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ヒグラシとツクツクボウシの違いは?鳴き声・見た目・鳴く時期を徹底比較

ヒグラシとツクツクボウシの違いは?鳴き声・見た目・鳴く時期を徹底比較

夕方の林から聞こえる「カナカナ」という声と、夏の後半になると目立つ「ツクツクボーシ」という声は、どちらも季節の変化を感じさせてくれます。

しかし、鳴いている姿を実際に見る機会は少なく、どちらがヒグラシで、どちらがツクツクボウシなのか分からなくなる人もいるでしょう。

両者は体の大きさや透明な羽が似ていますが、鳴き声、体色、鳴く時期、生息する環境には違いがあります。

特に鳴き声は分かりやすく、リズムの特徴を知るだけで、姿が見えなくてもほぼ判断できます。

この記事では、ヒグラシとツクツクボウシの違いを比較表で整理し、鳴き声、見た目、鳴く時間、出現時期、抜け殻の見分け方まで分かりやすく解説します。

次に林や公園でセミの声を聞いたとき、鳴いている種類を自分で判断できるようになるでしょう。

目次

ヒグラシとツクツクボウシの違いを一目で確認

結論は「カナカナ」と「ツクツクオーシ」で見分けられる

ヒグラシとツクツクボウシを最も簡単に見分ける方法は、姿ではなく鳴き声を聞くことです。

ヒグラシは「カナカナカナ」と、同じ音を細かく繰り返すように鳴きます。

一方のツクツクボウシは、「オーシンツクツク」や「ツクツクボーシ」と聞こえる声を繰り返し、途中からリズムや音の並びが変化します。

文字で表すと聞こえ方には個人差がありますが、単調な繰り返しに近いヒグラシと、一曲のように展開していくツクツクボウシという違いを覚えておけば、姿が見えなくても判断しやすくなります。

どちらもカメムシ目セミ科に属する昆虫ですが、ヒグラシの学名は「Tanna japonensis」、ツクツクボウシの学名は「Meimuna opalifera」であり、分類上も別の種類です。

名前や季節の印象が似ているため混同されることがありますが、鳴き声を一度覚えれば間違える可能性はかなり低くなります。

鳴き声・見た目・時期をまとめた比較表

両者の違いを先に表で確認しておくと、その後の詳しい説明が理解しやすくなります。

比較するポイントヒグラシツクツクボウシ
代表的な鳴き声カナカナカナオーシンツクツク、ツクツクボーシ
声の特徴同じ音を連続して鳴く途中でリズムや音の並びが変わる
鳴きやすい時間早朝や夕方などの涼しく薄暗い時間主に日中から夕方
目立ち始める時期6月下旬頃から見られる地域がある7月下旬頃から現れ、8月から9月に目立つ地域が多い
体の印象茶色や緑色を帯びて見える黒っぽく引き締まって見える
生息環境薄暗い林、スギやヒノキの林など市街地の緑地、雑木林、低山地など
見分けやすさ鳴き声なら簡単鳴き声なら簡単
姿だけでの判定やや難しいやや難しい

