「七面鳥って、どうして七面なの?」
名前を見て、本当に七つの顔があるのか、それとも七色に変化する鳥なのか気になったことはないでしょうか?
もちろん、七面鳥に七つの顔があるわけではありません。
名前の秘密は、頭や首の皮膚が赤や青などに変化して見えるという、この鳥ならではの特徴にあります。
さらに調べてみると、もっと不思議な事実が見つかります。
英語では七面鳥を「turkey」と呼びますが、七面鳥はトルコ原産ではありません。
しかもトルコでは、この鳥をインドを思わせる「hindi」と呼びます。
日本でも最初から「七面鳥」と呼んでいたわけではなく、江戸時代には「カラクン」という現在とはまったく違う名前が使われていました。
この記事では、七面鳥という日本語名が生まれた理由から、顔色が変わる仕組み、英語で「turkey」と呼ばれる理由、日本での呼び名の歴史、世界各国の不思議な名前までわかりやすく紹介します。
名前の由来を追っていくと、一羽の鳥から意外な世界史まで見えてきます。
七面鳥の名前の由来は?なぜ「七面」と呼ばれるのか
七面鳥という名前は「顔の色が変わる」ことに由来する
「七面鳥」という漢字だけを見ると、「七つの顔を持った鳥なのだろうか」と考えてしまいそうです。
もちろん、実際に顔が七つあるわけではありません。
名前の由来になったのは、頭から首にかけて見える皮膚の色の変化です。
七面鳥は頭や首の一部に羽毛がなく、皮膚が外からよく見える姿をしています。
この部分は赤、青、白っぽい色などに見えることがあり、特にオスでは状態による変化が目立ちます。
上野動物園では、オスの七面鳥が興奮しているときに顔や肉垂が鮮やかな赤色になり、緊張した状態では薄いピンク色や青白い色を示す様子が観察されています。
野生の七面鳥でも、頭部は赤、白、青などの色を示し、季節によって見え方が変わることがあります。
こうした「さまざまな顔色を見せる鳥」という特徴が、日本語の「七面鳥」という名前につながっています。
名前だけを見ると少し大げさにも感じますが、実際のオスが求愛したり興奮したりしている姿を見ると、なぜ顔の変化が名前になるほど印象的だったのかがよくわかります。
本当に7つの顔や7色を持っているわけではない
「七面鳥」の「七」という文字から、赤、青、紫、白など全部で七色があるのではないかと思う人もいるでしょう。
しかし、「決められた七種類の色へ順番に変化する鳥」という意味ではありません。
公的な動物情報でも、頭や首の皮膚について赤、青、白、灰色などの色が確認されていますが、「必ず七色ある」という分類は示されていません。
そのため、「七面」を色の数として厳密に数えようとすると、かえって名前の意味がわかりにくくなります。
大切なのは、顔や首の色が一つではなく、そのときの状態によって大きく印象を変えることです。
また、変化しているのは主に頭や首に露出した皮膚や肉質の部分です。
体を覆う羽毛全体が急に七色へ変化するわけではありません。
写真によって頭が真っ赤な七面鳥もいれば、青白く見える七面鳥もいるのは、この特徴によるものです。
つまり「七面鳥」という名前は、「顔が七つある鳥」よりも「いろいろな顔色を見せる鳥」と考えると理解しやすくなります。
赤や青などに顔色が変わることが名前につながった
七面鳥の頭をよく見ると、ニワトリなどとはかなり違った姿をしています。
特にオスは、羽毛の少ない頭部と首、垂れ下がった肉質の部分が目立ちます。
こうした部分の色が変化するため、鳥全体の表情まで変わったように見えます。
野生のオスでは繁殖期になると、青い頭部と鮮やかな赤色の肉垂や突起が目立つようになります。
一方で、刺激を受けたときなどには頭や首が違った色調を示すこともあります。
人間も緊張したり恥ずかしがったりすると顔色が変わりますが、七面鳥の場合は羽毛に覆われていない部分が広いため、その変化が非常にわかりやすく見えます。
さらに七面鳥のオスは体も大きく、尾羽を扇のように広げて歩くため、頭の色の変化と組み合わさるとかなり迫力があります。
日本語の名前を付ける際に、この目立つ顔の変化が注目されたのは不思議ではありません。
「七面鳥」という少し変わった名前は、実際の姿をよく観察して生まれた名前と考えることができます。
