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称える・讃える・湛えるの違いは?意味と正しい使い分けを例文で解説

称える・讃える・湛えるの違いは?意味と正しい使い分けを例文で解説

「健闘をたたえる」「目に涙をたたえる」という二つの文章は、同じ読み方でも使う漢字が異なります。

普段は音で聞くことが多いため、いざ文章にしようとすると、「称える」「讃える」「湛える」のどれを選べばよいのか迷う人も多いでしょう。

特に「称える」と「讃える」は意味がよく似ていますが、「湛える」だけは表す内容が大きく違います。

さらに、常用漢字かどうか、公的な文章ではどう表記するのかまで考えると、判断は簡単ではありません。

この記事では、三つの言葉の意味、使い分け、表記上の注意点を、比較表と豊富な例文で分かりやすく解説します。

最後まで読むと、功績、健闘、水、涙、笑みなどに、どの漢字を使えばよいのか迷わなくなるはずです。

目次

「称える・讃える・湛える」の違いを一覧で比較

3つの意味と使い方が分かる比較表

「称える」「讃える」「湛える」は、いずれも「たたえる」と読みます。

ただし、表す内容は同じではありません。

最初に違いを整理しておきましょう。

表記主な意味よく組み合わせる言葉表記上の特徴
称える優れた行為や功績をほめる健闘、功績、勇気、努力「称」は常用漢字だが、「たたえる」は表外読み
讃える優れたものをほめたたえる栄光、偉業、人生、自然「讃」は常用漢字ではない
湛える液体を満たす、表情や感情を浮かべる水、涙、笑み、悲しみ「湛」は常用漢字ではない