ヒグラシは薄暗い林を好み、夏の朝夕に鳴く傾向がありますが、暗い林内や曇天時には昼間に鳴くこともあります。

ツクツクボウシは市街地から低山地まで広く見られ、日中に鳴くとする観察資料がある一方、地域によっては日没前後に鳴き声が盛んになることも確認されています。

そのため、時間帯だけで種類を断定せず、鳴き声や生息場所と合わせて判断することが大切です。

鳴き声が聞こえたときの簡単な判別方法

林や公園でセミの声が聞こえたら、まずは音の長さよりもリズムに注目してみましょう。

短い音が「カナカナカナ」とほぼ同じ間隔で続き、周囲から別の個体の声が重なって輪唱のように聞こえる場合は、ヒグラシの可能性が高いと考えられます。

ヒグラシの声は、遠くから聞くと澄んだ音に感じられますが、鳴いている個体の近くでは「キキキキ」と鋭く聞こえることもあります。

一方、鳴き始めから鳴き終わりまでに音の並びが変化し、「オーシンツクツク」の後に「ツクリヨーシ」のような別のフレーズが続く場合はツクツクボウシです。

ツクツクボウシは最後に短い「ジー」という音を出して鳴き終わることがあり、この終わり方も判断材料になります。

スマートフォンで録音するときは、鳴き始めから終わりまでを切らずに記録すると、ツクツクボウシ特有の変化を確認しやすくなります。

成虫を見つけたときに確認するポイント

成虫の姿を見つけた場合は、最初に体全体の色を確認します。

ヒグラシは茶褐色や緑色を帯びた部分があり、全体として木の幹になじむやわらかい色合いに見えます。

ツクツクボウシはヒグラシより黒っぽく見える個体が多く、胸の背中側には縦方向の線と八の字に見える模様があります。

ただし、体色には個体差があり、光の当たり方や写真の明るさによっても印象が変わります。

木陰で撮影したヒグラシが黒っぽく写ったり、日光が当たったツクツクボウシが茶色く見えたりすることもあるため、色だけで決めつけるのは避けましょう。

体色、胸の模様、鳴き声、生息していた場所を組み合わせると、より正確に判断できます。

どちらか迷ったときに使える判別チャート

どちらのセミか迷ったときは、次の順番で確認してみましょう。

「カナカナ」と同じ音を続けて鳴いていれば、ヒグラシと判断できます。

「オーシンツクツク」から別のリズムへ変化していれば、ツクツクボウシと判断できます。

鳴き声を確認できなかった場合は、茶色や緑色が目立ち、薄暗い林にいたならヒグラシの可能性が高くなります。

黒っぽい体で、胸の背中側に縦線と八の字型の模様が確認でき、市街地の公園や雑木林にいたならツクツクボウシの可能性が高くなります。

抜け殻しか残っていない場合は、体の色では判断できないため、抜け殻の大きさと触角の節を観察します。

判別で最も優先したいのは鳴き声であり、姿や抜け殻は補助的な手がかりとして使うのが現実的です。

鳴き声の違いは耳で聞けばすぐに分かる

ヒグラシは「カナカナカナ」と繰り返して鳴く

ヒグラシの鳴き声は、一般に「カナカナカナ」と表現されます。

一つひとつの音が短く、同じリズムが素早く繰り返されるのが大きな特徴です。

複数のオスが近くにいる場所では、一匹が鳴き始めると周囲の個体も続き、林全体から声が聞こえるような状態になることがあります。

福岡市の生物情報では、ヒグラシは夏の朝夕に「カナカナ」と鳴くセミとして紹介されており、三鷹市の観察情報でも、複数の個体が輪唱のように鳴く様子が記録されています。

遠くから聞くと「カナカナ」に感じられる一方、個体のすぐ近くでは「キキキキ」と金属的な音に聞こえる場合があります。

聞こえ方が違っても、細かい音を一定のリズムで繰り返しているなら、ヒグラシである可能性が高いでしょう。

ツクツクボウシは「オーシンツクツク」と鳴く

ツクツクボウシの声は、名前の由来にもなった「ツクツクボーシ」と表現されることが多い鳴き声です。

人によっては「オーシンツクツク」や「オーシーツクツクオーシー」と聞こえることもあります。

愛媛県の生物季節観測資料では、「ツクツクボーシ」「ツクリョーシ」「オーシーツクツクオーシー」など、複数の表し方が示されています。

これは地域によってセミの声が大きく違うというより、人の耳がどこで音を区切るかによって文字への表し方が変わるためです。

ヒグラシのように同じ短い音だけを繰り返すのではなく、鳴き始め、繰り返し、転調、鳴き終わりという流れがある点に注目すると判断しやすくなります。

名前を思い出せなくても、「途中で曲が変わるようなセミ」と覚えておけば区別できます。

ツクツクボウシの鳴き声が途中で変化する理由

ツクツクボウシの鳴き声は、途中でパターンが大きく変化します。

鳴き始めの短い音に続いて「オーシンツクツク」を繰り返し、その後は「ツクリヨーシ」という別のパターンへ移り、最後に「ジー」と鳴き終わります。

九州大学などの研究グループは、録音した鳴き声をオスに聞かせる実験を行い、前半と後半のパートでは、それを聞いたオスの反応が異なることを確認しました。

近くにいる別のオスは、ツクツクボウシの声に対して「ギーッ」と合いの手のような反応を返すことがあり、その反応の頻度が鳴き声のパートによって変わったと報告されています。

