レストランや洋菓子店で見かけるクレマカタラーナ、クレームブリュレ、プリン。
どれも黄色いカスタードにカラメルを合わせたデザートなので、「名前が違うだけでは?」と思ったことがある人も多いのではないでしょうか。
実は、3種類には材料、加熱方法、香り、食感に明確な違いがあります。
クレマカタラーナは鍋で炊き、クレームブリュレは低温で焼き、プリンは蒸すか湯せん焼きにするのが代表的な作り方です。
さらに、表面のパリパリした砂糖と、プリンにかかっている液体のカラメルソースも同じものではありません。
この記事では、3種類の違いを比較表で整理し、材料や作り方、味、食感、発祥まで分かりやすく解説します。
日本でよく見かける冷凍カタラーナと、カタルーニャの伝統的なクレマカタラーナの違いも紹介します。
読み終えるころには、メニューや売り場で迷わず、自分の好みに合ったデザートを選べるようになるでしょう。
クレマカタラーナ・クレームブリュレ・プリンの違いを一覧で比較
まず結論!3種類の違いがひと目で分かる比較表
クレマカタラーナ、クレームブリュレ、プリンは、どれも卵や乳製品、砂糖を使ったカスタード系のデザートです。
見た目もよく似ていますが、使う材料、固め方、香り、カラメルの位置に違いがあります。
まずは、代表的な作り方を比較してみましょう。
| 比較するポイント | クレマカタラーナ | クレームブリュレ | カスタードプリン |
|---|---|---|---|
| ゆかりのある地域 | スペインのカタルーニャ地方 | フランス語圏で定着したデザート | 日本ではカスタードプディング型が一般的 |
| 主な乳製品 | 牛乳 | 生クリームを多く使うレシピが多い | 牛乳 |
| 卵 | 卵黄 | 卵黄 | 全卵を使うレシピが多い |
| 固める方法 | 鍋で加熱し、でんぷんと卵でとろみをつける | 低温のオーブンや湯せん焼きで固める | 蒸す、または湯せん焼きで固める |
| 香り | シナモン、レモンの皮 | バニラなど | バニラなど |
| 砂糖の仕上げ | 表面の砂糖を焦がす | 表面の砂糖を焦がす | 型の底にカラメルソースを入れることが多い |
| 食感の傾向 | なめらかで、ほどよく密度がある | 濃厚でとろりとやわらかい | ぷるんと弾力がある |
| 食べ方 | 器からすくう | 器からすくう | 型から外す場合と、容器のまま食べる場合がある |
カタルーニャ州観光局が紹介する伝統的なレシピでは、牛乳、卵黄、砂糖、コーンスターチ、シナモン、レモンの皮が使われています。
スペイン政府観光局のレシピでも、牛乳、卵黄、砂糖、でんぷんを鍋で加熱し、器に入れてから表面の砂糖を焦がす方法が示されています。
一方、ル・コルドン・ブルーのクレームブリュレでは、卵黄、砂糖、牛乳、生クリームを合わせ、低温のオーブンで固めたあと、提供直前に表面の砂糖を焦がしています。
日本で親しまれているカスタードプリンは、卵、牛乳、砂糖を混ぜ、カラメルを入れた型で蒸すか、湯せん焼きにする作り方が基本です。
ただし、お店やメーカーによって配合や製法は変わります。
表の内容は、伝統的または代表的な作り方を比べたものとして考えてください。
最も大きな違いは材料と固め方
3種類を理解するとき、最初に注目したいのは、何を使って、どのように固めているかです。
クレマカタラーナは、牛乳と卵黄を中心に、コーンスターチなどのでんぷんを加えるのが伝統的な特徴です。
材料を鍋に入れ、弱火で混ぜながら加熱し、クリーム状に仕上げます。
オーブンでじっくり焼き固めるというより、カスタードクリームを炊くような作り方に近いデザートです。
