10月10日は「まぐろの日」です。
まぐろ好きなら少し気になる記念日ですが、「どうしてこの日なの?」と聞かれると、すぐに答えられない人も多いのではないでしょうか。
実はこの日は、ただの語呂合わせではありません。
由来をたどると、奈良時代の歌人である山部赤人、万葉集、そして兵庫県明石地方の海辺の風景にたどり着きます。
この記事では、10月10日がまぐろの日になった理由を、中学生でもわかるようにやさしく解説します。
あわせて、まぐろの種類や部位の違い、家での楽しみ方、トロの日との違い、資源を守るために大切なことまで紹介します。
読み終わるころには、いつものまぐろの刺身や寿司が、少し特別に見えてくるはずです。
10月10日が「まぐろの日」になった理由
まぐろの日はいつ?まずは基本をチェック
まぐろの日は、毎年10月10日です。
「10」と「10」の語呂合わせで決まった日だと思われがちですが、実はそうではありません。
この日の由来は、奈良時代の歌人である山部赤人が、兵庫県の明石地方を訪れたときに詠んだ歌にあります。
日本かつお・まぐろ漁業協同組合の公式情報では、山部赤人が西暦726年、神亀3年の10月10日に聖武天皇のお供として明石地方を訪れ、まぐろ漁で栄えていたこの土地をたたえる歌を詠んだことにちなみ、毎年10月10日がまぐろの日とされています。
つまり、この記念日は「数字の読み方がおもしろいから」という理由ではなく、1300年近く前の和歌と海の風景に結びついた日なのです。
記念日の意味を知ると、スーパーでまぐろの刺身を見かけたときも、少し違って見えてきます。
ただの食材ではなく、古い時代から日本人の暮らしや海の仕事に関わってきた魚だと感じられるからです。
10月10日は、まぐろを食べるきっかけになるだけでなく、日本の食文化をちょっと深く知る入口にもなる日です。
由来は奈良時代の歌人・山部赤人
まぐろの日を語るうえで欠かせない人物が、山部赤人です。
山部赤人は奈良時代の歌人で、『万葉集』に作品が残されています。
奈良県立万葉文化館の「万葉百科」では、まぐろの日のもとになった歌が『万葉集』巻六の938番として紹介されており、歌人は山部宿禰赤人とされています。
この歌には、藤井の浦で「鮪釣る」として海人の船がにぎわい、塩を焼く人々がたくさんいる様子が詠まれています。
ここで出てくる「鮪」は、現在のまぐろを指す言葉です。
山部赤人は、ただ魚の名前を歌に入れただけではありません。
漁師の船が行き交い、塩づくりの人々が働く海辺の景色を、天皇が訪れるにふさわしい美しい土地として表現しています。
この歌からは、当時の明石周辺に海の仕事があり、人々の暮らしが海と深くつながっていたことが伝わってきます。
まぐろの日の由来を知ると、山部赤人の歌は歴史の教科書の中だけのものではなく、今の食卓にもつながっていることがわかります。
726年10月10日に何があったのか
726年10月10日は、聖武天皇の印南野行幸に山部赤人が従った日とされています。
明石市立図書館の「明石 郷土の記憶デジタル版」では、神亀3年、つまり726年10月10日に、聖武天皇の印南野行幸に従ってきた山部赤人が、藤井の浦で鮪を釣る海人の船や塩を焼く人々の様子を詠んだと説明されています。
行幸とは、天皇が外へ出かけることです。
今の感覚でいうと、天皇が地域を訪れる大きな公的行事のようなものです。
その場に同行していた山部赤人は、明石周辺の海辺のにぎわいを歌に残しました。
この歌には、海に船がたくさん出ている様子や、浜辺で塩をつくる人々の姿が描かれています。
つまり、10月10日は「まぐろを食べる日」として後から作られた日であると同時に、もともとは万葉集に残る具体的な日付と結びついた日でもあります。
記念日の背景に、ここまで古い時代の記録があるのは、とても興味深いところです。
まぐろの日は、単なる販売イベントの日ではなく、古代の旅、和歌、漁業、海辺の暮らしが重なった記念日なのです。
万葉集に出てくる「鮪釣る」の意味
まぐろの日の中心にある言葉が、「鮪釣る」です。