ただし、鳴き声が途中で変わる仕組みやオスの反応は研究されていますが、複雑な歌全体がどのような目的で現在の形になったのかについては、まだ分かっていない部分があります。

「メスを呼ぶためだけ」と単純に決めつけず、オス同士の音によるやり取りにも関係している可能性があると理解するのが適切です。

ヒグラシとツクツクボウシが鳴く時間帯の違い

ヒグラシは、早朝や夕方の涼しく薄暗い時間に鳴くことが多いセミです。

真夏の暑い日中は鳴き声が少なくても、厚い雲で急に暗くなったときや、薄暗い林の中では昼間に鳴く場合があります。

そのため、「ヒグラシは夕方にしか鳴かない」という理解は正確ではありません。

ツクツクボウシは日中に鳴く種類として観測資料に掲載されていますが、愛知県の自然観察情報では、日没後に鳴き声が盛んになるとの記録もあります。

鳴く時間は時計だけで決まるものではなく、明るさ、気温、天候、林内の環境にも影響されます。

時間帯は有効な手がかりですが、声のリズムほど確実な判別方法ではありません。

鳴き声を出すのは基本的にオスだけ

私たちが夏に聞いているセミの大きな鳴き声は、オスが出しています。

オスの腹部には発音に使う膜や音を響かせる空間があり、筋肉で膜を振動させ、腹部の空洞で共鳴させることで大きな音を作ります。

ヒグラシのオスは音を響かせる部分が発達しているため、メスより腹部が長く見えます。

三鷹市の資料では、ヒグラシのオスは体長28ミリから38ミリほど、メスは21ミリから25ミリほどとされ、腹部の長さから雌雄を比較しやすいと説明されています。

オスが鳴く主な役割は、同じ種類のメスへのアピールだと考えられていますが、ツクツクボウシでは別のオスの声に反応する行動も確認されています。

鳴いている個体を見つけた場合は、少なくともその個体はオスだと判断できます。

見た目の違いは体の色・羽・形を比較

ヒグラシは茶色っぽくツクツクボウシは黒っぽい

姿だけで比べる場合、分かりやすい違いの一つが体全体の色です。

静岡市の環境学習用図鑑では、ヒグラシは全体が茶色っぽく、ツクツクボウシは黒っぽいと説明されています。

ヒグラシには緑色を帯びた部分や赤褐色の部分もあり、林内の木の幹に止まっていると周囲に溶け込みやすくなります。

ツクツクボウシは胸や腹部の黒い部分が比較的目立ち、ヒグラシよりも色の差がはっきりした印象を受けます。

ただし、羽化してからの時間、個体差、光の当たり方、写真の補正によって色は違って見えます。

写真が暗い場合は、明るさを調整して胸部や頭部の色を確認し、体全体が黒く写っているという理由だけで判断しないようにしましょう。

透明な羽にある黒い模様の違い

ヒグラシとツクツクボウシは、どちらも透明な羽を持つため、アブラゼミのような茶色い羽を持つセミとは区別しやすい種類です。

ヒグラシの羽は透明で、羽の筋や一部の暗い部分が点のように見えることがあります。

ツクツクボウシも透明な羽を持ちますが、種類を判断するときは羽だけでなく、胸の背中側にある二本の縦線と、その間にある八の字型の模様を確認する方が分かりやすいでしょう。