文化庁の常用漢字表では、「称」に示されている読みは「ショウ」のみで、「たたえる」は掲載されていません。

また、「讃」と「湛」は常用漢字表に含まれていません。

「湛える」には、器などを液体でいっぱいにする意味と、感情を顔に表す意味があります。

結論として、人や行動をほめる場合は「称える」または「讃える」を使います。

水や涙が満ちている様子、笑みや悲しみが顔に浮かんでいる様子には「湛える」を使います。

「称える」と「讃える」は人や行動をほめる言葉

「称える」は、相手の優れた行為、努力、功績などを高く評価してほめる言葉です。

「相手チームの健闘を称える」「長年の功績を称える」のように使います。

「讃える」にも、優れた行為や業績をほめる意味があります。

漢字ペディアでは、「讃える」を、口々にほめることや、優れた行為・業績をほめることと説明しています。

したがって、「称える」と「讃える」は、ほめる意味で使う限り、実用上の違いはそれほど大きくありません。

ただし、「称える」には、ほめる意味のほかに、名前を付けて呼ぶという意味もあります。

一方の「讃える」は、ほめたたえる意味が前面に出る表記です。

文章を書くときは、一般的で読み手に伝わりやすい表記を求めるなら「称える」か、ひらがなの「たたえる」が使いやすいでしょう。

作品名、詩、記念文、式典の文章などで、ほめたたえる雰囲気を強く出したい場合には「讃える」が選択肢になります。

「湛える」は水や感情などを満たす言葉

「湛える」は、何かが内側に満ちている状態を表します。

代表的なのは、「湖が豊かな水を湛えている」という使い方です。

この場合は、湖の中に水がいっぱいに満ちている様子を示しています。

「目に涙を湛える」も同じ考え方です。

目の中に涙がたまっている状態を、液体が満ちている様子として表しています。

さらに、「笑みを湛える」「顔に悲しみを湛える」のように、表情や感情が顔に現れている場合にも使えます。

辞書では、液体をいっぱいにする意味と、感情を顔に出す意味が示されています。

「湛」という漢字には水を表す「さんずい」が付いています。

そのため、「水や感情を内側にためている」と考えると、意味を覚えやすくなります。

漢字を選ぶときの簡単な判断方法

漢字に迷ったときは、何が満ちているのかを考えてみましょう。

相手への評価や敬意が言葉として表されているなら、「称える」または「讃える」です。

水、涙、光、笑み、悲しみなどが、器や目、顔、風景の中に満ちているなら「湛える」です。

たとえば、「選手の努力をたたえる」では、努力を高く評価してほめています。

したがって、「選手の努力を称える」と書けます。

「目に涙をたたえる」では、目の中に涙がたまっています。

したがって、「目に涙を湛える」が適切です。

迷ったときは、次の質問を自分に投げかけると判断しやすくなります。

「これは、ほめているのか、それとも何かが満ちているのか」と考えてください。

ほめているなら「称える」か「讃える」、満ちているなら「湛える」です。

迷ったときは「何をたたえるのか」で見分ける

目的語を見ると、使う漢字をかなり正確に判断できます。

「功績」「努力」「勇気」「健闘」「偉業」などは、評価してほめる対象です。

そのため、「称える」または「讃える」を使います。

一方、「水」「涙」「笑み」「光」「悲しみ」「静けさ」などは、内側や表面に満ちるものです。

そのため、「湛える」が自然です。

次の組み合わせを覚えておくと便利です。

自然な組み合わせ意味
功績を称える功績を高く評価してほめる
勇気を讃える勇気ある行動をほめたたえる
湖が水を湛える湖に水が豊かに満ちている
目に涙を湛える目に涙をためている
顔に笑みを湛える笑顔を浮かべている