奈良県立万葉文化館の掲載文では、歌の中に「藤井の浦に鮪釣ると海人船騒き」という表現があります。
現代語訳では、藤井の浦で鮪を釣る漁師の船が入り乱れ、塩を焼く人が多く働いている様子として説明されています。
ここで大切なのは、「まぐろを食べた」という話ではなく、「まぐろを釣る仕事が海辺の風景として詠まれている」という点です。
つまり、まぐろは昔から人々の目に入る大きな海の恵みであり、漁の対象でもあったのです。
また、「海人船騒き」という表現からは、船が静かに一そう浮かんでいるのではなく、漁に向かう船が行き交う活気が感じられます。
まぐろの日の由来を知るときは、「10月10日」「山部赤人」「万葉集」という情報だけを覚えるより、この海の風景を思い浮かべると理解しやすくなります。
青い海、白い浜、船で働く人々、塩を焼く煙。
その風景の中に、まぐろが登場しているのです。
誰が何のために制定した記念日なのか
10月10日をまぐろの日と定めたのは、日本鰹鮪漁業協同組合連合会です。
明石市立図書館の資料では、この歌にちなんで、10月10日が昭和61年、1986年に日本鰹鮪漁業協同組合連合会によって「まぐろの日」と定められたと説明されています。
現在の日本かつお・まぐろ漁業協同組合は、遠洋かつお・まぐろ漁業者で構成された全国規模の漁業協同組合で、天然のかつお・まぐろ資源の維持や回復、漁業を次の世代に引き継ぐ取り組みなどを行っています。
記念日が作られた背景には、まぐろをより多くの人に知ってもらい、食べてもらうだけでなく、漁業や資源について関心を持ってもらう意味もあります。
まぐろはスーパーや寿司店で手軽に見かける魚ですが、実際には遠い海で漁をする人、冷凍や流通を支える人、資源を守るために管理する人など、多くの人の仕事によって食卓に届いています。
まぐろの日は、そうした見えにくい仕事に目を向けるきっかけにもなります。
おいしい刺身を食べる日であると同時に、海の恵みをどう未来に残していくかを考える日でもあるのです。
万葉集に残るまぐろと日本人の深い関係
昔のまぐろは「しび」と呼ばれていた
昔の日本では、まぐろを「しび」と呼ぶことがありました。
まぐろの日のもとになった万葉集の歌にも、読みとして「しびつる」と出てきます。
明石市立図書館の資料でも、「しび」はまぐろのことだと説明されています。
今では「まぐろ」という呼び方が一般的ですが、昔の文献を読むと、同じ魚でも違う名前で出てくることがあります。
これは、時代や地域によって魚の呼び方が変わってきたためです。
「鮪」という漢字を見れば今の私たちは「まぐろ」と読みますが、万葉集の時代には「しび」と読まれていました。
この違いを知ると、まぐろの日の由来も少し見え方が変わります。
昔の人が「まぐろ」という現代の名前で呼んでいたわけではなく、その時代の言葉で海の魚をとらえていたのです。
名前は変わっても、海で大きな魚を追い、食べ物として大切にしてきた人々の姿は今とつながっています。
「しび」という古い呼び名は、まぐろが日本の食文化の中で長く親しまれてきたことを教えてくれる言葉です。
明石地方はなぜまぐろ漁で知られていたのか
まぐろの日の由来に出てくる明石地方は、兵庫県の瀬戸内海側にあります。
明石市立図書館の資料では、万葉集に明石の海で営まれていた漁の様子を詠んだ歌が収められていると紹介されています。
同じ資料では、藤江の沖にまぐろを釣る漁師の船がたくさん出ている様子が目に浮かぶと説明されています。
明石といえば、今では明石だこや鯛のイメージを持つ人も多いかもしれません。
しかし、万葉集に残された歌を見ると、古い時代の明石周辺では、まぐろを釣る海人たちの姿も印象的な風景だったことがわかります。
また、歌には塩を焼く人々も登場します。
これは、海辺の暮らしが漁だけでなく、塩づくりとも結びついていたことを示しています。
魚をとる人、塩をつくる人、浜に集まる人々。
そうしたにぎわいが、山部赤人の目に強く残ったのでしょう。
まぐろの日の背景にある明石は、ただの地名ではありません。
古代の人々が海の恵みとともに暮らしていた場所として、記念日の意味を支えている土地なのです。
