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持つ・保つ・もつの違いとは?漢字とひらがなの使い分けを例文で解説

持つ・保つ・もつの違いとは?漢字とひらがなの使い分けを例文で解説

「自信をもつ」は漢字にするべきなのか、「食品がもつ」は「持つ」と「保つ」のどちらなのか、文章を書いていると迷うことがあります。

どれも同じ読み方に見えますが、実は「保つ」の基本的な読み方は「たもつ」です。

さらに、漢字の「持つ」は、物を手にする場合だけでなく、資格を所有する、責任を引き受ける、感情を心に抱く、体力が続くといった場面でも使われます。

この記事では、「持つ」「保つ」「もつ」の意味と読み方を、比較表と具体的な例文を使って分かりやすく解説します。

作文、ビジネス文書、ブログ記事などで表記に迷ったときも、文の意味から正しい言葉を選べるようになります。

目次

「持つ・保つ・もつ」の違いを先に確認

3つの違いがわかる比較表

「持つ」「保つ」「もつ」は、すべて同じように見えますが、読み方と表す内容が異なります。

最初に覚えておきたいのは、「保つ」の基本的な読み方は「たもつ」であり、「もつ」と読む漢字として常用漢字表に掲載されているのは「持つ」だということです。

文化庁が公開している常用漢字表では、「持」の訓読みとして「もつ」、「保」の訓読みとして「たもつ」が示されています。

表記読み方主な意味
持つもつ手にする、所有する、担当する、心に抱く、状態が続く荷物を持つ、自信を持つ、体が持つ
保つたもつ状態を変えずに守る、維持する健康を保つ、距離を保つ
もつもつ「持つ」をひらがなで表した形食品がもつ、電池がもつ

ここで注意したいのは、ひらがなの「もつ」が、「持つ」とはまったく別の言葉なのではないという点です。

多くの場合、同じ動詞を漢字で書くか、読みやすさを考えてひらがなで書くかという表記上の違いです。

国立国語研究所の辞書データでも、手にする、所有する、感情や性質を備える、費用を負担するといった意味を「持つ」とし、体や食品が耐える意味については「保つ・持つ」と整理しています。

