取引先との面談を前に、「お目にかかるという言い方は本当に正しいのだろうか」と迷った経験はないでしょうか。
丁寧に伝えようとして使った言葉でも、主語を間違えると、敬意を示したい相手をへりくだらせてしまうことがあります。
特に注意したいのが、「お目にかかる」と「お目にかける」の違いや、「お会いになる」との使い分けです。
この記事では、「お目にかかる」の意味と敬語の種類、ビジネスメールで使える例文、間違いやすい表現を分かりやすく解説します。
面談前のメールから初対面のあいさつ、面会後のお礼まで、そのまま応用できる表現も紹介します。
「お目にかかる」の意味と敬語の基本
「お目にかかる」は「会う」の謙譲語
「お目にかかる」は、「会う」をへりくだって表す敬語です。
簡単に言い換えると、「お会いする」という意味になります。
敬語の種類を細かく分けると、謙譲語Ⅰに当たります。
謙譲語Ⅰとは、自分側から相手側へ向かう行為を低く表すことで、その行為の向かう先にいる人を立てる言葉です。
「私が先生にお目にかかる」という文では、会う人は「私」であり、敬意を向ける相手は「先生」です。
自分を必要以上に卑下する言葉ではなく、相手を言葉の上で高く位置づけるための表現だと考えると分かりやすいでしょう。
文化庁が示す敬語の分類でも、「お目に掛かる」は「伺う」「申し上げる」「差し上げる」などと同じ謙譲語Ⅰに分類されています。
敬語には、相手の行動を高める尊敬語、自分側の行動をへりくだって表す謙譲語、話し方を丁寧にする丁寧語などがあります。
たとえば、「会う」を使った表現は次のように整理できます。
| 種類 | 表現 | 使用例 |
|---|---|---|
| 普通の言い方 | 会う | 明日、先生に会う |
| 謙譲語 | お目にかかる | 明日、先生にお目にかかる |
| 謙譲語 | お会いする | 明日、先生にお会いする |
| 尊敬語 | お会いになる | 先生が社長にお会いになる |
| 丁寧な言い方 | 会います | 明日、先生に会います |
「お目にかかる」は、自分側の行動を表す言葉です。
相手の行動を敬って表す尊敬語ではないため、誰が会うのかを確認してから使う必要があります。
主語は基本的に自分や自分側の人
「お目にかかる」を正しく使ううえで最も大切なのは、誰の行動を表しているかを確認することです。
基本的には、自分や自分側の人が、敬意を示したい相手に会う場面で使います。
たとえば、取引先に対して次のように伝えるのは自然です。
「先日は、弊社の山田がお目にかかり、ありがとうございました。」
この文で実際に会ったのは、自社の山田です。
山田は自分側の人であり、会った相手は取引先なので、「お目にかかる」を使って取引先を立てています。
ここでいう「自分側」とは、家族だけを指す言葉ではありません。
社外の人と話すときの自社の社員や、訪問先に対する同行者など、その場で自分と同じ側にいる人も含まれます。
一方、取引先の人やお客様の行動を「お目にかかる」で表すと、相手をへりくだらせることになります。
「社長は、弊社の担当者にお目にかかりましたか」という言い方では、取引先の社長が自社の担当者を立てる関係になってしまいます。
この場合は、「社長は、弊社の担当者にお会いになりましたか」とするのが適切です。
謙譲語Ⅰは、自分側から相手側や第三者へ向かう行為について、その向かう先を立てる仕組みを持っています。
そのため、「目上の人が主語なら使えない」「部下が主語なら使える」と役職だけで決めることはできません。
誰が誰に会うのか、どちらを立てる必要があるのかを考えることが重要です。
目上の人や取引先に使う改まった表現
「お目にかかる」は、上司、取引先、お客様、恩師など、敬意を示したい相手に会うときに使われます。
ただし、年齢や役職が上の人にしか使えないわけではありません。
初対面の相手や、仕事上一定の距離を保ちたい相手など、丁寧で改まった関係でも使えます。
敬語を使う理由は、上下関係だけではありません。
相手を尊重する気持ちを示したり、親しすぎる印象を避けたり、その場にふさわしい距離を保ったりするためにも使われます。
たとえば、年齢や役職が近い取引先の担当者に対しても、初めて対面する場では「お目にかかれてうれしく存じます」と伝えられます。
一方、親しい同僚や友人に「明日お目にかかるのを楽しみにしています」と言うと、必要以上に改まった印象になります。
間違いとは言い切れませんが、普段の関係に対して言葉が重すぎるため、「明日会えるのを楽しみにしています」のほうが自然です。
