リゾットとドリアは、どちらも米とソースを使った洋風料理なので、違いがわかりにくいと感じる人も多いでしょう。
見た目は似ていますが、実は使う米の状態、加熱方法、食感、発祥した国が異なります。
基本的なリゾットは生米をスープで煮て作るイタリアの米料理で、ドリアは炊いたご飯にソースやチーズを重ねて焼く日本生まれの洋食です。
この記事では、リゾットとドリアの違いを比較表で整理し、それぞれの作り方や発祥、グラタンや雑炊との違いまでわかりやすく解説します。
ミラノ風ドリアの意外な由来や、炊いたご飯でリゾットを作れるのかといった疑問にも答えているので、料理選びや家庭での調理に役立ててください。
リゾットとドリアの違いを最初に結論から解説
リゾットは生米を煮る料理、ドリアは炊いたご飯を焼く料理
リゾットとドリアの最も大きな違いは、お米をどの状態から調理し、どのように仕上げるかです。
伝統的なリゾットは、生米を油脂や香味野菜とともに炒め、温かいスープを加えながら鍋やフライパンで煮て作ります。
これに対してドリアは、炊いてあるご飯にソースや具材を重ね、チーズなどをのせてオーブンで焼く料理です。
簡単に覚えるなら、リゾットは「お米をスープで煮ながら仕上げる料理」、ドリアは「ご飯にソースをかけて焼き上げる料理」と考えるとよいでしょう。
イタリア料理アカデミーが公開しているミラノ風リゾットの調理法では、米を鍋に加えて油脂となじませたあと、熱いスープを少しずつ加えながら混ぜ、米がアルデンテになるように仕上げています。
一方、農林水産省の米粉ドリアのレシピでは、耐熱皿に炊いたご飯を盛り、炒めた具材、ホワイトソース、チーズを重ねてオーブンで焼いています。
どちらも米と水分を含んだソースが一体になっているため、完成した姿だけを見ると似ていることがあります。
しかし、リゾットでは米を煮る工程そのものが料理の中心になり、ドリアでは調理済みのご飯とソースを組み合わせて焼く工程が中心になります。
そのため、同じ米料理でも調理の考え方は大きく異なります。
なお、日本では炊いたご飯をスープで煮て「簡単リゾット」と呼ぶレシピもあります。
農林水産省も炊いたご飯を使うリゾットのレシピを公開しているため、現在の料理名にはある程度の幅があります。
ただし、本場の調理法や両者の違いを理解するときは、「リゾットは生米から煮る」「ドリアは炊いたご飯を焼く」という区別が最もわかりやすい基準です。
材料・調理法・食感・発祥を比較表で確認
リゾットとドリアの違いを整理すると、次のようになります。
| 比較する点 | リゾット | ドリア |
|---|---|---|
| 主に使う米 | 生米 | 炊いたご飯やバターライス |
| 主な加熱方法 | 鍋やフライパンで煮る | オーブンなどで焼く |
| 水分の加え方 | スープを吸わせながら加熱する | ご飯の上にソースを重ねる |
| 料理の構造 | 米と煮汁が一体になる | ご飯、具材、ソースを重ねる |
| 表面の特徴 | 全体がなめらか | チーズなどに焼き色がつく |
| 米の食感 | 芯を適度に残す場合が多い | 炊いたご飯のやわらかさ |
| 代表的な発祥 | イタリアの米料理 | 日本で誕生した洋食 |
| 主な調理器具 | 鍋、フライパン | 耐熱皿、オーブン |
リゾットには、玉ねぎ、バターやオリーブ油、スープ、白ワイン、チーズなどが使われます。
ただし、使う具材や調味料は地域やレシピによって変わり、魚介、きのこ、野菜、肉、サフランなど、さまざまな組み合わせがあります。
イタリア料理アカデミーの公開レシピにも、きのこ、魚介、チーズ、野菜などを使った多様なリゾットが登録されています。
ドリアには、ご飯、ホワイトソース、チーズを使う形がよく知られています。
