スーパーでサラダほうれん草を見かけて、「普通のほうれん草とは何が違うのだろう」と疑問に思ったことはありませんか?
どちらも見た目はよく似ていますが、生のまま食べやすいか、下ゆでが必要か、葉や茎の食感はどうかなど、使い方には違いがあります。
特に気になるのが、ほうれん草のえぐ味に関係するシュウ酸や、加熱による栄養の変化です。
ただし、サラダほうれん草という名前だけで、シュウ酸が必ず少ない、栄養が必ず多いと判断することはできません。
商品によって、品種、育て方、収穫時期が異なるためです。
この記事では、農林水産省、文部科学省、農研機構、食品安全委員会などの情報を基に、両者の違いをわかりやすく解説します。
生で食べられる理由、栄養、洗い方、保存方法、料理ごとの選び方まで紹介するので、売り場で迷ったときや、買った後の調理に役立ててください。
サラダほうれん草と普通のほうれん草の違い
結論|大きな違いは生食のしやすさ
サラダほうれん草と普通のほうれん草の大きな違いは、生のまま食べやすいかどうかです。
サラダほうれん草は、一般的に葉がやわらかく、えぐ味を感じにくい品種や栽培方法が選ばれ、サラダなどの生食に使いやすい状態で販売されています。
一方、普通のほうれん草は、おひたし、ごま和え、炒め物など、加熱調理を前提として販売されている商品が中心です。
ただし、「サラダほうれん草」という名前だけで、すべての商品に共通する品種やシュウ酸の量が決まるわけではありません。
農研機構の研究でも、ほうれん草のシュウ酸含量には品種による差があることが確認されています。
そのため、買うときは名前だけで判断せず、パッケージに「生食用」「サラダ用」などの表示があるかを確認することが大切です。
迷ったときは、次のように選ぶと失敗しにくくなります。
| 食べ方 | 選びやすい商品 |
|---|---|
| 生のサラダ | 生食用、サラダ用と表示されたもの |
| おひたし、ごま和え | 普通のほうれん草 |
| 炒め物、スープ | どちらでも使用可能 |
| えぐ味をできるだけ抑えたい | 低シュウ酸と表示されたもの |
| やわらかな食感を楽しみたい | サラダほうれん草、ベビーほうれん草 |
サラダにするならサラダほうれん草、加熱して濃い味や食べ応えを楽しむなら普通のほうれん草という使い分けが基本です。
サラダほうれん草も同じほうれん草の仲間
サラダほうれん草は、レタスや小松菜とは異なる野菜ではなく、基本的には普通のほうれん草と同じほうれん草の仲間です。
文部科学省の食品成分データベースでは、ほうれん草の学名を「Spinacia oleracea」とし、生とゆでの状態を分けて栄養成分を掲載しています。
一方、同データベースには「サラダほうれん草」という独立した食品区分は掲載されていません。
つまり、サラダほうれん草は、栄養学上の統一された分類名というより、生で食べやすい商品であることを伝える名称として使われていると考えるとわかりやすいでしょう。
実際に種苗会社では、生食に向くやわらかな品種や、シュウ酸を抑えた品種を、サラダ向けのほうれん草として販売しています。
ただし、若いうちに収穫したもの、低シュウ酸品種を使ったもの、水耕栽培されたものなど、商品によって特徴は異なります。
同じ「サラダほうれん草」という名前でも、葉の大きさ、茎の太さ、苦味、栄養成分がまったく同じとは限りません。
商品ごとの違いを知るには、品種名、栽培方法、生食用の表示、販売者の説明を確認するのが確実です。
シュウ酸やえぐ味の強さが異なる
ほうれん草を食べたときに、舌や歯がキシキシするような感覚を覚えることがあります。
そのえぐ味に関係する成分の一つがシュウ酸です。
農林水産省は、ほうれん草に含まれるシュウ酸がえぐ味の原因となり、水溶性であるため、ゆでたり水にさらしたりすると減らせると説明しています。
生食向けの商品では、えぐ味を感じにくい品種が使われることがあります。
種苗会社が販売する品種の中には、同社の比較においてシュウ酸成分を70%抑えたとする商品もあります。
ただし、この数値をすべてのサラダほうれん草に当てはめることはできません。
農研機構の研究では、シュウ酸含量は品種によって異なる一方、収穫前の温度とシュウ酸含量には明らかな相関が見られなかったと報告されています。
「寒い時期に育ったから必ずシュウ酸が少ない」「水耕栽培だから必ず生で食べられる」と単純に判断するのは避けたほうがよいでしょう。
