒に行くという事実が中心になり、役割や関係性はそれほど強く示されません。
「帯同」では、人を連れて行く側の判断や、同行させる必要性が感じられます。
「同伴」では、家族、保護者、パートナーなど、連れとして一緒にいる関係が意識されます。
ただし、これらの意味には重なる部分があります。
一つの出来事を、立場や伝えたい内容によって異なる言葉で表現できる場合もあります。
正解を一つに決めようとするより、文章の主語と、最も伝えたい情報をそろえることが重要です。
上司・部下・家族など場面別の正しい使い分け
部下が社長や上司について行く場合
部下が社長や上司の訪問について行く場合は、「同行」と「随行」のどちらも使えます。
一緒に訪問する事実を伝えたいだけなら、「部長に同行します」が自然です。
上司を補佐する役割を強調したい場合は、「部長に随行します」が適しています。
たとえば、部長と部下が取引先を訪れ、部下も商談に参加するのであれば、「部長に同行する」と表現できます。
部下が部長の荷物、日程、連絡、記録などを担当し、補佐役としてついて行くのであれば、「部長に随行する」のほうが役割を正確に伝えられます。
「上司に同行する」は、上司と対等であると主張する表現ではありません。
辞書でも「社長に同行する」が用例として示されているため、失礼な表現とはいえません。
社内メールでは、堅さを抑えられる「同行」を使うことが多いでしょう。
公式訪問や役員の海外出張では、「随行」を選ぶと職務上の役割が伝わりやすくなります。
上司が部下や新人を連れて行く場合
上司が部下や新人を訪問先へ連れて行く場合は、「帯同」が使えます。
たとえば、「次回の商談には新人を帯同します」と書けば、話し手が新人を連れて行くことが伝わります。
ただし、「帯同」はやや堅く、人を組織の判断で同行させる印象を与える言葉です。
通常の営業訪問であれば、「新人も同行します」「新人と一緒に伺います」と表現したほうが柔らかく聞こえる場合があります。
「部下を同行する」という言い方は、意味を理解できないわけではありませんが、一般的な文章では少し不安定です。
「同行」は「部下が同行する」または「部下と同行する」とするほうが自然です。
一方、「帯同」は「一緒に連れて行く」という意味を持つため、「部下を帯同する」という形にしやすい言葉です。
相手に威圧的な印象を与えたくないメールでは、「担当者と一緒に伺います」という平易な表現も検討しましょう。
取引先への訪問や営業に一緒に行く場合
営業訪問では、基本的に「同行」が最も使いやすい言葉です。
「明日の訪問には技術担当者も同行します」と書けば、誰が一緒に訪問するのかを簡潔に伝えられます。
技術担当者が専門的な説明を行うために参加する場合でも、「同行」で問題ありません。
連れて行く側の視点を明確にしたいなら、「技術担当者を帯同します」と表現できます。
ただし、取引先へのメールでは、「帯同します」より「技術担当者も同席いたします」や「技術担当者とともに伺います」のほうが柔らかいことがあります。
「同席」は同じ場所や会合にいることを表すため、移動より商談への参加を強調したいときに適しています。
役員による公式訪問を秘書や担当者が補佐する場合は、「随行」を使えます。
同じ営業訪問でも、参加者全員が商談の当事者なら「同行」、特定の役員を補佐するなら「随行」と考えると選びやすいでしょう。
要人・スポーツ選手・芸能人と行動する場合
要人の外国訪問や公式行事では、「随行」がよく使われます。
警護担当者、秘書、医師、通訳などが中心人物について行く場合、役割を含めて表現できるからです。
参議院の答弁書でも、内閣総理大臣の健康管理を目的として医師が「随行する」という表現が使われています。
スポーツでは、「帯同」が広く使われます。
チームの遠征に医師、トレーナー、分析担当者などが参加し、継続して選手を支える場面に合う言葉です。
日本オリンピック委員会の公開記事にも、専門家が大会や合宿に「帯同」する用例があります。
芸能活動でも、マネージャーやヘアメイク担当者が長期間の撮影や公演について行く場合は、「帯同」が使われることがあります。
一日の移動に一緒について行くだけなら、「同行」のほうが自然です。
公式な中心人物を支える関係なら「随行」、チームや活動期間を通じて行動を共にするなら「帯同」と考えると分かりやすいでしょう。
家族・保護者・恋人・ペットと出かける場合
日常生活では、「同行」または「同伴」が使いやすい言葉です。
家族と旅行へ行く場合は、「家族と同行する」と表現できますが、会話では「家族と一緒に行く」のほうが自然です。
施設や行事の参加条件を示す場合は、「保護者同伴」「家族同伴」という形がよく使われます。
恋人や配偶者と式典へ参加する場合も、「パートナー同伴で出席する」と表現できます。
海外赴任や長期滞在に家族を連れて行く場合は、「家族を帯同する」が適しています。
日本学術振興会の案内でも、海外研究に家族を連れて行く場面について「家族を帯同」という表現が用いられています。
ペットについては、施設のルールを示す文脈なら「ペット同伴可」が一般的です。