コーンスターチは、水分と一緒に加熱されることで糊化し、食品にとろみをつけます。
そのため、卵の力だけで固める場合よりも、形が安定しやすく、密度のある口当たりになります。
クレームブリュレは、卵黄と生クリームを中心にした液体を、低い温度でゆっくり加熱して固めます。
レシピによって牛乳を混ぜることもありますが、生クリームの割合が高いほど、乳脂肪のコクを感じやすくなります。
表面は固まっていても、中はスプーンが抵抗なく入るほどやわらかく仕上げるのが一般的です。
カスタードプリンは、卵に熱を加えると固まる性質を利用したデザートです。
全卵を使うレシピが多いため、卵白のたんぱく質も食感づくりに加わり、クレームブリュレより弾力が出やすくなります。
農林水産省も、カスタードプディングを卵のたんぱく質の熱凝固性を利用したデザートとして説明しています。
つまり、クレマカタラーナはでんぷんと卵、クレームブリュレは主に卵黄、カスタードプリンは全卵を使うことが多いという違いが、食感にも表れています。
表面のパリパリとカラメルソースは別物
クレマカタラーナとクレームブリュレの大きな魅力は、表面にある薄い砂糖の層です。
冷やしたクリームの上に砂糖を振り、焼きごて、グリル、ガスバーナーなどで強く加熱すると、砂糖が溶けて茶色く色づきます。
冷えると薄い板のように固まり、スプーンを入れたときにパリッと割れます。
カタルーニャ州観光局とスペイン政府観光局のレシピでも、表面の砂糖を加熱してキャラメリゼする工程が紹介されています。
ル・コルドン・ブルーのクレームブリュレも、提供直前にブラウンシュガーを振り、グリルまたはバーナーで焦がす作り方です。
一方、プリンに使われるカラメルソースは、砂糖を鍋で加熱して色をつけ、水や湯を加えて液体状にしたものです。
多くのレシピでは、プリン液を入れる前にカラメルを型の底へ流します。
完成後に型から外すと、底にあったカラメルが上から流れ落ちます。
どちらも砂糖を加熱していますが、役割は同じではありません。
表面のキャラメリゼは、硬さと香ばしさを楽しむものです。
カラメルソースは、ほろ苦い液体をプリン全体にからめて味わうものです。
食べたときにパリッと割れるなら表面のキャラメリゼで、スプーンに流れ込んでくるならカラメルソースと考えると分かりやすいでしょう。
迷ったときに使える簡単な見分け方
目の前にあるデザートの名前が分からないときは、表面、香り、器、食感の順で確認すると見分けやすくなります。
最初に表面を見て、薄く硬い砂糖の膜があれば、クレマカタラーナかクレームブリュレの可能性が高いでしょう。
カラメルが液体で、型から外したデザートの上から流れている場合は、カスタードプリンの可能性が高くなります。
次に香りを確認します。
シナモンやレモンの皮を思わせる香りがあれば、伝統的なクレマカタラーナの特徴に近いと考えられます。
バニラと生クリームの濃厚な香りが中心なら、クレームブリュレに近いでしょう。
器も参考になります。
浅く広い陶器に入っている場合はクレマカタラーナ、平たい耐熱皿に入っている場合はクレームブリュレによく見られる形です。
プリンは円すい台のような形で皿に盛られることが多いものの、カップ入りの商品もあるため、形だけで断定はできません。
最後にスプーンを入れてみましょう。
表面がパリッと割れ、中がやわらかければクレマカタラーナかクレームブリュレです。
全体にぷるんとした弾力があれば、卵で固めたカスタードプリンの特徴に近いといえます。
ただし、現代の商品には自由なアレンジが多く、名前と伝統的な製法が完全には一致しない場合もあります。
見た目だけで決めず、メニューや原材料表示も確認するのが確実です。
材料と作り方にはどんな違いがある?