なぜ七面鳥は顔の色が変わる?名前につながった体の特徴
七面鳥は頭から首にかけて皮膚が露出している
七面鳥の顔色が目立って変化する理由を理解するには、まず頭の構造を見る必要があります。
七面鳥は頭から首にかけて羽毛が少なく、皮膚が外から見える部分が広くなっています。
特にオスには、のどの下にある肉垂や、くちばしの上から伸びる肉質の突起があります。
英語では、くちばしの上にある突起を「snood」と呼びます。
スミソニアン国立動物園でも、snoodはくちばしの上にある肉質の部分として紹介されており、一般的にオスのほうが大きく発達します。
羽毛に覆われていれば皮膚の色が変わっても外からはわかりにくいでしょう。
しかし七面鳥は皮膚がそのまま見えるため、血流などによって色合いが変われば、見た目の印象も一気に変わります。
頭や首にある赤や青の部分を「カラフルな羽」だと思っている人もいるかもしれませんが、実際には露出した皮膚や肉質の器官が大きく関係しています。
この独特な体のつくりがあるからこそ、顔色の変化が七面鳥を象徴する特徴になったのです。
興奮や緊張、繁殖行動で顔や首の色が変化する
七面鳥の頭や首は、いつ見ても同じ色をしているわけではありません。
特にオスでは、興奮や緊張、繁殖行動などに伴って色の違いが目立ちます。
上野動物園では、興奮したオスが顔を赤くし、尾羽を扇形に広げながら周囲にアピールする行動が確認されています。
アメリカ国立公園局でも、繁殖行動を行うオスでは頭が青く見え、首周辺の肉垂などが鮮やかな赤色になる姿が紹介されています。
この色の変化は、単なる飾りではありません。
繁殖期のオスは頭や首の色だけでなく、姿勢、羽毛、鳴き声、尾羽などを組み合わせてメスへ自分の存在をアピールします。
そのため、七面鳥にとって頭の色は外見を特徴付ける重要な要素の一つです。
「七面鳥」という名前だけを聞くと昔の人の想像から生まれた名前のようにも感じますが、実際には現在でも確認できる生物学的な特徴がもとになっています。
動物園などでオスを見る機会があれば、体の大きさだけでなく頭や首の色にも注目してみると、名前の意味がよくわかります。
オスが尾羽を大きく広げる姿にも意味がある
七面鳥を代表する姿といえば、オスが尾羽を扇のように大きく広げている様子です。
これは単なるポーズではなく、繁殖期などに見られるアピール行動です。
オスは尾羽を広げ、羽毛を膨らませ、翼を下げながら歩き回ります。
さらに「ゴブル」と表現される独特の声を出し、自分の存在をメスやほかのオスに知らせます。
このとき、頭や首の赤や青といった色彩も強く目立ちます。
つまり七面鳥のオスは、顔色だけでアピールしているわけではありません。
大きな体、広げた尾羽、姿勢、鳴き声、頭や首の色など、全身を使って存在感を示しています。
その姿は普段の七面鳥とはかなり印象が違います。
顔の色まで含めて姿が大きく変化して見えることを考えると、「いろいろな顔を見せる鳥」という日本語名にも納得しやすくなるでしょう。
名前の意味を知ってから実際の七面鳥を見ると、単に大きな鳥として見るよりも観察するポイントが増えます。
英語で七面鳥を「turkey」と呼ぶ名前の由来
「turkey」は国名のトルコと同じ言葉
英語で七面鳥は「turkey」と呼びます。
英語でトルコを表してきた「Turkey」と同じつづりなので、「トルコで生まれた鳥だからturkeyなのでは?」と思うのも自然です。
しかし、七面鳥はトルコ原産ではありません。
野生の七面鳥であるMeleagris gallopavoは北アメリカ原産です。
家畜化の歴史もアメリカ大陸にあり、現在のメキシコ周辺では2,000年以上前から七面鳥が家畜化されていました。
つまり英語名の「turkey」を、そのまま原産地の名前だと考えるのは間違いです。
ここが七面鳥の名前をめぐる最大の面白さの一つです。
日本語では顔色の変化に注目して「七面鳥」と名付けられたのに対し、英語では鳥の本来の故郷とは関係のないトルコを思わせる名前が定着しました。
その背景を知るには、七面鳥がヨーロッパへ伝わった16世紀ごろまでさかのぼる必要があります。
北アメリカ原産なのになぜ「トルコ」と呼ばれた?
