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「慎む」と「謹む」の違いは?「慎んで・謹んで」の使い分けを例文で解説

「慎む」と「謹む」の違いは?「慎んで・謹んで」の使い分けを例文で解説

「つつしんでお詫び申し上げます」と書くとき、「慎んで」と「謹んで」のどちらを使えばよいか迷ったことはありませんか?

どちらも同じ読み方ですが、「慎む」は言動や欲求を抑えること、「謹む」は相手に敬意を示してかしこまることを表します。

漢字を取り違えると、丁寧に書いたつもりの挨拶や謝罪が、伝えたい意味とずれてしまうかもしれません。

この記事では、二つの言葉の違いを、早見表と具体的な例文を使って分かりやすく解説します。

「口をつつしむ」「つつしんでお受けします」「つつしんでお悔やみ申し上げます」など、迷いやすい表現の正しい書き方も確認できます。

目次

「慎む」と「謹む」の違いを一言で解説

「慎む」は自分の言動や欲望を抑えること

「慎む」は、失敗や行き過ぎを防ぐために、言動を控えめにすることを表します。

たとえば、思ったことをすぐ口に出さず、発言の内容やタイミングに気をつける場合は「言葉を慎む」と表現します。

飲み過ぎないように酒の量を減らす場合は「酒を慎む」です。

どちらにも、自分をコントロールして望ましくない結果を避けるという意味があります。

文化庁が公表している「異字同訓」の使い分けでは、「慎む」は「控え目にする」と整理され、用例として「身を慎む」「酒を慎む」「言葉を慎む」が示されています。

ここで大切なのは、「慎む」が単に何かをやめることだけを意味するわけではない点です。

完全に禁止するのではなく、度を越さないように抑えたり、軽はずみなことをしないよう注意したりする場合にも使えます。

「甘い物を慎む」と言った場合、必ずしも一口も食べないという意味にはなりません。

食べる量や回数を減らし、節度を守るという意味で使うこともできます。

「発言を慎む」も同様です。

何も話さないという意味ではなく、誤解や失礼が生まれないように、言い方や内容に注意するという意味になります。

つまり、「慎む」を判断するときは、行動、発言、欲求、習慣などを抑えようとしているかを確認すると分かりやすくなります。

「やり過ぎない」「失敗しないように気をつける」という気持ちが中心なら、「慎む」が適しています。

「謹む」は相手に敬意を示してかしこまること

「謹む」は、相手や大切な出来事に敬意を示し、礼儀正しくかしこまることを表します。

文化庁の使い分けでは「かしこまる」と整理され、「謹んで承る」「謹んで祝意を表する」という用例が挙げられています。

「謹む」は、日常会話で単独の動詞として使われることよりも、「謹んでお祝い申し上げます」「謹んでお受けいたします」のように、「謹んで」の形で使われることが多い言葉です。