牛乳・生クリーム・卵の使い方を比較
3種類とも乳製品と卵を使いますが、配合には分かりやすい傾向があります。
伝統的なクレマカタラーナは、乳製品として牛乳を使います。
カタルーニャ州観光局のレシピでは、牛乳1リットルに卵黄8個、砂糖200グラム、コーンスターチ40グラムが組み合わされています。
生クリームを多く使わないため、濃厚さだけを前面に出した味ではありません。
牛乳と卵黄のまろやかさに、シナモンとレモンの香りを重ねるのが特徴です。
クレームブリュレは、生クリームを多く使うレシピが代表的です。
ル・コルドン・ブルーの一例では、牛乳150ミリリットルに対して、生クリーム350ミリリットルが使われています。
卵は全卵ではなく卵黄を使うため、白身による強い弾力が出にくく、口どけのよいクリーム状に仕上がります。
カスタードプリンは、牛乳と全卵を組み合わせるレシピが多く見られます。
明治の固めのプリンでは、牛乳300ミリリットルに全卵2個と卵黄2個を使用しています。
森永乳業のレシピでも、卵、砂糖、温めた牛乳を混ぜ、湯せん焼きにしています。
同じ名前でも、卵黄を増やせば濃厚で固めになり、牛乳を増やせば軽い口当たりになりやすいため、食感はレシピによって変わります。
「プリンだから必ずぷるぷる」「ブリュレだから必ずとろとろ」と決めつけず、材料の配合も見ることが大切です。
クレマカタラーナにコーンスターチを加える理由
クレマカタラーナの材料で、とくに重要なのがコーンスターチです。
コーンスターチは、トウモロコシから作られるでんぷんです。
水分のある材料と加熱すると粒が水分を吸い、全体にとろみがつきます。
米国農務省の研究情報でも、でんぷんの糊化が食品を濃くする働きにつながると説明されています。
クレマカタラーナは、牛乳や卵黄を鍋で混ぜながら加熱します。
ここにコーンスターチが入ることで、オーブンで長時間焼かなくても、すくって食べられる濃度に仕上げやすくなります。
冷えるとさらに落ち着き、表面に砂糖をのせて焦がしても、下のクリームが形を保ちやすくなります。
でんぷんを使うことは、食感にも影響します。
卵だけを低温で固めたクレームブリュレは、舌の上でほどけるようなやわらかさが出やすいデザートです。
クレマカタラーナは、でんぷんによる粘りが加わるため、なめらかさの中に少し密度を感じやすくなります。
ただし、コーンスターチを増やしすぎると、重く粉っぽい食感になりかねません。
伝統的な配合では、牛乳1リットルに対して40グラムから45グラムほどの量が示されています。
コーンスターチは、単に固めるためだけではなく、クレマカタラーナらしい口当たりを支える材料といえるでしょう。
鍋で炊く・湯せん焼き・蒸し焼きの違い
加熱方法を比べると、3種類の違いがさらに分かりやすくなります。
クレマカタラーナは、材料を鍋に入れ、弱火で混ぜながら加熱するのが伝統的な方法です。
底だけが焦げたり、卵が急に固まったりしないように、絶えず混ぜながら濃度をつけます。
仕上がったクリームを小さな器へ入れ、冷やしてから砂糖を焦がします。
クレームブリュレは、卵黄とクリームの液体を耐熱皿へ入れ、低温のオーブンでゆっくり固めます。
ル・コルドン・ブルーのレシピには70度のオーブンで約25分加熱する方法が示され、別の解説では、なめらかに仕上げるため湯せんで加熱する方法が勧められています。
湯せん焼きでは、容器を並べた天板やバットに湯を張ります。