商品名よりも、生食用の表示と販売者の案内を優先してください。
葉のやわらかさ・茎の細さ・味を比較
サラダほうれん草は、普通のほうれん草よりも葉が小さく、茎が細く、口当たりがやわらかな商品が多く見られます。
生で食べたときに口の中へ筋が残りにくく、ドレッシングともなじみやすいのが特徴です。
味は比較的あっさりしており、普通のほうれん草にある力強い青い香りやえぐ味が控えめな傾向があります。
普通のほうれん草は葉が大きく、商品によっては葉肉や茎に厚みがあります。
生のままではかたさやえぐ味が気になることがありますが、ゆでたり炒めたりすると、やわらかくなり、ほうれん草らしい香りや甘みを楽しめます。
ただし、見た目だけで生食できるかどうかを決めることはできません。
普通のほうれん草にも葉がやわらかい品種があり、サラダ向けの商品にも比較的大きく育ててから収穫するものがあるためです。
葉が小さいから生食用、茎が太いから加熱用と決めつけず、包装の表示を確認しましょう。
違いがひと目でわかる比較表
サラダほうれん草と普通のほうれん草の一般的な違いをまとめると、次のようになります。
| 比較する点 | サラダほうれん草 | 普通のほうれん草 |
|---|---|---|
| 主な用途 | 生のサラダ、付け合わせ | おひたし、和え物、炒め物 |
| 生食のしやすさ | 生食向けの商品が中心 | 加熱向けの商品が中心 |
| 葉 | 小さめでやわらかな商品が多い | 大きく厚みのある商品が多い |
| 茎 | 細めで食べやすい傾向 | 太さや食感が残りやすい |
| 味 | えぐ味や苦味が控えめな傾向 | ほうれん草らしい風味が強い |
| シュウ酸 | 少なく調整された品種もある | ゆでて減らすのが一般的 |
| 下ゆで | 生食時は基本的に不要 | 和え物などでは行うことが多い |
| 加熱調理 | 使用可能 | 得意 |
| 栄養成分 | 商品や栽培条件で異なる | 公的な平均値が掲載されている |
この表は一般的な傾向であり、すべての商品に同じ特徴が当てはまるわけではありません。
文部科学省も、野菜の成分値は品種、作型、収穫時期、産地、個体差、収穫後の日数によって変わると説明しています。
特にサラダほうれん草は、公的な食品成分表で独立した区分が設けられていません。
栄養価やシュウ酸の量を比べるときは、「サラダほうれん草なら必ず少ない」と考えず、商品ごとの情報を見る必要があります。
サラダほうれん草はなぜ生で食べられる?
生食向けの品種や栽培方法が使われている
サラダほうれん草が生で食べやすい理由は、生食に合う品種や収穫方法が選ばれているためです。
種苗会社では、やわらかく、アクが少なく、生のサラダに向く品種を取り扱っています。
また、大きく育て切る前に収穫することで、葉や茎をやわらかく仕上げる方法もあります。
同じほうれん草でも、若い段階で収穫した葉は小さく、サラダに混ぜやすい形になります。
水耕栽培や植物工場などでは、肥料濃度、光、温度、収穫時期を管理しやすいため、生食向けの品質を目指した生産が可能です。
ただし、栽培方法の名前だけで、生食の安全性やシュウ酸の量が決まるわけではありません。
農研機構の研究では、シュウ酸の量は品種によって異なることが示されています。
土耕か水耕かだけを見るのではなく、生食用として生産、販売されている商品かどうかを確認しましょう。
普通のほうれん草よりシュウ酸が少ない傾向
サラダほうれん草には、普通のほうれん草よりシュウ酸やアクが少なくなるよう選ばれた品種があります。
そのため、生のまま口に入れても、舌に残るえぐ味や歯がキシキシする感覚が出にくい商品があります。
ただし、「サラダほうれん草」という表示は、一定のシュウ酸量を保証する全国共通の数値基準として使われているわけではありません。
サラダ向け品種の中にはシュウ酸を大きく抑えた商品がある一方、やわらかさや収穫サイズを理由にサラダ用とされている商品もあります。
シュウ酸を気にして選ぶ場合は、「低シュウ酸」「シュウ酸を抑えた品種」など、具体的な説明がある商品を選ぶと判断しやすくなります。
表示がない商品について、シュウ酸がどの程度少ないかを見た目や味だけで正確に判断することはできません。
生で食べたときに強いえぐ味を感じる場合は、無理に食べ続けず、加熱料理へ切り替えるとよいでしょう。
普通のほうれん草を生で食べるのは避けるべき?