ただし、「涙」は単なる液体ではなく、悲しみや喜びの感情も表します。

そのため、「涙を湛える」は、物理的に涙がたまっている状態と、感情があふれそうな状態を同時に伝えられる表現です。

「称える」の意味と正しい使い方

「称える」は優れた行動や功績をほめること

「称える」は、人の優れた行為や成果を言葉にしてほめることです。

漢字ペディアでは、「称える」を、ほめそやすこと、ほめあげること、称賛することと説明しています。

単に「良かった」と感想を述べるだけではなく、その人が成し遂げたことに価値を認め、敬意を示す場面に向いています。

たとえば、長年地域のために活動した人に対して、「その功績を称える」と表現できます。

試合に敗れた選手であっても、最後まで諦めずに戦ったなら、「健闘を称える」と言えます。

結果だけでなく、努力、勇気、姿勢などを評価できるのが、この言葉の特徴です。

「称える」は、本人に直接伝える場合だけでなく、表彰状、式辞、報道文、紹介文などにも使われます。

文章にすると、日常的な「褒める」よりも少し改まった印象になります。

「健闘を称える」「功績を称える」の使い方

「称える」と相性がよい言葉には、健闘、功績、努力、勇気、栄誉などがあります。

「健闘」とは、困難な状況でもよく努力して戦うことです。

そのため、「勝者の活躍を称える」だけでなく、「敗者の健闘を称える」という使い方もできます。

例文を見てみましょう。

「両チームは、試合終了後に互いの健闘を称え合った。」

「市は、長年にわたって地域医療を支えた医師の功績を称えた。」

「観客は、最後まで走り抜いた選手の勇気を称えた。」

「社長は、新しい技術を完成させた開発チームの努力を称えた。」

「私たちは、困難に立ち向かった彼女の行動を称えるべきだ。」

どの例文でも、対象の価値を認め、その素晴らしさを言葉や態度で示しています。

「称える」は人そのものにも使えますが、「人の何を評価しているのか」を具体的に示すと、文章が分かりやすくなります。

「彼を称える」よりも、「彼の勇気ある行動を称える」としたほうが、理由が明確です。

「褒める」「評価する」「称賛する」との違い

「褒める」は、優れていると認めて、そのことを言葉で伝える広い表現です。

子どもの行動を褒める、料理の腕を褒める、服装を褒めるなど、日常生活でもよく使います。

「評価する」は、良い点だけでなく、悪い点や達成度も含めて価値を判断する言葉です。

高く評価することもあれば、厳しく評価することもあります。

「称える」は、対象を優れたものとして認め、敬意を込めてほめる場合に使います。

「称賛する」も、ほめたたえる意味を持つため、「称える」と近い言葉です。

実際の文章では、次のように使い分けると自然です。

子どもが片付けをしたことを伝えるなら、「片付けができたことを褒める」が自然です。

社員の仕事ぶりを検討するなら、「成果を評価する」が合います。

大きな功績に敬意を表すなら、「功績を称える」または「功績を称賛する」が適しています。

ただし、これらの境界は絶対的なものではありません。

文章の場面、相手との関係、改まりの程度によって選ぶことが大切です。

「称える」の「たたえる」は表外読み

「称」は常用漢字ですが、常用漢字表に示されている読みは「ショウ」です。

用例として「称賛」「名称」「称する」が掲載されています。

「たたえる」は常用漢字表にない読みなので、表外読みとなります。

表外読みだからといって、一般の文章で使ってはいけないわけではありません。

常用漢字表は、一般の社会生活で現代の国語を書き表すための目安として定められています。

小説、随筆、広告、ブログ、手紙などでは、文章の目的や読者に合わせて「称える」と書けます。

ただし、読み方に迷う読者がいる可能性は考えておく必要があります。

幅広い年代に確実に伝えたい文章では、ひらがなで「たたえる」と書く方法もあります。

なお、「称える」には「となえる」という読みもありますが、現在の一般的な文章で「意見をとなえる」「念仏をとなえる」と書く場合は、「唱える」が分かりやすい表記です。

常用漢字表でも、「唱」には「となえる」という読みが示されています。

ビジネス文書や公的な文章ではどう書く?