「持つ」は所有・所持・担当などを表す

「持つ」は、手で物をつかむことだけを表す言葉ではありません。

財布を持つ、家を持つ、資格を持つ、責任を持つ、自信を持つなど、非常に広い場面で使われます。

辞書では、手に取る、携帯する、所有する、担当する、責任や費用を負担する、性質を備える、心の中に感情や考えを抱くといった意味が挙げられています。

そのため、「目に見える物には漢字を使い、目に見えない物にはひらがなを使う」と覚えるのは正確ではありません。

自信や関心は手で触れられませんが、「自信を持つ」「関心を持つ」と書くのが自然です。

次のような文章では、基本的に「持つ」を使えます。

「右手にかばんを持つ」

「運転免許を持っている」

「新しい仕事に興味を持つ」

「チームの責任を持つ」

「高い処理能力を持つ機械」

何かを手元に置く、自分のものにする、自分の内側に備える、自分の役割として引き受けるという感覚があるときは、「持つ」を選ぶと考えやすくなります。

「保つ」は状態を変えずに維持する

「保つ」は「たもつ」と読み、ある状態をできるだけ変えないように守るときに使います。

たとえば、「健康を保つ」は、健康な状態を悪化させないように守ることです。

「室温を一定に保つ」は、温度が大きく変化しないように調整することです。

辞書では、「保つ」について、ある状態を変えずに続けることや、損なわれたり乱れたりしないように守り続けることが示されています。

「保」という漢字には、守る、維持するといった意味が含まれています。

そのため、「保つ」は、すでに存在する状態を崩さないようにする文章と相性がよい言葉です。

「部屋を清潔に保つ」

「適度な距離を保つ」

「冷静さを保つ」

「組織の秩序を保つ」

「一定の品質を保つ」

どの例にも、「今の状態をなるべく変えない」という共通点があります。

「何かを所有する」という意味では、現代の一般的な文章で「保つ」を使うことはほとんどありません。

家や資格について書くなら、「家を持つ」「資格を持つ」とするのが自然です。

「もつ」は状態が長く続く場合に使われる

ひらがなの「もつ」は、体力、食品、電池、道具、経営などが、ある時間まで耐えられるという場面でよく見かけます。

「この食品は常温で三日もつ」

「充電は夕方までもつ」

「今の体力では最後までもたない」

「修理すれば、あと数年はもつ」

「売上げが少なく、このままでは店がもたない」

これらの「もつ」は、途中で壊れたり、尽きたり、悪くなったりせず、一定の状態が続くという意味です。

ただし、漢字の「持つ」と書いても誤りになるわけではありません。

辞書には、「持つ」の意味として、長くそのままの状態を保ち続けることや、持ちこたえることも掲載されています。

したがって、「食品が持つ」「体が持たない」という表記にも辞書上の根拠があります。

ひらがなにすると、「所有する」「手にする」といった別の意味と区別しやすくなります。

漢字にするかひらがなにするかは、文章の種類や読みやすさによって判断するとよいでしょう。

迷ったときの基本的な判断手順

使い分けに迷ったときは、読み方だけでなく、文章が何を伝えようとしているかを考えます。

最初に、「たもつ」と読める文章かを確認してください。

「清潔をたもつ」「平静をたもつ」「温度をたもつ」と言えるなら、基本的には「保つ」が合います。

次に、何かを手にする、所有する、担当する、心に抱く、性質として備えるという意味なら、「持つ」を選びます。

「荷物を持つ」「資格を持つ」「疑問を持つ」「責任を持つ」などが当てはまります。

最後に、食品、体力、電池、道具などが一定期間耐えるという意味なら、「持つ」と「もつ」の両方が候補になります。

公用文では、常用漢字表に使える漢字と音訓がある語は、漢字で書くのが原則です。

一方、一般向けの解説や広報では、読みやすさを優先して、漢字で書ける語をひらがなで表すことも認められています。

迷ったときに使える基本的な考え方は、次のとおりです。

確認すること選びやすい表記
手にする、所有する、心に抱く持つ
状態を変えないように守る保つ
一定期間、耐える、続く持つ、または、もつ
「たもつ」と読む保つ
読みやすさを優先するひらがなの「もつ」も検討