普通のほうれん草を少量生で食べたからといって、直ちに危険な食品になるわけではありません。
しかし、普通のほうれん草は加熱調理を想定した商品が多く、シュウ酸によるえぐ味が気になることがあります。
農林水産省は、シュウ酸を減らす方法として、沸騰した湯へ根元から入れて約1分ゆで、流水にさらす方法を案内しています。
シュウ酸をしっかり減らしたい場合は、電子レンジだけで加熱するよりも、たっぷりの湯でゆでて湯を捨てる方法が向いています。
水溶性のシュウ酸を湯の中へ溶け出させられるためです。
農研機構の試験では、100度で120秒ゆでる条件において、調理前のシュウ酸の67%が除去されました。
ただし、家庭での結果は、ほうれん草の量、湯量、温度、ゆで時間によって変わります。
生食用の表示がない商品をサラダに使いたい場合は、さっとゆでて冷水に取り、水気をよく絞ってから使うのが安心です。
「サラダ用」「生食用」の表示を確認しよう
生で食べられるか迷ったときに、最もわかりやすい判断材料になるのがパッケージ表示です。
「サラダ用」「生食用」「そのまま食べられます」などと書かれていれば、販売者が生での利用を想定していることがわかります。
反対に、袋に「加熱してお召し上がりください」と書かれている場合は、その指示に従ってください。
「水耕栽培」「ベビー」「若採り」と書かれているだけでは、生食可能とは限りません。
洗浄済みの商品と、家庭で洗う必要がある商品もあります。
「洗わずに食べられる」という表示がない限りは、食べる前に流水で丁寧に洗うのが基本です。
消費期限、保存温度、開封後の扱いも商品によって異なるため、名前だけでなく包装全体を確認しましょう。
特に袋入りの葉物野菜は、開封後に水分や汚れが入ると品質が変わりやすいため、必要な分だけ取り出して早めに使うことが大切です。
生で食べる前の正しい洗い方と下処理
サラダほうれん草は生食用であっても、包装に洗浄不要と書かれていなければ、食べる前に流水で洗います。
食品安全委員会は、生で食べる野菜や果物を清潔な水で洗うことを案内しています。
まず、傷んだ葉や変色した部分を取り除きます。
次に、ボウルへ水を張り、葉を大きく動かしながら、表面の土や汚れを落とします。
根元が付いている場合は、茎の間に土が入り込んでいることがあるため、葉を広げながら洗ってください。
最後に流水ですすぎ、ざるへ上げて水気を切ります。
サラダにする場合は、清潔なキッチンペーパーやサラダスピナーで水分をよく除くと、ドレッシングが薄まりにくくなります。
生の肉や魚を切った包丁やまな板を、そのままサラダ用の野菜に使ってはいけません。
食品安全委員会は、二次汚染を防ぐため、肉や魚を扱った後の手、包丁、まな板を洗うよう注意を呼びかけています。
野菜を先に切り、肉や魚を後から調理すると、家庭でも二次汚染を防ぎやすくなります。
サラダほうれん草とほうれん草の栄養を比較
含まれる基本的な栄養素は大きく変わらない
サラダほうれん草も普通のほうれん草も、同じほうれん草の仲間であるため、含まれる栄養素の種類は基本的に共通しています。
ほうれん草には、β-カロテン、葉酸、ビタミンC、ビタミンK、カリウム、鉄、食物繊維などが含まれます。
文部科学省の食品成分データベースによると、通年平均の生のほうれん草100グラムには、β-カロテン4,200マイクログラム、葉酸210マイクログラム、ビタミンC35ミリグラム、鉄2.0ミリグラム、カリウム690ミリグラムが含まれています。
ただし、この数値は「サラダほうれん草だけ」を調べたものではありません。
サラダほうれん草の商品すべてに、同じ量の栄養素が入っていることを示す数値ではない点に注意が必要です。
栄養の種類は似ていても、実際の含有量は品種、季節、栽培方法、鮮度などによって変わります。
サラダほうれん草の栄養価は商品や品種で異なる
「サラダほうれん草は普通のほうれん草より栄養が多い」と一律に結論づけることはできません。