具材には、えび、鶏肉、ひき肉、きのこ、玉ねぎなどが使われ、ミートソースやカレーを組み合わせることもあります。
ホテルニューグランドで生まれた最初のドリアは、バターライスに海老のクリーム煮をのせ、グラタンソースとチーズを重ねてオーブンで焼いた料理でした。
この原型を見ると、ドリアは単にご飯を焼いた料理ではなく、「調理したご飯に具材とソースを重ね、表面を焼き上げる料理」と理解できます。
食感にもはっきりした違いがあります。
リゾットは米と煮汁がなめらかにつながりながらも、米粒の存在を感じられる状態が理想です。
ドリアは内側のご飯とソースがやわらかく、表面にはチーズやソースの焼けた香ばしさがあります。
スプーンですくったときの見た目は似ていても、リゾットでは米そのものの煮上がりが主役になり、ドリアでは内側と表面の食感の変化を楽しめます。
見た目が似ていても別の料理といえる理由
リゾットとドリアが似て見えるのは、どちらもご飯の周りに水分や乳製品を含んだソースがあるからです。
チーズリゾットとホワイトソースのドリアを比べると、色も質感も近くなるため、写真だけでは見分けにくいことがあります。
見分けるときは、表面と器に注目してみましょう。
耐熱皿に入り、表面のチーズやソースに焼き色がついていれば、ドリアである可能性が高くなります。
鍋や深めの皿に盛られ、米と煮汁が全体で均一になじんでいれば、リゾットらしい仕上がりです。
ただし、見た目だけで完全に判断できるとは限りません。
焼きリゾットのようにリゾットをさらに焼く料理もあり、トマトソースを使ったドリアのように白くないドリアもあるからです。
最も確実なのは、調理工程を確認することです。
生米にスープを吸わせながら火を通していれば、基本的にはリゾットです。
炊いたご飯の上に具材やソースをのせ、耐熱皿で焼いていれば、基本的にはドリアです。
両者は、米を洋風の味つけで楽しむという点では近い存在です。
しかし、リゾットは米をどのように煮るかが味と食感を決め、ドリアはご飯、ソース、具材、焼き目をどのように組み合わせるかが完成度を左右します。
似た材料を使っていても、料理の中心となる技法が異なるため、別の料理として扱われています。
リゾットとは?特徴と基本的な作り方
イタリア生まれの米料理「リゾット」
リゾットは、イタリアで発達した米料理です。
イタリア全土で同じ一種類のリゾットが作られているわけではなく、土地の食材や食文化に合わせてさまざまな料理が存在します。
イタリア料理アカデミーの登録レシピには、ロンバルディア州のミラノ風リゾットだけでなく、ピエモンテ州のきのこやワインを使ったもの、ヴェネト州の魚介を使ったものなどが掲載されています。
なかでも有名なのが、サフランによる黄色い色合いが特徴のミラノ風リゾットです。
イタリア政府観光局も、ミラノ風リゾットを北イタリアを代表する料理の一つとして紹介しています。
日本では、リゾットというとチーズや生クリームを使った濃厚な料理を思い浮かべる人も多いかもしれません。
しかし、リゾットをリゾットらしくしているのは、必ずしも乳製品の多さではありません。
重要なのは、米をスープとともに煮ながら、米粒の食感と全体のなめらかさを両立させることです。
トマトや魚介を使ったもの、野菜を中心にしたもの、チーズを使わないものでも、米を煮ながら一体感を作る調理法であればリゾットとして成立します。
また、リゾットには専用の米が使われることがあります。
農林水産省は、リゾットに適した代表的なイタリア米として大粒のカルナローリを紹介しています。
日本の一般的な米でも作れますが、品種によって粒の大きさや粘り、煮崩れしにくさが異なるため、同じ調理法でも食感は変わります。