「お目にかかる」が適しているか迷ったときは、次の三つを確認すると判断しやすくなります。
- 自分側の人が会う場面か
- 会う相手に敬意を示す必要があるか
- 改まった言葉が自然な場面か
この三つに当てはまるなら、「お目にかかる」を使って問題ありません。
「お目にかかる」の正しい使い方
会う前のメールで予定や期待を伝える場合
面談や訪問の日程が決まっているときは、「お目にかかれることを楽しみにしております」という表現が使えます。
まだ会っていないため、「かかる」ではなく、会える可能性を表す「かかれる」を使うのがポイントです。
「お目にかかれることを楽しみにしております」は、相手に会う予定を前向きに受け止めていることを、丁寧に伝えられる表現です。
取引先へのメールでは、次のように使えます。
「当日は、田中様にお目にかかれることを楽しみにしております。」
「来週の打ち合わせで皆様にお目にかかれることを、心より楽しみにしております。」
「このたびは貴重な機会をいただき、誠にありがとうございます。当日お目にかかれることを楽しみにしております。」
ただし、日程調整がまだ終わっていない段階で「お目にかかれることを楽しみにしております」と書くと、面会が決まったような印象を与える場合があります。
予定が確定していない場合は、「お目にかかる機会をいただけましたら幸いです」や「ご都合がよろしければ、一度お目にかかりたく存じます」とするのが適切です。
また、「お目にかかる」は対面することを表すため、電話だけの予定には通常使いません。
オンライン会議は画面越しであっても互いに顔を合わせるため、実際の運用では使われます。
ただし、オンラインであることを明確にしたい場合は、「オンラインでお話しできることを楽しみにしております」としたほうが誤解を防げます。
会う前のメールでは、丁寧さだけでなく、面会が確定しているのか、依頼中なのかを表現し分けることが大切です。
初対面や実際に会った場面で使う場合
初対面のあいさつでは、「初めてお目にかかります」が使えます。
自分が相手と初めて会うことをへりくだって述べ、相手に敬意を示す表現です。
一般的には、次のように名乗る言葉と組み合わせます。
「初めてお目にかかります。株式会社青空の佐藤と申します。」
「初めてお目にかかります。本日から担当いたします山田でございます。」
「初めてお目にかかります。このたびはお時間をいただき、ありがとうございます。」
「お初にお目にかかります」という言い方もありますが、やや古風でかしこまった響きがあります。
現代のビジネスでは、「初めてお目にかかります」のほうが簡潔で使いやすいでしょう。
以前から会いたかった相手や、会うこと自体が名誉と感じられる相手には、「お目にかかれて光栄です」と伝えられます。
ただし、「光栄」は、会えたことを名誉に感じるという強い表現です。
日常的に顔を合わせる取引先や、通常の打ち合わせで毎回使うと、大げさに聞こえることがあります。
一般的な初対面では、「お目にかかれてうれしく存じます」や「本日はお時間をいただき、ありがとうございます」とするほうが自然な場合もあります。
相手との関係や面会の特別さに合わせて、言葉の強さを調整しましょう。
別れ際やお礼のメールで再会を願う場合
面談や会食の別れ際には、「またお目にかかれることを楽しみにしております」と伝えられます。
一度会った相手との再会を願う、丁寧で前向きな表現です。
その場で口頭で伝える場合は、次のように使えます。
「本日はありがとうございました。またお目にかかれることを楽しみにしております。」
「貴重なお話をありがとうございました。次回もお目にかかれましたら幸いです。」
面談後のお礼メールでも使えます。
「本日はご多用のところ、お時間をいただき、誠にありがとうございました。またお目にかかれる機会を楽しみにしております。」
「本日伺ったお話を、今後の業務に生かしてまいります。またお目にかかれる日を心待ちにしております。」
「心待ちにしております」は、楽しみに待っている気持ちを強く表す言葉です。
通常の取引先には、「楽しみにしております」のほうが落ち着いた印象になります。
次回の面談がすでに決まっているなら、「次回、九月十日にお目にかかれることを楽しみにしております」のように、日付を入れると具体的です。
再会の予定が決まっていない場合は、「またお目にかかれる機会がございましたら幸いです」とすると、相手に負担をかけにくい表現になります。