文部科学省の食品成分データベースには、普通のほうれん草については生、ゆで、夏採り、冬採りなどの情報がありますが、サラダほうれん草という独立した項目はありません。
さらに、文部科学省は、野菜の成分値が品種、作型、収穫時期、産地、個体、収穫後の日数で変わると説明しています。
そのため、サラダほうれん草と普通のほうれん草の栄養を正確に比べるには、同じ時期、同じ産地、同じ条件で育てた商品を実際に分析する必要があります。
商品に栄養成分表示がある場合は、その数値を確認してください。
表示がない場合は、一般的なほうれん草の成分値を参考として利用し、細かな差を気にしすぎないほうが現実的です。
どちらが上かを決めるよりも、食べ方に合った商品を選び、無理なく野菜を取り入れることが大切です。
生食するとビタミンCや葉酸を保ちやすい
サラダほうれん草の利点は、加熱せずに食べられるため、水や熱の影響を受けやすい栄養素を取り入れやすいことです。
文部科学省の成分表では、ほうれん草100グラム当たりのビタミンCは、生で35ミリグラム、ゆでた状態で19ミリグラムとされています。
葉酸は、生で210マイクログラム、ゆでた状態で110マイクログラムです。
カリウムも、生では690ミリグラム、ゆでた状態では490ミリグラムとなっています。
成分表の「ゆで」は、沸騰水で加熱し、水冷してから手で絞った状態を分析したものです。
家庭での加熱時間や湯量が異なれば、残る栄養素の量も変わります。
また、生のサラダは一度に食べられる量が少なくなりやすいため、100グラム当たりの数値だけで優劣を決めることはできません。
加熱するとかさが減り、多くの量を食べやすくなる利点もあります。
ゆでると減りやすい栄養素・残りやすい栄養素
ほうれん草をゆでると、ビタミンC、葉酸、カリウムなどの成分は、加熱や水への流出によって減ることがあります。
一方で、すべての栄養素がなくなるわけではありません。
文部科学省の成分表では、ゆでたほうれん草100グラムにも、β-カロテン5,400マイクログラム、ビタミンK320マイクログラム、葉酸110マイクログラム、ビタミンC19ミリグラムが含まれています。
生とゆででは重量や水分量が変わるため、100グラム当たりの数値が高くなった成分について、加熱によって栄養が増えたと単純に考えることはできません。
ゆでる目的は、栄養を完全に残すことではなく、シュウ酸やえぐ味を減らし、食べやすくすることにあります。
農研機構の試験では、100度で120秒ゆでた場合、ルテインを77%保持しながら、シュウ酸を67%除去できました。
長くゆですぎるほど、食感がやわらかくなり、水に溶けやすい成分も失われやすくなります。
えぐ味を減らしながら栄養も残したい場合は、たっぷりの沸騰した湯で短時間ゆで、すぐに水へ取る方法が取り入れやすいでしょう。
鉄分やβ-カロテンを効率よく取る食べ合わせ
ほうれん草の栄養を取り入れるときは、一緒に食べる食品も意識するとよいでしょう。
植物性食品に含まれる鉄は、肉や魚に多いヘム鉄とは吸収のされ方が異なります。
米国国立衛生研究所は、植物性食品に含まれる非ヘム鉄は、ビタミンCを含む食品や肉、魚介類と一緒に食べることで吸収されやすくなると説明しています。
サラダほうれん草には、パプリカ、ブロッコリー、トマト、果物などを組み合わせると、彩りと食べやすさも加わります。
ツナ、鶏肉、卵などを加えれば、たんぱく質を一緒に取れる食べ応えのある一皿になります。
β-カロテンは、体内でビタミンAとして利用される成分です。
ビタミンAは脂溶性ビタミンであり、カロテノイドの吸収は、食品の種類、調理法、一緒に食べる食品などによって変わります。
サラダにはオリーブオイルやごま油を使ったドレッシングを少量合わせると、風味もまとまりやすくなります。
一つの栄養素だけを増やそうとするより、主食、主菜、副菜を組み合わせた食事の中で取り入れることが大切です。
どちらを買うべき?目的に合った選び方
サラダで食べるならサラダほうれん草