家庭で作る場合は本場と同じ米を必ず用意する必要はありませんが、米粒を残した食感を目指すなら、加熱時間とスープの量を細かく調整することが大切です。
生米を炒めてスープを加えながら煮る
伝統的な作り方では、最初に玉ねぎなどの香味野菜をバターや油で加熱し、そこへ生米を加えます。
米を油脂や香味野菜となじませたあと、白ワインや温かいスープを加えながら煮ていきます。
イタリア料理アカデミーのミラノ風リゾットでは、米を油脂になじませたあと、熱いスープをひしゃくで加え、木べらで定期的に混ぜながら加熱しています。
このとき、冷たいスープを大量に入れるのではなく、温かいスープを様子を見ながら加えるのが伝統的な手順です。
少しずつ加えることで、米のかたさと鍋の水分量を確認しやすくなります。
米の品種、火力、鍋の広さによって必要なスープの量は変わるため、レシピに書かれた全量を必ず使い切るとは限りません。
逆に、火力が強すぎたり鍋が広すぎたりすると、水分が早く蒸発してスープが足りなくなることもあります。
そのため、最後は分量だけで判断せず、実際に米を食べてかたさを確かめる必要があります。
また、リゾット用の米は、日本の炊飯と同じ感覚で長時間水に浸す必要はありません。
炊飯器でご飯を炊く場合は米全体へ均等に水分を含ませますが、リゾットでは鍋の中で米にスープを吸わせながら食感を整えます。
完成直前には、バターやチーズを加えて全体をなじませることがあります。
この仕上げにより、米、煮汁、油脂がまとまり、口当たりがよりなめらかになります。
ただし、バターやチーズを大量に加えれば成功するわけではありません。
煮汁が多すぎれば水っぽくなり、少なすぎれば米が固まって重たい食感になるため、米がゆっくり皿に広がる程度の水分を残すことが大切です。
とろみとアルデンテの食感はどう生まれる?
おいしいリゾットには、全体のなめらかさと米粒のほどよい弾力があります。
この二つを同時に作ることが、リゾットの難しさであり、面白さでもあります。
米をスープの中で加熱すると、米の表面から出たでんぷんを含む水分が全体をつなぎます。
その結果、生クリームや小麦粉を使わなくても、煮汁に自然なとろみが生まれます。
ただし、長く煮すぎれば米の中心までやわらかくなり、粒の形や歯ごたえが失われます。
反対に、加熱が足りなければ、中心が硬く粉っぽい状態になります。
目指したいのは、単に芯が残っている状態ではなく、火は通っていながら噛んだときに軽い抵抗を感じる状態です。
イタリア料理アカデミーのミラノ風リゾットでも、米の種類に合わせて加熱し、アルデンテの状態を保つよう示されています。
アルデンテという言葉はパスタの説明でよく使われますが、リゾットでも米粒の仕上がりを表す重要な基準になります。
家庭で確認するときは、鍋を見ただけで判断せず、完成の少し前から米を一粒ずつ食べてみましょう。
中心に白く硬い部分が目立ち、噛むと粉のような感触があれば、もう少し加熱が必要です。
中心まで完全にやわらかくなり、粒が簡単につぶれる場合は、加熱しすぎている可能性があります。
また、完成後も余熱で米が水分を吸うため、食べる直前の状態を考えて火を止める必要があります。
盛りつけたまま長く置くと、最初はなめらかだったリゾットが固くなりやすいので、完成したら早めに食べるのがおすすめです。
ドリアとは?特徴と意外な発祥
ドリアは日本で誕生した洋食
ドリアはイタリアの伝統料理と思われがちですが、日本で誕生した洋食です。
発祥の場所は、神奈川県横浜市にあるホテルニューグランドです。
ホテルの公式記録によると、初代総料理長のサリー・ワイルが、体調を崩していた宿泊客から喉の通りがよい料理を求められ、即興で作った一皿が始まりでした。
サリー・ワイルは、ホテルニューグランドが開業した1927年にパリから招かれたスイス人料理人です。