現在の七面鳥に「turkey」という名前が使われるようになった背景には、別の鳥であるホロホロ鳥が関係しています。
ホロホロ鳥はアフリカ原産で、七面鳥とは別の鳥です。
ところが英語では、現在の七面鳥に名前が定着する以前から、ホロホロ鳥を指して「turkey」に由来する呼び方が使われていました。
英語史上、「turkey」はもともとトルコ方面を経由して入ってきたと考えられたホロホロ鳥と結び付いた名称で、その後、北アメリカからヨーロッパへ伝わった七面鳥がホロホロ鳥と混同される中で、同じ名前が使われるようになったとする説明が有力です。
現在の七面鳥を意味する英語「turkey」は、16世紀半ばには使われていました。
ただし、当時の交易経路や呼称の移り変わりには複数の説明があり、細部まで一つの出来事だけで説明できる語源ではありません。
確実に押さえておきたいのは、「北アメリカ原産の七面鳥がトルコから来たためturkeyと呼ばれた」という単純な話ではないことです。
別の鳥との混同と、当時の交易や地理認識が重なって生まれた名前と考えるのが適切です。
ホロホロ鳥との混同から「turkey」が残った
ホロホロ鳥と七面鳥を現在の写真で見比べると、「どうして間違えたの?」と思うかもしれません。
しかし16世紀のヨーロッパでは、遠い土地から次々と未知の動植物が持ち込まれていました。
現在のように写真や映像、分類図鑑をすぐ確認できる時代ではありません。
新しく持ち込まれた鳥を、すでに知っている鳥と同じ仲間だと考えることは十分に起こり得ました。
歴史的な英語資料では、「turkey」という語がホロホロ鳥に使われた後、アメリカ大陸の七面鳥にも転用されていった流れが確認できます。
二つの鳥が別種だと理解されるようになった後も、北アメリカの鳥には「turkey」という名称が残りました。
言葉は一度社会に定着すると、由来となった認識が間違っているとわかっても簡単には変わりません。
その結果、北アメリカ原産の鳥が現在まで英語で「turkey」と呼ばれ続けています。
七面鳥の英語名は、生物の原産地よりも、昔の交易や人々の認識のほうが言葉に強く残った例といえるでしょう。
日本ではいつから「七面鳥」と呼ばれている?
江戸時代の日本では「カラクン」と呼ばれていた
日本で七面鳥が知られるようになった歴史をたどると、「七面鳥」という名前より前に「カラクン」という呼び名が登場します。
江戸時代の日本ではオランダとの交易を通じて、ヨーロッパの知識や品物が入ってきました。
七面鳥も、そのような海外由来の珍しい鳥の一つとして知られるようになります。
国立国会図書館が所蔵する1775年の『鳥類図譜』には、現在のシチメンチョウが「カラクン」として描かれています。
「カラクン」は、オランダ語で七面鳥を意味する「kalkoen」が日本語化した呼び名です。
つまり、日本人がこの鳥を知った当初から「七面鳥」という漢字名だけが使われていたわけではありません。
外国語の名前を耳で聞き、それに近い音で「カラクン」と呼んでいた時代がありました。
現代では「カラクン」と聞いて七面鳥を想像する人はほとんどいませんが、江戸時代までさかのぼると、日本と七面鳥の関係を知る重要な言葉なのです。
1775年の図譜にも「カラクン」として描かれている
1775年は安永4年にあたり、江戸時代の中ごろです。
この時代に作られた図譜に七面鳥が描かれていることから、日本では明治よりかなり前から七面鳥の姿が認識されていたことがわかります。
図譜に「カラクン」という名称とともに残されている点も重要です。
当時の日本人が単に「外国にそういう鳥がいる」と文章だけで知っていたのではなく、姿と名称を結び付けて記録していたことが確認できるからです。
江戸時代にはオランダ語を通じて西洋の動植物や医学、科学の知識が日本へ入っていました。
七面鳥の「カラクン」も、そうした言葉の一つとして日本語の中へ入ってきたと考えられます。