加熱せず、洗ってすぐにサラダへ使いたい場合は、サラダほうれん草が便利です。
葉や茎がやわらかな商品が多いため、切らずに盛り付けたり、食べやすい大きさへ手でちぎったりできます。
えぐ味が控えめな商品なら、味の強いドレッシングをかけなくても、野菜そのものの風味を楽しめます。
選ぶ際は、「生食用」「サラダ用」の表示を確認してください。
ベビーリーフのように複数の葉物野菜が混ざった商品もあるため、ほうれん草だけを使いたい場合は原材料表示も見ておきましょう。
サラダほうれん草は葉がやわらかい分、強くもんだり、長時間水に浸けたりすると傷みやすくなります。
やさしく洗い、食べる直前にドレッシングと和えると、見た目と食感を保ちやすくなります。
おひたしやごま和えなら普通のほうれん草
おひたし、ごま和え、白和えなどを作るなら、普通のほうれん草が使いやすいでしょう。
葉や茎に適度な厚みがあるため、ゆでて水気を絞った後も、ほうれん草らしい食感や風味が残ります。
農林水産省は、沸騰した湯へ根元から入れて約1分ゆで、流水へさらす方法を紹介しています。
茎が太い場合は、葉より先に根元を湯へ入れ、少し時間を置いてから全体を沈めると、火の通りをそろえやすくなります。
ゆでた後は、水に長時間放置せず、粗熱が取れたら引き上げます。
水気を絞るときは力を入れすぎず、束をそろえて軽く押さえる程度にすると、食感を残しやすくなります。
しょうゆを直接多くかけるより、だしとしょうゆを合わせると、塩辛くなりにくく、ほうれん草の味を感じやすくなります。
炒め物・スープ・パスタにはどちらが向いている?
炒め物、スープ、パスタには、サラダほうれん草と普通のほうれん草のどちらも使えます。
短時間で仕上げたい炒め物や、最後に加えて軽く火を通すスープには、やわらかなサラダほうれん草が便利です。
火の通りが早いため、料理の仕上げに加え、しんなりしたところで加熱を止めます。
普通のほうれん草は葉や茎に厚みがあり、ベーコン炒め、クリーム煮、グラタン、パスタなど、しっかりした味の料理に合わせやすい食材です。
えぐ味が気になる商品は、先に短時間ゆでてから炒め物やソースへ加えると食べやすくなります。
スープへ直接入れると、ほうれん草から溶け出した成分も汁ごと食べられますが、シュウ酸を減らしたい場合は別の湯で下ゆでしてから加えてください。
料理のボリュームを出したいなら普通のほうれん草、短時間でやわらかく仕上げたいならサラダほうれん草という選び方ができます。
新鮮なサラダほうれん草を見分けるポイント
新鮮な商品を選ぶときは、葉の色、張り、水分、切り口を確認します。
JAグループは、普通のほうれん草について、葉の色が濃く、葉先までピンとしていて、みずみずしいものを選ぶよう案内しています。
サラダほうれん草の場合も、葉先まで張りがあり、表面が乾燥していないものが選びやすいでしょう。
袋の底に水がたまっている商品や、葉が溶けたように透明になっている商品は避けます。
黄色く変色した葉が多いものや、茎の切り口が茶色く乾いているものも、収穫から時間がたっている可能性があります。
ただし、品種によって葉の色は異なるため、濃い緑色でなければ新鮮ではないとは限りません。
赤い葉柄や淡い緑色を特徴とする品種もあります。
色の濃さだけではなく、葉の張り、傷み、異臭の有無をまとめて確認しましょう。
余ったときの冷蔵保存と早めに食べたいサイン
ほうれん草は乾燥に弱いため、冷蔵庫へそのまま入れると葉がしおれやすくなります。
JAグループは、湿らせた新聞紙で包み、ビニール袋へ入れ、野菜室で立てて保存する方法を紹介しています。
家庭では、湿らせて固く絞ったキッチンペーパーで包み、保存袋へ入れる方法でも対応できます。
袋の口は完全に密閉せず、商品パッケージに保存方法が書かれている場合は、その指示を優先してください。
洗ってから保存するときは、葉に水が残っていると傷みやすくなるため、水気を十分に取ります。