この「謹んで」には、相手を重んじ、自分の態度を正して物事を行うという意味があります。

そのため、結婚、就任、新年などのお祝いの場面だけでなく、お詫びやお悔やみのような重い場面でも使われます。

明るい出来事か悲しい出来事かによって漢字が変わるわけではありません。

相手や出来事に対して、改まった態度で敬意を示しているかどうかが判断の基準です。

たとえば、「新年を迎え、謹んでお慶び申し上げます」という文章では、新年という節目と挨拶を届ける相手に敬意を示しています。

「謹んでお詫び申し上げます」では、迷惑をかけた相手に対し、かしこまった態度で謝罪しています。

どちらも、自分の行動を控えることが中心ではありません。

相手に対する敬意と、改まった姿勢を示すことが中心です。

「礼儀正しく申し上げる」「敬意を持って行う」と言い換えられる場合は、「謹む」が適しています。

共通点があるため間違えやすい

「慎む」と「謹む」は、どちらも「つつしむ」と読みます。

同じ読み方を持ちながら、使う場面や意味が異なる漢字です。

このような言葉は「異字同訓」と呼ばれます。

両方の言葉には、軽々しく振る舞わず、態度を整えるという共通した印象があります。

そのため、漢字を見ずに音だけを聞くと、どちらが使われているのか分かりにくいことがあります。

違いが表れるのは、何のために態度を整えているのかという点です。

失敗や行き過ぎを防ぐために、自分や誰かの言動を抑えるなら「慎む」です。

相手への敬意を示すために、礼儀正しく振る舞うなら「謹む」です。

たとえば、「会議中は私語を慎む」という文章では、会議の妨げにならないよう、話す行為を控えています。

一方、「ご依頼を謹んでお受けします」という文章では、依頼した相手を重んじ、改まった態度で承諾しています。

どちらにも落ち着いた印象はありますが、目的が異なります。

「慎む」は、何かを抑える方向に働く言葉です。

「謹む」は、敬意を表す方向に働く言葉です。

文化庁の資料でも、「慎む」は身、酒、言葉などを控える用法、「謹む」は承諾や祝意を改まって表す用法として分けられています。

同じ読み方だからといって、自由に置き換えられるわけではありません。

文章の中で「控えること」と「敬意を表すこと」のどちらが中心なのかを考えれば、使い分けやすくなります。

「自制」と「敬意」で比較する早見表

二つの違いを簡単に整理すると、次のようになります。

比較する点慎む謹む
中心となる意味言動や欲求を抑える敬意を示してかしこまる
判断の目印自制・注意・節制敬意・礼儀・改まった態度
よく使う形言葉を慎む謹んで申し上げる
対象になりやすいもの身・行動・発言・酒・私語祝い・承諾・報告・謝罪・弔意
代表的な例酒を慎む謹んでお受けします

文化庁の使い分けでも、「慎む」は控えめにする場合、「謹む」はかしこまる場合に用いることが示されています。

迷ったときは、文章を簡単な言葉に置き換えてみましょう。

「控える」「抑える」「気をつける」と言い換えられるなら、「慎む」が自然です。

「敬意を持って」「かしこまって」「礼儀正しく」と言い換えられるなら、「謹む」が自然です。

「お酒を敬意を持って飲まない」とは通常言わないため、「酒を謹む」は不自然です。

「依頼を控えめに受ける」では伝えたい意味がずれるため、「慎んでお受けする」も、敬意を示す定型表現としては適していません。

このように、読み方ではなく、文章全体の意味から判断することが重要です。

「慎む」の意味と正しい使い方

「慎む」が表す注意・自制・節制

「慎む」には、大きく分けて注意、自制、節制という三つの要素があります。

注意とは、失敗や失礼が起きないように気をつけることです。

「言葉を慎む」や「行動を慎む」が、この使い方に当たります。

自制とは、感情や欲求のままに行動せず、自分を抑えることです。

腹が立っていても攻撃的な発言をしない場合や、騒ぎたい気持ちを抑えて静かにする場合などに当てはまります。

節制とは、量や回数が度を越さないように控えることです。

「酒を慎む」「夜更かしを慎む」「暴飲暴食を慎む」などが分かりやすい例です。

国立国語研究所の動詞用例データでは、「つつしむ」は軽はずみなことをしないよう自らの行動を制限する動詞として整理され、対象の例に行動、言動、酒、口、身などが挙げられています。