公用文では、常用漢字表の字種や読みで書き表せない訓読みの言葉は、原則として平仮名で書く方針が示されています。

そのため、公的な文章で「たたえる」と書く場合は、平仮名表記が読み手に伝わりやすく、表記方針にも合わせやすい選択です。

別の方法として、「功績を称賛する」「努力を高く評価する」など、常用漢字表の範囲で分かりやすく言い換えることもできます。

どうしても表外漢字や表外読みを使う必要がある場合、公用文の考え方では、振り仮名を付ける方法も示されています。

一般企業の文書は、公用文とまったく同じ規則に従う必要はありません。

しかし、社内規程、報告書、広報資料など、多くの人が読む文章では、難しい漢字を増やすよりも、読みやすさを優先したほうがよいでしょう。

表彰状や記念冊子で格調を出したいなら「功績を称える」と書けます。

案内文や社内通知で読み間違いを避けたいなら、「功績をたたえる」または「功績を称賛する」が安心です。

「讃える」の意味と「称える」との違い

「讃える」も人や功績をほめる言葉

「讃える」は、優れた行為や業績をほめたたえる意味で使われます。

漢字ペディアでは、「讃える」を、口々にほめそやすことや、優れた行為・業績をほめることと説明しています。

「讃」という漢字そのものにも、ほめる、たたえるという意味があります。

ほかにも、ほめたたえる文章、絵に添える詩文、仏の徳をたたえる言葉といった意味があります。

例文としては、次のようなものがあります。

「人々は、国を救った英雄の勇気を讃えた。」

「この詩は、生命の尊さを讃えている。」

「式典では、創業者の偉業を讃える映像が上映された。」

「その歌は、故郷の美しい自然を讃えている。」

「讃える」は、人の行動だけでなく、人生、平和、自然、愛、生命など、広いテーマをほめたたえる文章にも合います。

「称える」と「讃える」に意味の違いはほぼない

人や功績をほめる場面では、「称える」と「讃える」の意味は重なっています。

「健闘を称える」と「健闘を讃える」は、どちらも相手の健闘を高く評価してほめる意味になります。

ただし、すべての意味が同じというわけではありません。

「称える」には、ほめる意味のほかに、名前を付けて呼ぶ意味があります。

「讃える」は、基本的にほめたたえる意味に使われます。

実際に文章を書くときは、意味の差よりも、読みやすさや文章全体の雰囲気によって選ばれることが多いでしょう。

一般的で落ち着いた文章にしたいなら「称える」が使いやすくなります。

詩的な文章や、賛美の気持ちを強く打ち出したい文章では「讃える」が合う場合があります。

ただし、「称えるは事務的」「讃えるは必ず感情的」という明確な文法上の決まりがあるわけではありません。

文章全体の調子に合わせて選ぶことが重要です。

「讃える」が文学的・格調高く感じられる理由

「讃」という漢字は、ほめる、たたえるという意味を直接持っています。

さらに、「讃歌」「和讃」「画讃」など、歌、信仰、芸術と結び付く言葉にも使われてきました。

そのため、「讃える」という表記を見ると、単に良い点を指摘するだけではなく、価値あるものを高く掲げるような印象を受ける人もいます。

たとえば、「選手の努力を讃える」という文には、選手への敬意や感動を強く伝える効果が期待できます。

「自然を讃える詩」「平和を讃える歌」という組み合わせも自然です。

ただし、この印象は表記から生まれる文体上の効果であり、「称える」との間に厳密な意味の線引きがあるわけではありません。

また、「讃」は常用漢字ではないため、読み手によっては難しく感じる可能性があります。

美しさや格調を優先するのか、読みやすさを優先するのかを考えて選びましょう。

「讃」は常用漢字ではないため使用場面に注意

文化庁の常用漢字表には「讃」が含まれていません。

常用漢字表の音訓索引にも「讃」は掲載されていません。

ただし、常用漢字ではないからといって、一般の文章で使用できないわけではありません。

常用漢字表は、漢字使用を一律に禁止するための一覧ではなく、社会生活で漢字を使う際の目安です。

小説、詩、歌詞、記念文、商品名、作品名などでは、表現上の意図によって「讃」を使うことがあります。

一方、学校から保護者への連絡、行政から住民への案内、幅広い年齢層を対象とする説明文などでは、読みやすさが重要です。

そのような文章では、「たたえる」「称賛する」「ほめる」と書き換えると伝わりやすくなります。

難しい漢字を使うことが文章の価値を高めるとは限りません。

読者が迷わず意味を受け取れることを第一に考えましょう。

「賛える」「讚える」「頌える」との違い

「たたえる」には、「賛える」「讚える」「頌える」という表記もあります。

「賛える」には、ほめたたえる意味があります。

ただし、常用漢字表で「賛」に示されている読みは「サン」であり、「たたえる」は表外読みです。

「讚」は「讃」の異体字です。

漢字ペディアでは、「讃」の異体字として「讚」が示されています。

現代の一般的な文章で、あえて画数の多い「讚える」を選ぶ必要はほとんどありません。