現在では英語の「turkey」をもとにした「ターキー」という呼び方も知られていますが、その前にはオランダ語由来の「カラクン」がありました。
七面鳥の日本での名称を追うだけでも、どの外国語から知識を受け取る時代だったのかが見えてきます。
単なる鳥の名前ですが、その背景には日本と海外との交流の歴史が残されています。
明治初期には「七面鳥」という名称が文献に登場する
江戸時代に「カラクン」と呼ばれていた鳥は、明治時代になると「七面鳥」という名前でも文献に登場するようになります。
現在確認できる古い実例の一つが、1876年に刊行された『経済小学家政要旨』です。
そこには「トルキー」や「カラクンテフ」と並んで「七面鳥」という呼び方が記録されています。
国語研究でも、1876年の資料に「七面鳥」が登場していることが確認されています。
ここで注意したいのは、1876年に初めて誰かが「七面鳥」という言葉を思いついたと断定できるわけではないことです。
文献に残る最古級の記録と、実際に人々がその言葉を使い始めた時期は同じとは限りません。
書物に記録されるより前から、翻訳や会話の中で使われていた可能性もあります。
そのため、正確には「七面鳥という名称は、少なくとも1876年には文献上で確認できる」と考えるのがよいでしょう。
「カラクン」から「七面鳥」へいつ変わった?
1775年には「カラクン」、1876年には「七面鳥」という記録が確認できます。
ここから「1876年にカラクンが廃止され、その日から七面鳥へ変わった」と考えるのは正しくありません。
言葉の変化は、ある日を境に全国一斉に切り替わるとは限らないからです。
実際、1876年の資料では「トルキー」「カラクンテフ」「七面鳥」と複数の呼び名が一緒に記載されています。
これは、複数の名称が並行して使われていた時期があったことを示す重要な手がかりです。
日本が海外から新しい動植物を受け入れるときには、外国語の音をそのまま写した呼び名と、日本語で特徴を表した呼び名が併存することがあります。
七面鳥についても、オランダ語由来の「カラクン」、英語に近い「トルキー」、特徴を表す「七面鳥」などが存在していました。
その中で「七面鳥」が定着し、現在まで一般的な日本語名として残ったと見るのが自然です。
「七面鳥」を最初に名付けた人物は分かっている?
「七面鳥」という名前の意味がわかると、次に気になるのが「最初にこの名前を付けたのは誰なのか」という疑問です。
しかし、確認できる古い資料だけから、特定の一人を命名者として断定することはできません。
1876年の文献に「七面鳥」が記録されていることは確認できますが、その文献を書いた人物が言葉そのものを発明したことまでは証明できません。
言葉は、最初に文字として残された時点より前から使われていることがあります。
特に外国の動植物名は、通訳、翻訳者、学者、商人などの間で複数の呼び方が試されながら定着する場合があります。
そのため、「七面鳥を名付けたのはこの人物」と根拠なく一人に決めるより、明治初期にはすでにこの名称が確認できると理解するほうが正確です。
江戸時代の「カラクン」と明治初期の「七面鳥」を並べることで、日本での名前の変化についてはかなり具体的に追うことができます。
世界の七面鳥の名前も面白い!国によって違う呼び方
トルコでは七面鳥を「hindi」と呼ぶ
英語では七面鳥を「turkey」と呼ぶため、「ではトルコでも似た名前なのだろう」と思うかもしれません。
ところが、トルコ語では七面鳥を「hindi」と呼びます。
この「hindi」という語は「インドの」という意味につながる言葉です。
北アメリカ原産の鳥を、英語ではトルコを思わせる名前で呼び、そのトルコではインドを思わせる名前で呼んでいることになります。
もちろん、七面鳥の原産地はインドでもありません。
生物としての故郷は北アメリカです。
七面鳥がヨーロッパなどへ広まった時代には、新大陸とアジアをめぐる地理認識が現在ほど正確ではなく、遠方から来た珍しいものに実際とは違う地域名が結び付くことがありました。