三つの要素は、はっきり分かれているとは限りません。

たとえば、「健康のために酒を慎む」という文章には、飲酒量を減らす節制と、飲みたい気持ちを抑える自制の両方が含まれます。

「大切な話し合いなので言葉を慎む」という文章には、相手を傷つけないよう注意する意味と、余計な発言を抑える意味があります。

共通しているのは、望ましくない結果を避けるために、言動をそのまま放置しないことです。

何かに配慮している文章でも、中心となる動作が「発言や行動を抑えること」なら「慎む」を使います。

「口・言葉・行動・身・酒」と一緒に使われる

「慎む」は、何を控えるのかを表す言葉と組み合わせて使うことが多い動詞です。

代表的なのが、「口を慎む」「言葉を慎む」「行動を慎む」「身を慎む」「酒を慎む」です。

「口を慎む」は、余計なことを話さないようにすることを表します。

秘密を漏らさないようにしたり、相手を傷つける発言を避けたりする場面で使えます。

「言葉を慎む」は、発言の内容や言い方に注意することです。

単に話す量を減らすだけでなく、乱暴な言葉や軽率な発言を避ける意味も含まれます。

「行動を慎む」は、軽はずみな行いをしないように注意することです。

問題を起こした直後や、周囲への影響を考えなければならない状況などで使われます。

「身を慎む」は、自分の振る舞い全体に注意し、品位や節度を保つことを表します。

特定の一つの行動だけでなく、生活態度や人との接し方を含めて用いられることがあります。

「酒を慎む」は、飲酒を控えめにすることです。

完全な禁酒を意味する場合もありますが、文脈によっては量を減らす意味にもなります。

文化庁は「身を慎む」「酒を慎む」「言葉を慎む」を代表的な用例として示しています。

どの表現にも共通するのは、対象となるものを野放しにせず、適切な範囲に抑えるという考え方です。

「慎む」を使った日常的な例文

「慎む」は、日常生活から仕事まで幅広い場面で使えます。

ただし、少し改まった印象を持つ言葉なので、会話では「控える」「気をつける」に置き換えられることもあります。

具体的な例を見てみましょう。

「健康診断の結果を受け、しばらく酒を慎むことにした。」

この文章では、健康を守るために飲酒を控えることを表しています。

「会議の内容が公表されるまでは、発言を慎んでください。」

この文章では、未公開の情報を不用意に話さないよう求めています。

「感情的になっているときほど、言葉を慎む必要がある。」

この場合は、怒りに任せた発言で相手を傷つけないよう注意するという意味です。

「式典の最中は私語を慎み、静かにお待ちください。」

周囲の迷惑にならないよう、会話を控えることを求めています。

「問題が解決するまでは、軽率な行動を慎むつもりだ。」

望ましくない結果を避けるために、慎重に振る舞うという意味です。

「身を慎んで生活する。」

この表現は、自分の行いや生活態度を正し、節度を保つという意味になります。

これらの例文では、相手への敬意そのものより、発言、飲酒、私語、行動などを抑えることが中心です。

そのため、「謹む」に置き換えると意味が変わったり、不自然になったりします。

「何を控えているのか」が文章の中にはっきり存在するときは、「慎む」を選ぶと判断しやすくなります。

相手の行動に対して「慎む」を使う場合

「慎む」は、自分自身の行動だけに使う言葉ではありません。

相手や第三者に対して、言動を控えるよう求める場合にも使えます。

「自制を表す言葉」と説明されることが多いため、自分にしか使えないように思えるかもしれません。

しかし、実際には、誰の言動を抑えるのかは文章によって変わります。

「私は発言を慎む」という文章では、話し手自身が発言を控えます。

「彼は発言を慎んだ」という文章では、第三者が発言を控えています。

「発言を慎んでください」という文章では、聞き手に対して発言を控えるよう求めています。

国立国語研究所の用例情報でも、「慎む」は人を主語に取り、行動や言動などを対象にする動詞として整理されています。

ただし、「慎んでください」は注意や禁止に近い意味を持つことがあります。