漢字の「持つ」を使う場面

荷物や道具を手にする「持つ」

手、腕、指などで物を支えたり、つかんだりするときは「持つ」を使います。

これは、「持つ」の最も分かりやすい用法です。

「かばんを持つ」

「傘を持って出かける」

「両手で箱を持つ」

「ペンを持って名前を書く」

「スマートフォンを片手に持つ」

この場合の「持つ」は、「手に取る」「手元に置く」「携帯する」といった意味を表しています。

常用漢字表では「持」の訓として「もつ」が認められているため、一般的な文章では「荷物を持つ」と漢字で書けます。

ひらがなで「荷物をもつ」と書いても意味は通じますが、小学校低学年向けの文章など、漢字を避ける理由がなければ「持つ」が自然です。

また、「持っていく」のように、別の動作と組み合わさる場合もあります。

「資料を会議室へ持っていく」

「水筒を学校へ持ってくる」

この「持って」は、物を手にしたり携帯したりする動詞なので、漢字で書くと意味が伝わりやすくなります。

家・資格・権利などを所有する「持つ」

自分の家、車、資格、権利などを所有している場合も「持つ」を使います。

実際に手の中に収まる物でなくても、自分のものとして所有しているなら「持つ」と表せます。

「家を持つ」

「自動車を持っている」

「調理師免許を持つ」

「投票する権利を持つ」

「複数の口座を持っている」

辞書でも、「持つ」には、自分の物として所有する意味が掲載されています。

例として、別荘や資格なども挙げられています。

ここから分かるのは、「手で触れられるかどうか」だけでは判断できないということです。

資格や権利には形がありませんが、自分に属しているものとして扱うため、「持つ」が合います。

一時的に携帯している場合と、所有している場合は、同じ「持つ」でも意味が異なります。

「今日は現金を持っている」は、現金を携帯しているという意味です。

「多くの不動産を持っている」は、不動産を所有しているという意味です。

どちらも「持つ」の正しい使い方です。

自信・関心・疑問などを心に抱く「持つ」

目に見えない感情、考え、関心などについても「持つ」を使います。

「自信を持つ」

「将来に希望を持つ」

「新しい技術に関心を持つ」

「説明に疑問を持つ」

「相手に好意を持つ」

これらは、何かを心の中に抱いている状態を表しています。

辞書では、「持つ」の意味として、心の中に悩みや夢などを抱くことが示されています。

国立国語研究所の辞書データにも、「関心を持つ」「勇気を持つ」といった用例があります。

そのため、「形のないものだから、ひらがなで書かなければならない」という決まりはありません。

「自信をもつ」とひらがなで書くこともできますが、通常の一般向け文章やビジネス文書では「自信を持つ」が分かりやすい表記です。

「感情を持つ」と「感情を保つ」では意味も変わります。

「好意を持つ」は、好意が心の中に生まれたり存在したりすることです。

「平静を保つ」は、落ち着いた状態を崩さないことです。

心にあるものの存在を表すなら「持つ」、心の状態を守るなら「保つ」と考えると区別しやすくなります。

責任・役割・費用を引き受ける「持つ」

仕事、学校、家庭などでは、責任、役割、費用を引き受ける意味で「持つ」を使います。

「担当クラスを持つ」

「最終的な責任を持つ」

「交通費は会社が持つ」

「家事を分担して持つ」

「複数の案件を同時に持つ」

この用法では、「自分が引き受ける」「自分の担当にする」という意味が中心です。

辞書には、「受け持つ」「担当する」「自分のものとして引き受ける」「負担する」といった意味が掲載されています。

国立国語研究所の用例でも、クラスを担当すること、責任を引き受けること、交通費を負担することに「持つ」が使われています。

「責任を保つ」と書くと、通常は不自然です。

責任は、状態を維持するものというより、自分が引き受けるものだからです。

ただし、「責任ある姿勢を保つ」であれば、責任感のある姿勢を変えずに続けるという意味になるため、「保つ」が使えます。

どの名詞と組み合わせるかだけでなく、引き受けるのか、状態を守るのかを確認することが大切です。

性質・機能・特徴を備えている「持つ」

人、物、組織、制度などが、特定の性質や機能を備えている場合にも「持つ」を使います。

「高い技術力を持つ会社」

「防水機能を持つ時計」

「強い香りを持つ植物」

「複数の意味を持つ言葉」

「大きな可能性を持つ技術」

この「持つ」は、物を手にする意味ではありません。

対象の中に、ある特徴や能力が存在していることを表します。

辞書でも、「身に備える」「ある性質や状態を有する」という意味が示されています。

国立国語研究所の辞書データには、ホールが収容能力を持つという用例があります。

「機能を保つ」とすると、機能が低下したり失われたりしないように維持する意味になります。

「この装置は高い冷却機能を持つ」は、もともと高い機能を備えているという意味です。