羽の黒い点や筋は、羽が重なった場所、木の影、写真の圧縮によって実際より濃く見えることがあります。

羽の模様だけで断定するのではなく、体色、胸の模様、腹部の形を同時に確認してください。

鳴き声を聞ける状況であれば、見た目の細かな違いを探すより、声による判別を優先した方が確実です。

体の大きさだけでは見分けにくい

ヒグラシとツクツクボウシは、どちらも大型のクマゼミなどに比べると細身で中型のセミです。

愛知県の自然観察情報では、ツクツクボウシの体長は29ミリから31ミリとされています。

三鷹市の資料では、ヒグラシはオスで28ミリから38ミリ、メスで21ミリから25ミリほどとされており、性別によって体長に差があります。

この数値を比べると、ヒグラシのオスとツクツクボウシには重なる範囲があります。

野外では定規を当てることも難しく、木の高さや撮影距離によって大きさの印象も変わります。

「少し大きいからヒグラシ」「細いからツクツクボウシ」という判断は間違いやすいため、大きさは補助的な情報として使いましょう。

写真で確認するときに見るべき場所

写真から種類を調べる場合は、体全体が写った一枚だけでなく、背中側と横側を撮影すると判断しやすくなります。

背中側の写真では、頭部と胸部の色、胸の縦線、八の字型の模様を確認します。

横側の写真では、腹部の長さや全体の形を確認できます。

ヒグラシのオスはメスより腹部が長いため、細長い個体に見えることがあります。

ツクツクボウシは黒っぽい体色と胸の模様が手がかりになりますが、木の幹と似た色で見つけにくいため、可能であれば明るさを変えて複数枚撮影しましょう。

写真には、撮影した日付、時間、場所、周囲の環境も残しておくと、出現時期や生息環境を含めて判断できます。

鳴き声も聞こえている場合は、短い動画を撮影すると、姿と音を同時に記録できるため判別しやすくなります。

抜け殻は大きさと触角の形で見分けられる

抜け殻には成虫の体色や羽が残らないため、ヒグラシとツクツクボウシの判別には触角の観察が必要です。

平塚市博物館の資料では、ヒグラシの抜け殻は一部に泥が付き、光沢があり、触角の第四節が第三節より長いことが特徴として示されています。

ツクツクボウシの抜け殻は光沢がなく、触角の第四節が第三節より短いことが判別のポイントです。

熊本市の判別資料でも、体長26ミリ未満の小さな抜け殻について触角を観察し、第四節と第三節の長さを比べて両者を分ける方法が示されています。

触角は非常に折れやすく、先端が欠けている抜け殻では正しく判定できません。

抜け殻を持ち帰って観察する場合は、つぶれない容器に入れ、明るい場所で虫眼鏡を使って確認しましょう。

触角が壊れている場合は無理に種類を決めず、「ヒグラシまたはツクツクボウシの可能性がある」と記録する方が正確です。

鳴く時期・時間帯・生息場所の違い

ヒグラシは夏の終わりより前から鳴き始める

ヒグラシには夏の終わりに鳴く印象がありますが、実際には梅雨の時期から姿を現す地域があります。

福岡市と三鷹市の生物情報では、6月下旬頃から鳴き始めることが説明されています。

福岡市では観察しやすい時期を7月から9月、三鷹市では6月下旬頃から9月下旬頃までとしています。

つまり、ヒグラシの声を7月に聞いても珍しいことではありません。

夕方の涼しい時間に鳴くことや、秋の季節感と結び付けられてきたことから、実際の発生時期より遅いセミだと思われやすいのでしょう。

地域によって初めて鳴く日は変わるため、毎年同じ日から聞こえるわけではありません。

ツクツクボウシは晩夏から初秋に目立つ

ツクツクボウシは、夏の後半から鳴き声が目立ち始める地域が多いセミです。