最初のドリアは、バターライスに海老のクリーム煮をのせ、グラタンソースとチーズをかけてオーブンで焼いた料理でした。
この料理は「Shrimp Doria」として通常のメニューに加えられ、ホテルの名物料理になりました。
つまり、ドリアには西洋料理の技法や材料が使われていますが、誕生した場所は日本です。
この点が、イタリアの米料理であるリゾットとの大きな違いです。
ドリアは海外から完成した形で輸入された料理ではなく、日本のホテルで働いていた西洋料理の料理人によって生み出されました。
ご飯を使うこと、クリーム系のソースを重ねること、オーブンで焼くことが一皿の中で組み合わされています。
日本では、海外の料理をそのまま再現するだけでなく、ご飯や身近な材料と結びつけた洋食が数多く発達してきました。
ドリアもその一つとして定着し、現在では家庭料理、レストラン、冷凍食品など、さまざまな形で食べられています。
発祥を知らずに食べるとイタリア料理に見えますが、その成り立ちを知ると、日本の洋食文化を象徴する料理であることがわかります。
炊いたご飯にソースとチーズを重ねて焼く
ドリアの基本は、炊いたご飯、具材、ソース、焼き上げるための耐熱皿です。
一般的には白いご飯やバターライスを皿に入れ、その上に肉や魚介、野菜などの具材をのせます。
さらにホワイトソースやミートソースをかけ、チーズをのせてオーブンで焼きます。
農林水産省が公開している米粉ドリアも、ご飯の上に炒めたベーコンとしめじ、ホワイトソース、チーズを重ねて焼く構成です。
ドリアでは、オーブンに入れる前の段階で、ご飯や具材にすでに火が通っていることが多くなります。
オーブンの役割は、米を生の状態から炊き上げることではなく、全体を温め、ソースとご飯をなじませ、表面に焼き色をつけることです。
そのため、冷たいご飯や冷えたソースを使うと、表面だけが焦げて中が十分に温まらないことがあります。
家庭で作るときは、ご飯とソースを温かい状態にしてから焼くと、短時間でも全体を均一に仕上げやすくなります。
ご飯の味つけにも決まりはありません。
白いご飯をそのまま使えばソースの味が引き立ち、バターライスを使えば香りとコクが増します。
ケチャップライス、ターメリックライス、ピラフなどを使えば、さらに味の変化をつけられます。
ソースもホワイトソースだけに限られません。
ミートソース、カレー、トマトソースなどを使っても、ご飯にソースを重ねて焼く構成であれば、ドリアとして親しまれています。
リゾットが鍋の中で米と煮汁を一体にしていく料理なのに対し、ドリアは別々に用意した要素を耐熱皿の中で重ね、最後の加熱で一皿にまとめる料理です。
「ミラノ風ドリア」は本当にミラノ料理なの?
「ミラノ風ドリア」という名前から、イタリアのミラノに同じ料理があると思う人もいるでしょう。
しかし、サイゼリヤのミラノ風ドリアは、同社の従業員向けのまかないから生まれ、1983年に商品化された料理です。
公式情報では、ご飯にホワイトソースとミートソースをかけてオーブンで焼いた料理として説明されています。
現在の商品はターメリックライスに二種類のソースとチーズを合わせ、オーブンで焼く構成です。
したがって、少なくともサイゼリヤのミラノ風ドリアは、ミラノで受け継がれてきた伝統料理をそのまま日本へ持ち込んだものではありません。
日本で誕生したドリアを土台に、サイゼリヤが開発した独自の商品です。
ミラノには、サフランを使った黄色いミラノ風リゾットがあります。
イタリア政府観光局も、ミラノを代表する料理としてミラノ風リゾットを紹介しています。
そのため、「ミラノ風」という言葉を見ただけで、ドリアとリゾットを同じ料理だと考えないことが大切です。