「点検によって冷却機能を保つ」は、機能を正常なまま維持するという意味です。

同じ「機能」という名詞でも、「備えている」のか「失わないようにする」のかによって表記が変わります。

「保つ」の意味と正しい読み方

「保つ」の基本的な読み方は「たもつ」

現代の一般的な文章では、「保つ」は「たもつ」と読みます。

「健康を保つ」は「けんこうをたもつ」です。

「距離を保つ」は「きょりをたもつ」です。

「保つ」を「もつ」と読ませる表記を見かけることがありますが、常用漢字表では、「保」の訓として掲載されているのは「たもつ」です。

一方、「持」の訓として「もつ」が掲載されています。

したがって、多くの人が読む一般向け文章では、「保つ」と書いて「もつ」と読ませないほうが安全です。

たとえば、「この食品は三日保つ」と書くと、「三日たもつ」と読むのか、「三日もつ」と読むのかが分かりにくくなります。

この意味なら、「この食品は三日持つ」または「この食品は三日もつ」と書くと読み間違いを防げます。

辞書の「保つ」の説明に「もつ」という言葉が出てくる場合がありますが、これは意味を説明するための言い換えです。

「保つ」という漢字表記の読み方を「もつ」と指定しているとは限らないため、語義と読み方を分けて確認する必要があります。

健康・若さ・清潔さを保つ

健康、若さ、清潔さなど、望ましい状態を守るときは「保つ」がよく使われます。

「十分な睡眠で健康を保つ」

「運動を続けて若さを保つ」

「こまめに掃除して部屋を清潔に保つ」

「適切な湿度を保つ」

「食品の鮮度を保つ」

これらには、状態が悪化しないように気を配るという意味があります。

辞書でも、「若さを保つ」などが、損なわれたり乱れたりしないように状態を守る例として挙げられています。

「健康を持つ」という表現は、通常の日本語では不自然です。

健康は所有物として持つというより、よい状態を維持するものとして捉えるからです。

ただし、「健康に関する知識を持つ」であれば、知識を備えている意味になるため「持つ」を使います。

「清潔感を持つ人」と「清潔さを保つ人」も意味が違います。

前者は、清潔に見える印象を備えた人です。

後者は、清潔な状態を維持している人です。

似た言葉でも、特徴を備えているのか、状態を守っているのかで判断してください。

温度・距離・バランスを保つ

数値や位置関係が大きく変わらないようにするときも「保つ」を使います。

「室温を二十五度に保つ」

「車間距離を保つ」

「一定の速度を保つ」

「体のバランスを保つ」

「相手と適度な距離を保つ」

このような文章では、基準となる状態や範囲があります。

その状態から外れないように調整したり、乱れないように支えたりするのが「保つ」です。

辞書には、室内の温度を一定にする例が掲載されており、「保つ」が状態を変えずに続ける意味を持つことが確認できます。

「距離を持つ」と書くと、一般的には不自然になりやすい表現です。

ただし、「相手に対して距離を持った接し方」のような文章では、心理的な隔たりを設けるという別の意味で使われる場合があります。

分かりやすく伝えるなら、「距離を置く」や「距離を保つ」と言い換えるほうがよいでしょう。

「バランスを持つ」も意味が曖昧です。

能力や特徴としてバランス感覚を備えているなら、「優れたバランス感覚を持つ」とすると自然です。

現在の姿勢や関係を崩さないことなら、「バランスを保つ」と書きます。

秩序・平静・関係を保つ

目に見えない状態であっても、それを乱さずに続ける場合は「保つ」を使います。

「会場の秩序を保つ」

「緊急時にも平静を保つ」

「友好的な関係を保つ」

「組織の一体感を保つ」

「相手への礼儀を保つ」

「保つ」は、物理的な温度や距離だけに使う言葉ではありません。

人の心、社会の状態、人間関係などについても使えます。

辞書では、「秩序を保つ」や「面目を保つ」といった例が示されています。

「関係を持つ」という表現もありますが、「関係を保つ」とは意味が異なります。

「取引先と関係を持つ」は、相手とのつながりが存在することを表します。

「取引先と良好な関係を保つ」は、すでにある良い関係を悪化させずに続けることを表します。

「冷静さを持つ」も完全な誤りとは言えませんが、通常は「冷静さを備えている」という性質の説明になります。

混乱や緊張の中で落ち着きを失わないという意味なら、「冷静さを保つ」がより正確です。

「保つ」と「維持する」のニュアンスの違い

「保つ」と「維持する」は、どちらも状態を変えずに続ける意味で使えます。

ただし、文章から受ける印象には違いがあります。

「保つ」は和語で、日常会話や一般向けの文章にもなじみやすい表現です。

「維持する」は漢語で、制度、設備、数値、経営などを客観的に説明するときによく合います。

文化庁の「公用文作成の考え方」では、漢語は正確さや改まった印象を出す場合に役立つ一方、一般向けの広報では訓読みの動詞を使うと分かりやすく親しみやすくなる場合があると説明されています。