サラダほうれん草は葉がやわらかく、普通のほうれん草より傷みが目立ちやすいため、購入後は早めに使い切るのがおすすめです。
葉が黄色や茶色に変色している、ぬめりがある、溶けたようになっている、酸っぱいにおいがするといった場合は、食べるのを避けてください。
普通のほうれん草をすぐに使い切れないときは、短時間ゆでて水気を絞り、小分けして冷凍できます。
サラダほうれん草も冷凍できますが、解凍後は生の食感に戻らないため、スープ、炒め物、ソースなどの加熱料理に使いましょう。
サラダほうれん草のおいしい食べ方とよくある疑問
ベーコンや卵と合わせる簡単サラダ
サラダほうれん草は、ベーコンや卵と合わせると、野菜だけのサラダよりも満足感が出ます。
サラダほうれん草を流水で洗い、水気をしっかり取って皿へ盛ります。
フライパンでベーコンを焼き、出てきた脂ごと少量を葉へかけると、サラダほうれん草がわずかにしんなりし、香りもなじみます。
ゆで卵や温泉卵をのせ、黒こしょうを振れば、簡単な一皿になります。
味付けは、オリーブオイル、酢、しょうゆ、少量の砂糖を混ぜたドレッシングが合わせやすいでしょう。
ベーコンには塩分が含まれるため、ドレッシングの塩やしょうゆは少なめから加えます。
卵の代わりにツナや蒸し鶏を使ってもよく、トマトやパプリカを加えると彩りも整います。
葉がしんなりしすぎるのを防ぐため、温かいベーコンやドレッシングは、食べる直前に合わせてください。
苦味を感じにくいドレッシングの選び方
サラダほうれん草に少し青い香りや苦味を感じるときは、酸味、甘み、油分を組み合わせたドレッシングが向いています。
オリーブオイルと酢に、はちみつや砂糖を少量加えると、酸味の角が取れ、葉の青い香りもやわらぎます。
ごまドレッシングは、香ばしさとまろやかさがあり、ほうれん草の風味と合わせやすい味です。
しょうゆ、酢、ごま油を合わせた中華風の味付けも、卵、ツナ、豆腐などによく合います。
苦味を隠そうとしてドレッシングを大量にかけると、塩分や脂質が増えやすくなります。
まずは少量を葉全体へ薄くなじませ、足りなければ後から加えましょう。
生で食べたときに強いえぐ味やキシキシした感覚が残る場合は、ドレッシングで無理に隠さず、加熱料理に切り替えるほうが食べやすくなります。
サラダほうれん草は加熱しても食べられる?
サラダほうれん草は、生でしか食べられない野菜ではありません。
炒め物、スープ、みそ汁、パスタ、オムレツなどにも使えます。
普通のほうれん草より葉や茎がやわらかな商品が多いため、長時間加熱すると形が崩れやすくなります。
炒め物なら火を止める直前、スープなら仕上げの段階で加えると、色と食感を残しやすくなります。
しおれてしまい、生のサラダには使いにくくなった葉も、腐敗や異臭がなければ加熱料理に回せます。
ただし、加熱すれば傷んだ野菜が安全な状態へ戻るわけではありません。
ぬめり、異臭、広い範囲の変色、溶けたような傷みがある場合は使用を避けましょう。
サラダ用として買ったものを使い切れないときは、スープや卵料理へ入れると無駄なく使えます。
普通のほうれん草で代用するときの注意点
普通のほうれん草をサラダほうれん草の代わりに使う場合は、そのまま生で置き換えるのではなく、短時間ゆでる方法が確実です。
沸騰した湯へ根元から入れ、全体がしんなりしたら冷水へ取り、水気を絞ります。
農林水産省は、シュウ酸とえぐ味を減らす方法として、ゆでて流水にさらす調理を案内しています。
サラダに使うときは、通常のおひたしよりやや短めに加熱すると、歯ごたえを残しやすくなります。
食べやすい長さに切り、トマト、卵、ツナ、豆腐などと合わせれば、温野菜サラダとして楽しめます。
普通のほうれん草は、ゆでた後に水分が残りやすいため、ドレッシングと合わせる前にしっかり水気を切ることが重要です。
水分が多いままだと、味が薄まり、皿の底へ水がたまります。
生の葉のパリッとした食感は再現できませんが、ほうれん草の味が濃い、食べ応えのあるサラダになります。
ベビーほうれん草との違いは?