ミラノ風リゾットはイタリアの米料理であり、米をスープで煮ながら仕上げます。
サイゼリヤのミラノ風ドリアは日本で開発された商品であり、ご飯に複数のソースとチーズを重ねて焼きます。
名前に共通する言葉があっても、発祥、作り方、料理の構造は異なります。
ミラノ風ドリアという名称は広く知られていますが、そこから「ドリアはミラノ発祥」「ドリアはイタリア料理」と結論づけるのは正確ではありません。
リゾット・ドリア・グラタンの違い
ドリアとグラタンの違いは主役となる食材
ドリアとグラタンは、耐熱皿に具材とソースを入れ、表面を焼く点がよく似ています。
実際にホテルニューグランドは、ドリアを「お米を使ったグラタンのような料理」と説明しています。
両者を区別するときに最もわかりやすいのが、料理の中心にご飯があるかどうかです。
ドリアは、ご飯を土台や主役として使います。
一方、日本でグラタンと呼ばれる料理では、マカロニ、じゃがいも、魚介、鶏肉、野菜などが中心になることが多く、ご飯を必ず使うわけではありません。
マカロニグラタンならマカロニが中心になり、ポテトグラタンならじゃがいもが中心になります。
ご飯を中心にしたグラタン風の料理が、ドリアと考えると理解しやすいでしょう。
ただし、ソースとチーズを使って焼けば、すべてがドリアになるわけではありません。
パンにソースとチーズをのせて焼いた料理や、じゃがいもだけをクリームソースで焼いた料理は、通常はドリアではありません。
反対に、ご飯にミートソースやカレーをかけて焼いた料理は、白いホワイトソースを使っていなくてもドリアと呼ばれることがあります。
つまり、ホワイトソースの有無よりも、ご飯を中心にした焼き料理であることが大きな判断材料になります。
ドリアとグラタンは、まったく関係のない料理ではありません。
ホテルニューグランドで生まれたドリアも、バターライスの上に海老のクリーム煮、グラタンソース、チーズを重ねて焼いたものでした。
ドリアはグラタンの調理法を利用しながら、ご飯を組み合わせた日本生まれの洋食と考えると、両者の関係がすっきり理解できます。
リゾットと雑炊・おかゆの違い
リゾット、雑炊、おかゆは、いずれも米を水分とともに加熱するため、見た目が似ることがあります。
ただし、米の状態、使う水分、目指す食感に違いがあります。
雑炊は、一般的に炊いたご飯をだしや汁に加えて煮る料理です。
農林水産省が紹介する岐阜県の鮎雑炊も、炊いたご飯を鮎のだしで煮て作ります。
鍋料理を食べたあとの汁にご飯を入れて作る雑炊も、この考え方に近いものです。
リゾットは、伝統的には生米を油脂となじませ、スープを吸わせながら煮ます。
雑炊より水分が少なく、米と煮汁がなめらかにつながりながらも、米粒の食感を残すことが重視されます。
おかゆは、生米から多めの水で炊く場合と、炊いたご飯を水で煮る場合があります。
日本のおかゆでは、味つけを控えめにして米のやわらかさを楽しむことが多く、体調が優れないときの食事としても知られています。
リゾットのように油脂で米を炒めたり、チーズやワインで味を組み立てたりすることは必須ではありません。
違いを簡単に整理すると、リゾットは生米にスープを吸わせて食感ととろみを作る洋風の米料理です。
雑炊は炊いたご飯をだしや具材とともに煮る料理です。
おかゆは米を多めの水分でやわらかく炊く料理です。
ただし、家庭料理では境界が曖昧になることもあります。
炊いたご飯を洋風スープとチーズで煮てリゾットと呼ぶ場合もあり、具材を多く入れたおかゆが雑炊に近い姿になることもあります。
料理名だけで厳密に分けようとするより、米をどの状態から使ったか、何で煮たか、どのような食感を目指したかを見ると違いを判断しやすくなります。
焼きリゾットはドリアと同じ料理になる?