「健康を保つ」と「健康を維持する」は、どちらも自然です。

前者は日常的で柔らかな印象があります。

後者は、健康管理の方針や調査報告など、やや改まった場面に合います。

「治安を維持する」は、行政や組織が仕組みとして治安を守る印象があります。

「平静を保つ」は、個人が心の落ち着きを失わない印象があります。

どちらか一方だけが正しいのではなく、読み手と文章の雰囲気に合わせて選ぶことが大切です。

ひらがなの「もつ」が適している場面

食品や品質が長くもつ

食品が腐ったり、味や品質が落ちたりせず、一定期間食べられる状態が続くことを「もつ」と表せます。

「この焼き菓子は一週間もつ」

「開封すると、あまり長くもたない」

「冷蔵すれば翌日までもつ」

「水分の多い食品は日数がもたない」

この意味は、漢字で「持つ」と書くこともできます。

辞書では、「持つ」の意味として、食品などが長くそのままの状態を保つことが示されています。

ひらがなにすると、「食品が何かを所有する」という読み違いを避けやすくなり、文章の流れが柔らかくなります。

ただし、公用文では、常用漢字表に漢字と読み方がある語は漢字で書くことが原則です。

一般向けの解説や広報では、分かりやすさを優先して仮名書きにすることもできます。

そのため、「食品が持つ」と「食品がもつ」のどちらかを一律に誤りとするのは適切ではありません。

記事や商品説明では、同じ文章の中で表記がばらばらにならないように、どちらかへ統一すると読みやすくなります。

体力や気力がもつ

体力や気力が、必要な時間まで尽きずに続く場合にも「もつ」が使われます。

「このペースなら最後までもつ」

「休憩を取らないと体がもたない」

「集中力が一時間しかもたない」

「気力だけでは長くもたない」

ここでの「もつ」は、体力や気力が何かを所有するという意味ではありません。

途中で力尽きず、耐え続けられるという意味です。

辞書では、「持つ」の用例として「からだが持たない」が挙げられています。

国立国語研究所の辞書データにも、きつい仕事に対して体が耐える意味の用例があります。

したがって、「体が持たない」と漢字で書くことにも根拠があります。

一方、「体がもたない」とひらがなにすると、持久力について述べていることを直感的に読み取りやすくなります。

「健康を保てない」と「体がもたない」も意味が異なります。

「健康を保てない」は、健康な状態を維持できないという意味です。

「体がもたない」は、負担に耐え続けられないという意味です。

電池や道具が長くもつ

電池、機械、道具などが、故障したり使えなくなったりせずに長く使えることも「もつ」と表現できます。

「この電池は一日もつ」

「丁寧に使えば十年はもつ」

「安い靴なので、一年ももたなかった」

「充電が帰宅までもつか心配だ」

「修理しても、あと何年もつか分からない」

この場合も、「持つ」と漢字で書くことができます。

「電池が持つ」は、充電量や性能が必要な時間まで続くという意味です。

「道具が持つ」は、壊れずに使用できる状態が続くという意味です。

ひらがな表記には、同じ段落の中で漢字が続きすぎるのを防ぎ、文章を読みやすくする効果があります。

ただし、「性能を持つ」と「性能がもつ」は区別が必要です。

「高い性能を持つ電池」は、高い性能を備えている電池です。

「電池の性能が長くもつ」は、その性能が長期間低下しないという意味です。

助詞の「を」と「が」に注目すると、意味の違いが見えやすくなります。

経営や生活が何とかもつ

会社、店、家計、生活などが、厳しい状況でも破綻せずに続くことを「もつ」と表現できます。

「今月は何とか店がもった」

「この売上げでは経営がもたない」

「貯金があれば半年は生活がもつ」

「支援がなければ事業はもたなかった」

ここでの「もつ」は、一定の状態を持ちこたえるという意味です。

途中で資金が尽きたり、経営を続けられなくなったりしないことを表しています。

「会社を持つ」と書くと、会社を所有する、または経営するという意味になります。

「会社がもつ」と書くと、会社の経営が破綻せず続くという意味になります。

一文字違うだけですが、助詞が変わることで主語と目的語の関係も変わります。

「店を持つ」は、自分の店を所有したり経営したりすることです。

「店がもつ」は、店の営業や経営が続くことです。

意味を正確に伝えるには、表記だけでなく、誰が何をする文なのかも確認する必要があります。

「持つ」と「もつ」の両方を見かける理由

「持つ」と「もつ」の両方が使われる理由は、漢字表記と仮名表記にそれぞれ利点があるからです。

「持つ」と書けば、その言葉が「持」という漢字の意味に関係していることが分かります。

常用漢字表でも、「もつ」は「持つ」と書ける読み方として認められています。

一方、「もつ」と書けば、手で持つことや所有することではなく、耐える、続くという意味だと伝えやすくなる場合があります。

文化庁の公用文に関する資料では、使える漢字がある語は漢字で書くことを原則としながら、一般向けの解説や広報では、読み手に配慮して仮名書きにすることも認めています。

つまり、漢字かひらがなかは、正誤だけで決まるとは限りません。

文章の目的、対象となる読者、周囲の漢字の多さ、読み間違いの可能性なども判断材料になります。

個人ブログや商品紹介では、分かりやすさを優先して「食品がもつ」と書く方法があります。

契約書や改まった報告書では、表記の統一や公的な基準を重視して「持つ」とする方法があります。

大切なのは、一つの文章の中で理由なく表記を揺らさないことです。

間違えやすい表現を例文で確認

「自信を持つ」と「自信をもつ」はどちらが正しい?