周囲の湯が急激な温度上昇を抑えるため、卵が部分的に固くなるのを防ぎやすくなります。
プリンには、湯せん焼きと蒸す方法の両方があります。
森永乳業のレシピでは、湯を張った天板に型を置き、150度のオーブンで約30分焼いています。
NHKのレシピには、フライパンで蒸して仕上げる方法もあります。
蒸気や湯を使う理由は、卵にやさしく熱を伝えるためです。
強い火で一気に加熱すると、内部に小さな穴ができたり、水分が分離したりすることがあります。
鍋で混ぜながら濃度をつけるのがクレマカタラーナ、器の中で静かに固めるのがクレームブリュレとプリンと覚えると、製法の違いを整理しやすいでしょう。
シナモンやレモンとバニラによる香りの違い
クレマカタラーナらしさを印象づけるのは、シナモンとレモンの香りです。
カタルーニャ州観光局のレシピでは、牛乳にシナモンスティックとレモンの皮を加えています。
レモン果汁を入れて酸っぱくするのではなく、主に皮の香りを牛乳へ移します。
そのため、味わいはカスタードの甘さを保ちながら、後味に柑橘の爽やかさが残ります。
シナモンの温かみのある香りも加わり、生クリームを大量に使わなくても奥行きのある味になります。
クレームブリュレでは、バニラが代表的な香りとして使われます。
ただし、バニラだけに決まっているわけではありません。
ル・コルドン・ブルーのレシピにはローズウォーターを使ったアレンジもあり、クリームを土台にさまざまな香りを加えられるデザートだと分かります。
プリンでも、バニラビーンズ、バニラオイル、バニラエッセンスがよく使われます。
明治のレシピではバニラビーンズを加え、森永乳業のレシピではバニラオイルを使っています。
香りだけで完全に見分けることはできませんが、シナモンとレモンならクレマカタラーナ、乳脂肪とバニラが中心ならクレームブリュレ、卵と牛乳の素朴な香りならプリンという傾向があります。
目を閉じて香りを比べてみると、見た目以上に大きな違いを感じられるでしょう。
味・食感・見た目の違いを比べてみよう
どっしり・とろり・ぷるんの食感を比較
3種類の食感は、簡単に表すと「密度のあるなめらかさ」「とろりとした口どけ」「ぷるんとした弾力」に分けられます。
クレマカタラーナは、卵黄に加えてコーンスターチを使うため、スプーンですくった形がある程度残りやすいデザートです。
カスタードクリームほど重くなく、クレームブリュレほど流れるようでもない、両者の間に近い食感を感じることがあります。
表面のパリパリした砂糖と、下のなめらかなクリームとの対比も魅力です。
クレームブリュレは、生クリームと卵黄を低温で静かに固めます。
全卵を使うプリンと比べると弾力が控えめで、舌の上でゆっくりほどけるような口当たりになりやすいでしょう。
ル・コルドン・ブルーのレシピでも、焼き上がりはわずかに固まった状態にすると説明されています。
プリンは、全卵を使うレシピが多く、スプーンで押すと揺れるような弾力が出やすくなります。
農林水産省は、卵のたんぱく質が熱で固まる性質を利用したものとしてカスタードプディングを説明しています。
ただし、プリンにも昔ながらの固いタイプとなめらかなタイプがあります。
市販品にはゼラチンや寒天などで固めたものもあり、名前だけで製法や食感を判断できるとは限りません。
農林水産省も、プリンには製法や原材料を統一する制度上の定義がないと案内しています。
食感の表現はあくまで傾向ですが、初めて食べ比べるときの目安として役立ちます。
濃厚さや卵の風味はどれが強い?