「またお目にかかりたいです」でも意味は通じますが、自分の希望を直接押し出す言い方です。
ビジネスメールでは、「機会をいただけましたら幸いです」などを添えると、やわらかく伝えられます。
そのまま使える「お目にかかる」の例文
「お目にかかれて光栄です」の例文
「お目にかかれて光栄です」は、尊敬している人や、普段はなかなか会えない人に会えた喜びを表すときに適しています。
「光栄」には、名誉に感じるという強い意味があるため、相手や状況を選んで使いましょう。
著名な専門家、会社の経営者、長く指導を受けた恩師などに初めて会う場面では、自然に使えます。
「以前からご著書を拝読しておりましたので、本日お目にかかれて光栄です。」
「かねてよりお話を伺っておりました。直接お目にかかれて、大変光栄に存じます。」
「このような貴重な機会をいただき、お目にかかれましたことを光栄に存じます。」
「光栄です」をさらに改まった形にするなら、「光栄に存じます」と表現できます。
「存じます」は「思います」の謙譲語であり、自分の気持ちを丁寧に述べる言葉です。
ただし、「お目にかかれて光栄に存じます」と「光栄に存じます」を重ねても、二重敬語には当たりません。
「お目にかかる」と「存じる」は、それぞれ「会う」と「思う」という別の行為を敬語にしているためです。
一方、通常の担当者同士の顔合わせでは、次のような少しやわらかい表現も使えます。
「本日は直接お目にかかることができ、うれしく存じます。」
「メールでは何度かご連絡しておりましたが、ようやくお目にかかることができました。」
面会の特別さに合わせて、「光栄」「うれしく存じます」「ありがとうございます」を使い分けると、気持ちが自然に伝わります。
「お目にかかれることを楽しみにしております」の例文
「お目にかかれることを楽しみにしております」は、面談、訪問、会食、式典など、会う予定が決まっている場面で使いやすい表現です。
相手に会うことへの期待を伝えつつ、ビジネスメールらしい丁寧さも保てます。
日程確認のメールでは、次のように使えます。
「それでは、八月二十日の午後二時に伺います。当日お目にかかれることを楽しみにしております。」
「打ち合わせの日程をご調整いただき、ありがとうございます。皆様にお目にかかれることを楽しみにしております。」
「来週の展示会では、久しぶりにお目にかかれることを楽しみにしております。」
初対面なら「初めてお目にかかれることを」、再会なら「再びお目にかかれることを」と書くこともできます。
ただし、「初めてお目にかかれる」という表現は少し長いため、「当日、初めてごあいさつできますことを楽しみにしております」と言い換えてもよいでしょう。
相手が複数いる場合は、「皆様にお目にかかれることを」とします。
企業や部署そのものに会うことはできないため、「御社にお目にかかる」とは書きません。
「御社の皆様にお目にかかる」「ご担当者様にお目にかかる」と、会う人を示しましょう。
なお、「楽しみにしています」でも丁寧な表現ですが、社外メールでは「楽しみにしております」のほうが落ち着いた印象になります。
「おります」は「いる」の丁重な表現であり、聞き手や読み手に対して改まった話し方をする働きがあります。
アポイントや面談をお願いするときの例文
面談をお願いするときは、「お目にかかりたい」という希望だけを伝えるのではなく、面会の目的と相手への配慮を添えることが大切です。
「一度お目にかかりたく存じます」だけでも敬語としては成立しますが、相手によっては少し強く感じられることがあります。
依頼をやわらかくするなら、「お時間を頂戴できましたら」「ご都合がよろしければ」「幸いです」などを組み合わせます。
「新しい企画についてご説明したく、ご都合がよろしければ一度お目にかかりたく存じます。」
「今後のお取引についてご相談したく、直接お目にかかる機会を頂戴できましたら幸いです。」
「ご多用のところ恐縮ですが、三十分ほどお時間をいただき、お目にかかることは可能でしょうか。」
「ぜひ一度お目にかかり、詳しいお話を伺えればと存じます。」
依頼文では、相手が判断しやすいように、目的、必要な時間、候補日時、面談方法を示すと親切です。
たとえば、次のようにまとめられます。
「新サービスについてご説明したく、ご連絡いたしました。ご都合がよろしければ、一度お目にかかる機会をいただけますと幸いです。所要時間は三十分程度を予定しております。」
面会を断りやすい余地を残したい場合は、「難しいようでしたら、オンラインでのご説明も可能です」と添えられます。