その結果、本来の原産地とは異なる地名を連想させる名称が各言語に残っています。
名前だけを追っていると、七面鳥が世界中を旅したように感じられるのが面白いところです。
フランス語の「dinde」にもインドが隠れている
フランス語でも、七面鳥の名前にはインドとのつながりが残っています。
フランス語の「dinde」は、もともと「poule d’Inde」という表現から短くなった言葉です。
「d’Inde」は「インドの」という意味なので、名前だけを見れば「インドの鳥」のように感じられます。
しかし、ここでも実際の原産地とは一致しません。
七面鳥は北アメリカ原産です。
こうした名称が生まれた背景には、ヨーロッパ人がアメリカ大陸へ到達した当時の地理認識があります。
アメリカ大陸とアジアの位置関係が正確に理解される前には、新大陸由来のものが「インド」と結び付けられることもありました。
その時代の認識が、現代フランス語の鳥の名前にまで残っています。
普段何気なく使われている動物名でも、語源までさかのぼると数百年前の世界観を見ることができるのです。
七面鳥の呼び名を比べると名前の歴史がわかる
七面鳥の呼び名を言語ごとに並べると、その不思議さが一目でわかります。
| 言語・地域 | 主な呼び名 | 名前から連想されるもの |
|---|---|---|
| 日本語 | 七面鳥 | 赤や青などに変化して見える顔や首 |
| 江戸時代の日本 | カラクン | オランダ語のkalkoen |
| 英語 | turkey | トルコ |
| トルコ語 | hindi | インド |
| フランス語 | dinde | インド |
| 実際の原産地 | 北アメリカ | トルコでもインドでもない |
日本語の「七面鳥」は、原産地ではなく鳥そのものの外見的な特徴から付けられています。
一方、英語やトルコ語、フランス語では、昔の交易や地理認識の影響を受けた地名由来のイメージが残っています。
そのため、「なぜ国によってこんなに名前が違うの?」という疑問に対しては、一つの国だけが間違えたというより、七面鳥が世界へ広がった時代の複雑な情報伝達が名前に残ったと考えるとわかりやすいでしょう。
鳥そのものは北アメリカから動いていないのに、名前の中ではトルコやインドが次々と登場します。
七面鳥の名前の由来が面白いのは、動物の特徴だけでなく、人間が世界をどのように理解し、言葉を伝えてきたのかまで見えてくるからです。
七面鳥という名前の由来まとめ
七面鳥という名前は、頭から首にかけて露出した皮膚の色が赤や青などに変化して見える特徴に由来します。
本当に七つの顔があるわけでも、決まった七色へ順番に変化するわけでもありません。
特にオスでは、興奮したときや繁殖行動をするときに頭や首の色が目立って変化し、尾羽を大きく広げながらアピールする姿が見られます。
日本では、1775年の図譜にオランダ語由来の「カラクン」という名称で七面鳥が記録されています。
その後、1876年の文献には「トルキー」「カラクンテフ」と並んで「七面鳥」という名称が登場しています。
つまり、日本では少なくとも江戸時代からこの鳥が知られており、外国語由来の呼び名が使われた時代を経て「七面鳥」という日本語名が定着していった様子を確認できます。
一方、英語では七面鳥を「turkey」と呼びますが、この鳥はトルコ原産ではなく北アメリカ原産です。
英語名には、アフリカ原産のホロホロ鳥に使われていた名称と北アメリカの七面鳥が混同された歴史が関係しています。
さらにトルコ語では「hindi」、フランス語では「dinde」と、今度はインドを思わせる呼び名が使われています。
たった一羽の鳥の名前を調べるだけでも、北アメリカからヨーロッパへの動植物の移動、江戸時代の日本とオランダの交流、昔の人々の地理認識までつながってきます。
「なぜ七面鳥という名前なの?」という小さな疑問は、生き物の不思議と世界の歴史を同時に楽しめる、とても面白い入り口なのです。