乳製品の濃厚さを求めるなら、一般的にはクレームブリュレが最も分かりやすい選択です。
生クリームを多く使うレシピでは、乳脂肪のコクと、舌に残るまろやかさをしっかり感じられます。
ル・コルドン・ブルーの一例では、生クリーム350ミリリットルに牛乳150ミリリットルという配合です。
クレマカタラーナは、牛乳を中心に作るため、同じ甘さでもクレームブリュレより軽く感じる場合があります。
ただし、卵黄を多く使うため、卵のコクが弱いわけではありません。
シナモンとレモンの香りが重なることで、単純な濃厚さとは違う華やかな味になります。
プリンは、牛乳と全卵の組み合わせによる、素朴で親しみやすい味が特徴です。
全卵を使うと卵白も入るため、卵黄だけのデザートより色やコクが穏やかになる場合があります。
一方、卵の割合を増やした固めのプリンでは、卵らしい香りと食べ応えが強くなります。
明治の固めのプリンには全卵と卵黄の両方が使われており、配合によって濃厚さを調整できることが分かります。
濃厚さの方向もそれぞれ異なります。
クレームブリュレは生クリームの濃厚さ、クレマカタラーナは卵黄と香りの厚み、プリンは卵と牛乳のまとまりを楽しむデザートです。
どれが最も濃いかはレシピによって変わりますが、何のコクを味わいたいかで選ぶと失敗しにくいでしょう。
キャラメリゼとカラメルソースの違い
キャラメリゼとは、砂糖に熱を加え、色、香り、苦味を生み出す調理です。
フランス語の辞書資料でも、カラメルは砂糖を加熱して得られる褐色の物質として説明されています。
クレマカタラーナとクレームブリュレでは、完成したクリームの表面に乾いた砂糖を振り、その場で強く加熱します。
溶けた砂糖は冷えると薄い硬膜になります。
この層は時間がたつと下のクリームの水分を吸ってやわらかくなるため、食べる直前に焦がすのが理想です。
ル・コルドン・ブルーのレシピでも、提供直前に砂糖を焦がすよう示されています。
プリンのカラメルソースは、先に砂糖を鍋で焦がし、水や湯を加えて濃度を調整します。
型の底へ入れてプリン液と一緒に加熱する方法や、完成後に上からかける方法があります。
森永乳業のレシピでは、砂糖をあめ色まで煮詰めて湯を加え、冷ましてからプリンに合わせています。
キャラメリゼは固体に近く、カラメルソースは液体です。
キャラメリゼでは、割れる音、香ばしさ、クリームとの温度差を楽しめます。
カラメルソースでは、プリンにからむ苦味と甘さの変化を楽しめます。
名前は似ていますが、食感を加える仕上げなのか、全体になじませるソースなのかという違いがあります。
器のまま食べるものと型から外すものの違い
クレマカタラーナは、個別の浅い器に入れ、そのままスプーンですくって食べるのが伝統的な形です。
スペイン政府観光局のレシピでも、固まったクリームを小さな陶器へ入れ、表面の砂糖を焼きごてで焦がしています。
表面全体を均一に焦がすには、口が広く浅い器が向いています。
薄く広がった砂糖は割りやすく、ひと口ごとにクリームと合わせやすくなります。
クレームブリュレも、耐熱皿のまま提供されるのが一般的です。
やわらかなクリームを無理に型から外す必要がなく、表面の砂糖も器の中で焦がせます。
ル・コルドン・ブルーのレシピでも、ブリュレ用の皿へ液体を注ぎ、そのまま焼いています。
プリンは、器の底にカラメルを入れ、固まったあとに皿へひっくり返す形がよく知られています。
型から外すとカラメルが上になり、側面を流れ落ちます。
NHKのレシピや農林水産省の説明でも、型の底にカラメルを入れて加熱する方法が示されています。
ただし、カップ入りのプリンや、瓶に入ったなめらかプリンもあります。
器の形は有力な手がかりですが、それだけでデザートの種類が決まるわけではありません。
浅い器とパリパリの表面ならブリュレ系、皿に盛られた弾力のある形と液体のカラメルならプリンという組み合わせで判断するとよいでしょう。
3種類の発祥と名前の意味