ベビーほうれん草は、ほうれん草を若い段階で収穫したものです。
種苗会社の栽培案内では、通常の収穫では草丈20センチ程度まで育てる一方、ベビーリーフとして利用する場合は草丈10センチ程度で収穫する方法が紹介されています。
若いうちに収穫するため、葉が小さく、茎も細く、サラダに混ぜやすいのが特徴です。
一方、サラダほうれん草は、収穫時期だけでなく、生食に向く品種、アクの少なさ、やわらかさなどを基準に販売されることがあります。
つまり、ベビーほうれん草は主に収穫時の若さを表し、サラダほうれん草は主に用途や食べやすさを表す言葉と考えると整理しやすいでしょう。
商品によっては、若採りした生食向け品種を「ベビーサラダほうれん草」と呼ぶこともあります。
両者の境界は商品によって重なるため、名前だけで完全に分けることはできません。
購入時は、生食用の表示、洗浄の必要性、保存方法を確認してください。
サラダほうれん草と普通のほうれん草の違いまとめ
サラダほうれん草と普通のほうれん草は、基本的には同じほうれん草の仲間です。
大きな違いは、サラダほうれん草が生で食べやすい商品として販売され、普通のほうれん草は加熱料理に使われることが多い点にあります。
サラダほうれん草には、葉や茎がやわらかく、えぐ味が控えめな品種や、シュウ酸を抑えた品種が使われることがあります。
ただし、「サラダほうれん草」という名前だけで、シュウ酸の量や栄養価が一律に決まるわけではありません。
生で食べるときは、パッケージに「生食用」「サラダ用」と書かれているかを確認し、洗浄不要の表示がなければ流水で丁寧に洗いましょう。
普通のほうれん草は、ゆでて水へさらすことで、シュウ酸やえぐ味を減らせます。
農研機構の試験では、100度で120秒ゆでる条件で、ルテインを77%保持しながらシュウ酸を67%除去できました。
栄養面では、どちらにもβ-カロテン、葉酸、ビタミンC、ビタミンK、鉄、カリウムなどが含まれます。
生食には水や熱の影響を受けやすい成分を取り入れやすい利点があり、加熱にはかさを減らして多く食べやすくする利点があります。
どちらが優れているかではなく、サラダなら生食用、おひたしなら普通のほうれん草というように、料理に合わせて選ぶのが最もわかりやすい方法です。
- ほうれん草のえぐ味を減らすには、どのように調理すればいいですか。 (農林水産省)
- 寒締めでホウレンソウの硝酸含量が低下 (農研機構)
- ルテイン含量の保持とシュウ酸除去のバランスを考慮したホウレンソウのゆで調理法 (農研機構)
- 野菜類/ほうれんそう/葉/通年平均/生 (文部科学省「食品成分データベース」)
- 野菜類/ほうれんそう/葉/通年平均/ゆで (文部科学省「食品成分データベース」)
- ホウレンソウ(秋まき)|品種の使い分け (株式会社トーホク)
- ホウレンソウ|野菜のビギナーズマニュアル (株式会社トーホク)
- ホウレンソウ|とれたて大百科 (JAグループ)
- バーベキューやピクニックでの食中毒にご注意ください。その2 (食品安全委員会)
- 生活の中の食品安全・調理とリスクマネジメント・その2 (食品安全委員会)
- Iron – Health Professional Fact Sheet (米国国立衛生研究所)
- 「日本人の食事摂取基準」(2010年版)ビタミンA (厚生労働省)