山部赤人の歌から見える海辺のにぎわい
山部赤人の歌を読むと、昔の海辺がとても生き生きと見えてきます。
奈良県立万葉文化館の現代語訳では、藤井の浦に鮪を釣る漁師の船が入り乱れ、塩を焼く人が多く立ち働いている様子が説明されています。
この歌の魅力は、まぐろだけを大きく取り上げているわけではないところです。
漁師の船、塩を焼く人、良い浦、良い浜、清らかな白浜。
それらが一つの風景として描かれています。
今なら、観光地の写真や動画で海の景色を見ることができます。
しかし、奈良時代には歌がその役割を果たしていました。
山部赤人は、明石の海辺にある活気や美しさを言葉で残したのです。
この歌を通して見るまぐろは、皿の上の刺身ではありません。
船で追い、海で釣り上げる、大きな自然の恵みです。
そこには、働く人たちの姿もあります。
まぐろの日にこの歌を思い出すと、魚を食べることが、自然や仕事や地域の歴史とつながっていると感じられます。
一切れの刺身にも、長い時間の物語が重なっているのです。
奈良時代の人とまぐろの関わり
奈良時代の人々が、今のように寿司や刺身でまぐろを楽しんでいたとは限りません。
冷蔵庫も冷凍技術もない時代なので、大きくて傷みやすい魚を遠くまで新鮮なまま運ぶのは簡単ではありませんでした。
ただし、万葉集に「鮪釣る」という言葉が残っていることから、少なくともまぐろが漁の対象として知られていたことはわかります。
まぐろの日の由来で大切なのは、「奈良時代の人が現代と同じ食べ方をしていた」と決めつけることではありません。
大切なのは、まぐろという魚が古い時代から日本の海辺の生活に登場していたという事実です。
まぐろは大きく、力強く、海の広さを感じさせる魚です。
その魚を釣る船がたくさん出ていた光景は、当時の人にとっても印象的だったはずです。
山部赤人がその様子を歌にしたからこそ、私たちは1300年近く前の海辺の空気を今も想像できます。
食べ方は時代とともに変わっても、海の恵みを大切にする気持ちは長く続いてきました。
まぐろの日は、その長い関わりを思い出す日でもあります。
まぐろの日が語呂合わせではない理由
日本の記念日には、語呂合わせで決まったものがたくさんあります。
たとえば、数字の読み方に合わせて食品や商品の記念日が作られることは珍しくありません。
しかし、まぐろの日は、そうしたタイプの記念日とは少し違います。
日本かつお・まぐろ漁業協同組合の説明では、山部赤人が726年10月10日に明石地方を訪れ、まぐろ漁で栄える土地をたたえた歌を詠んだことにちなみ、毎年10月10日がまぐろの日とされています。
明石市立図書館の資料でも、この歌にちなんで1986年に10月10日が定められたと説明されています。
つまり、日付の理由は「まぐろ」と「10月10日」の音の近さではありません。
由来になっているのは、万葉集に残る歌と、その歌が詠まれたとされる日です。
ここが、まぐろの日のおもしろいところです。
記念日なのに、背景には古典文学があります。
魚の話なのに、天皇の行幸や明石の海辺の歴史にもつながります。
「なぜこの日なのか」を調べた読者が満足しやすいのは、ただの豆知識で終わらず、歴史の奥行きがあるからです。
まぐろの日には何をする?楽しみ方とイベント
まぐろを食べる日として広まった背景
まぐろの日は、由来を知るだけでもおもしろい記念日ですが、やはり一番身近な楽しみ方は食べることです。
日本かつお・まぐろ漁業協同組合は、遠洋かつお・まぐろ漁業を次の世代に引き継ぐために、かつお・まぐろ資源の維持や回復などに取り組んでいる団体です。
こうした団体が関わる記念日であるため、まぐろの日は単に「今日はまぐろを食べよう」という日だけではありません。
まぐろという魚の魅力や、漁業の仕事、資源を守る大切さにふれる日でもあります。
とはいえ、難しく考える必要はありません。
夕食にまぐろの刺身を一品加えるだけでも、十分に記念日らしい楽しみ方になります。
子どもがいる家庭なら、「この日は万葉集の歌がもとになっているんだよ」と話すだけで、食卓が少し楽しくなります。