一般的な文章では、「自信を持つ」と書くのが基本です。

「持つ」には、心の中に考えや感情を抱く意味があるため、自信、希望、関心、疑問などにも漢字を使えます。

「自信をもつ」とひらがなで書いても、意味が間違っているわけではありません。

子ども向けの文章、漢字を減らしたい文章、柔らかな印象を出したい文章では、ひらがな表記が選ばれることがあります。

ただし、「目に見えないものだから、必ずひらがなにする」という説明は正確ではありません。

次の表記は、いずれも漢字の「持つ」が自然です。

「将来に希望を持つ」

「説明に疑問を持つ」

「仕事に誇りを持つ」

「相手へ関心を持つ」

「成功する自信を持つ」

「自信を保つ」と書くと、すでにある自信を失わないように維持する意味になります。

「自信を持つ」は、自信が心の中に存在することや、自信を新たに抱くことです。

「失敗しても自信を保つ」は、失敗後も自信を失わないことです。

表記を選ぶときは、持っている状態を表すのか、その状態を守るのかまで考えましょう。

「日持ち・日もち」「長持ち・長もち」の表記

一般的には、「日持ち」「長持ち」と漢字で書かれます。

「日持ち」は、日数がたっても品質が大きく変わらず、そのままの状態でいられることを表す名詞です。

「日持ちする食品」

「日持ちのよい菓子」

「冷蔵すると日持ちする」

「長持ち」は、物や状態が長期間続くことを表します。

「長持ちする靴」

「電池を長持ちさせる」

「この家具は丈夫で長持ちする」

「日もち」「長もち」と書いても意味は伝わりますが、一般的な複合語としては「日持ち」「長持ち」が読みやすいでしょう。

文化庁が公開している食文化関連の資料でも、「日持ち」「長持ち」という表記が実際に使われています。

ただし、これらの使用例だけで、あらゆる文章に漢字表記を強制できるわけではありません。

幼児向け教材など、漢字を使わない方針の文章なら、「ひもち」「ながもち」と書くこともできます。

一般向けのブログ、商品説明、ビジネス文書では、「日持ち」「長持ち」に統一すると、意味を素早く読み取ってもらいやすくなります。

「体が持つ」と「体がもつ」の違い

「体が持つ」と「体がもつ」は、基本的に同じ意味で使えます。

どちらも、体力が尽きず、負担に耐え続けられることを表します。

辞書には、「持つ」の用例として「からだが持たない」が掲載されています。

そのため、「体が持つ」を誤字とするのは適切ではありません。

「体がもつ」は、耐えられるという意味を分かりやすく示したいときに使える仮名表記です。

次の二つは、伝えている内容がほぼ同じです。

「この働き方では体が持たない」

「この働き方では体がもたない」

一方、「体を保つ」とすると、意味が変わります。

「体形を保つ」は、現在の体形を維持することです。

「健康な体を保つ」は、健康な状態を守ることです。

「体が持つ」は、負担に耐える力が続くことです。

「体を保つ」は、体の状態を維持することです。

助詞が「が」なのか「を」なのかにも注目すると、区別しやすくなります。

「荷物を持って」と「今回をもって」の違い

「持って」と「もって」は、読み方が同じでも役割が違います。

「荷物を持って移動する」の「持って」は、動詞「持つ」が変化した形です。

実際に荷物を手にしたり、携帯したりするため、漢字で書きます。