状況によっては、相手を強く非難しているように受け取られるため、伝え方に注意が必要です。

たとえば、「そのような発言は慎んでください」は、問題のある発言をやめるよう強く求める表現です。

職場や公共の場で柔らかく伝えたい場合は、「発言をお控えください」や「私語はご遠慮ください」と言い換えた方が合うこともあります。

「慎む」は自分だけに向ける言葉ではありませんが、誰かに向けて使うときは、注意や制止の強さまで考える必要があります。

判断すべきなのは、誰が行動するかではなく、その行動を抑える意味があるかどうかです。

「謹む」の意味と正しい使い方

「謹む」は礼儀正しくかしこまること

「謹む」は、相手を重んじ、礼儀正しい態度で物事を行うことを表します。

常用漢字表では、「謹」の訓読みとして「つつしむ」が掲げられ、用例には「謹む」と副詞の「謹んで」が示されています。

「かしこまる」と聞くと、緊張して硬くなる様子を思い浮かべるかもしれません。

ここでいう「かしこまる」は、相手を軽く扱わず、姿勢を正して丁寧に対応するという意味です。

そのため、「謹む」は結婚式、式典、新年の挨拶、就任の挨拶、正式な依頼への返答など、改まった場面で使われます。

謝罪や弔意のように、言葉を慎重に選ぶ必要がある場面でも用いられます。

ただし、「謹んで」と書けば、それだけで気持ちが十分に伝わるわけではありません。

謝罪であれば、何について謝るのか、今後どのように対応するのかも重要です。

お祝いであれば、相手との関係や場面に合った言葉を続ける必要があります。

「謹んで」は、敬意を示すための改まった表現です。

内容を具体的に伝える文章の代わりになるものではありません。

日常的な軽い依頼や、親しい相手との会話で使うと、必要以上に堅く感じられることもあります。

場面の改まり具合と相手との関係を考え、正式な態度を示す必要があるときに使うのが自然です。

「謹んで」の形で使われることが多い

「謹む」は、「謹んで申し上げます」「謹んでお受けします」のように、「謹んで」の形で後ろの動作を修飾することが多い言葉です。

「謹んで」は、敬意を示し、かしこまって物事を行う態度を表します。

文化庁が示している例も、「謹んで承る」「謹んで祝意を表する」という形です。

後ろには、申し上げる、承る、受ける、報告する、拝聴する、表するなどの言葉が続きます。

たとえば、「謹んでご報告申し上げます」であれば、相手に敬意を払い、改まった態度で報告するという意味です。

「謹んで拝聴いたします」であれば、敬意を持って話を聞くことを表します。

「謹んでお受けいたします」であれば、依頼や役目を、礼を尽くして受けるという意味です。

「謹んで」は、動作の内容ではなく、その動作をどのような態度で行うかを示します。

そのため、「謹んで酒を減らす」のように、単なる節制を表す文章には通常使いません。

反対に、「ご依頼を慎んでお受けします」では、承諾する行為を控えているような意味になり、敬意を伝える定型表現としては不自然です。

後ろの動作が、相手への挨拶、返答、報告、謝罪、弔意などであり、改まった態度を添えたい場合は「謹んで」が合います。

お祝い・依頼・承諾で使う例文

「謹んで」は、喜ばしい出来事を祝う場面や、正式な依頼を受ける場面でよく使われます。

お祝いの代表的な表現は、次のとおりです。

「ご結婚を謹んでお祝い申し上げます。」

「新年を迎え、謹んでお慶び申し上げます。」

「このたびのご就任を謹んでお祝い申し上げます。」

これらの文章では、相手の喜ばしい出来事を軽く扱わず、礼を尽くして祝う姿勢を表しています。

衆議院議長の年頭の辞でも、皇室の節目を祝う言葉として「謹んでお慶び申し上げます」という表現が用いられています。

依頼や役目を受ける場合は、次のように使えます。

「ご依頼の件、謹んでお受けいたします。」

「このたびのご指名を謹んでお受けいたします。」

「大役ではございますが、謹んで拝命いたします。」

内閣府の消費者委員会の議事録にも、正式な指名を受ける返答として「謹んでお受けしたいと思います」という用例があります。