食べながら由来を知ると、記念日はぐっと身近になります。
おいしいから食べる。
そこに少しだけ歴史を添える。
それが、まぐろの日のいちばん自然な楽しみ方です。
スーパーや飲食店で行われるキャンペーン
10月10日前後になると、まぐろを扱うスーパーや飲食店で、まぐろに関する企画が行われることがあります。
日本かつお・まぐろ漁業協同組合の公式サイトでも、2025年10月7日付で鹿児島まぐろ船主協会と鹿児島まぐろ同友会が主催する「まぐろの日キャンペーン」の生産者直売会開催のお知らせが掲載されています。
地域によって内容は違いますが、生産者直売、特売、刺身や寿司の販売強化、まぐろ料理のフェアなどが行われることがあります。
消費者にとっては、いつもよりまぐろを手に取りやすいきっかけになります。
ただし、毎年同じ場所で同じイベントが必ず行われるとは限りません。
近くのスーパーや鮮魚店、寿司店のチラシや公式情報を確認すると、その年ならではの楽しみ方が見つかります。
まぐろの日の良いところは、特別な準備をしなくても参加できることです。
大きなイベントへ行かなくても、普段の買い物の中でまぐろを選ぶだけで十分です。
少し良い赤身を買う。
家族で手巻き寿司にする。
そんな小さな楽しみ方が、この記念日にはよく合います。
家で楽しむなら刺身・漬け丼・手巻き寿司
まぐろの日を家で楽しむなら、難しい料理を作る必要はありません。
刺身、漬け丼、手巻き寿司の三つは、手軽で満足感も高いメニューです。
刺身は、まぐろそのものの味を感じやすい食べ方です。
赤身ならさっぱりしていて、脂が多い部位よりも食べやすいと感じる人も多いでしょう。
漬け丼は、しょうゆ、みりん、酒などを使ったたれにまぐろを短時間つけ、ごはんにのせる食べ方です。
余った刺身を翌日においしく食べたいときにも向いています。
手巻き寿司は、子どもや家族と一緒に楽しみやすいメニューです。
まぐろだけでなく、きゅうり、卵焼き、納豆、大葉、アボカドなどを並べると、自分好みに巻けます。
まぐろの日だからといって、高級な大トロを用意しなければいけないわけではありません。
赤身でも、切り落としでも、ぶつ切りでも、十分に楽しめます。
大切なのは、まぐろをきっかけに食卓の会話が増えることです。
「今日はなぜまぐろの日なのか」を話しながら食べれば、いつもの夕食が少しだけ特別になります。
子どもにも話したくなるまぐろ豆知識
まぐろの日は、子どもに話しやすい豆知識がたくさんあります。
たとえば、まぐろは昔「しび」と呼ばれていたこと。
万葉集に「鮪釣る」という言葉が出てくること。
この歌を詠んだのが奈良時代の歌人、山部赤人であること。
こうした話は、歴史や国語が少し苦手な子にも伝えやすい内容です。
「昔の人も、まぐろを知っていたんだよ」と言うだけで、教科書の中の時代が身近になります。
また、まぐろには種類があり、本まぐろ、メバチ、キハダ、ビンチョウなどがあります。
魚食普及推進センターでは、クロマグロは本まぐろ、ビンナガはビンチョウやトンボとも呼ばれるなど、まぐろの種類や呼び名が紹介されています。
スーパーでパックを見ながら、「これは何まぐろかな」と比べるだけでも、ちょっとした学びになります。
まぐろの日は、食べる記念日でありながら、歴史、言葉、海、漁業を知る入口にもなります。
難しい説明より、食卓での短い会話がいちばん伝わりやすいのです。
SNSで使えるまぐろの日の楽しみ方
まぐろの日は、SNSとも相性のよい記念日です。
ただ写真を投稿するだけでなく、由来を一言添えると、見た人にも「へえ」と思ってもらいやすくなります。
たとえば、まぐろの刺身や寿司の写真に「10月10日は万葉集に残る山部赤人の歌にちなむ日」と書くと、ただの食事写真より印象に残ります。
まぐろ丼を作ったなら、「今日は古代の海辺の歌に思いをはせて、まぐろ丼にしました」といった文章も自然です。
ポイントは、知識を長く書きすぎないことです。
SNSでは、短くてわかりやすい言葉の方が読まれます。
「語呂合わせではなく、万葉集が由来」という一文だけでも、十分に目を引きます。