クレマカタラーナはスペイン・カタルーニャ地方の伝統菓子
クレマカタラーナは、スペイン北東部に位置するカタルーニャ地方と結びついた伝統的なデザートです。
カタルーニャ州観光局は、卵黄、砂糖、牛乳、シナモンを使い、表面にキャラメリゼした砂糖を重ねる代表的な料理として紹介しています。
スペイン政府観光局の料理紹介でも、クレマカタラーナはカタルーニャのデザートとして扱われています。
「クレマ」はクリームを意味し、「カタラーナ」はカタルーニャの、またはカタルーニャ風という意味につながります。
日本語に近づけると「カタルーニャ風クリーム」と考えると分かりやすいでしょう。
伝統的な作り方では、生クリームをたっぷり使うのではなく、牛乳と卵黄、でんぷんを鍋で加熱します。
この点が、現代の日本で販売されている濃厚な冷凍カタラーナと異なる場合があります。
表面の砂糖を焦がした姿はクレームブリュレによく似ていますが、カタルーニャ独自の香りや作り方があります。
単に「スペイン版クレームブリュレ」と言い換えると理解しやすい反面、牛乳、でんぷん、シナモン、レモンという特徴が見えにくくなります。
似ている部分を認めながら、別の背景と製法を持つデザートとして味わうのが適切です。
クレームブリュレはフランス語で「焦がしたクリーム」
クレームブリュレは、フランス語で表記すると「crème brûlée」です。
「crème」はクリーム、「brûlée」は焼いた、または焦がしたという意味を持ちます。
フランス国立文字語彙資源センターに掲載されたアカデミー・フランセーズの定義では、クレームブリュレは牛乳、卵、砂糖で作り、火を当てたデザートと説明されています。
名前の通り、表面の砂糖を焦がす工程が、このデザートの個性です。
ただし、中のクリームまで焦がすわけではありません。
冷たくなめらかなクリームの上だけに強い熱を当て、薄いカラメル層を作ります。
そのため、ひとつの器の中で、冷たさと香ばしさ、やわらかさと硬さを同時に味わえます。
ル・コルドン・ブルーの作り方では、卵黄、砂糖、牛乳、生クリームを合わせ、低温でわずかに固まるまで焼きます。
冷ましたあと、食べる直前に砂糖を振り、グリルかバーナーでキャラメリゼします。
日本では、表面をバーナーで焦がした料理全般に「ブリュレ」という言葉が使われることがあります。
しかし、本来のクレームブリュレは、卵黄と乳製品から作るやわらかなカスタードと、焦がした砂糖の組み合わせです。
表面が焦げているだけではなく、その下にどのようなクリームがあるかも大切なポイントです。
プリンはカスタードプディングから広まったデザート
日本で「プリン」と呼ばれているものは、英語の「pudding」に由来する和製の呼び方です。
農林水産省は、プリンがプディングから来た和製用語であり、日本で一般的なカスタードプディングは卵の熱凝固性を利用して作ると説明しています。
英語の「pudding」は、必ずしも日本のカスタードプリンだけを指す言葉ではありません。
地域や料理によって、蒸し料理、焼き菓子、食事向けの料理など、幅広いものを含みます。
日本では、その中でも卵、牛乳、砂糖を使った甘いカスタードプディングが「プリン」として定着しました。
基本的な作り方は、卵と砂糖を混ぜ、温めた牛乳を加え、こしてから型へ流す方法です。
型の底にはカラメルを入れ、蒸すか湯せん焼きにして固めます。
現在のプリンは非常に種類が多く、卵で固めた焼きプリンだけではありません。
ゼラチン、寒天、増粘多糖類などを使い、冷やして固めた商品もプリンとして販売されています。
農林水産省によると、プリンという名称に製法や原材料を定める制度上の規格はありません。
この記事で比べているプリンは、主に卵と牛乳を加熱して固めるカスタードプリンです。
市販品を比べる際は、商品名だけでなく原材料表示を見ると、どのタイプか判断しやすくなります。
「カタラーナ」と「クレマカタラーナ」は同じもの?