ただし、普段の小さな頼み事にまで使う必要はありません。

同僚から資料の確認を頼まれたときに「謹んでお受けします」と返すと、冗談のように聞こえたり、距離を置いているように感じられたりすることがあります。

式典、役職、正式な招待、重要な依頼など、改まった態度がふさわしい場面で使うと自然です。

お詫び・お悔やみで使う例文

「謹んで」は、喜ばしい場面だけでなく、謝罪や弔意を伝える場面でも使われます。

共通しているのは、相手や出来事を重く受け止め、礼を尽くして言葉を述べることです。

お詫びでは、次のように使います。

「このたびはご迷惑をおかけし、謹んでお詫び申し上げます。」

「掲載内容に誤りがありましたことを、謹んでお詫び申し上げます。」

「関係者の皆様に多大なご心配をおかけしたことを、謹んでお詫び申し上げます。」

国立環境研究所の訂正文書や出入国在留管理庁の正誤表でも、正式な謝罪として「謹んでお詫び申し上げます」が使われています。

お悔やみや弔意では、次のように使えます。

「ご逝去の報に接し、謹んでお悔やみ申し上げます。」

「故人のご功績をしのび、謹んで哀悼の意を表します。」

「犠牲となられた方々に、謹んで哀悼の意を表します。」

外務省や在外公館の弔意表明でも、「謹んで哀悼の意を表します」という形が用いられています。

悲しい場面で使われる「謹んで」は、感情を抑えるという意味ではありません。

亡くなった方や遺族に敬意を払い、かしこまった態度で弔意を表すという意味です。

そのため、「慎んでお悔やみ申し上げます」ではなく、「謹んでお悔やみ申し上げます」と書くのが適切です。

間違いやすい表現と覚え方

「慎んでお詫び」と「謹んでお詫び」はどちらが正しい?

正式な謝罪で、相手への敬意を込めて「つつしんでお詫び申し上げます」と書く場合は、「謹んで」を使います。

「謹む」には、敬意を示してかしこまるという意味があるためです。

文化庁は「謹む」を「かしこまる」と整理しており、「謹んで承る」「謹んで祝意を表する」という使い方を示しています。

謝罪も、相手を重んじて改まった態度で述べる行為なので、「謹んでお詫び申し上げます」が自然です。

「慎んでお詫び」と書くと、「注意深くお詫びする」「お詫びする行為を控えめにする」という方向に意味が寄ってしまいます。

敬意を示す定型的な謝罪としては、伝えたい意味に合いません。

実際の公的な訂正文書でも、「謹んでお詫び申し上げます」という表記が使われています。

ただし、「謹んで」と書くだけで謝罪文が完成するわけではありません。

何が起きたのかを曖昧にしたままでは、受け手が納得できないことがあります。

謝罪文では、問題の内容、影響を受けた相手、原因、訂正や対応、再発防止策などを必要に応じて具体的に伝えることが大切です。

漢字の使い分けとしては「謹んで」が正しくても、文章全体に誠実さや具体性がなければ、十分な謝罪にはなりません。

「口を謹む」ではなく「口を慎む」と書く理由

「口をつつしむ」は、余計な発言を控えたり、不用意な言葉を言わないようにしたりすることです。

中心となる意味は、敬意を示すことではなく、発言を抑えることにあります。

そのため、「口を慎む」と書きます。

「謹む」は、相手に敬意を示してかしこまる場合に使う漢字です。

「口を謹む」と書くと、口そのものに敬意を示すような意味に見え、通常の使い分けには合いません。

同じ理由で、「言葉をつつしむ」も「言葉を慎む」と書きます。

文化庁の用例でも、「言葉を慎む」が示されています。

似た表現を比べると、違いがさらに分かりやすくなります。

「失礼のないように言葉を慎む」は、発言内容に注意することです。

「謹んでご挨拶申し上げます」は、敬意を込めて挨拶することです。

前者は「言葉」が抑える対象になっています。

後者は「挨拶する」という動作に、敬意を示す態度を添えています。

「何かを目的語にして、その量や行動を抑える」という形なら、「慎む」になることが多いと覚えておきましょう。

「口を慎む」「私語を慎む」「酒を慎む」「行動を慎む」は、いずれも同じ考え方で判断できます。

漢字に迷ったらひらがなで書いてもよい?