また、手巻き寿司や漬け丼なら、作る過程を写真にすると楽しさが伝わります。
まぐろの日は、特別なレストランに行かなくても楽しめます。
家の食卓でも、スーパーの刺身でも、少しの知識を添えるだけで記念日らしさが出ます。
食べる楽しみと知る楽しみを一緒に発信できるのが、この日の魅力です。
まぐろの日をもっと楽しむための豆知識
本まぐろ・メバチ・キハダ・ビンチョウの違い
まぐろと一口に言っても、売り場にはいくつかの種類があります。
代表的なのは、本まぐろ、メバチ、キハダ、ビンチョウです。
魚食普及推進センターでは、クロマグロは本まぐろ、メバチマグロはバチやオオバチ、キハダ、ビンナガはビンチョウやトンボとも呼ばれると紹介されています。
本まぐろは、まぐろの王様のように扱われることが多い種類です。
脂ののりや香りに特徴があり、寿司店でも高級なネタとして見かけます。
メバチは目が大きいことからその名があり、刺身用として身近に出回ることが多いまぐろです。
キハダはさっぱりした味わいが特徴で、刺身だけでなくツナ缶にも使われます。
ビンチョウは身の色が淡く、ツナ缶ではホワイトツナやホワイトミートと呼ばれることがあります。
まぐろの日に売り場へ行くなら、値段だけで選ぶのではなく、種類の違いも見てみると楽しめます。
「今日は赤身を楽しみたいからメバチ」「あっさり食べたいからキハダ」という選び方もできます。
種類を知ると、まぐろを食べる楽しみが一段深くなります。
赤身・中トロ・大トロはどこが違う?
赤身、中トロ、大トロの違いは、主に脂の量と部位にあります。
赤身は、脂が少なく、まぐろらしい濃いうまみを感じやすい部分です。
さっぱりしていて、しょうゆとの相性もよく、何切れでも食べやすいのが魅力です。
中トロは、赤身より脂があり、大トロほど重くない中間の部位です。
口に入れるとほどよくとろけ、赤身の味と脂の甘みの両方を楽しめます。
大トロは、腹側の脂が多い部分で、濃厚な味わいがあります。
寿司店では高級ネタとして扱われることが多いですが、脂が多いため、少量で満足しやすい部位でもあります。
まぐろの日にどれを選ぶかは、好みで決めてかまいません。
さっぱり食べたいなら赤身。
特別感を出したいなら中トロ。
少しぜいたくをしたいなら大トロ。
どれが一番えらいというより、それぞれに良さがあります。
赤身のうまみを味わうと、まぐろ本来の力強さがわかります。
トロを味わうと、脂の甘みと食感の変化が楽しめます。
まぐろの日は、部位を食べ比べる良いきっかけにもなります。
昔はトロが人気ではなかったって本当?
今では高級なイメージのあるトロですが、昔からずっと人気だったわけではありません。
東京・日本橋の吉野鮨本店は、トロ握り発祥の店として、トロという呼び名が店で食べた客の言葉から生まれたと紹介しています。
同店の説明では、それ以前のまぐろの腹身は、傷みやすく脂が多いため、ねぎま汁に使われたり、廃棄されることが多かったとされています。
今の感覚では、「あんなにおいしいトロが人気ではなかったのか」と驚くかもしれません。
しかし、冷蔵や冷凍の技術が今ほど発達していない時代には、脂の多い魚を新鮮に保つのが難しかったのです。
おいしさは、食材そのものだけで決まるわけではありません。
保存技術、流通、調理法、時代の好みが合わさって、価値が変わっていきます。
トロの評価が変わった話は、食文化のおもしろさをよく表しています。
昔は扱いにくかった部分が、今では高級な寿司ネタになっている。
まぐろの日にこの話を知ると、いつもの寿司ネタにも時代の変化が見えてきます。
まぐろは本当に止まると死ぬのか
「まぐろは止まると死ぬ」と聞いたことがある人は多いでしょう。
この言い方はよく知られていますが、正確には少し丁寧に考える必要があります。
農林水産省が子ども向けに公開している資料では、まぐろは大海原を高速で泳ぎ続けるように進化した体で、ほかの魚がえらぶたを動かして水を通すのに対し、まぐろは泳ぐことで水を口から取り込み、酸素を取り入れる説明がされています。
つまり、まぐろは泳ぎ続ける生活にとても適した魚です。