兵庫県の佐用町昆虫館では、8月下旬から9月に多い種類として紹介されています。

群馬県立ぐんま昆虫の森でも、8月20日頃から8月下旬にツクツクボウシの声が目立つ様子が記録されています。

一方、鹿児島県立博物館の資料では、7月下旬から10月まで見られる種類とされており、暖かい地域では比較的早く現れ、遅い時期まで残ることがあります。

「夏休みの終わりに鳴くセミ」という印象は大きく外れていませんが、8月末から突然現れるわけではありません。

7月下旬や8月上旬に聞こえても不自然ではなく、地域ごとの出現時期を考える必要があります。

朝夕に鳴くヒグラシと日中にも鳴くツクツクボウシ

ヒグラシは、日の出前後と日没前後の涼しい時間に鳴く傾向があります。

薄暗い林では明るい時間帯でも鳴くことがあり、曇りや雨の前に急に暗くなったときにも声が聞こえる場合があります。

ツクツクボウシは日中に鳴く種類として観測されていますが、地域や環境によっては夕方から日没後に鳴き声が強くなることもあります。

このため、夕方に聞いた声が必ずヒグラシとは限りません。

「カナカナ」ならヒグラシ、「オーシンツクツク」ならツクツクボウシという声の特徴を優先しましょう。

観察するときは時刻だけでなく、気温、天気、日当たり、林の明るさも記録すると、鳴いた理由を考えやすくなります。

薄暗い林を好むヒグラシと幅広い場所にいるツクツクボウシ

ヒグラシは、平地から山地までの薄暗い林に生息し、スギやヒノキが植えられた林でもよく確認されます。

市街地の中心部より、寺社林、山沿いの林、樹木が密集した公園などで見つかる可能性が高いセミです。

ツクツクボウシは、市街地から低山地まで比較的幅広い環境に生息します。

雑木林だけでなく、樹木の多い公園、庭、学校、街路樹の周辺などで声を聞くことがあります。

ただし、同じ市内でも樹木の量や林の明るさによって、見つかる種類や数は変わります。

ヒグラシがいる場所には薄暗くまとまった林が残っていることが多く、ツクツクボウシは人の生活圏に近い緑地でも観察しやすいという違いがあります。

地域・標高・気温によって時期が変わる

セミが現れる時期は全国で完全に同じではありません。

ヒグラシは平地から山地に分布しますが、都市部より山地や林の多い場所で記録されやすい地域があります。

ツクツクボウシも市街地から低山地まで広く見られますが、地域によって鳴き始める時期や鳴き終わる時期が異なります。

兵庫県では8月から9月に多いとされる一方、鹿児島県では7月下旬から10月までとする観察資料があります。

その年の気温や天候によって羽化の進み方も変わるため、「毎年お盆を過ぎたら鳴く」と日付を固定して覚えるのは適切ではありません。

種類を調べるときは、全国的な目安だけでなく、観察した地域の自治体や博物館が公開している記録も確認すると判断しやすくなります。

ヒグラシとツクツクボウシのよくある勘違い

どちらも「秋を知らせるセミ」と呼ばれるのはなぜ?

ヒグラシとツクツクボウシは、どちらも夏の終わりを感じさせるセミとして扱われることがあります。

ただし、実際の出現時期は同じではありません。

ヒグラシは6月下旬頃から鳴く地域があり、ツクツクボウシより早く姿を現す場合があります。

ツクツクボウシは7月下旬頃から現れ、8月後半から9月に声が目立つ地域が多いため、季節の変化を感じやすいセミです。

ヒグラシは朝夕の涼しい時間に鳴き、ツクツクボウシは夏の後半に数が増えるため、どちらの声も暑さが弱まり始める時期の印象と結び付きやすいのでしょう。

生物学的には「秋のセミ」という明確な分類があるわけではなく、鳴く時期や人が受ける季節感から生まれた呼び方として考えるのが自然です。

ヒグラシは夕方にしか鳴かないって本当?