「ペットを帯同する」でも意味は通じますが、業務や遠征のような堅い印象が強くなります。
普段の外出では、無理に熟語を使わず「家族と一緒に行く」「犬を連れて行く」と書くほうが読みやすい場合もあります。
助詞の選び方とそのまま使える例文
「社長に随行する」が自然な理由
「社長に随行する」は、社長を中心人物として、その行動について行くことを表します。
「随行」には供として付き従う意味があるため、随行する相手を「に」で示す形が自然です。
たとえば、次のように使えます。
「来週の海外視察には、秘書室長が社長に随行します。」
「今回の式典には、広報担当者として会長に随行しました。」
「役員に随行する社員は、事前に日程を確認してください。」
「社長と随行する」という文章が絶対に成立しないわけではありませんが、一緒に行動する相手を対等に並べるような印象が出ます。
随行する対象を明確にしたい場合は、「社長に随行する」のほうが一般的です。
また、「社長の出張に随行する」のように、人物ではなく行事や移動を「に」の前へ置くこともできます。
誰を支えるのかを伝えたいなら「社長に」、どの移動に参加するのかを伝えたいなら「社長の出張に」と使い分けるとよいでしょう。
「上司に同行する」と「上司と同行する」の違い
「上司に同行する」と「上司と同行する」は、どちらも使える表現です。
ただし、文章から受ける印象が少し異なります。
「上司に同行する」は、上司の予定や移動について行くという見方が強くなります。
「明日は上司に同行して取引先を訪問します」と書けば、上司が訪問の中心で、話し手がそれについて行く様子が伝わります。
「上司と同行する」は、上司と自分が一緒に行くという事実を比較的対等に示します。
「明日は上司と同行し、現地で担当者と合流します」という文章なら、移動する二人をひとまとまりとして捉えています。
「と」には「一緒に」という感覚があるため、同じ立場の同僚や友人には特に使いやすい助詞です。
「同僚と同行する」「家族と同行する」といった形がその例です。
上司の訪問について行くことを強調するなら「に」、二人で一緒に移動することを強調するなら「と」と考えると整理しやすいでしょう。
「部下を帯同する」と「部下が帯同する」の違い
「部下を帯同する」は、上司や組織が部下を連れて行くという意味です。
文章の主語は、部下を同行させる側になります。
「次回の海外出張には、営業部の若手社員を帯同します」という文章が代表例です。
「部下が帯同する」は、部下がチームや一行に加わって行動することを表します。
ただし、何に帯同するのかを示さないと、少し分かりにくい文章になる場合があります。
「部下が視察団に帯同します」「トレーナーが代表チームに帯同します」のように、参加する一行を明示すると意味が伝わりやすくなります。
辞書上の中心的な意味に沿うのは、「人を帯同する」という形です。
一方、スポーツの実際の運用では、「選手がチームに帯同する」のような表現も定着しています。
社外向けの文章で誤解を避けたい場合は、「部下も同行します」「部下を連れて伺います」と言い換えてもよいでしょう。
「家族を同伴する」と「家族と同伴する」の使い分け
「家族を同伴する」は、話し手が家族を連れて参加することを表します。
「式典には家族を同伴できます」のように、同行させる対象を示す文章です。
「家族と同伴する」は意味を推測できますが、「同伴」自体に一緒に連れ立つ意味があるため、やや重なった印象を受ける場合があります。
「家族と参加する」「家族と一緒に出席する」としたほうが自然な場面も少なくありません。
「家族同伴で参加する」という形なら、家族を連れて参加することを簡潔に表せます。
「保護者同伴でお越しください」も、施設やイベントの案内で使いやすい表現です。
一方、海外赴任では「家族を同伴する」より「家族を帯同する」がよく使われます。
「同伴」は特定の行事や外出に一緒に行く場合に向き、「帯同」は赴任や長期滞在に連れて行く場合に向くからです。
期間や目的を考えると、より自然な言葉を選べます。
メール・報告書・案内文で使える丁寧な例文
ビジネスメールでは、熟語の意味だけでなく、相手に与える印象も大切です。
取引先へ上司と訪問する場合は、次のように書けます。
「当日は弊社営業部長の山田も同行いたします。」
技術担当者を連れて行く場合は、次の表現が自然です。
「詳しいご説明のため、当日は技術担当者も同行いたします。」
社内報告で役員を補佐したことを伝える場合は、次のように書けます。
「海外視察では担当役員に随行し、現地との連絡調整を担当しました。」
長期出張に専門家を連れて行く場合は、次のように表現できます。
「現地での点検に備え、保守担当の技術者を帯同します。」
イベント案内では、次の文章が使えます。
「小学生以下のお子さまは、保護者同伴でご参加ください。」
言葉が堅すぎると感じた場合は、「一緒に伺います」「連れて行きます」「付き添います」と言い換えると、読み手に伝わりやすくなります。
間違えやすい表現とよくある疑問
「上司に同行します」は失礼になる?