止まってのんびり休む魚というより、広い海を回遊しながら生きる魚だと考えるとわかりやすいでしょう。
ただし、種類や状況をすべて同じように言い切るより、「泳ぐことで呼吸に必要な水を取り込みやすい体のつくりをしている」と理解するのが自然です。
まぐろの体は、速く泳ぐために流線型をしています。
大きな体で長い距離を移動し、海の中を力強く進みます。
食卓の上では静かな刺身になっていますが、生きているまぐろはとてもダイナミックな魚です。
この違いを知ると、まぐろという魚の見方が少し変わります。
まぐろの日に食べたいおすすめメニュー
まぐろの日に食べたいメニューは、特別な料理だけではありません。
まずおすすめしやすいのは、まぐろの刺身です。
赤身ならさっぱりとして食べやすく、まぐろそのものの味がよくわかります。
少し特別感を出したいなら、赤身と中トロを少しずつ用意して食べ比べるのも楽しいです。
家族で楽しむなら、手巻き寿司が向いています。
まぐろ、卵焼き、きゅうり、納豆、大葉、海苔を並べるだけで、食卓がにぎやかになります。
忙しい日なら、まぐろの漬け丼もおすすめです。
たれにつけたまぐろをごはんにのせ、刻み海苔やごまを添えるだけで、満足感のある一品になります。
また、加熱して食べたい人には、まぐろの竜田揚げやステーキ風も合います。
刺身用ではない加熱用のまぐろが手に入ったときは、しょうゆやしょうがで下味をつけて焼くと、ごはんに合うおかずになります。
まぐろの日は、無理に高級なものを買う日ではありません。
自分の家に合った食べ方で楽しむことが大切です。
由来を知り、味わい、食卓で話題にする。
それだけで、十分に記念日らしい時間になります。
まぐろの日と一緒に知りたい関連記念日・未来の話
毎月16日の「トロの日」との違い
まぐろの日と間違えやすい記念日に、トロの日があります。
まぐろの日は毎年10月10日で、万葉集に残る山部赤人の歌にちなむ記念日です。
一方、トロの日は毎月16日です。
カッパ・クリエイトのプレスリリースでは、同社が毎月16日を「トロの日」として記念日登録したことが紹介されています。
この違いを整理すると、まぐろの日は歴史や和歌に由来する記念日で、トロの日は「16」をトロと読む語呂合わせに近い記念日です。
まぐろの日は、まぐろ全体を知る日です。
赤身もトロも、まぐろ漁も、万葉集も含めて楽しめます。
トロの日は、まぐろの中でも脂のある部位や、とろける食感に注目しやすい日です。
どちらが上ということではありません。
10月10日は、まぐろの歴史を知りながら食べる日。
毎月16日は、トロを気軽に楽しむ日。
そう考えると、どちらも食卓を楽しくしてくれる記念日です。
違いを知っておくと、記念日の意味を混同せずに楽しめます。
10月10日に多い食べ物の記念日
10月10日は、食べ物や魚に関係する記念日が多い日です。
魚食普及推進センターの「日本のおさかな記念日」では、10月10日に、魚の日、とと魚の日、まぐろの日、釣りの日、缶詰の日などが並んで紹介されています。
10月10日は数字の形や読み方が使いやすく、記念日にしやすい日でもあります。
「とと」と読めることから魚に関係づけられたり、釣りや缶詰といった食や海に関わる日とも重なっています。
ただし、まぐろの日は語呂合わせではなく、万葉集の歌が由来です。
この点を知っていると、10月10日の中でもまぐろの日が少し特別に感じられます。
同じ日に複数の記念日があると、「結局どれを覚えればいいの」と思うかもしれません。
そんなときは、食卓のテーマとして考えると楽しくなります。
まぐろの刺身を食べる。
魚料理を一品増やす。
缶詰を使った料理にしてみる。
10月10日は、魚や海の恵みに目を向けやすい日です。
その中心に、万葉集に由来するまぐろの日があると考えると覚えやすくなります。
まぐろを食べる文化が日本で愛される理由
日本でまぐろが愛される理由は、寿司や刺身との相性がよいからです。
日本かつお・まぐろ漁業協同組合は、お刺身やお寿司を日本伝統の食文化として紹介し、天然かつお・まぐろを将来も安心して食べられるように、漁業を次の世代に引き継ぐ取り組みを行っていると説明しています。