焼きリゾットとは、作ったリゾットを耐熱皿に入れ、チーズやパン粉などをのせて焼いた料理です。
表面に焼き色がつくため、見た目はドリアにかなり近くなります。
それでも、焼いたという理由だけで必ずドリアになるとは限りません。
判断のポイントは、焼く前の段階で何を作っているかです。
生米にスープを吸わせながらリゾットを完成させ、そのリゾットを追加で焼いた場合は、焼きリゾットと考えるのが自然です。
炊いたご飯に別に作ったソースをかけ、具材やチーズを重ねて焼いた場合は、ドリアの構成に近くなります。
両者の違いは、最終的な加熱方法だけではありません。
米を煮汁と一体にしてから焼くのか、炊いたご飯とソースを重ねてから焼くのかという違いがあります。
ただし、家庭料理や飲食店の商品名では、作り手が料理の特徴を伝えるために自由な名前をつけることがあります。
生米から作った焼きリゾットがドリアという名称で提供されることもあれば、炊いたご飯を使った料理がリゾット風と呼ばれることもあります。
そのため、料理名だけで材料や工程を完全に判断することはできません。
作り方を確認できる場合は、生米から煮たのか、炊いたご飯を使ったのかを見てみましょう。
料理を食べる場面では、米とソースが最初から一体になっているか、層として重なっているかも判断材料になります。
焼きリゾットとドリアには重なる部分がありますが、同じ意味の言葉ではありません。
リゾットに焼く工程を加えたものが焼きリゾットであり、炊いたご飯とソースを重ねて焼く日本の洋食がドリアというのが基本的な違いです。
リゾットとドリアに関するよくある疑問
チーズやホワイトソースがなくてもドリアと呼べる?
ドリアと聞くと、ご飯の上に白いソースとたっぷりのチーズがのった料理を思い浮かべる人が多いでしょう。
実際にホテルニューグランドで誕生した最初のドリアには、グラタンソースとチーズが使われていました。
農林水産省の米粉ドリアにも、牛乳などで作るホワイトソースとチーズが使われています。
そのため、ホワイトソースとチーズは、ドリアを特徴づける代表的な材料といえます。
ただし、現在作られているすべてのドリアが、まったく同じ材料で統一されているわけではありません。
カレードリア、ミートドリア、トマトソースのドリアなど、ソースの種類には幅があります。
ホワイトソースを使わず、カレーやミートソースだけで仕上げるレシピもあります。
チーズについても、乳製品を控えた料理や、パン粉で香ばしさを加える料理では使わないことがあります。
大切なのは、特定の材料が一つ入っているかどうかだけで判断しないことです。
炊いたご飯を土台にし、具材や味のあるソースを重ね、耐熱皿で焼き上げるという構成が残っていれば、ドリアとして理解されやすくなります。
反対に、ご飯とカレーを皿に盛っただけで焼いていなければ、一般的なカレーライスに近い料理です。
また、ご飯をスープの中で煮込み、最後にチーズを混ぜただけなら、ドリアよりチーズリゾットに近くなります。
チーズとホワイトソースは有力な目印ですが、それだけがドリアの条件ではありません。
ご飯、ソース、具材、焼く工程の組み合わせを全体で見ると、料理の特徴を正しく判断できます。
リゾットは炊いたご飯でも作れる?
炊いたご飯でも、リゾット風の料理を作ることはできます。
農林水産省は、炊いたご飯をコンソメスープや野菜、チーズと煮るリゾットのレシピを公開しています。
炊いたご飯を使えば、米に火を通す時間を大幅に短縮できます。
冷蔵庫に残ったご飯を活用できるため、忙しい日の昼食や夜食にも向いています。
ただし、生米から作る伝統的なリゾットと、まったく同じ食感になるわけではありません。
炊いたご飯は、すでに水分を吸って加熱されています。
そこへさらにスープを加えると、短時間でやわらかくなり、煮すぎると米粒が崩れやすくなります。
生米から作る場合は、米がスープを吸う過程で味が入り、外側のなめらかさと中心の弾力を調整できます。
炊いたご飯を使う場合は、その調整幅が小さくなります。
おいしく仕上げるには、スープを一度に大量に入れず、ご飯をほぐせる程度から加えるのがポイントです。
長時間ぐつぐつ煮込まず、全体が温まり、好みの濃度になったところで火を止めます。
冷やご飯が固くなっている場合は、最初に少量のスープでほぐすと均一になりやすくなります。
チーズやバターを加える場合は、火を弱めるか止めてから混ぜると、重くなりすぎるのを防ぎやすくなります。
本格的な食感を楽しみたい日は生米から作り、手早く温かい米料理を食べたい日は炊いたご飯を使うとよいでしょう。
どちらかが間違いなのではなく、目的と時間に合わせて作り分けることが大切です。
カロリーが高くなりやすいのはどちら?