「頌」も、ほめる、ほめたたえる意味を持つ漢字です。

特に「頌歌」「頌徳」など、歌や言葉によって徳をほめる表現に使われます。

ただし、「頌える」は非常に難しい表記なので、日常的な文章には向きません。

一般向けの記事や案内文では、「称える」「たたえる」「称賛する」のいずれかを選ぶと、読み手の負担を減らせます。

「湛える」の意味と使える表現

「湛える」は液体などをいっぱいに満たすこと

「湛える」の基本的な意味は、器や場所の中を液体でいっぱいにすることです。

「池に水を湛える」「ダムが大量の水を湛える」のように使います。

漢字ペディアでは、「湛える」を、器などを液体でいっぱいにすること、水を満たすことと説明しています。

「湛」という漢字にも、水が満ちているという意味があります。

字の成り立ちについても、水を表す部分を含み、水をたたえる意味を表すと説明されています。

例文を確認しましょう。

「山あいの湖は、澄んだ水を豊かに湛えていた。」

「雨の後、ため池は十分な水を湛えている。」

「白い器には、透き通った水が湛えられていた。」

「春の田んぼは、空を映すほどの水を湛えている。」

いずれも、液体が一定の場所に満ちている状態を表しています。

単に水が存在するだけでなく、豊かに満ちていて、静かに保たれているような情景を表現しやすい言葉です。

表情や感情を顔に浮かべる意味でも使われる

「湛える」は、液体だけに使う言葉ではありません。

笑み、悲しみ、憂いなどの感情や表情が顔に現れている場合にも使います。

辞書では、ある表情や趣をいっぱいに浮かべる意味、感情を顔に表す意味が示されています。

たとえば、「彼女は穏やかな笑みを湛えていた」と書けば、笑顔をはっきり作っているというより、穏やかな笑みが顔全体に静かに浮かんでいる様子を表せます。

「悲しみを湛えた目」と書けば、言葉にしなくても、目に深い悲しみが現れている様子を伝えられます。

「湛える」には、感情を大きく外へ爆発させるよりも、内側に深く保ちながら表面ににじませるような印象があります。

そのため、人物の表情を丁寧に描く小説、随筆、紹介文などで効果を発揮します。

ただし、日常会話では少し硬く聞こえるため、相手や場面に応じて「笑みを浮かべる」「涙をためる」と言い換えてもよいでしょう。

「水を湛える」「涙を湛える」の正しい例文

「水を湛える」は、池、湖、ダム、田、水槽などに水が満ちている場面で使います。

「湖は雪解け水を豊かに湛えていた。」

「完成したダムは、大量の水を湛えている。」

「境内の池は、静かな水を湛えていた。」

「涙を湛える」は、目の中に涙がたまっている状態を表します。

「彼女は目に涙を湛えながら、感謝の言葉を述べた。」

「少年の目は、悔し涙を湛えていた。」

「知らせを聞いた父は、目に涙を湛えてうなずいた。」

「涙を湛える」は、まだ涙が流れ落ちていない場面にも使えます。

涙が目にたまり、今にもこぼれそうな状態を想像すると分かりやすいでしょう。

辞書にも、「池に水を湛える」「目に涙を湛える」という用法が示されています。

「笑みを湛える」「静けさを湛える」の表現

「笑みを湛える」は、顔に笑みを浮かべることです。

「母は穏やかな笑みを湛えて、子どもの話を聞いていた。」

「受賞者は、喜びに満ちた笑みを湛えて壇上に立った。」

「写真の祖父は、優しい笑みを湛えている。」

「静けさを湛える」は、場所や風景の中に静かな趣が満ちている様子を表す表現です。

「早朝の湖は、深い静けさを湛えていた。」

「古い寺院は、長い歴史を思わせる静けさを湛えている。」

「月明かりの庭は、澄んだ静けさを湛えていた。」

辞書では、「湛える」に、表情だけでなく趣をいっぱいに浮かべる意味も示されています。

そのため、静けさ、気品、威厳、光など、風景や人物から感じられる性質にも使えます。

ただし、何にでも付けられるわけではありません。

対象の内側や表面に、その性質が満ちていると感じられる場合に使うと自然です。

「堪える」と混同しない覚え方

「湛える」とよく似た漢字に「堪える」があります。

しかし、読み方と意味は異なります。

「湛える」は「たたえる」と読み、水や感情を満たすことです。

「堪える」は「たえる」「こらえる」「こたえる」などと読み、我慢する、持ちこたえる、その価値があるといった意味を表します。

たとえば、次のように使います。

「痛みに堪える。」

「長時間の使用に堪える製品。」

「鑑賞に堪える作品。」

一方、「水を堪える」「笑みを堪える」と書くのは適切ではありません。

「笑いをこらえる」という意味なら、「笑いを堪える」と書ける場合がありますが、読みは「こらえる」です。

覚え方は簡単です。

水を表す「さんずい」が付いていれば、水や感情を満たす「湛える」です。

土を表す部分が付く「堪える」は、圧力や苦しさを受け止めて持ちこたえる言葉だと考えましょう。

例文と問題で3つの使い分けを確認

スポーツ選手の健闘をたたえる場合

スポーツの場面では、選手の努力、勇気、技術、健闘などをほめるため、「称える」または「讃える」を使います。