「上司に同行します」は失礼な表現ではありません。
「同行」は立場を問わず、一緒に行くことを表せる言葉です。
『デジタル大辞泉』にも「社長に同行する」という用例があります。
したがって、「目上の人には同行を使ってはいけない」という決まりはありません。
ただし、本人を前にして「あなたに同行します」と言うと、文脈によっては少し事務的に聞こえることがあります。
上司本人に伝えるなら、「明日は私もご一緒いたします」「訪問に同席させていただきます」と表現する方法もあります。
社内の予定表や報告書では、「部長に同行」「役員に同行」という簡潔な表現で問題ありません。
重要なのは、敬意を「同行」という単語だけで表そうとしないことです。
文章全体を「いたします」「伺います」などの丁寧な言葉で整えると、自然で失礼のない表現になります。
「部下を同行する」と「部下を帯同する」はどちらが正しい?
「部下を帯同する」は、辞書上の意味に沿った自然な表現です。
「帯同」には、一緒に連れて行くという意味があるからです。
「部下を同行する」は、日常的に使われることがないわけではありませんが、「同行」を他動詞のように扱っているため、文章によっては不自然に感じられます。
一般的には、「部下が同行する」「部下と同行する」「部下も同行させる」とするほうが分かりやすいでしょう。
たとえば、上司が自分の行動を説明するなら、「今回の訪問には部下を帯同します」と書けます。
参加者を取引先に知らせるだけなら、「当日は部下も同行します」のほうが柔らかい表現です。
「帯同」は組織的、業務的な響きが強いため、相手や場面によって使い分ける必要があります。
正しさだけでなく、読み手が自然に理解できるかも確認しましょう。
「同伴」は夜のお店や男女に限られる言葉?
「同伴」は、夜の飲食店や男女の組み合わせだけに使う言葉ではありません。
辞書には、特に男女が連れ立つことにも使うとありますが、基本的な意味は誰かと一緒に連れ立って行くことです。
実際に、行政機関の案内でも「保護者同伴」「同伴する保護者」といった表現が使われています。
施設の案内にある「ペット同伴可」も、一般的な使い方です。
「家族同伴の式典」「同伴者一名まで」「介助者の同伴が可能」といった表現もあります。
ただし、飲食業界の一部では、「同伴」が特定のサービス形態を指す言葉として使われることがあります。
その印象を避けたい場面では、「家族と一緒に」「保護者付き添い」「パートナーと参加」などに言い換えてもよいでしょう。
文脈が明確であれば、「同伴」を通常の意味で使って問題ありません。
「随伴・付き添い・同道・引率」との違いは?
「随伴」は、お供として付き従うことと、一緒に連れて行くことの両方を表せる言葉です。
さらに、「改革に随伴する課題」のように、ある物事に伴って別の物事が起こる意味でも使われます。
「付き添い」は、世話や支援をするために、相手のそばにいることを表します。
病人、子ども、高齢者などを支える場面に向いています。
「同道」は、連れ立って行くことと、誰かを連れて行くことの両方を表します。
「部下を同道する」のように使えますが、現在の日常会話ではやや古風で堅い印象があります。
「引率」は、複数の人をまとめて率い、目的地へ連れて行くことです。
教師が生徒を遠足へ連れて行く場合や、責任者が団体を案内する場合に適しています。
一緒に移動するだけなら「同行」、世話をするなら「付き添い」、集団を管理するなら「引率」と考えると区別しやすくなります。
四つの言葉を正しく選ぶ最終チェックリスト
言葉を決める前に、まず文章の主語を確認してください。
主語となる人が、要人や責任者について行くのであれば、「随行」または「同行」が候補です。
中心人物を補佐する役割まで伝えたいなら、「随行」を選びます。
相手との立場や役割を強調せず、一緒に行く事実を伝えたいなら、「同行」が適しています。
主語となる人が、家族、部下、通訳、医師などを連れて行くのであれば、「帯同」が候補です。
保護者、家族、パートナーなど、連れと一緒に参加することを表したいなら、「同伴」が使えます。
長期の赴任や遠征なら「帯同」、特定の行事や施設利用なら「同伴」が自然になりやすいでしょう。
最後に、熟語を使うことで文章が必要以上に堅くなっていないかを確認してください。
迷った場合は、「一緒に行く」「連れて行く」「付き添う」という平易な言葉に戻すと、意味を整理できます。
「随行」「同行」「帯同」「同伴」の違いまとめ
「随行」「同行」「帯同」「同伴」は、いずれも誰かと一緒に移動する場面で使われますが、視点と役割が異なります。
「随行」は、大臣や社長などの中心人物に、お供や補佐役として付き従うことです。
「同行」は、立場を限定せず、誰かと一緒に行くことを幅広く表します。
「帯同」は、仕事や活動に必要な家族、部下、医師、専門スタッフなどを連れて行くことです。
スポーツでは、「チームに帯同する」のように、一行に加わって継続的に行動する意味でも使われます。
「同伴」は、家族や保護者など、連れとなる人と一緒に行動することです。
どの言葉を使うか迷ったときは、「誰が中心なのか」「誰を主語にするのか」「一緒に行く人にどのような役割があるのか」を確認しましょう。
一般的な訪問では「同行」、中心人物の補佐なら「随行」、人を連れて行くなら「帯同」、連れと参加するなら「同伴」と覚えると、使い分けやすくなります。
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