「慎む」と「謹む」は、どちらも常用漢字表に字と読み方が掲載されています。

そのため、一般的な文章では意味に合わせて漢字を書き分けることができます。

一方で、「つつしむ」「つつしんで」とひらがなで書くことが、必ずしも誤りになるわけではありません。

文化庁の公用文に関する考え方では、常用漢字表にある字や読み方であっても、文章の目的や読み手に応じて、ひらがなで表記することが認められています。

子ども向けの文章や、漢字を減らして読みやすくしたい案内では、ひらがなを選ぶこともできます。

ただし、ひらがなにすると、「控える」という意味なのか、「敬意を示す」という意味なのかが見た目では分かりにくくなります。

「つつしんでお詫び申し上げます」と書いても内容は伝わりますが、正式な文書では「謹んで」と漢字で書いた方が、敬意を示す意味が明確です。

反対に、「飲酒をつつしむ」とひらがなで書いても読めますが、「飲酒を慎む」とした方が節制の意味をすぐ理解できます。

読みやすさを優先してひらがなを使う選択肢はあります。

しかし、二つの意味を正確に区別したい文章では、漢字を書き分けた方が親切です。

社内の表記ルールや媒体の方針がある場合は、その決まりを優先しながら、文章全体で表記を統一しましょう。

「慎重」と「謹賀新年」で覚える使い分け

二つの漢字が混ざってしまうときは、よく知っている熟語と結びつけると覚えやすくなります。

「慎む」は、「慎重」の「慎」です。

慎重とは、軽はずみな行動をせず、よく注意することです。

そこから、「慎む」は言葉や行動を抑え、失敗しないよう気をつける漢字だと覚えられます。

「謹む」は、「謹賀新年」の「謹」です。

謹賀新年は、新年をかしこまって祝う言葉です。

そこから、「謹む」は相手や出来事に敬意を示す漢字だと覚えられます。

迷ったときは、次のように考えてみましょう。

「酒をつつしむ」は、飲み過ぎないよう注意するため「酒を慎む」です。

「発言をつつしむ」は、余計な発言を抑えるため「発言を慎む」です。

「つつしんでお祝いする」は、敬意を込めて祝うため「謹んでお祝いする」です。

「つつしんで依頼を受ける」は、礼を尽くして承諾するため「謹んでお受けする」です。

「つつしんでお詫びする」は、相手に敬意を示して謝罪するため「謹んでお詫びする」です。

最後は、「抑えるのか、敬うのか」と自分に問いかけてみてください。

抑えるなら「慎む」、敬うなら「謹む」です。

細かな説明を忘れてしまっても、この二つの方向を覚えておけば、多くの文章で正しく判断できます。

「慎む」と「謹む」の違いまとめ

「慎む」と「謹む」は、どちらも「つつしむ」と読みますが、中心となる意味が異なります。

「慎む」は、言動や欲求を抑え、行き過ぎや失敗を防ぐときに使います。

代表的な表現は、「身を慎む」「言葉を慎む」「酒を慎む」「私語を慎む」です。

「謹む」は、相手や大切な出来事に敬意を示し、かしこまった態度で物事を行うときに使います。

「謹んでお祝い申し上げます」「謹んでお受けいたします」「謹んでお詫び申し上げます」のように、「謹んで」の形で使われることが多い言葉です。

判断に迷ったら、「控える」「抑える」と言い換えられるか、「敬意を持って」「かしこまって」と言い換えられるかを考えましょう。

控える意味なら「慎む」、敬意を表す意味なら「謹む」です。

「慎重」の慎と「謹賀新年」の謹を思い浮かべる方法も役立ちます。

漢字の違いは小さく見えますが、謝罪やお祝いなどの大切な文章では、受け手に伝わる印象を左右します。

意味を丸暗記するだけでなく、何を抑え、誰や何に敬意を示しているのかを考えることが、正しい使い分けへの近道です。

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