リゾットとドリアのどちらが高カロリーかは、料理名だけでは決められません。
使う米の量、バターや油の量、ソース、チーズ、肉類の種類によって大きく変わるからです。
リゾットでも、バターやチーズを多く使えばエネルギー量は高くなります。
ドリアでも、ご飯を少なめにして野菜や魚介を増やし、ソースとチーズを控えれば、必ずしも高カロリーになるとは限りません。
ただし、一般的な濃厚ドリアは、ご飯に加えてホワイトソース、チーズ、バターなどを重ねるため、材料が増えるほど一皿のエネルギー量も増えやすくなります。
文部科学省の食品成分データベースでは、炊いた精白米は100グラム当たり156キロカロリー、ホワイトソースは100グラム当たり99キロカロリー、有塩バターは100グラム当たり700キロカロリーです。
これらの数値は、それぞれの食品単体の値であり、完成したドリア一皿のカロリーを示すものではありません。
それでも、ご飯に油脂を含むソースやチーズを追加すると、その分だけ合計値が増えることは理解できます。
一方、野菜のスープを中心にし、油脂やチーズを控えたリゾットなら、比較的軽く仕上げられます。
反対に、バター、チーズ、生クリーム、肉類をたっぷり使ったリゾットなら、あっさりしたドリアより高くなることもあります。
カロリーが気になる場合は、料理名よりも一皿に使われている材料と量を確認しましょう。
ドリアでは、ご飯、ソース、チーズの量を調整し、きのこや野菜を増やす方法があります。
リゾットでは、スープのうま味を生かし、仕上げのバターやチーズを必要以上に増やさない方法があります。
どちらを選ぶ場合も、主食としての米が入っているため、一緒にパンやパスタを追加すると炭水化物が重なりやすくなります。
サラダや野菜料理、たんぱく質を含む料理と組み合わせ、一食全体の量で考えることが大切です。
リゾットとドリアの違いまとめ
リゾットとドリアは、どちらも米を使った洋風の料理ですが、基本となる作り方は異なります。
リゾットは、生米を油脂となじませ、温かいスープを加えながら煮て仕上げるイタリアの米料理です。
ドリアは、炊いたご飯に具材、ソース、チーズなどを重ね、オーブンで焼く日本生まれの洋食です。
違いを見分けるときは、チーズやホワイトソースの有無だけでなく、米を生の状態から煮たのか、炊いたご飯を耐熱皿で焼いたのかを確認しましょう。
リゾットでは、米粒の弾力と煮汁のなめらかさを両立させることが大切です。
ドリアでは、ご飯とソースの一体感に加え、表面の香ばしい焼き色を楽しめます。
また、ミラノ風ドリアはミラノの伝統料理ではなく、サイゼリヤが日本で開発し、1983年に商品化したメニューです。
焼きリゾットや炊いたご飯を使う簡単リゾットなど、二つの料理の境界に近いアレンジもあります。
そのような料理は、名前だけで判断せず、材料と調理工程を見ると特徴を理解しやすくなります。
生米から米の食感を作りたいならリゾットが向いています。
冷やご飯を活用し、ソースと焼き目を楽しみたいならドリアが向いています。
それぞれの違いを知っておけば、飲食店のメニューを選ぶときも、家庭で作るときも、自分が食べたい料理を選びやすくなるでしょう。
- RISOTTO ALLA MILANESE|Accademia Italiana della Cucina
- Recipes|Page 20|Accademia Italiana della Cucina
- Italian cuisine, a UNESCO World Heritage asset|イタリア政府観光局
- Milan, much more than the capital of fashion|イタリア政府観光局
- 発祥の伝統料理|ホテルニューグランド
- ミラノ風ドリア|サイゼリヤ
- 米粉ドリア|北陸農政局
- 新玉ねぎのカラフルリゾット|農林水産省
- リゾット専用の国産米「和みリゾット」誕生|農林水産省
- 鮎ぞうすい 岐阜県|うちの郷土料理・農林水産省
- 食品成分データベース「精白米・うるち米」|文部科学省
- 食品成分データベース「ホワイトソース」|文部科学省
- 食品成分データベース「有塩バター」|文部科学省