相手の都合を尊重する文章にすれば、丁寧な敬語を使うだけでなく、依頼そのものの印象もよくなります。
「お目にかかる」の間違いやすい使い方
相手の行動に「お目にかかる」を使うと誤りになる理由
「お目にかかる」は謙譲語なので、敬意を示したい相手の行動を表すためには使いません。
たとえば、取引先の社長に対して「社長は、弊社の部長にお目にかかりましたか」と尋ねるのは不適切です。
この文では、取引先の社長をへりくだらせ、自社の部長を立てる関係になってしまいます。
正しくは、相手の行動を尊敬語にして、次のように尋ねます。
「社長は、弊社の部長にお会いになりましたか。」
「社長は、もう担当者とお会いになりましたか。」
文化庁の敬語分類では、尊敬語は相手側や第三者の行動を高く表し、謙譲語Ⅰは自分側から相手側へ向かう行為について、向かう先を立てるものと整理されています。
ただし、「社長」という言葉が主語なら、必ず誤りになるわけではありません。
「昨日、弊社の社長が御社の会長にお目にかかりました」という文は自然です。
ここでは、自社の社長が自分側の人であり、敬意を示す相手は取引先の会長だからです。
役職の高さではなく、その場で誰を自分側として扱い、誰を立てるのかによって表現が決まります。
迷ったときは、敬語を外して普通の文に戻してみましょう。
「誰が誰に会ったのか」を確認したうえで、自分側の行動なら「お目にかかる」、相手側の行動なら「お会いになる」とすると判断しやすくなります。
「お目にかかる」と「お目にかける」の違い
「お目にかかる」と「お目にかける」は、一文字しか違いませんが、意味は異なります。
「お目にかかる」は「会う」の謙譲語です。
「お目にかける」は「見せる」の謙譲語です。
| 表現 | 意味 | 使用例 |
|---|---|---|
| お目にかかる | お会いする | 来週、先生にお目にかかります |
| お目にかける | お見せする | 完成した資料をお目にかけます |
「新しい商品をお目にかかります」と言うと、商品に会うという不自然な意味になります。
商品や資料を見せる場合は、「新しい商品をお目にかけます」が正しい表現です。
反対に、「来週、社長にお目にかけます」と言うと、社長に何かを見せるという意味に受け取られます。
社長と会うことを伝えたいなら、「来週、社長にお目にかかります」とします。
「お目にかける」は、「こちらが相手の目に触れさせる」と考えると覚えやすくなります。
「お目にかかる」は、自分が相手の目に触れる、つまり対面すると考えます。
それぞれの意味は、「お目にかかる」が「会う」の謙譲語、「お目にかける」が「見せる」の謙譲語として区別されています。
ビジネスメールでは変換ミスにも注意が必要です。
「かかる」と「かける」を読み返し、会う話なのか、見せる話なのかを確認しましょう。
社内の同僚や部下を立てる目的では使わない
「お目にかかる」は、同僚や部下が文に出てきたら使えないわけではありません。
大切なのは、誰を立てるために使っているかです。
社内で親しい同僚について、「昨日、同じ部署の佐藤さんにお目にかかりました」と言うと、必要以上に改まった印象になります。
佐藤さんを特別に立てる事情がないなら、「昨日、佐藤さんに会いました」で十分です。
一方、取引先に対して「昨日は、弊社の佐藤がお目にかかり、ありがとうございました」と伝えるのは自然です。
この文では、佐藤を立てているのではありません。
佐藤が会った取引先を立てています。
つまり、同僚や部下が「会う人」であっても、会う相手が取引先やお客様なら使用できます。
反対に、目上の上司が主語でも、会う相手が自分の部下であれば、「部長が私の部下にお目にかかりました」とする必要はありません。
この表現では、自分の部下を立てることになるため、通常の社内関係では不自然です。
「部長が私の部下と会いました」とするか、話し相手への丁寧さが必要なら「部長が私の部下と会いました」と丁寧語で整えれば十分です。
敬語は、肩書が高い人に自動的につけるものではありません。
行為者を立てるのか、行為の向かう先を立てるのかを区別する必要があります。
尊敬語と謙譲語を混ぜると、誰の行動なのかという文の意味まで分かりにくくなるため、主語と相手を確認することが重要です。
「お目にかかる」の言い換えと似た敬語
「お会いする」との違いと使い分け
「お会いする」も、「会う」をへりくだって表す言葉です。