まぐろは、赤身のしっかりしたうまみ、トロの脂の甘み、漬けにしたときのごはんとの相性など、いろいろな楽しみ方ができます。
寿司店では、赤身、中トロ、大トロ、ねぎとろ、鉄火巻きなど、まぐろだけでも多くのメニューがあります。
家庭でも、刺身、丼、手巻き寿司、竜田揚げなどに使いやすい魚です。
また、まぐろは特別な日にも普段の日にも登場します。
お祝いの寿司に入っていることもあれば、スーパーの刺身パックとして夕食に並ぶこともあります。
この幅広さが、長く愛される理由の一つです。
高級感もあり、親しみやすさもある。
まぐろは、その両方を持った魚です。
まぐろの日は、そんな日本の食卓との深い関係を改めて感じる日でもあります。
まぐろ資源を守るために大切なこと
まぐろをこれからも楽しむためには、資源を守る視点が欠かせません。
水産庁は、太平洋クロマグロの資源回復を図るため、中西部太平洋まぐろ類委員会での国際合意に基づき、日本が平成22年から管理強化に取り組んできたと説明しています。
また、平成27年1月からは、30キロ未満の小型魚について、2002年から2004年までの年平均漁獲実績から半減する措置を実施するとされています。
まぐろは人気のある魚だからこそ、たくさん取ればよいというものではありません。
海の資源には限りがあります。
小さな魚まで取りすぎると、大きく育って卵を産む魚が減り、将来の資源に影響します。
消費者にできることは、完璧な専門知識を持つことではありません。
まずは、まぐろが自然から届く限りある恵みだと知ることです。
そして、資源管理に取り組む漁業や、適切な流通を意識して選ぶことです。
まぐろの日は、おいしく食べる日であると同時に、未来の食卓を考える日でもあります。
今日食べる一切れを、これからの世代も楽しめるようにする。
その意識が大切です。
まぐろの日をきっかけに食文化を楽しもう
まぐろの日の魅力は、話が大きく広がるところにあります。
最初は「なぜ10月10日なのか」という小さな疑問かもしれません。
そこから、山部赤人、万葉集、明石の海、まぐろ漁、寿司、刺身、資源管理へと話がつながっていきます。
一つの記念日を調べるだけで、日本の食文化の奥行きが見えてきます。
まぐろは、ただおいしい魚というだけではありません。
古代の歌に登場し、漁業の歴史を持ち、現代の寿司文化を支え、さらに未来の資源管理とも関わっています。
まぐろの日を楽しむ方法は、人それぞれです。
家で刺身を食べる。
子どもに万葉集の話をする。
スーパーで種類を見比べる。
漁業や資源のことを少し調べてみる。
どれも立派な楽しみ方です。
記念日は、知ると食卓が少し豊かになります。
10月10日にまぐろを食べるときは、ただ「おいしい」で終わらせず、その背景にある海と人の物語にも少し思いを向けてみてください。
きっと、いつもの一切れが少し特別に感じられます。
まぐろの日まとめ
10月10日のまぐろの日は、語呂合わせではなく、万葉集に残る山部赤人の歌に由来する記念日です。
726年10月10日、聖武天皇の印南野行幸に従った山部赤人が、明石地方の藤井の浦でまぐろを釣る船や塩を焼く人々のにぎわいを歌に残したことが、現在の記念日につながっています。
1986年には、この歌にちなんで日本鰹鮪漁業協同組合連合会が10月10日をまぐろの日と定めました。
まぐろの日を知ると、刺身や寿司として食べるまぐろの背景に、古代の海辺の暮らしや和歌の世界があることに気づきます。
また、まぐろには本まぐろ、メバチ、キハダ、ビンチョウなどの種類があり、赤身やトロといった部位の違いも楽しめます。
さらに、太平洋クロマグロのように資源管理が重要な魚もあり、水産庁は国際合意に基づいて管理強化に取り組んでいます。
まぐろの日は、おいしく食べるだけの日ではありません。
歴史を知り、食文化を楽しみ、未来の海の恵みについて考える日でもあります。
10月10日には、ぜひまぐろを味わいながら、万葉集に残る古い海辺の風景にも思いを向けてみてください。