「ペンを持ってください」

「資料を持って会議室へ行く」

「傘を持って出かける」

これに対して、「今回をもって終了します」の「もって」は、区切りとなる時点、手段、理由などを表す連語です。

具体的に何かを手で持つ意味は薄れています。

辞書では、「をもって」について、手段、方法、原因、理由などを表す用法が示されています。

公用文の漢字使用に関する内閣訓令でも、助詞や助動詞に近い働きをする語句は仮名で書くという原則が示されています。

「本日をもって退職します」

「書面をもって回答します」

「これをもって会議を終了します」

「持って」と書くべきか迷ったら、実際に何かを手にする意味が残っているかを確認してください。

手にする、運ぶ、所有する意味なら「持って」、手段や区切りを示すなら「もって」が基本です。

作文・ビジネス文書・公用文で迷ったときの選び方

作文や一般向けの記事では、最初に意味が正確に伝わるかを優先します。

所有、担当、感情、性質を表すなら「持つ」が基本です。

状態を変えずに守るなら「保つ」を使います。

耐える、長く続く意味では、「持つ」と「もつ」のどちらも考えられます。

漢字が多くて読みにくい文章では、「もつ」と書くと柔らかくなる場合があります。

ビジネス文書では、同じ文書内で表記を統一することが重要です。

前半では「製品が持つ」、後半では「製品がもつ」と理由なく変えると、内容に違いがあるように見える可能性があります。

会社に文章作成のルールがある場合は、そのルールを優先してください。

公用文では、常用漢字表に使える漢字と音訓がある場合、その漢字を使うのが原則です。

ただし、専門知識を持たない人へ向けた解説や広報では、読み手に配慮して仮名を使うこともできます。

学校の作文では、習っている漢字の範囲や先生の方針も確認すると安心です。

迷ったときは、次の順番で考えてください。

文章の意味基本の表記
物を手にする持つ
所有する持つ
感情や考えを抱く持つ
責任や費用を引き受ける持つ
性質や機能を備える持つ
状態を変えずに守る保つ
体力、食品、電池などが耐える持つ、または、もつ
手段や区切りを表す「をもって」もって

「持つ」「保つ」「もつ」の違いまとめ

「持つ」「保つ」「もつ」を正しく使い分けるには、漢字の形だけでなく、読み方と文の意味を確認することが大切です。

「持つ」は「もつ」と読み、手にする、所有する、担当する、心に抱く、性質を備える、負担するなど、幅広い意味で使われます。

「保つ」は「たもつ」と読み、健康、温度、距離、秩序、関係などを変えずに維持する場合に使います。

「もつ」は、多くの場合、「持つ」をひらがなで表した形です。

食品、体力、電池、道具、経営などが一定期間耐える場面では、「持つ」と「もつ」の両方が使われます。

常用漢字表では、「持」の読みとして「もつ」、「保」の読みとして「たもつ」が示されています。

そのため、「保つ」と書いて「もつ」と読ませる方法は、一般向けの文章では避けたほうが分かりやすいでしょう。

最後に、覚え方を一文で整理します。

何かを手にする、所有する、心に抱くなら「持つ」、今の状態を守るなら「保つ」、耐えて続く意味を読みやすく表したいなら「もつ」です。

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