ヒグラシが夕方にしか鳴かないという説明は正確ではありません。

よく鳴くのは早朝と夕方ですが、薄暗い林の中では日中に鳴くことがあります。

晴れて暑かった日中でも、厚い雲が広がって急に暗くなったときには鳴き始める場合があります。

山地で霧が濃くなったときや、木々が日光を遮る林内でも、明るい時間に声を聞く可能性があります。

ヒグラシが反応しているのは時計の時刻だけではなく、明るさや気温を含む周囲の状態だと考えると理解しやすくなります。

昼間に「カナカナ」という声が聞こえても、別のセミだと決めつける必要はありません。

ツクツクボウシはお盆を過ぎてから鳴く?

ツクツクボウシは、お盆を過ぎてから初めて鳴くとは限りません。

鹿児島県の資料では7月下旬から10月、佐用町昆虫館では8月から9月が主な時期として示されています。

佐用町昆虫館では、2024年8月3日にツクツクボウシが鳴き始めたことも記録されています。

暖かい地域やその年の天候によっては、8月前半から普通に聞こえることがあります。

一方で、数が増えて存在感が強くなるのは8月後半から9月である地域が多いため、お盆後のセミという印象が残りやすいのでしょう。

暦ではなく、鳴き声のリズムで種類を確認することが大切です。

同じ場所で両方の鳴き声が聞こえることはある?

ヒグラシとツクツクボウシが同じ地域や公園で確認されることはあります。

東京動物園協会が運営する井の頭自然文化園では、8月にツクツクボウシとヒグラシを含む複数のセミの声が聞こえていることが記録されています。

両者は出現する時期が一部重なり、樹木のある環境を利用するため、林や大きな公園では両方の声が聞こえても不思議ではありません。

ただし、鳴く時間帯や好む明るさには傾向の違いがあるため、同じ場所でも常に同時に鳴いているとは限りません。

夕方の林でヒグラシの「カナカナ」が聞こえ、その近くからツクツクボウシの複雑な声が重なることもあります。

複数の音が混ざって分かりにくい場合は、一番近くから聞こえる一匹の声に集中し、鳴き始めから終わりまで聞いてみましょう。

ミンミンゼミなど別のセミと間違えないためのポイント

ミンミンゼミは「ミーンミンミンミンミー」と鳴くため、音の中に「ミン」がはっきり聞こえます。

ツクツクボウシも途中でリズムが変わりますが、「オーシンツクツク」や「ツクリヨーシ」という細かな音の連続がある点で区別できます。

アブラゼミは透明な羽ではなく茶色い羽を持ち、「ジリジリジリ」と連続した声で鳴くため、姿を確認できれば判別しやすい種類です。

ニイニイゼミは小型で、「チー」や「チチチチー」に近い高い声を出し、最後に「ジー」と鳴くことがあります。

ヒグラシを見分ける合言葉は「一定のリズムでカナカナ」、ツクツクボウシを見分ける合言葉は「途中で曲が変わる」です。

声を文字だけで暗記するより、一定型と変化型というリズムの違いを覚えると、野外でも判断しやすくなります。

ヒグラシとツクツクボウシの違いまとめ

ヒグラシとツクツクボウシの違いは、鳴き声を聞けば簡単に判断できます。

「カナカナカナ」と同じ音を連続して鳴くのがヒグラシで、「オーシンツクツク」から「ツクリヨーシ」のようにリズムを変えるのがツクツクボウシです。

見た目ではヒグラシが茶色や緑色を帯び、ツクツクボウシが黒っぽく見える傾向がありますが、色には個体差や撮影条件の影響があります。

成虫を写真で調べるときは、体色だけでなく、胸の模様、腹部の形、撮影場所、時期を合わせて確認しましょう。

ヒグラシは夏の終わりだけに現れるセミではなく、地域によっては6月下旬頃から鳴き始めます。

ツクツクボウシは夏の後半から秋の初めに目立ちますが、7月下旬や8月上旬から聞こえる地域もあります。

また、ヒグラシは夕方だけ、ツクツクボウシは日中だけに鳴くわけではありません。

明るさ、気温、天候、生息環境によって鳴く時間は変わるため、時間帯は補助的な情報として扱いましょう。

迷ったときは、姿を探す前に声のリズムへ耳を傾けることが、最も簡単で分かりやすい方法です。

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