カタルーニャやスペインの公的な料理紹介では、「クレマカタラーナ」という名称が使われています。
日本では、これを短くして「カタラーナ」と呼ぶことがあります。
ただし、日本の商品名にカタラーナと書かれていても、伝統的なクレマカタラーナと同じ材料や製法とは限りません。
たとえば、花畑牧場の「十勝カタラーナ 濃厚焼きプリン」は、クリーム、加糖卵黄、砂糖などを主原料とし、冷凍保存する商品です。
みれい菓の「札幌カタラーナ」も、アイスクリームのような口どけの焼きプリンとして案内されています。
一方、伝統的なクレマカタラーナは、牛乳、卵黄、砂糖、でんぷん、シナモン、レモンの皮を鍋で加熱する作り方です。
冷凍することは、伝統的なレシピを成り立たせる条件には含まれていません。
つまり、言葉のもとになったデザートは同じでも、日本では独自に発展した商品が「カタラーナ」と呼ばれている場合があります。
日本のカタラーナが間違っているという意味ではありません。
濃厚な生クリームや冷凍による口どけを楽しめるように工夫された、別のスタイルと考えるとよいでしょう。
伝統的な味を求めるならシナモン、レモン、牛乳、でんぷんを確認し、冷たい濃厚スイーツを求めるなら生クリームや冷凍タイプを選ぶと、期待とのずれを防げます。
よくある疑問と間違えやすいポイント
日本の冷凍カタラーナは本場のものと違う?
日本で販売されている冷凍カタラーナには、伝統的なクレマカタラーナと異なる商品が多くあります。
大きな違いは、乳製品、加熱方法、保存温度、食べるときの状態です。
伝統的なクレマカタラーナは、牛乳、卵黄、砂糖、でんぷんを鍋で加熱し、冷やしてから表面の砂糖を焦がします。
カタルーニャ州観光局のレシピには、冷凍する工程や生クリームを主材料にする説明はありません。
日本の冷凍タイプには、生クリームと卵黄を使った濃厚な焼きプリンを凍らせ、アイスのように食べる商品があります。
花畑牧場の商品は、クリームを最初に表示する原材料とし、マイナス18度以下で冷凍保存するよう案内しています。
みれい菓も、札幌カタラーナをアイスクリームのような口どけの焼きプリンと説明しています。
そのため、日本の冷凍カタラーナは、伝統的なクレマカタラーナをそのまま凍らせたものとは限りません。
クレームブリュレ、焼きプリン、アイスデザートの特徴を組み合わせた商品もあります。
冷凍のままなら硬く冷たい食感になり、半解凍では中心がやわらかくなります。
完全に解凍するとカスタードのなめらかさを感じやすくなりますが、商品によって推奨する食べ方は異なります。
本場と違うから価値が低いのではなく、日本独自の冷たいデザートとして楽しむものです。
購入するときは、冷蔵品か冷凍品か、牛乳中心か生クリーム中心かを確認すると、味を想像しやすくなります。
プリンの表面を焦がせばクレームブリュレになる?
プリンの表面に砂糖を振って焦がせば、ブリュレのようなパリパリ感は作れます。
しかし、それだけで中身まで伝統的なクレームブリュレと同じになるわけではありません。
カスタードプリンは、牛乳と全卵を使い、卵の力でぷるんと固めるレシピが一般的です。
カラメルソースを型の底に入れることも多く、完成後に型から外せるほどの弾力があります。
クレームブリュレは、卵黄と生クリームを多く使い、器の中でやわらかく固めます。
ル・コルドン・ブルーのレシピでは、全卵ではなく卵黄を使い、生クリームを牛乳より多く配合しています。
そのため、プリンの上を焦がしたものは「ブリュレ仕立てのプリン」と呼ぶのが分かりやすいでしょう。
表面の食感は似ていても、中の弾力、乳脂肪のコク、卵の使い方が異なります。
反対に、クレームブリュレへ液体のカラメルソースをかけても、プリンになるわけではありません。
デザートの種類は、表面の仕上げだけではなく、クリーム本体の材料と固め方で決まります。
家庭で楽しむ分には、プリンをブリュレ風にアレンジしても問題ありません。
ただし、違いを正確に説明するときは「表面を焦がしたプリン」と「クレームブリュレ」を分けて考えましょう。
クレマカタラーナはクレームブリュレの元祖なの?