「お目にかかる」と同じく、自分側の人が敬意を示したい相手に会うときに使えます。
「お目にかかる」は、あらかじめ一つの形として定着している謙譲表現です。
「お会いする」は、「お」に動詞の連用形と「する」を組み合わせて作る謙譲表現です。
文化庁の敬語分類でも、「お・ご」と動詞を組み合わせる「お持ちする」「御案内する」などは、謙譲語Ⅰの形として扱われています。
どちらも正しい敬語ですが、言葉の印象には違いがあります。
「お目にかかる」は、改まった雰囲気や、会えることを特別に感じている気持ちを出しやすい表現です。
「お会いする」は、少しやわらかく、幅広いビジネス場面で使えます。
たとえば、通常の予定確認なら、「明日、担当者様にお会いする予定です」で十分です。
初対面の重要な相手には、「明日、会長にお目にかかる予定です」とすると、改まった印象になります。
文章の中で同じ表現が続く場合は、自然に言い換えることもできます。
「先日は直接お目にかかることができ、ありがとうございました。次回お会いする際には、詳しい資料をお持ちいたします。」
ただし、言葉を難しくすれば敬意が高まるとは限りません。
相手との関係や場面に合う、分かりやすい表現を選ぶことが大切です。
相手の行動には「お会いになる」を使う
「お会いになる」は、「会う」の尊敬語です。
相手や、話題の中で敬意を示したい人の行動を高く表します。
「お目にかかる」が自分側の行動を表すのに対し、「お会いになる」は相手側の行動を表すという違いがあります。
「先生は昨日、校長先生にお会いになりました。」
「社長はすでに先方のご担当者とお会いになっています。」
「会長にお会いになったことはありますか。」
尊敬語は、行為をする人を立てる言葉です。
「先生がお会いになる」という文では、会う相手ではなく、会うという行動をする先生を立てています。
次の二つを比べると、違いが分かりやすくなります。
「私は先生にお目にかかりました。」
「先生は校長にお会いになりました。」
一つ目は、私の行動をへりくだることで先生を立てています。
二つ目は、先生の行動を尊敬語にすることで先生を立てています。
「先生は私にお目にかかりました」とすると、先生をへりくだらせ、私を立てる文になるため、通常は不適切です。
なお、「会われる」という尊敬表現も文法上は作れますが、受け身の意味にも読める場合があります。
ビジネスでは、意味が分かりやすい「お会いになる」を選ぶと安心です。
「拝顔する」「拝謁する」など改まった類語
「お目にかかる」には、「拝顔する」や「拝謁する」といった類語があります。
どちらも会うことに関係する言葉ですが、通常のビジネスで気軽に置き換えられる表現ではありません。
「拝顔する」は、人に会うことをへりくだって表す、非常に改まった言葉です。
「ご拝顔する」とすると敬語を重ねた不自然な形になるため、「拝顔する」のまま使います。
「先生に拝顔の機会を賜り、誠に光栄です。」
「久方ぶりに拝顔でき、うれしく存じます。」
ただし、現代の日常的なビジネスメールでは硬く、古風な印象を与える可能性があります。
通常は「お目にかかる」で十分です。
「拝謁する」は、身分や地位が非常に高い人に面会することを表す言葉です。
皇室に関する公式な面会や、歴史的な身分関係を表す文章などで使われます。
一般企業の社長や取引先に会う場面で使うと、言葉が大げさになりやすいため注意しましょう。
「拝顔」と「拝謁」はどちらも「お目にかかる」に近い言葉ですが、使用場面と改まりの度合いが異なります。
通常の仕事では、「お会いする」と「お目にかかる」を使い分けられれば困ることはほとんどありません。
言葉の難しさではなく、その場に合っているかを優先しましょう。
「お目にかかる」意味と使い方まとめ
「お目にかかる」は、「会う」をへりくだって表す謙譲語です。
自分側の人が、敬意を示したい相手に会うときに使います。
大切なのは、役職の高さだけで判断せず、誰が会い、誰を立てる文なのかを確認することです。
自分が取引先に会う場合は、「明日、担当者様にお目にかかります」と表現できます。
相手が誰かに会う場合は、尊敬語の「お会いになる」を使います。
「お目にかける」は「見せる」という意味なので、「お目にかかる」と混同しないようにしましょう。
通常のビジネスでは、やわらかい「お会いする」と、より改まった「お目にかかる」を場面に応じて使い分けるのが実用的です。
敬語に迷ったときは、一度「会う」という普通の表現に戻し、行動の主語と相手を確認すると判断しやすくなります。