一般的で落ち着いた文章なら、「健闘を称える」が使いやすいでしょう。

感動や敬意を強く表現する記事、記念文、応援メッセージなら、「健闘を讃える」と書く方法もあります。

例文を見てみましょう。

「監督は、最後まで諦めなかった選手たちの健闘を称えた。」

「観客は、両チームの素晴らしいプレーを称え、大きな拍手を送った。」

「大会終了後、選手たちは互いの努力を称え合った。」

「この映像作品は、限界に挑み続けた選手たちを讃えている。」

ここで「健闘を湛える」とは書きません。

健闘は液体や表情のように満ちるものではなく、評価してほめる対象だからです。

なお、「健闘」自体に、困難に負けず努力して戦う意味があります。

偉人の功績や勇気をたたえる場合

歴史上の人物、地域の功労者、社会に貢献した人などをほめる場合も、「称える」または「讃える」を使います。

「称える」は、表彰文、記念碑の説明、報道文などに使いやすい表記です。

「讃える」は、記念詩、追悼文、芸術作品の解説などで、敬意や感動を強く出したい場合に合います。

「記念館は、医学の発展に尽くした博士の功績を称えるために建てられた。」

「市民は、人命救助に尽力した消防隊員の勇気を称えた。」

「この映画は、自由を守るために立ち上がった人々を讃えている。」

「式典では、創業者の偉業を讃える歌が披露された。」

ただし、一般向けの案内で「讃える」が読みにくいと判断される場合は、「たたえる」と平仮名で書いても問題ありません。

読み手に敬意が伝わることが目的であり、難しい漢字を使うこと自体が目的ではありません。

湖・池・ダムに水が満ちている場合

湖、池、ダムなどに水が満ちている場合は、「湛える」を使います。

「山頂近くの湖は、青く澄んだ水を湛えていた。」

「大雨の後、ダムは大量の水を湛えている。」

「公園の池は、周囲の木々を映す水を湛えていた。」

「田植え前の水田は、静かに水を湛えている。」

この場合の「湛える」は、単に水があることを示すだけではありません。

十分な量の水が満ち、一定の場所に保たれている情景を表します。

「池が水を称える」と書くと、池が水をほめている意味のように読めてしまいます。

「湖が水を讃える」も、比喩として特別な意図がない限り不自然です。

水が満ちている事実を伝えたいなら、「湛える」を選びましょう。

笑み・涙・悲しみを顔に浮かべる場合

表情や感情を顔に浮かべる場合も、「湛える」を使えます。

「彼は満足そうな笑みを湛えていた。」

「少女は目に涙を湛えながら、別れの言葉を口にした。」

「その横顔は、深い悲しみを湛えていた。」

「受賞者の表情は、喜びと安堵を湛えていた。」

「湛える」を使うと、感情が顔の表面だけに現れているのではなく、内側から満ちているような描写になります。

ただし、笑った動作を簡単に伝えたいだけなら、「笑みを浮かべた」のほうが分かりやすい場合もあります。

涙が流れていることをはっきり伝えたいなら、「涙を流した」と書くほうが適切です。

「涙を湛える」は、目の中に涙がたまり、まだこぼれていない状態にも使えます。

描きたい瞬間に合わせて言葉を選びましょう。

よくある誤用を選択問題で最終チェック

次の空欄には、「称える」「讃える」「湛える」のどれが適切でしょうか。

問題
  • 「選手たちは、互いの健闘を(   )合った。」
  • 「山あいの湖は、澄んだ水を(   )ていた。」
  • 「彼女は、目に涙を(   )ながら話した。」
  • 「この詩は、平和の尊さを(   )ている。」
  • 「市は、地域の発展に尽くした人々の功績を(   )た。」
答え
  • 「選手たちは、互いの健闘を称え合った。」
  • 「山あいの湖は、澄んだ水を湛えていた。」
  • 「彼女は、目に涙を湛えながら話した。」
  • 「この詩は、平和の尊さを讃えている。」
  • 「市は、地域の発展に尽くした人々の功績を称えた。」

四つ目の「讃える」は「称える」に置き換えても意味は通じます。

ただし、詩が平和をほめたたえる内容であるため、「讃える」を使うと作品らしい雰囲気が出ます。

最も重要なのは、ほめる対象なのか、何かが満ちている状態なのかを見極めることです。

称える・讃える・湛えるの違いまとめ

「称える」と「讃える」は、どちらも人の功績、努力、勇気などをほめたたえる言葉です。

一般的で読みやすい文章では「称える」か、平仮名の「たたえる」が使いやすいでしょう。

「讃える」は、詩、歌、記念文などで、敬意や賛美の気持ちを印象的に表したい場合に向いています。

ただし、「讃」は常用漢字ではありません。

「称」は常用漢字ですが、「たたえる」という読みは常用漢字表にない表外読みです。

「湛える」は、ほめる意味ではありません。

水や涙をいっぱいに満たすこと、笑みや悲しみなどを表情に浮かべることを表します。

迷ったときは、「ほめているのか、満ちているのか」を考えてください。

ほめているなら「称える」または「讃える」、水や感情が満ちているなら「湛える」です。

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