クレマカタラーナとクレームブリュレは、どちらもカスタードの表面に砂糖をのせて焦がすため、関係が深いように見えます。
そのため、どちらかがもう一方の元祖だと説明されることがあります。
しかし、形が似ていることだけでは、直接の起源関係を証明できません。
カタルーニャ州観光局とスペイン政府観光局は、クレマカタラーナをカタルーニャの伝統的なデザートとして紹介しています。
フランス語の公的な辞書資料では、クレームブリュレは牛乳、卵、砂糖で作り、火を当てるデザートとして独立した名称で説明されています。
これらの資料から確認できるのは、それぞれが異なる文化圏で定着したデザートだということです。
どちらが先に生まれ、もう一方へ直接伝わったのかまでは、公的なレシピ紹介だけでは判断できません。
伝統的な作り方にも違いがあります。
クレマカタラーナは牛乳とでんぷんを鍋で炊き、シナモンやレモンで香りをつけます。
クレームブリュレは生クリームと卵黄を低温で焼き、バニラなどで香りをつける方法が代表的です。
したがって、「クレマカタラーナはクレームブリュレの元祖」と断定するより、同じカスタード系デザートの中で、似た仕上げを持つ別の料理と説明する方が正確です。
歴史上の優劣を決めるより、材料と製法の違いを知って食べ比べる方が、それぞれの魅力を理解できます。
好みに合わせて選ぶならどのデザートがおすすめ?
濃厚でクリーミーなスイーツが好きなら、クレームブリュレが向いています。
生クリームのコクがあり、表面の硬いカラメルを割る楽しさも味わえます。
スプーンを入れたときに中がとろりと崩れる、やわらかな食感を求める人にもおすすめです。
甘さの中にスパイスや柑橘の香りが欲しいなら、クレマカタラーナが合います。
シナモンとレモンの香りがあるため、カスタード系でも後味が単調になりにくいデザートです。
生クリーム中心の濃厚さが重く感じる人にも、伝統的な牛乳ベースのタイプは食べやすいでしょう。
卵と牛乳の素朴な味が好きなら、カスタードプリンがおすすめです。
ぷるんとした弾力があり、液体のカラメルソースが全体にからみます。
固め、なめらか、瓶入りなど種類が豊富なので、食感の好みに合わせて選びやすい点も魅力です。
暑い季節に冷たいデザートを楽しみたいなら、日本の冷凍カタラーナも候補になります。
冷凍、半解凍、解凍後では口どけが変わり、アイスと焼きプリンの中間のような楽しみ方ができます。
迷った場合は、香りならクレマカタラーナ、濃厚さならクレームブリュレ、弾力とカラメルソースならプリンと考えてください。
どれが上という関係ではなく、求める食感と香りによって最適な一品が変わります。
クレマカタラーナ・クレームブリュレ・プリンの違いまとめ
クレマカタラーナ、クレームブリュレ、プリンは、卵、乳製品、砂糖を使う点ではよく似ています。
しかし、材料の配合、固め方、香り、砂糖の仕上げ方には、はっきりした違いがあります。
クレマカタラーナは、牛乳、卵黄、でんぷんを鍋で加熱し、シナモンやレモンで香りをつけるカタルーニャの伝統菓子です。
クレームブリュレは、卵黄と生クリームを中心に低温で固め、食べる直前に表面の砂糖を焦がす、濃厚でやわらかなデザートです。
カスタードプリンは、牛乳と全卵を使い、蒸すか湯せん焼きにする作り方が多く、液体のカラメルソースとぷるんとした弾力を楽しめます。
見分けるときは、表面の砂糖がパリパリしているか、カラメルが液体かを確認しましょう。
シナモンやレモンの香りがあればクレマカタラーナ、生クリームの濃厚さが強ければクレームブリュレ、卵の弾力と流れるカラメルがあればプリンの特徴に近いと考えられます。
日本で販売される冷凍カタラーナは、伝統的なクレマカタラーナとは材料や食べ方が異なる場合があります。
生クリームを使った焼きプリンを凍らせた商品も多いため、本場のデザートをそのまま冷凍したものとは限りません。
名前だけで判断せず、原材料や保存方法を確認すると、自分が期待する味を選びやすくなります。
3種類の違いを知ったうえで食べると、表面のパリッという音、カスタードの口どけ、香りの広がりまで、これまで以上に楽しめるでしょう。
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